間食のナッツは細かい塩ほどしょっぱい?舌への届き方と表示の量を読み分ける

間食のナッツで感じる塩味は、含まれる塩の量だけで決まるのか。表面に塩を付けたクラッカーの比較試験と、塩の形・溶け方を調べた研究から、細かい粒で塩味が変わる理由を読む。素焼き・無塩を選ぶ場面でも、舌の印象と食塩相当量の表示を混同せず、研究をナッツへ当てはめる限界まで確かめる。

立川駅で買ったナッツを開けると、白い塩が見えるものと、見えないのにしょっぱく感じるものがある。粒が見えない方に塩が多いのか。それとも、細かい塩の方が舌へ届きやすいのか。袋の底の白い粉は、案外ややこしい問いを残す。

答えの芯は、細かい塩で塩味の評価が変わる場合はあるが、「細かいほど必ずしょっぱい」とは言えない、である。表面に塩を付けたチーズクラッカーでは、通常の塩より大幅に細かくした塩で塩味の評価が改善した一方、すでに細かい塩からさらに小さくしても塩味は増えなかった。[2]

したがって、舌で感じた強さだけを塩の量の物差しにはしない。この試験が扱ったのはクラッカーであり、結果をそのまま市販のナッツの順位に置き換えることもできない。[2] 既存記事「間食のナッツは塩味で食べる量が増える?好みの強さと満腹感を研究で読む」に食べる量の問いを譲り、ここでは表面の塩が溶けて届く過程を追う。

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塩味の強さと、塩の総量は別の問いである

ナッツの袋を比べる場面では、白い粒の見た目、口に入れたときの印象、表示された食塩相当量をひとまとめにしたくなる。しかし、食品の表面の塩を細かくする研究は、同じような塩味の満足を、より少ない塩で作れるかを問う研究である。塩味がはっきりしていることと、塩を多く配合していることが、常に一致するという出発点には立っていない。[2]

チーズクラッカーの研究では、通常の塩、細かい塩、噴霧乾燥で作ったさらに細かい塩を使い、粒の大きさと配合濃度を組み合わせた。単に「減塩した商品」と「従来品」の感想を比べたのではなく、表面に付ける塩の物理的な違いを比べている。この設計だから、塩の量以外にも塩味を変える手掛かりがあると読める。[2]

ここでいう噴霧乾燥とは、塩の水溶液を噴霧して乾燥させ、粒子を作る方法である。研究で製造した塩は家庭で塩をすりつぶしたものと同じ条件ではない。見た目を似せることと、実験と同じ粒を作ることは分けたい。[2] 台所のすり鉢が、そのまま食品工場の装置になるわけではない。

買い物で役立つのは、塩味を感じた後に表示へ戻る順序である。味は好みを判断する材料にし、量の比較では表示の対象となる食品量をそろえて読む、という使い分けだ。これは研究の数値から各人の適量を計算する方法ではなく、味の評価が配合量と一対一で対応しなかった結果を、選び方に生かす考え方である。[2]

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細かい粒は、口で溶ける過程の何を変えるのか

クラッカー研究が立てた考え方は、塩を細かくすると表面積が増え、唾液に溶ける速度と、味を受け取る場所へのイオンの移動が変わり、塩味を強く感じる可能性がある、というものだ。イオンとは、ここでは塩が水に溶けたときに生じる電気を帯びた粒子を指す。研究はこの考えを、実際の食品の官能評価、つまり人が食べて評価する方法につなげた。[2]

「溶ける」は、固体が目の前から消えるという見た目だけの話ではない。水の中で起きることと、目で見える物の変化を結び付ける難しさは、化学教育の研究でも扱われている。米国の高校生28人の学習を調べた研究では、水、固体の塩化ナトリウム、塩が水に溶ける過程を授業で扱い、粒子の水準で考える学習を支援した。[18]

この教育研究は、ナッツの塩味を測った試験ではない。ただ、白い粒が見えるかどうかと、溶けた後に何が起きるかを分けて考える助けになる。見える結晶の大小だけで味を決めず、固体の状態から水に溶ける状態への移り変わりを見る。その視点を食品で試したものとして、クラッカーの比較を読むと筋道が通る。[2][18]

口へ入れる前の粒と、口に入れてから溶ける過程は、別々の写真のようなものだ。粒の写真だけでは、食べたときの評価は決まらない。逆に、食べた感想だけから最初の粒径を言い当てることも、この試験の使い方ではない。研究が示したのは、製造条件をそろえて粒径と配合を変えたときの食品の評価である。[2]

クラッカーの試験では、どこまで小さくすると違ったか

消費者476人が参加した研究では、平均粒径が1,500 µmの通常の塩、15 µmの細かい塩、1.5 µmの噴霧乾燥した塩を比較した。µmは粒の大きさを表す単位であり、ここでは数字が小さいほど細かい。評価は製造から1週間と4か月の時点で行われた。[2]

4か月時点では、噴霧乾燥した塩を1%、1.5%、2%使ったクラッカーの「好ましい塩味」の評価が、通常の塩を2%使った対照より高かった。また、噴霧乾燥した塩を1.5%と2%使った条件では、塩味が「ちょうどよい」とする評価も対照より高かった。[2] 好ましいか、ちょうどよいかという評価を、舌が感じる強さだけの測定と混ぜないことも大切だ。

色、香り、歯応え、全体の好み、受け入れやすさについては、4か月時点で、細かく作った塩を1%または1.5%使った条件と、通常の塩を使った対照との間に有意差がなかった。塩を減らすと他の感覚がすべて同じだけ悪くなる、という結果ではない。[2] 一方、有意差がないことを、あらゆる食べ手が完全に同じ味だと感じたという意味にも広げない。

著者らは、このクラッカーでは通常の塩を大幅に小さくすることで、塩を25〜50%減らす設計が適する可能性を示した。ただし、通常の塩から噴霧乾燥した塩への違いでは塩味が増した一方、15 µmの塩から1.5 µmの塩への違いでは塩味は増さなかった。[2] 小さくする方向へ進めば際限なく有利になる、という読み方は、この比較で否定された。

なお、購入意向は、食べた評価とは別に見る必要がある。噴霧乾燥した塩を1.5%使った製品では、ナトリウム量が25%減っていると知らされた後に、購入意向が25%増えた。[2] これは情報を伝えた後の反応であり、塩の粒だけが買いたい気持ちを変えたと読むことはできない。味を試す場面と、説明を聞いて選ぶ場面は異なる。

比較を読むときに気になるのは、時間の条件でもある。試験は製造直後だけを見たものではなく、製造から1週間と4か月の時点で消費者の反応を調べている。ここで挙げた好ましい塩味や他の感覚の結果は、4か月時点の比較である。[2] 買ってすぐ食べるナッツの印象と並べるときにも、食品だけでなく評価した時点が違うことを残したい。

また、「塩味の評価が高い」と「全体の好みが高い」は同じ意味ではない。細かく作った塩の条件で好ましい塩味の評価が高くても、全体の好みなどでは対照との差が有意でない組み合わせがあった。[2] 塩味の部分で改善が見えた結果を、食品としての魅力がすべて上回ったと書き換えると、比較の意味が変わってしまう。

人数の多さも、対象の食品を飛び越える切符にはならない。476人が参加したことは消費者の評価を知る上で大切だが、ナッツを食べた476人の結果ではない。[2] 仕事帰りに選ぶアーモンドについて考えるなら、「表面に付いた塩の設計で味の評価が動くことはある」という段階までを持ち帰る。その先の銘柄選びは、手元の商品を見て決める場面である。

粒の平均値にも注意したい。研究では噴霧乾燥で作った粒のおよそ80%が500〜1,900 nmの範囲にあった。nmも粒の大きさの単位である。[2] 平均粒径という数字は、すべての粒が同じ大きさでそろっているという意味ではない。食品の袋に細かい粉と目立つ粒が混ざって見えたとしても、その見た目を実験の平均値へ直接対応させることは避けたい。

数字で読む塩の粒と評価

476人:表面に塩を付けたチーズクラッカーの消費者評価に参加した人数である。[2]

1,500・15・1.5 µm:比較した塩の平均粒径であり、すべて同じ製法の塩ではない。[2]

25〜50%:著者らがクラッカーについて示した塩の削減幅であり、ナッツの目標量ではない。[2]

約6倍:特定の素材を使った中空の塩で測られたナトリウムイオンの放出速度であり、人の塩味が同じ倍率になった意味ではない。[1]

28人:塩の溶解を粒子の水準で学ぶ授業を調べた高校生の人数であり、味覚試験の人数とは区別する。[18]

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宮川涼 Founder

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