O脚と扁平足は必ず一緒に起こる?膝の配列と土踏まずの動きを分けて読む

O脚なら土踏まずも低いはず、という見方は研究と一致するのか。膝の配列とかかとの傾き、アーチの高さ、歩く間の足の動きを分けて読む。高齢の膝関節症患者や女性競技者を調べた研究から、関連があった指標となかった指標を整理し、鏡や足跡だけで全体を決めつけない見方を考える。

ヨガマットに裸足で立つと、膝の並びと土踏まずを同時に意識することがある。膝の間は空いて見えるのに、土踏まずも低く見える。「O脚なのに扁平足なのか。それとも、この組み合わせが普通なのか」。膝の写真だけでは片づかない疑問だ。

答えの芯は、膝と足元には関連があっても、O脚だけで土踏まずの高さは決まらないことだ。膝の内側に変形性関節症がある人を調べた研究では、膝の配列とかかとの傾きには関連があった一方、アーチの高さを表す指標には有意な関連がなかった。対象は61〜91歳の患者であり、18〜39歳の女性の足の形をこの結果だけで説明することはできない。[1]

さらに、O脚の患者の歩行では、足の前の部分と後ろの部分が違う向きに動いていた。[3] 足をひとかたまりとして「内へ倒れている」と呼ぶと、この違いが消える。ここでは形の良し悪しを採点するのではなく、膝と足元のどの指標が結びつき、どこから先は別に見る必要があるのかを確かめる。

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膝の配列と足のアーチは、同じものさしではない

O脚と扁平足を一続きの言葉にすると、膝が外へ開くほど足の内側が沈む、という直線的な図を思い浮かべやすい。しかし研究で測っているのは、膝の角度、床に対するかかとの角度、足の骨の高さなど、異なる指標だ。同じ脚について測った値でも、それぞれ別の結果が出ている。[1]

この区別がよく見えるのが、膝の内側の変形性関節症患者を対象にした観察研究である。対象は61〜91歳の88人、女性が65.9%だった。膝は正面から撮影したX線画像で評価し、足は立体的な姿勢として評価している。18〜39歳の女性にそのまま当てはめるには、年齢と膝の病気の有無を分けて考える必要がある。[1]

足側の指標には、舟状骨という足の内側にある骨の高さと、その高さを足の長さで割った値が含まれていた。高さそのものと、足の大きさを考慮した高さを分けていたわけだ。どちらにも膝の配列との有意な関連は認められていない。後足部の角度という別の指標も同様である。[1]

一方で、床に対するかかとの回内角度との関連は示されている。[1] 回内は、ここでは足部の向きや傾きを表す言葉であり、土踏まずの高さという単独の数値と取り替えて読まないことが大切だ。実際に同じ研究で、一方には関連があり、もう一方にはなかった。見ている場所を省略すると、研究の答えまで変わってしまう。

既存記事「足首が硬いと扁平足にも関係する?土踏まずの形と曲がる範囲を分けて研究で読む」は、足首の動く範囲との関係を扱っている。こちらが問うのは膝の配列との対応である。足首の硬さ、土踏まずの高さ、膝の並びを同じ原因の別名として扱わず、今回は膝から足部へのつながりに焦点を置く。

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関連が出たのは、土踏まずよりかかとの角度だった

先ほどの観察研究では、年齢、性別、体格指数を調整しても、膝の配列とかかとの角度の関連が残った。膝の補正した角度が外反方向、つまりO脚とは反対側へ1度大きくなると、床に対するかかとの回内角度は平均で0.33度大きかった。95%信頼区間は0.10〜0.56度である。[1]

これは「O脚が強いほど、かかとが必ず内へ倒れる」という読み方とは違う。報告された方向をそのまま読む必要がある。また0.33度は集団のデータに当てはめた回帰係数であり、目の前の人の膝を動かしたとき、かかとが必ず同じだけ動くという実験結果ではない。[1]

この研究では外反母趾の角度にも関連があった。膝の角度が外反方向へ1度大きいことに対し、外反母趾の角度は0.40度小さい関係だった。95%信頼区間は−0.72〜−0.09度である。O脚の配列にある63膝だけで解析すると、その係数は−0.60度、95%信頼区間は−1.08〜−0.13度だった。[1]

つまり、膝と足元の関係を調べた結果が、土踏まず以外にも及んでいる。親指側の形状には関係があり、舟状骨の高さには有意な関係がない。この取り合わせこそが結果である。「足全体が悪い」「膝が足を全部決める」と大きな主語へ置き換えると、異なる指標を測った意味が失われる。[1]

有意な関連がないことも、どんな状況でも関係が皆無という証明ではない。ただし、この集団では、膝の角度からアーチの高さを一律に読み取る根拠にはならなかった。[1] 立川駅のホームで隣の人の脚を見ても、膝だけから靴の中の土踏まずまでは分からない。数値を伴う検査でも分かれた結果を、遠目の印象でひとつにまとめる理由はない。

ここで対象の範囲も忘れないようにしたい。これは高齢の膝関節症患者についての観察であり、痛みのない若い成人全体の割合を示すものではない。また膝と足を調べた時点での関連から、膝が先に変わったのか、足が先だったのかは決められない。[1] 誰を測った数字かを添えると、使える答えの大きさが見えてくる。

歩く足では、前とかかとが別の動きをする

立った足の形から、歩いている足の動きへ視点を移す。O脚で膝の内側に変形性関節症があり、高位脛骨骨切り術を受けた24人と、高齢の健康な対照者48人を比べた研究がある。これは膝付近の骨の配列を変える手術の前後に、足部を複数の部分に分けて歩行を測った研究だ。患者と高齢の対照者の比較であり、18〜39歳の女性の日常歩行への適用には、病気と手術という条件の違いがある。[3]

術前には、かかと側に対する前足部の動きで、歩行周期を通じた回内が見られた。ところが、すねに対する後足部の動きでは回外が見られていた。[3] 前足部は足の前の部分、後足部はかかと側の部分を指す。回内と回外は逆向きの回転を表すが、この結果では基準にした部分も違う。

ここが、日常の「足が内側へ倒れる」という表現と研究とのずれだ。前足部を後足部に対して測るのと、後足部をすねに対して測るのとでは、別の関係を見ている。同じ足で回内と回外が報告されても、測定の基準が違うため両立する。[3] 足全体にひとつだけ矢印を描く図では、この分担を表しきれないのである。

術後には、前足部の位置と動きは対照群に似た状態となり、足が地面についている時期の後足部の回外も減少した。身長などの影響を考慮した歩幅は有意に増え、歩行速度には増加傾向があった。著者らは、膝の配列が変わることによる足の中間部の補い方の変化を報告している。[3]

この結果は、膝と足が無関係だという見方を退ける材料になる。一方、手術後に足の動きが変わった結果を、そのまま足裏の体操やヨガの効果に置き換えることはできない。何を加えた研究かが違うからだ。ここで持ち帰れるのは、O脚の膝の下で、足の各部分が異なる動きをしていたという観察である。[3]

写真で低く見える土踏まずと、歩く間の補い方は別々の問いになる。前者だけから後者の向きまで答えようとしないことが、この研究を生活の中で使う出発点だ。靴を脱いだ立ち姿と、歩き出してからの足元を、同じ場面として説明しない。膝と足元の関係には、動作の時期と、どこを基準に測ったかという条件が加わる。[3]

同じ測定を重ねていないことにも注目したい。立位の研究は、膝の角度と足の姿勢がどう並ぶかを見ている。手術前後の研究は、膝への介入に伴って歩行がどう変わるかを見ている。両者に足元との関係があっても、「土踏まずを上げると膝が変わる」という逆方向の介入まで検証したことにはならない。[1][3] 関連を示す矢印と、操作して確かめた矢印を分けると、運動方法への過剰な期待を置かずに済む。

アーチの高さに関連がなかった結果を、かかとの角度に関連があった結果より軽く扱わないことも必要だ。[1] 検索では「関係がある」という一文のほうが目に残りやすい。しかし、自分が知りたかったものが土踏まずの高さなら、関連の出なかった指標のほうが問いに近い。結論の強さだけで選ばず、測定した項目が疑問と一致するかを先に確かめたい。

また、歩行の途中の変化を知りたいなら、術前と術後の足のどの部分に変化があったかまで読む必要がある。親指の動きは、足の前の部分を基準にすると、患者と対照群で歩行周期の大半にわたり似ていた。一方、前足部とかかとの間、かかととすねの間には違いがあった。[3] 同じ足の中でも、差があった場所と似ていた場所が共存する。この結果は、足全体を一度に正常・異常のどちらかへ分ける見方を立ち止まらせる。

数字で読む膝と足元の関係

88人:膝の配列と立体的な足部姿勢を調べた膝関節症患者が参加した。[1]

0.33度:膝の角度が外反方向へ1度大きいことに対する、かかとの回内角度の回帰係数である。[1]

24人と48人:骨切り術を受けた患者と、足の部分ごとの歩行を比べた健康な対照者の人数である。[3]

15人:O脚とX脚を模した歩行で、床から受ける力の変化を調べた。[4]

14研究:膝の内反と足首などの配列をまとめた系統的レビューの採用数である。[10]

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