停滞期の判断は中央値でもよい?平均から飛び離れた体重を消す前に読むこと

停滞期の判断で、飛び離れた日の体重を消したくなったら何を確認するか。平均と中央値を都合よく切り替える前に、体重計の誤差、体脂肪の推定、時間を通した変化を分けて読む。家庭用体重計の比較研究や体組成測定のレビューから、数字を残しながら傾向を確かめる記録の考え方を整理する。

朝、体重を記録したノートに、そこだけ高い点がある。前後の日と離れすぎていて、その点を消せば線が滑らかになる。平均の代わりに中央値を使えば、停滞している感じも変わるのではないか。記録を続けていると、体より先に集計方法を変えたくなる朝がある。

答えの芯は、中央値を眺めることと、飛び離れた測定値を誤りと決めることを分ける点にある。ここで扱う研究が検証したのは測定の確かさであり、中央値による停滞期の判定法ではない。体重と体組成では測定の誤差も異なり、短い期間の差から体内のエネルギーの変化まで読むには限界がある。[3][12]

既存記事「ダイエット停滞期の脂肪燃焼は息で分かる?呼吸商と一日の収支を読み分ける」には、呼吸から何を読み取れるかを譲る。こちらの問いは、手元の体重記録から都合の悪い点を取り除く前に、何を確かめるかである。

ヨガとからだの記事のイメージ写真 立川駅徒歩1分年中無休の溶岩ホットヨガスタジオ

中央値を選ぶ前に、判断したいものを言葉にする

「このあたりの体重を代表する数字がほしい」のか、「体重が時間とともに動いているか知りたい」のか。それとも「体脂肪が変わったか知りたい」のか。記録を見る目的を先に書いておきたい。体重計の比較研究では、同じ機器でも体重と脂肪量の測定結果に違いがあり、ひとつの表示の確かさを別の表示へ持ち越すことはできなかった。[12]

中央値への関心は自然である。ただ、中央を表す数字を選んだだけで、測定条件や、脂肪量を推定する仕組みは変わらない。測定法を論じたレビューでも、体組成の変化から体のエネルギー変化を推定する方法は、測定技術の精度に制約されると整理されている。[3] 集計欄の名前を変える前に、何の変化を見ようとしているかを確かめる順番である。

たとえば、仕事が忙しい時期の記録を見返す場面を考える。「減っていない気がする」と書く代わりに、「同じ条件で測れた記録を、前の期間と比べたい」と書く。これは停滞期の医学的な定義ではなく、記録の読み方を決めるための作業である。判断の対象が決まれば、集計に入れた日や測定時のメモも一緒に確認できる。

逆に、体脂肪が増えたことを心配しているのに、体重の代表値だけで答えを出そうとすると、問いと測定がずれる。家庭用の機器で体重が比較的近く測れても、体組成の正確さは別問題だった。[12] グラフに望む答えと、グラフが持っている情報を同じにしないことが出発点になる。

「平均では停滞、中央値では順調」という言葉を見つけたときも、すぐに安心する側を採用しなくてよい。まず、その比較が同じ記録を使っているか、同じ期間なのか、どの点が判断を変えたのかを見たい。ここでの提案は集計の透明さを保つためであり、特定の計算方法を使えば減量が進むという効果を主張するものではない。

初日の汗は、予約した人だけが持ち帰れる。

体験レッスンを予約体験専用 03-6665-0898LINE

体重計の誤差は、体脂肪の誤差と同じではない

フランスの病院で、体組成を調べる検査を受けた患者を対象に、家庭用のスマート体重計を比較した横断研究がある。横断研究とは、ある時点の測定を比べる型の研究である。基準にしたのは、異なるエネルギーのエックス線を使って体組成を推定する検査、DXAであった。比較された機器ごとの患者数は53人、52人、48人である。患者を対象とした比較であり、18〜39歳の女性が家庭で測る場合に同じ測定差が生じるかは、この結果だけでは判断できない。[12]

体重の測定差の中央値は、機器ごとに0.3 kg、0 kg、0.25 kgだった。一方、脂肪量の差はそれぞれ−2.2 kg、−4.4 kg、−3.7 kgであり、著者らはスマート体重計の体組成測定は正確ではなく、患者のケアでDXAの代わりにすべきではないと結論している。[12] 体重と脂肪量は、同じ画面に並んでいても測定の確かさが異なる。

この研究に出てくる中央値は、患者たちの測定差をまとめた値である。家庭で同じ人が測った毎日の体重をまとめ、その中央値で停滞期を判定した結果ではない。[12] 「論文でも中央値を使っている」ことだけを理由に、日々の記録でも中央値が最善だと結びつけるのは飛躍になる。何を集計した中央値なのかまで読む必要がある。

また、測定差の中央値が0 kgだった機器も、すべての人で差がなかったという意味ではない。その機器で報告された四分位範囲は−0.4〜0.3 kgだった。[12] 四分位範囲は、測定値を順に並べたときの中央部分の広がりを示す統計の表記である。この報告では、代表値の小ささと個々の測定差の広がりを分けて読む必要がある。[12]

だから、この数字を自宅の体重計の補正値にはしない。「表示から一定量を引けば本当の体重になる」と読むための研究ではない。検査を受けた患者と特定の機器を比べた結果であり、自分の今朝の点が誤測定だったかを特定するものではない。[12] 小さな差を気にしすぎない姿勢と、都合よく引き算する操作は分けておきたい。

飛び離れた点には、誤り以外の背景もある

外れ値という言葉を、ここでは周囲から飛び離れて見える測定値を指す言葉として使う。ただし、飛び離れて見えること自体は、誤測定の証拠にはならない。長期ケア施設の高齢者を追った研究では、体重が増える方向にも減る方向にも大きく動く人が多く、変動のどれだけが測定誤差なのかは確定していなかった。[2]

この研究の対象は、栄養上の問題が見つかった施設入所者900人である。施設職員が測った毎月の体重を追うと、前月から5%以上違う体重が少なくとも一度あった人は435人、48%だった。[2] 18〜39歳の女性が家庭でつける毎日の記録とは対象も測定間隔も違い、そのまま当てはめることはできない。ここから自分の変動の許容範囲を決めることはできない。

一方、この集団では、いずれかの月に5%以上体重を失った人は、体重が増えた人に比べて死亡リスクが高かった。調整相対リスクは10.6、95%信頼区間は3.2〜35.5である。[2] 信頼区間は推定に伴う不確かさの幅を表す。これは関連を調べた解析であり、体重の低下そのものが死亡を引き起こしたと断定する結果ではない。[2]

この数字を停滞期の判断基準に流用してはいけない。読むべき点は、揺れの大きい記録でも、実際の体の変化と関係する情報が含まれうることだ。[2] 線をきれいにするために点を消すと、その点の背景を後から検討する入口も失う。家計簿なら消した支出は残高に出るが、体重のグラフは黙って整ってしまう。

別の例では、アルコール使用障害の入院治療中の成人22人を対象にした観察研究の二次解析で、急性膵炎と体重減少があった外れ値を除くと、男性の平均体重増加は2.67 kg、標準偏差は1.84 kgだった。[13] この解析は男性の結果であり、18〜39歳の女性の日常の体重変化へそのまま当てはめることはできない。外れ値には具体的な病状の背景があり、除外した条件とともに結果が報告されている。家庭の記録でも、「大きいから削除」と「入力間違いを確認して訂正」を同じ操作にしないための示唆になる。[13]

この施設入所者の研究では、最初から最後へ向かう体重の直線的な傾向を考慮したうえで、月ごとの残りのばらつきも計算されている。[2] 傾向とばらつきを分けて検討した点に注目したい。大きく上下する記録だから傾向がないと決まるわけでも、傾向があるからすべての上下を無視してよいわけでもない。この研究が扱った問いは、その両方を区別して読む必要を示している。[2]

家庭のメモで同じ解析を再現する必要はない。ただ、「この点が気になる」と「全体が止まって見える」を分けて書くことはできる。前者については測定時の事情を調べ、後者については比較したい期間の記録を並べる。どちらも気になっているなら、相談するときにも別々に伝える。ひとつの代表値に、すべての疑問への答えを背負わせなくてよい。

体重計の比較研究にも、似た読み分けがある。機器によっては、脂肪量の測定誤差と体重や体格の指標などに関連が見られた。[12] 誤差を誰にでも同じ大きさで付くものとして扱うのは難しい。したがって、研究の代表値を借りて飛び離れた点の正誤を判定するより、元の値と測定の事情を保つほうが、後から検討する材料を残せる。これは誤差をなくす工夫ではなく、分からない点を勝手に確定させない工夫である。

数字で読む体重の誤差と変化

家庭用体重計との比較人数:機器ごとに53人、52人、48人。病院で検査を受けた患者の横断研究である。[12]

体重の測定差の中央値:0.3 kg、0 kg、0.25 kg。自宅の記録へ一律に足し引きする補正値ではない。[12]

脂肪量の測定差:−2.2 kg、−4.4 kg、−3.7 kg。体重表示と体組成表示を分けて読む理由になる。[12]

体組成の時点間変化を測る誤差:約0.7 kg。レビューが扱う測定技術の値であり、家庭用体重計の誤差幅ではない。[3]

高齢施設入所者の対象数:900人。体重の変動と予後の関係を読む研究で、若い成人の停滞期を決める基準ではない。[2]

初日の汗は、予約した人だけが持ち帰れる。

体験レッスンを予約体験専用 03-6665-0898LINE

💬 ご質問がある場合はこちらからどうぞ

オンザショアのチャットで質問する(24時間受付)

レッスン内容・料金・体験のご予約など、気になることをお気軽にお尋ねください。

author avatar
宮川涼 Founder

1

2

関連記事

ご体験予約