
他人より上という言葉は、励ましと同じか
「前より動きやすくなった」と「周りよりできている」は、どちらも肯定的に聞こえる。だが、本人の動作の変化と、他者との順位は別の情報だ。男性バスケットボール選手を対象にした無作為化試験は、この違いを考える材料になる。切り返し動作の練習で、全員が実際のできばえに基づく情報を受け取り、一方の群だけが事実と異なる肯定的な比較情報も受け取った。男性選手の切り返し動作の結果を18〜39歳の女性のヨガへ直接適用するには、対象と課題の違いがある。[9]
各群14人の比較では、追加の比較情報を受けた群は対照群より、得点に対する満足度が高かった。その一方で、成功への期待は低く、課題の楽しさも低かった。楽しさの得点は2.9対3.8、満足度は4.2対2.9である。ほめられて満足することと、次も取り組みたい気持ちは、この試験では異なる方向へ動いた。[9]
これは「褒めることは悪い」という結果ではない。実際のできばえに基づく情報に、事実と異なる他者比較を加えた試験である。期待を高めるつもりの伝え方が、期待の低下と同時に現れた点が重要だ。ヨガの教室でも、隣のマットとの順位を持ち出す前に、本人が何を目標にしているかを確かめる理由になる。[9]
ストレスの下ではどうか。ダーツ初心者を、期待を高める群11人、低める群12人、対照群12人に分けた実験では、翌日に音を数えながら投げる課題と、社会的比較による脅威を伴う条件を調べた。練習を通じた改善の証拠はなく、ストレス条件では期待を高めた群がほかの両群より成績が悪かった。[14]
その実験では、音を数える同時課題では期待を低めた群が対照群より悪かった。期待が高ければどんな環境でも強い、という単純な関係ではない。複数のことを同時に行う場面と、比較される緊張のある場面とで、結果の向きが違ったのである。翌日のテストであっても、何を加えたテストかまで読む必要がある。[14]
たとえば、先生の「前よりよい」を聞いたあとに、「次はもっとできないといけない」と受け取ってしまう場面を考える。そんなときは、期待に応えようとポーズを大きくするより、先生が見ていた動作を聞き直す相談ができる。これは実験から直接得た指導法ではないが、比較や評価の圧力を無条件に上達の味方としないための応用である。[9][14]
初日の汗は、予約した人だけが持ち帰れる。
励ましだけを取り出せない研究もある
期待の研究を読むときは、一緒に何を変えたかも見たい。利き腕ではない腕で球を投げる実験では、肯定的な他者比較、自分で練習の一部を選べる条件、標的へ注意を向ける指示を組み合わせた。遅れて行った保持テストで、これらすべてを組み合わせた群は、いずれかの組み合わせだけの群よりよかった。[18]
この結果は、意欲と注意をまとめて整える考え方を支持する。ただし「褒めるだけで同じ結果になる」と読むことはできない。選べる範囲や注意の向け先も違うからだ。レッスンを振り返る場合も、励まされた言葉に加えて、何を選べたか、どこへ注意を向けていたかを思い出すと、経験を整理する視点が増える。[18]
高齢者のマス目を踏む課題の無作為化試験でも、肯定的な情報、マットの色の選択、マス目への注意を練習中に順に導入した。条件を整えた群は、練習中だけでなく24時間後の保持テストと応用のテストでも、対照群より動作時間が短かった。高齢者を対象とした結果であり、18〜39歳の女性にも同じ改善が出るかは別に検証する必要がある。ここで変えたのは期待・選択・注意を含む練習条件全体だ。[4]
一方、熟練した大学ソフトボール選手24人の試験では、球を選ぶこと、成功判定を広くすること、標的の中心へ注意を向けることを導入しても、投球精度や自分にはできるという感覚に有意な群間差は出なかった。熟練選手の結果を18〜39歳の女性の初心者へそのまま当てはめられず、経験によって結果が異なる可能性を考える材料になる。[20]
この差から初心者なら必ず効くと逆算することもできない。対象者の経験、動作、条件の組み合わせ、測定したものが異なる試験だからだ。初心者に役立つ問いは、自分が理論に当てはまる人かどうかではなく、言葉を受け取った後、狙っていた動きをどの条件で再び試せるかである。[4][18][20]
研究の言葉でいう保持は、一定の間隔を置いて残っている技能を確かめること、応用のテストは、条件を変えて動けるかを確かめることに当たる。先生と一緒ならできる、翌日にも思い出せる、違う流れでも使える。このように観察する場面を分ける考え方は、レッスン後に感想を残すときにも使える。[4][18]

よくある誤解
「褒められた回数が多いほど学べた」は、研究からは支持できない。成功を知らせる頻度を増やした視覚運動課題では、それだけで練習中の成績は改善しなかった。肯定的な情報で楽しさが増えた程度と学習量との相関はあったが、通知を増やす操作の結果とは分けて読む必要がある。[10]
「厳しく言われた方だけが技術を身につけられる」も言いすぎである。縫合試験では肯定的な声かけでも技能は改善し、批判的な声かけより緊張は低かった。この比較は、修正を伝えない練習を勧めるものではない。動作を直す情報の必要性と、相手に圧力をかけることを、同じものとして扱わないための材料だ。[1]
「よい気分で終われば、翌日もできるはず」は、気分を技能の証明として扱っている。満足と楽しさが逆方向に動いたバスケットボールの試験や、翌日のストレス条件で成績が悪化したダーツの実験がある。気分がよかった日の経験を否定する必要はないが、それを後日の技能の証明に置き換えないことが大切だ。[9][14]
ヨガでこの区別を使うなら、帰り道の感想と、次に動くときの記録を分ければよい。「声をかけてもらって安心した」と書いた後に、「足を戻す目標を思い出せたか」を別に確かめる。これは研究で検証された記録用紙ではなく、心理面と技能面を混ぜないための実用上の提案である。[1][10]
また、研究で有意な差がなかったことを「その声かけには意味がない」と翻訳するのも早い。熟練ソフトボール選手の試験が比べたのは、特定の練習条件での投球精度と自己効力感である。その結果を、初心者が質問しやすかった経験や、先生との会話の価値すべてへ広げることはできない。評価した項目を守って読む姿勢が必要だ。[20]
今日からできること
- 褒められたら、次の試みに向けて「どの動作が変わったか」を聞く。成功の頻度を50%、70%、90%に変えた実験では、肯定的な知らせの増量だけで成績は上がらなかった。回数より、成功した内容を共有するための提案である。[10]
- レッスン直後の楽しさと、後日思い出せた動きを分けて振り返る。医学生42人の試験は技能と心理面を別々に評価し、保持を1週間後に確かめている。家庭で同じ試験をする必要はなく、評価の視点を借りるのである。[1]
- 他人より上と言われて負担になったら、自分の前の動作との比較で話したいと相談する。各群14人のバスケットボール試験では、事実と異なる肯定的比較を受けた群の楽しさが低かった。相談の文言そのものを検証した研究ではない。[9]
- 次の機会に、教わった動作の目標を思い出せるか確かめる。高齢者の試験は24時間後に保持と応用を調べた。日常では日数を厳密にそろえるより、先生の声がある最中と後日の再現を別の問いにする、という読み替えだ。[4]
- 励ましだけでなく、選べたことや注意を向けた先も振り返る。球投げ実験では期待、選択、注意の組み合わせを比べている。うまくいった経験を、褒め言葉だけの手柄にせず、練習全体から見直す手がかりになる。[18]

オンザショア立川店で、動作の目標を聞き直す機会を
励ましを次の動作につなげたいなら、レッスンで確かめたいことを言葉にしておく。「何がよくなったか」を聞くという視点で、通う機会を考えたい。オンザショア立川店には、溶岩プレートを敷いたスタジオでのホットヨガのほか、常温のヨガやピラティスがある。ヨガだけで25種類以上のレッスンを扱う。
参加条件は先に確認しておきたい。妊娠中は溶岩ホットヨガに参加できず、常温のマタニティヨガがある。医師から運動を止められている場合は利用できない。レッスンの案内は店のトップで確認できる。
営業時間は8:00〜23:30、年中無休。JR立川駅北口から徒歩1分、東京都立川市曙町2-14-10 エトロワビル3Fにある。仕事や講義の予定と照らし、教わった動きをまた確かめる機会を組み立てられる。
ヨガの体験は税込1,980円。60分のレッスンに、バスタオル2枚、フェイスタオル1枚、ヨガマットのレンタルが含まれる。料金ページと体験予約で、費用と申し込み方法を確認できる。
参考文献
- Laparoscopic suturing training using positive or negative feedback: A randomized controlled trial — Sun L, Su J, Zhang Y, Guo F, Mu Y, Konge L, Lu Y, Wang Z, Bian Z., 2026, Surgical endoscopy. DOI: 10.1007/s00464-025-12285-0
- Optimizing Motor Learning in Older Adults — Khalaji Z, Nezakat Alhosseini M, Safavi Hamami S, Iwatsuki T, Wulf G., 2024, The journals of gerontology. Series B, Psychological sciences and social sciences. DOI: 10.1093/geronb/gbad120
- Optimizing performance through intrinsic motivation and attention for learning: The OPTIMAL theory of motor learning — Wulf G, Lewthwaite R., 2016, Psychonomic bulletin & review. DOI: 10.3758/s13423-015-0999-9
- Motivation Unraveled: Paradoxical Effects of Positive Feedback in Basketball Players — Benjaminse A, Nijmeijer EM, Gokeler A., 2026, Journal of strength and conditioning research. DOI: 10.1519/jsc.0000000000005568
- The affective response to positive performance feedback is associated with motor learning — Palidis DJ, Fellows LK., 2024, Experimental brain research. DOI: 10.1007/s00221-024-06931-7
- Enhanced expectancies benefit performance under distraction, but compromise it under stress: Exploring the OPTIMAL theory — Simmonds PJ, Wakefield CJ, Coyles G, Roberts JW., 2023, Human movement science. DOI: 10.1016/j.humov.2023.103085
- Triple play: Additive contributions of enhanced expectancies, autonomy support, and external attentional focus to motor learning — Wulf G, Lewthwaite R, Cardozo P, Chiviacowsky S., 2018, Quarterly journal of experimental psychology (2006). DOI: 10.1080/17470218.2016.1276204
- Skilled Throwing Performance: A Test of the OPTIMAL Theory — Sertic JVL, Avedesian JM, Navalta JW., 2021, International journal of exercise science. DOI: 10.70252/ayoy4399
この記事の情報は2026年10月時点のものです。個別の健康状態については医師にご相談ください。
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