ダイエット停滞期の二回目が前回より長く感じても、減量を繰り返した回数だけで代謝の低下は決められない。女性や重度肥満の成人を調べた研究をもとに、減量中と体重が戻った後、体重と体組成、安静時の消費を分けて読む。前回の記録を今回の食事や運動の見直しに使うための確認点を整理する。
体重の記録帳を開くと、前回と今回の折れ線が似た位置で横ばいになっている。「体が覚えて、二回目は痩せにくくなったのか」と思う。しかし、減量と再増加を経験したこと自体が、その後の減量を必ず遅くするという見方は、人の研究をまとめたレビューでは支持されていない。[3]
ここで必要なのは、前回の体重と今朝の体重を重ねる前に、比較する時点をそろえることだ。減量中に安静時の消費が下がった女性でも、失った体重が戻ると消費や体組成が開始時の値に戻った研究がある。一方、肥満ではない若い女性が食事制限を繰り返した小規模研究では、除脂肪量や安静時の消費の低下が見つかっている。対象も方法も違う結果を「二回目」の一語では包めない。[14][15]
既存記事「リバウンドを繰り返すと痩せにくくなるのか 代謝と体組成を調べた23研究の答え」は繰り返す減量の全体像を扱う。また「ダイエット停滞期の代謝低下は筋肉だけ?減量前後の内臓の大きさを読む」に臓器ごとの詳しい議論を譲り、ここでは前回と今回の履歴の比べ方を考える。

「二回目の停滞」と「減量を繰り返す」は同じではない
研究で扱われる体重サイクルは、意図して体重を落とした後、再び増える経過を指す。女性を対象にした研究では、過去4年間に4.5 kg以上の減量と再増加を3回以上経験したという自己申告を分類に使っている。これは同じ減量期間の途中で体重の動きがまた止まった、という意味の「二回目」とは違う。[6]
検索窓には同じ言葉を入れていても、読者の履歴は分かれる。前回の減量後に体重が戻り、改めて取り組んでいる人。まだ減量を続けていて、動かない時期を再び迎えた人。後者に体重サイクルの研究結果をそのまま当てはめれば、そもそも別の経過を比べることになる。研究の分類を使うなら、減った時期だけでなく戻った時期も確かめる必要がある。[6][8]
記録を読み返す際は、開始、減量の途中、減量の終了、その後という言葉を添えるとよい。これは停滞の期間を判定する基準ではなく、研究との対応を考えるための整理である。重度肥満の成人を追った研究は、減量と再増加を挟んだ入院時同士を比較した。毎朝の体重の傾きとは観察の単位が違い、18〜39歳の女性の日常の停滞にそのまま当てはめることはできない。[8]
前回と同じ数字が出た朝を、前回と同じ体の状態だと決めない。研究が問うのは回数だけでなく、どのように減り、どこまで戻り、何を測ったかである。体重履歴は回数のスタンプカードではない。途中の出来事を消して数だけ残すと、体重計より説明が粗くなる。[1][3]
初日の汗は、予約した人だけが持ち帰れる。
減量中と再増加後では、消費の結果が違う
安静時エネルギー消費とは、安静にしているときのエネルギーの消費を指す。肥満の女性12人を調べた研究では、平均年齢は38.8歳、開始時の平均体重は98.0 kgだった。減量前、減量後、失った体重が完全に戻った後に、安静時の消費と体組成を測定している。[14]
治療終了時の体重減少は平均18.9 kgで、その内訳は体脂肪15.2 kg、除脂肪量3.7 kgの減少だった。安静時の消費も1日1,631 kcalから1,501 kcalに下がった。ところが体重が戻った時点では、これらの測定値は開始時の値に戻り、体脂肪の分布は研究を通して変わらなかった。[14]
この結果が示すのは、減量の途中に測った低い消費と、再増加後にも残る低い消費を区別する必要があることだ。この女性たちには減量中の低下が起きた。それでも、体重が戻った後まで不利な変化が残ったという主張は支持されなかった。途中の結果だけ切り出すと、同じ研究でも違う話になってしまう。[14]
ただし、これは少人数の肥満の女性を調べた経過である。18〜39歳の女性全体や、短い食事制限を何度も繰り返す人への適用には、体格と方法の違いを考慮する必要がある。また、安静時の値は活動中を含めた生活全体の消費そのものではない。人の研究を検討したレビューも、安静時の消費以外の要素については、さらに研究が必要としている。[3][14]
前回の記録に「代謝が落ちた」とだけ書いてあるなら、いつ、何を測った言葉なのかを確認したい。減量中の検査値なのか、体重が戻った後の検査値なのか。体重の動きから想像した言葉なのか。測定した消費と、グラフを見た印象を同じ欄に入れないことが、今回を読む出発点になる。[3][14]
同じ体重でも、体の内訳を分けて読む
体組成は体を構成する成分の内訳である。脂肪量と、脂肪を除いた部分である除脂肪量を区別する。除脂肪量をすべて筋肉と読むのは正確ではない。レビューは、その中に代謝率の異なる臓器や組織が含まれるため、脂肪とそれ以外という区分から、さらに内訳を見る必要があると論じている。[1]
この点は、前回と今回が同じ体重なら同じ消費のはず、という予想に関わる。レビューでは、減量に伴う除脂肪量当たりの代謝率の低下に、代謝の活発な臓器の割合や活動の変化が関わりうるとされる。逆に増量時には、その割合や活動が増える可能性がある。除脂肪量の総量だけを使った補正では、減量後の代謝の効率を過大に評価する場合がある。[1]
これは、自宅の体組成計で臓器の状態を推測すればよいという話ではない。研究の数値に「体格を考慮した」とあっても、何を考慮したかによって解釈が変わるという話である。筋肉が減ったから全部説明できる、あるいは筋肉が変わらないから消費も変わらない、と単純化しないために役立つ。[1]
重度肥満の成人38人を調べた縦断研究では、平均16.7 kgの減量と15.1 kgの再増加を経験した後、再入院時の測定値を以前の入院時と比べた。体重、体脂肪率、除脂肪量の割合、測定または予測した安静時の消費、代謝適応などに有意な差は認められなかった。治療を受けた重度肥満の成人の結果であり、18〜39歳の女性全体への適用は体格と治療環境の違いを踏まえて考える必要がある。[8]
ここでの代謝適応とは、体格や体組成の変化に対して、消費がどう変わるかという問題である。体重が戻れば必ず脂肪だけが増えて消費が落ちる、という予想に対し、この研究はそのような一律の悪化を示していない。ただし、有意差がないことは、すべての参加者のすべての値が一致したという意味ではない。平均の比較と個人の経過は分けて読む必要がある。[1][8]
さらに、この縦断研究で再増加が多い傾向にあったのは、年齢が若い患者と、過去の最高体重が高い患者だった。年齢との相関係数は−0.38、過去の最高体重とは0.43である。ここでも「戻った量」と「戻った後の安静時の消費」は違う観察項目であり、再増加しやすい人がいたことから、全員の消費が下がったと結論することはできない。[8]
また、この研究は再び治療に入った重度肥満の成人の記録を比べたものだ。平均の体格指数は43.5であり、日常で少し体重が動かなくなった読者とは体格も治療環境も異なる。結果が心強く見えても、対象の特徴は外せない。反対に、重度肥満の人にとっては、再増加への懸念だけで必要な体重管理の試みを断念すべきではないという、研究者の結論につながっている。[8]
自分の古い記録と並べる場合も、「戻った」と書かれた時点が、以前の体重まで戻った日なのか、まだ一部だけ戻った日なのかを確かめたい。女性12人の研究は完全に体重が戻った後を測っている。途中までの再増加をそれと同じ状態だと扱えば、比較の前提がずれる。研究を日常へ持ち帰る際には、測定の細かさをまねるより、比較の前提を省かない方が役に立つ。[14]
数字の表には、平均だけでなく個人差もある。女性12人の研究で報告された減量幅は18.9±2.6 kgで、このばらつきの表記は平均の標準誤差である。体重が戻った後に開始時の値へ戻ったという結果は、次の減量で同じ日程をたどるという予告ではない。この研究の消費量を、今回の自分が食べる量の目標に転用するのも避けたい。測定した集団の特徴と目的から離れてしまうからだ。[14]
数字で読む体重履歴の研究
12人:肥満の女性の減量前・減量後・完全な再増加後を比較した研究の対象人数である。[14]
1,631から1,501 kcal/日:その女性たちで減量中に低下した安静時の消費であり、再増加後は開始時の値に戻った。[14]
38人:重度肥満の成人で、減量と再増加を挟んだ入院時同士を比較した研究の対象人数である。[8]
121人:体重サイクルの履歴と寒冷刺激への反応などを調べた女性の横断研究の対象人数である。[6]
5人:肥満ではない若い女性に、食事制限による減量を繰り返した研究の対象人数である。[15]
初日の汗は、予約した人だけが持ち帰れる。
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