
「動けそう」と「動く範囲が広がった」を分ける
柔軟性の話に近づく前に、膝の手術後に行われた無作為化比較試験を見たい。前十字靱帯の再建術を受けた患者47人が割り付けられ、44人が治療を完了した。通常のリハビリテーションのみの群と、それに仮想現実の訓練を加える群を比較した。一人称で仮想の体を見て、動きを思い描き、計画し、実行する内容であった。18〜39歳の女性が健康な状態で見本をまねる場面には、術後の回復を目的とするこの結果をそのまま当てはめられない。[4]
仮想現実の訓練は、自宅で毎日20分、術後4週間行われた。術後4週の「動くことへの恐怖」を示す尺度は、訓練を加えた群で27.00、対照群で33.35だった。値が低い方が恐怖の少ない結果であり、標準化した群間差の大きさを表す効果量は−0.971だった。[4] 恐怖の軽減という結果には目を向けたいが、関節の動きとは別の尺度である。
同じ試験では、膝を自分で伸ばせる可動域の左右の釣り合いや、大腿前面の筋力の左右の釣り合いに有意な群間差はなかった。自己申告の機能障害の評価でも、群間差は統計的に有意ではなかった。[4] 好ましい結果と差がつかなかった結果を並べると、仮想の体を使った訓練で何が変わったかが明瞭になる。
この介入には、一人称の視点だけでなく、仮想の体を自分の体のように感じる仕掛けや、仮想の指導者による運動が組み合わされていた。そのため、恐怖の差を撮影方向だけの効果にはできない。[4] 普通のスマートフォンで見本を眺める場面と、仮想空間の中で訓練する場面も同一ではない。
健康な人が本を見ながらストレッチをする場合も、観察の項目を分けると整理しやすい。手順を言葉にできたか、動き出すときの迷いはどうか、実際にはどこまで動いたか。これらを同じ「できた」に詰め込まない。術後の試験で恐怖と可動域が別の結果になった事実は、この切り分けを考える手がかりになる。[4] 術後の練習を自己判断でまねるのではなく、医師や担当者の指導を受ける領域であることも忘れたくない。
初日の汗は、予約した人だけが持ち帰れる。
正面の見本を残すと、何を尋ねられるか
一人称の映像には、自分の視野から外れる部分がある。例えば、自分の肩の全体的な動きは、手元を見下ろす映像だけでは追いにくい。第三者の視点を使った運動イメージの研究は、肩をすくめる動作など、一人称の視野を超える動作に外からの視点を使う意義を提案している。[17] 正面の見本を捨てるのではなく、何を見るための画面かを定めたい。
この研究では、健康な31人で、仮想の体を自分のものと感じさせる仕掛けを加えた条件と、加えない条件を比較し、運動に関わる領域の脳波反応を調べた。視覚と触覚の刺激を同期させ、第三者視点でも仮想の体への所有感を引き出す方法である。研究は、その条件で第三者視点の運動イメージを行う方法の実現可能性と有効性を示した。[17]
ここで扱われたのも、教室の正面実演そのものではない。それでも、外から見る視点を一律に劣ったものとしない理由にはなる。体全体の位置関係を眺めたいのか、自分の視野に沿って動きを追いたいのかで、必要な見本は違う。視点の使い分けを考える際には、脳波を測る実験と、教室で動作を確認する提案の間に区切りを置く。[17]
本や動画を使うなら、最初に分からなかった箇所へ戻ってみたい。手の位置が分からないのに、完成形の全身写真を眺め続けていないか。反対に、姿勢全体を見たいのに、足先だけの映像を探していないか。先生への質問も「もっと詳しく」より「手を置く直前の向きが見たい」とすると、求める情報が具体的になる。
撮影方向を選ぶことは、見本と同じ深さまで伸ばす競争ではない。画面の人に近づこうとして姿勢の終点ばかりを見るより、自分が止まった場面の情報を探す。立川駅北口から帰って本を開く夜にも、教材のページ数より先に、「今夜はどの手順を確認するか」を決められる。
教室で確認した内容を本へ戻すなら、見本を見た向きと、疑問が解けた場所を短く書き添える方法もある。例えば「この写真は手を置いた後」「知りたかったのはその前」と記しておく。これは効果が実証された記録法としてではなく、次に同じページを開いた自分へ情報を渡す工夫である。見本を変える必要があったのか、同じ見本の別の瞬間を見ればよかったのかも整理できる。新しい教材を増やす判断は、その確認の後でも遅くない。

よくある誤解
「一人称の動画を見れば、筋肉が柔らかくなる」という理解は、研究が示した結果を広げすぎている。カップ積みの試験が測ったのは動作を終える時間であり、脳卒中の試験が測ったのは上肢機能や生活動作である。[1][3] 膝の術後の試験では、一人称を含む複合的な訓練でも可動域に群間差がなかった。[4] どの研究も、視点という言葉だけで柔軟性の効果へつなげないことが大切である。
「脳が強く働く見本を選べば上達する」も、測った結果を取り違えている。手と物の関わる動作の観察では、条件によって三人称の方が強い脳活動を示した。[5] 食事準備の観察では、視点ごとに活動の強い領域が違った。[16] 活動量の大小を、姿勢の正確さや覚えた手順の数として読み替えることはできない。
「動画を流しておけば、想像を加えた練習と同じになる」とも限らない。カップ積みの研究では、見るだけの条件と、見ながら自分が実行する様子を映像に合わせて想像する条件が分けられ、併用条件の成績が優れていた。[1] 洗濯物を畳む横で動画が進む場面と、動きを意識して観察する場面は、練習の内容として区別したい。
今日からできること
- 本を閉じる前に、分からなかった動作を短い言葉にする。「脚が硬い」ではなく、「手を置く場所」「姿勢に入る順序」など、次に見たい対象を選ぶ。観察と実行を分けた研究を、確認方法の手がかりにする。[1]
- 一人称の見本があれば、自分が動かす様子を映像に合わせて想像してみる。26人のカップ積み試験の考え方を参考にするもので、ストレッチの回数や柔軟性向上を保証する方法ではない。[1]
- 正面の見本も残し、手元の映像から外れる肩や体幹を見たいときに見直す。第三者視点を用いた健康な31人の研究も、視野の違いを考える材料になる。[17]
- その場で分かった感覚と、後で手順を思い出せるかを分けて確かめる。1週間後にも評価した試験にならい、動画の再生中だけを教材の採点時刻にしない。[1]
- 教室では「自分と同じ向きから手の位置を見たい」など、確認したい場面を伝える。動きへの恐怖と可動域が別の結果になった試験を踏まえ、迷いの少なさを柔軟性の変化と同じ記録にしない。[4]

オンザショアで、見本に戻る時間を予定に入れる
本や動画で見つけた疑問を、次の運動の時間まで持っておく。オンザショア立川店を、生活の中に運動の予定を置く場所として考えると、教材選びとは別に「続ける場所」を選ぶ軸ができる。研究の結果を当店での変化に置き換えるのではなく、日常の予定に入れられるかを確かめたい。
営業時間は8:00〜23:30で、年中無休である。所在地は東京都立川市曙町2-14-10 エトロワビル3F、JR立川駅北口から徒歩1分。通勤や買い物の経路と照らし合わせて、通う時間帯を考えられる。
溶岩プレートを敷いたスタジオでのホットヨガのほか、常温のヨガ、ピラティスなどがあり、ヨガだけで25種類以上のレッスンがある。妊娠中は溶岩ホットヨガに参加できず、常温のマタニティヨガがある。医師から運動を止められている方は利用できない。
ヨガの体験は税込1,980円で、60分のレッスンにバスタオル2枚、フェイスタオル1枚、ヨガマットのレンタルを含む。
店の案内と料金を確認し、予定が合うときは体験の予約から、実際に運動する時間を予定表に置く。
参考文献
[1] Motor learning without physical practice: The effects of combined action observation and motor imagery practice on cup-stacking speed — Binks JA, Wilson CJ, Van Schaik P, Eaves DL., 2023, Psychology of sport and exercise. DOI: 10.1016/j.psychsport.2023.102468
[3] The effect of first-person perspective action observation training on upper extremity function and activity of daily living of chronic stroke patients — Yu JA, Park J., 2022, Brain and behavior. DOI: 10.1002/brb3.2565
[4] Decreased kinesiophobia with virtual embodiment for post-surgical knee rehabilitation: a randomized controlled trial — Donegan T, Amestoy-Alonso B, Spanlang B, Sastre S, Combalia A, Sanchez-Vives MV., 2026, Journal of orthopaedic surgery and research. DOI: 10.1186/s13018-026-06865-6
[5] Effective Connectivity Analysis and Classification of Action Observation From Different Perspectives: An fMRI Study — Ge S, He J, Lin P, Wang R, Iramina K, Leng Y, Wang H, Zheng W, Xiao C, Li Z., 2023, IEEE transactions on bio-medical engineering. DOI: 10.1109/tbme.2022.3201547
[16] The salience network is activated during self-recognition from both first-person and third-person perspectives — Asakage S, Nakano T., 2023, Human brain mapping. DOI: 10.1002/hbm.26084
[17] Enhancing motor imagery in the third-person perspective by manipulating sense of body ownership with virtual reality — Xu X, Fan X, Dong J, Zhang X, Song Z, Bai D, Pu F., 2024, The European journal of neuroscience. DOI: 10.1111/ejn.16515
この記事の情報は2026年10月時点のものです。個別の健康状態については医師にご相談ください。
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