
摩擦が下がることと、髪が元に戻ることは違う
「滑りがよくなる」という表現を、もう少し具体的に見てみる。毛髪に似せた表面を使った分子シミュレーションでは、未処理毛と漂白毛に対応するモデルに、界面活性剤の水溶液を接触させた。界面活性剤とは、異なる物質の境目に作用する成分である。この研究では、電荷が正の成分と負の成分で、表面への吸着の仕方が異なった。[1]
正の電荷を持つ成分は、まず単層を作り、濃度が高くなると二重層を作る過程を示した。負の電荷を持つ成分は、未処理毛と中程度の漂白毛のモデルに弱く吸着し、単層のみを作った。名前が同じ「界面活性剤」でも、成分と表面の組み合わせで挙動が変わる。同じ油っぽい手触りなら同じ働き、とは考えにくいことが分かる。[1]
さらに、漂白毛のモデルに正の電荷を持つ成分の水溶液を加えると、未処理毛のモデルで見られる低い摩擦が回復した。摩擦を左右したのは、もともと表面にある脂質と、吸着した成分が合わせてどれほど表面を覆うかだった。ここで回復したものは測定された摩擦であり、漂白という処理を受ける前の内部構造全体ではない。[1]
興味深いのは、単層を持つ表面と二重層を持つ表面で、摩擦が同程度だった点だ。外側の層は圧縮やずれの力によって取り除かれやすかった。計算上の結果ではあるが、たくさん重ねれば必ず滑りが増す、という単純な足し算にはなっていない。レッスンの汗は量が目につく。手入れまで量で競う必要はない。[1]
この研究の成分は、ヘアオイル全般を代表するものではない。それでも、研究の読み方には使える。製品に期待することを「摩擦を減らして扱いやすくしたい」と言うのと、「髪が完全に修復する」と言うのでは、求めている結果が違う。前者に関係する表面の研究を、後者の証明として売り場の言葉に変換しないことが大切だ。[1][4]
分子の細部を扱った別のモデルでは、自然に存在する脂肪酸を表面に置き、乾いた条件と濡れた条件で表面の脂肪酸層の反応を調べている。このような計算は、成分が髪の表面にどう吸着するかを考える土台になる。一方、生活の中で求める香り、仕上がり、塗りやすさまで同じ指標で採点するものではない。[4]
タオルに話を戻そう。まず髪の水が残っている部分をタオルで包み、両手で挟んで押さえ、いったん手を離す。布を髪に沿って往復させず、次の部分へ当て直す。タオルが濡れてきたら、まだ水を受け止められる面へ替える。毛先で引っかかりを感じたら、そのまま引き抜かず、手を緩めて包み直す。水を取る動作を、こすり続ける動作に変えないための手順だ。[1]
この手順は、表面の被覆と摩擦を調べたモデル研究を踏まえた生活上の工夫である。18〜39歳の女性を対象にタオルの拭き方を比較した試験ではなく、切れ毛の減少率や最適な秒数は示せない。タオルで水を取った後は、使うヘアケア用品や乾燥機器の使用方法に沿って支度を進める。研究から時間や温度の設定を作らず、摩擦を増やす動作を減らすところまでを提案する。[1][4]
ヘアオイルを使う場合も、製品の使用方法に沿って扱い、感触を確かめるために髪を強くしごく必要はない。塗った直後の滑りは、そのときの使い心地として受け止めればよい。使い心地がよいこと自体を否定する理由はないが、それを内部の水分分布や構造の回復と一緒にしない。手入れの満足感と研究で測る結果を、別々に持っておける。[1][10]
初日の汗は、予約した人だけが持ち帰れる。
同じレッスンの後でも、髪を一律に扱わない
友人がすぐ支度を終えるのに、自分は髪の扱いに時間がかかる。そんなときも「手入れが下手」と急いで判断しなくてよい。異なる集団由来の毛髪を比較した材料実験では、水を取り込む量だけでなく、水の移動のしやすさにも違いがあった。調べたのはアフリカ系、アジア系、欧州系として区分された毛髪である。18〜39歳の女性の支度時間や製品選びにそのまま当てはめられるかは、この材料比較だけでは判断できない。[13]
アフリカ系の毛髪では透過性が高く、欧州系の毛髪では湿度が上がるほど吸水する能力が高い一方で、水が広がる速度は遅かった。アジア系の毛髪は、水分状態の変化により抵抗性を示した。脂質の分布や並びにも違いが見られたが、熱に対する安定性には差がなかった。透過性、吸水量、熱への安定性は、それぞれ別の指標として読む。[13]
この集団間の結果を、自分の髪の診断に使う必要はない。「日本人だからこのオイル」と製品を決める実験でもない。水との関係を測る場合にも複数の指標が必要であり、同じ湿度の場所にいた髪を、全員同じ材料のように扱えないことを読み取る。比較の相手を更衣の早い友人に置くより、自分が普段困る動作を見つけるほうが実用的だ。[13]
しかも、違いは人と人の間だけの話ではない。女性由来の毛髪を使い、長さに沿ってぬれ方を測った実験では、毛髪表面は強く不均一であることが示された。表面の脂質とタンパク質の領域が空間的に分布するという見方で、長さ方向に変わる性質を捉えている。18〜39歳の女性の拭き方にそのまま当てはめるには、実際のケア動作との比較が必要だ。毛髪全体に同じ言葉を貼るより、表面の場所による違いにも目を向ける研究だ。[18]
この実験では、時間的な周期との関連も仮説として検討された。ただ、そこから体調や生活リズムを髪の手触りで診断する話には進めない。日常に持ち帰りたいのは、毛束のどこでも同じ濡れ方、同じ扱いやすさと決めつけなくてよいという視点だ。全体を同じ勢いで拭く前に、どこに水が残り、どこで動作が止まるのかを見ておきたい。[18]
帰り支度の順番を考えるなら、髪に水が残っている場面と、着替えた後の予定を切り離しておく。時間が迫ってから髪への力を増やすより、最初から支度の余白を予定に入れる提案である。これは研究で検証した時間配分ではなく、毛髪の扱いを急がないための工夫だ。着替えと体の冷えの問いは、既存記事「ホットヨガの濡れたウェアは冷えやすい?長袖と着替えを布の熱移動から考える」に譲り、ここでは髪とタオルの接し方に絞る。

よくある誤解
「水をよく吸う髪ほど健康的である」は、研究の結果を単純化しすぎる。漂白した毛髪の表面では、水になじみやすい方向への変化が観察・再現されている。水との親しさは、そのまま損傷の少なさを意味しない。「潤う」という日常語を、研究で測るぬれ性と同じ意味で使わないことが大切である。[12][17]
「オイルで滑れば、内部まで元通りになった」も分けて考える。表面の被覆と摩擦を扱う研究と、内部の脂質と水の配置を扱う実験は、異なる結果を見ている。滑りがよくなった実感を、内部構造の回復にまで広げる根拠にはならない。髪を扱いやすくするという目的を、必要以上に大きな約束に変えなくてよい。[1][10]
「ホットヨガ後に濡れたから、その場で髪が傷んだと分かる」という判断も早い。ここで扱ったのは漂白、脂質の除去、モデル表面への成分の吸着など、条件を定めた材料研究だ。ホットヨガの前後で髪の損傷を比較した結果と同一視しない。濡れた髪にどんな動作を加えるかを考えることと、レッスン自体に損傷の原因を決めることは別なのである。[1][10][12]
今日からできること
- タオルでは髪を挟み、水を受け止める扱いを試す。表面と摩擦を扱う研究を踏まえた工夫であり、拭く力や回数に研究由来の正解があるという提案ではない。[1]
- カラーや漂白をした毛先が引っかかるときは、タオルを引いて通そうとせず、手を緩めてその部分を包み直す。表面の性質が変わる研究を踏まえ、力を足す前に当て方を変える工夫だ。[12][17]
- ヘアオイルを使う目的を、仕上がりや滑りといった言葉にする。表面の摩擦低下と内部構造の回復を同じ効果として期待しない。[1][10]
- 他人の髪との比較より、自分のどの部分で支度に手間がかかるかを観察する。毛髪の水への反応は集団間でも表面の位置によっても一律ではない。[13][18]
- 「数字で読む」の2段階の吸着は、塗布を2回繰り返す指示ではないと区別する。モデルでの層の形成と、製品を手で塗る手順を混同しない。[1]

オンザショア立川店で、帰り支度まで含めた予定を
髪の手入れも含めて通う時間を決めたいなら、レッスンの前後まで予定に入れるところから考えたい。オンザショア立川店はJR立川駅北口から徒歩1分、営業時間は8:00〜23:30で、全曜日同じ、年中無休である。所在地は東京都立川市曙町2-14-10 エトロワビル3Fだ。仕事や外出と組み合わせる際も、レッスンの時間と帰りの支度をひと続きに考える場所として選べる。
当店は溶岩プレートを敷いたスタジオでのホットヨガのほか、常温のヨガやピラティスも実施している。ヨガだけで25種類以上のレッスンがあり、通う内容を検討できる。妊娠中の方は溶岩ホットヨガには参加できず、常温のマタニティヨガがある。医師から運動を止められている方は利用できない。
ヨガの体験レッスンは税込1,980円。60分のレッスンに、バスタオル2枚、フェイスタオル1枚、ヨガマットのレンタルが含まれる。持ち物や時間の組み立てを考えながら、続ける仕組みとして検討したい。店の案内と料金を確認し、日程が決まれば体験の予約へ進める。
参考文献
- Effects of surfactant adsorption on the wettability and friction of biomimetic surfaces — Weiand E, Rodriguez-Ropero F, Roiter Y, Koenig PH, Angioletti-Uberti S, Dini D, , 2023, Physical chemistry chemical physics : PCCP. DOI: 10.1039/d3cp02546b
- Exploring the Effects of Wetting and Free Fatty Acid Deposition on an Atomistic Hair Fiber Surface Model Incorporating Keratin-Associated Protein 5-1 — Sanders JM, Coscia BJ, Fonari A, Misra M, Mileo PGM, Giesen DJ, Browning AR, Hal, 2023, Langmuir : the ACS journal of surfaces and colloids. DOI: 10.1021/acs.langmuir.2c03063
- Analysis of water distribution in delipidated human hair by small-angle neutron scattering (SANS) — Ishihara A, Tsukamoto Y, Inoue H, Noda Y, Koizumi S, Joko K., 2021, International journal of cosmetic science. DOI: 10.1111/ics.12741
- Coarse-grained molecular models of the surface of hair — Weiand E, Ewen JP, Koenig PH, Roiter Y, Page SH, Angioletti-Uberti S, Dini D., 2022, Soft matter. DOI: 10.1039/d1sm01720a
- Ethnic hair: Thermoanalytical and spectroscopic differences — Oliver MA, Coderch L, Carrer V, Barba C, Marti M., 2020, Skin research and technology : official journal of International Society for Bioengineering and the Skin (ISBS) [and] International Society for Digital Imaging of Skin (ISDIS) [and] International Society for Skin Imaging (ISSI). DOI: 10.1111/srt.12842
- Wetting and electrical properties of the human hair surface: delipidation observed at the nanoscale — Dupres V, Langevin D, Guenoun P, Checco A, Luengo G, Leroy F., 2007, Journal of colloid and interface science. DOI: 10.1016/j.jcis.2006.10.030
- Chemical Modifications on Human Hair Studied by Means of Contact Angle Determination — Molina R, Comelles F, Juliá MR, Erra P., 2001, Journal of colloid and interface science. DOI: 10.1006/jcis.2001.7447
- Spatial probing of the properties of the human hair surface using Wilhelmy force profiles — Wortmann FJ, Wortmann G, Schulze zur Wiesche E., 2010, Langmuir : the ACS journal of surfaces and colloids. DOI: 10.1021/la9043842
この記事の情報は2026年10月時点のものです。個別の健康状態については医師にご相談ください。
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