スクワットは小刻みに弾むと負担が増える?反復の幅と筋肉の緊張を研究で読む

エアスクワットで小刻みに弾むと、普通に立ち上がるより効くのか。浅い反復と深い位置の反復を区別し、重さのそろえ方、筋肉ごとの活動、きつさの評価を論文から読む。筋電図の高さを筋肥大や脂肪燃焼と取り違えず、自宅で動作を比べる際に何を記録すればよいかを考える。

動画に合わせてしゃがみ、立ち上がる直前で「そのまま小さく上下」。大きく動いていた時より、短い動きのほうが気になる。エアスクワットの効果を探しているのに、画面では動きが小さいほど上級編に見える。何をもって負担が増したと呼ぶのだろうか。

答えは、小刻みという見た目だけでは決まらない。筋トレ経験のある若い男性や大学走選手が重りを使った比較では、部分的に動くほうがお尻などの筋活動が高い結果がある一方、別の比較では深くしゃがむほうが前ももと背中の活動が高かった。動く位置、筋肉、重さの条件をそろえて初めて意味のある比較になる。[4][18]

したがって「小刻みに弾めば普通のスクワットより全体に効く」とは言えない。ここでは反復の幅と、幅を置く場所を考える。膝を伸ばし切るかと血流の話は、既存記事「スロースクワットは膝を伸ばし切らない?力を抜く動作と筋肉の血流を研究で読む」に譲り、動作のどの部分を繰り返しているのかに焦点を当てる。

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小刻みな反復は、浅い場所にも深い場所にも置ける

まず、言葉を整理したい。本記事では、通常の上下動の一部だけを繰り返す動きを「小刻みな反復」と呼ぶ。ほぼ立った場所で膝を少し曲げ伸ばしする場面と、しゃがんだ場所から少しだけ上下する場面を想像すると違いが見える。どちらも上下の幅は小さいが、通る姿勢は異なる。

研究で用いられる部分的なスクワットと、動画で見る小刻みな反復も同一視しない。若い男性を対象に部分的な動作と全範囲の動作を比べた試験は、バーベルを背負うバックスクワットを扱っている。[4] 自重動作は体の重さを支えるのに対し、この比較では背負った重りも支え、各範囲で限界となる負荷を設定している。18〜39歳の女性が自重で小刻みに弾む場合の筋活動の大小は、この結果だけでは判断できない。

姿勢の場所が大切なのは、動作の途中で筋活動が変わるからである。健康な参加者の平行位までしゃがむスクワットを調べた実験では、膝がより曲がった区間で、内ももの筋群と前ももの大腿直筋の活動が高かった。[7] 小さな幅かどうかに加えて、どの区間を使うかを見る必要がある。

例えば、動画を止めて説明するとしたら「少しだけ上下する」より「しゃがんだ位置を中心に上下する」のほうが動作を伝えやすい。これは運動量の処方ではなく、観察するための言葉の工夫である。名前が同じでも姿勢が違うなら、きつさの違いをすべて小刻みな動きの効果に帰すことはできない。

「弾む」にも注意がいる。切り返しを速く行うことと、動く幅を狭めることは別の変更である。幅を比べた研究から、勢いをつけるほど有利だという結論を引き出してはいけない。[4][18] 幅、深さ、速さが一緒に変わった動画を見て、どれが負担を変えたのかを即答しない姿勢が役立つ。

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浅いほうが筋活動の高い試験では、重さをどう決めたか

部分的なスクワットに有利な結果を示したのは、筋トレ経験のある健康な若い男性15人を対象とする、順序を無作為化した比較試験である。平均年齢は26歳で、部分的なスクワットと全範囲のスクワットを行い、皮膚の上から筋肉の電気活動を記録する表面筋電図で調べた。[4] 男性の高負荷動作の結果であり、18〜39歳の女性の自重動作への適用には、性別と負荷条件の違いがある。

重要なのは、それぞれの動作で10回が限界となる重さを使った点だ。これを10回反復最大負荷、略して10RMと呼ぶ。動作の違いにかかわらず同じ重りを持たせたのではなく、それぞれの動作に対する相対的な負荷をそろえている。[4] 「同じ重さで浅くするだけ」という自宅での変更とは条件が違う。

この条件では、部分的なスクワットで大殿筋、太もも裏の大腿二頭筋、ふくらはぎのヒラメ筋の活動が高かった。差の検定では、それぞれp値が0.004、0.009、0.031だった。[4] p値は活動が何倍になったかを表す倍率ではない。この数字を使って、小刻みな反復の効果が大幅に増えたと説明することはできない。

ここで読めるのは、相対的な重さをそろえた時に、動く範囲によって筋肉の活動の配分が変わったという結果である。[4] お尻に関する結果を、前ももにも背中にも同じように広げない。スクワット全体に「強い」「弱い」という札を貼るより、どの筋肉を測ったかまで読むほうが実用的だ。

きつさについても面白いずれがある。主観的運動強度は部分的な動作が8±1、全範囲が9±1で、有意差はなかった。[4] 一部の筋肉の電気活動に差が出ても、全体として感じたきつさには明確な差が出ないことがある。筋肉の測定器と本人の感想は、同じ質問への別表現ではない。

夕方の立川駅から帰宅し、重りを持たずに動く場面に戻してみよう。この試験から得るべきヒントは、限界まで重くすることではない。「どちらが効くか」と尋ねる時に、重さを何に対してそろえた比較かを確かめることだ。条件を消して結果だけ持ち帰ると、研究とは別の運動を勧めることになる。

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深いほうが活動の高い筋肉もあり、結果は一枚岩ではない

別の無作為化クロスオーバー試験では、大学のクロスカントリー走選手20人が、部分的なスクワットと平行位までのスクワットを行った。男性10人、女性10人が参加し、各条件の10RM負荷を用いて6回動作した。[18] 同じ人が両条件を経験する比較である。競技者の結果を18〜39歳の一般女性へそのまま当てはめるには、運動経験と負荷の違いを考える必要がある。

平行位までしゃがむ条件では、大腿直筋の活動が0.18±0.01mV、部分的な条件では0.14±0.01mVだった。背中の脊柱起立筋も、平行位で0.16±0.01mV、部分的な条件で0.13±0.01mVとなり、深い条件の活動が有意に高かった。[18] 前の試験とは、着目する筋肉も参加者も違う。

しかも、平行位のほうが持ち上げる重さは軽かった。[18] 重りが軽いから筋肉の活動も一律に低い、とはならない例である。見た目の重さと動作範囲の双方を読まなければ、どちらが楽な運動かという判断も早過ぎる。運動の難しさは、持っている重りの札だけでは読めない。

一方、この研究の筋電図結果からは、走選手で確認された太もも裏と前ももの筋力の比の不足が、平行位のスクワットによって改善するとは考えにくいとされた。[18] 前ももの活動が高い結果を、太もも裏も十分に鍛えられる保証にはしない。測った筋肉の名前は、結論の適用範囲そのものである。

部分的な動作が有利だった試験と、平行位が有利だった試験を並べても、着目する筋肉の違いが見えてくる。前者は大殿筋など、後者は大腿直筋などの差を示した。[4][18] 「浅いか深いか」の勝負にするより、対象と負荷条件と筋肉をそろえた問いへ戻す必要がある。小刻みな動作を選ぶ時も、この区別を残したい。

しゃがんだ位置の緊張は、動作の平均とは違う

動作の途中を区切った研究は、下のほうだけを繰り返す動きを考える材料になる。健康な10人が、股関節を正面に向ける条件と、外に回した条件で平行位までのスクワットを行った実験では、膝の曲がりを0〜30°、30〜60°、60〜90°に分けて分析している。[7] 健康な参加者の結果を18〜39歳の女性の小刻みな反復へ直接移すには、対象と動作条件の一致を確かめる必要がある。

内ももの筋群と大腿直筋は、ともに60〜90°の区間で、より浅い区間より活動が高かった。これは立ち上がる局面と下ろす局面の双方でみられた。[7] 同じように小さく動いていても、立った姿勢の近くとしゃがんだ姿勢の近くでは、使っている区間が異なるという読みにつながる。

足先の向きに関連する結果も、筋肉ごとに違う。股関節を30°または50°外に回した条件では、深い区間の内ももの活動が正面向きより高かったが、大腿直筋には股関節の向きによる有意な差がなかった。[7] 内ももに出た結果を使い、足を開けば前ももの負担も必ず増すと説明するのは飛躍である。

ここに並ぶ角度は研究で動作を区分した数字であり、誰もがそこまで曲げるべきという到達目標ではない。日常の練習では、動画の人と膝の角度を一致させる競争にしない。自分がどの位置を行き来しているかを表す目安として読むほうが、研究の比較条件を理解しやすい。

数字で読むスクワットの反復範囲

15人:部分的な動作と全範囲を、それぞれの10RMで比べた男性の試験。[4]

8±1と9±1:同試験の主観的運動強度。条件間に有意差はなかった。[4]

20人:部分的な動作と平行位を比べた大学走選手。男女が参加した。[18]

0.18と0.14mV:平行位と部分的な動作における大腿直筋活動の平均値。[18]

60〜90°:内ももと大腿直筋の活動が浅い区間より高かった膝の曲がりの区分。[7]

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