汗をかくと尿意が減るのはなぜ?腎臓が水分を残す働きと脱水を分けて読む

汗をかいた日はトイレに行きたくならない。その変化を、腎臓が水分を残す働き、飲んだ後に出る尿の量、運動後の回復から読み解く。尿意と尿量を同じものにせず、少ない尿だけで安心しないための考え方を研究で確かめる。飲み物の比較試験や発汗の個人差を手がかりに、自分に合う補給を考える記事である。

運動を終えて濡れたシャツを着替える。ボトルの水は減っているのに、トイレに行きたい感じはしない。飲んだ水はどこへ行ったのだろう。運動に伴う体内の水分の変化は、飲んだ量だけでなく尿として出る量にも関係する。身体活動と血液量を扱うレビューでは、腎臓でナトリウムを取り戻す働きの変化が、尿量の調節に関わると説明されている。[5]

飲んだ水の一部は体内に保持される。ただし「尿が少ないから水分は足りている」とは判断できない。運動時の補水指針は、尿を少なくすることではなく、水分と電解質の不足を防ぎ、運動後にはその不足を補うことを目標にしている。[4]

また、トイレに行きたい感覚と、実際に排出した尿の量は別の問いである。ここで取り上げる飲み物の比較試験は尿量や血液中の水分の変化を測っている。[1][3] 「汗をかけば尿意が消える」という約束には置き換えず、体に入った水がどれだけ残り、どれだけ出るかを考えていく。

ヨガとからだの記事のイメージ写真 立川駅徒歩1分年中無休の溶岩ホットヨガスタジオ

汗の出口と、腎臓で水を残す働きを分ける

汗と尿を同じ出口のように考えると、「汗が出た分だけ、尿の分がなくなる」という説明になりやすい。しかし、身体活動に伴う血液量の変化を整理したレビューが扱うのは、飲水、尿量、尿中に排出される物質を含む水分の収支である。腎臓の尿細管でナトリウムを再吸収する働きが変わり、尿量の変化につながるという見方である。[5]

尿細管とは、腎臓の中で尿になる液から必要な成分を取り戻す部分を指す。ここでいう再吸収は、いったん出かかったものを体内側へ戻す働きだ。レビューでは、このナトリウムの再吸収の調節を、活動量に伴う血液量の増減と結びつけている。水分管理を「飲む」と「出す」の引き算だけで眺めず、体内に残す側の調節にも目を向ける理由がここにある。[5]

同じレビューによれば、活動習慣を変えた初期の1〜2週間では、循環する血液量の変化の大部分を血漿量の増減が説明する。血漿は血液の液体部分であり、その増加は発汗による放熱や循環の安定に有利に働くと整理されている。[5] これは習慣の変化を扱った説明であり、その日の汗の直後に、同じ変化がそのまま起こるという意味ではない。

「腎臓が水を残す」という表現にも、この時間の区別が必要である。運動中の出来事、飲み物を飲んでからの回復、日々の活動習慣の変化は、同じ水分の話でも観察している場面が異なる。[1][4][5] 朝の通勤で汗をかいた経験に、長期間の活動習慣の結果を丸ごと当てはめると、説明が大きくなりすぎる。

既存記事「汗と尿は同じ成分だから同じ働き?運動で出る尿素の濃さと量を読み解く」には、成分の比較を譲る。ここでの問いは、汗と尿が似ているかではなく、汗をかく前後で水分の収支をどう読むかである。尿が減ったという結果だけでは、十分に補えたのか、不足を抱えた状態なのかまでは決められない。[4]

初日の汗は、予約した人だけが持ち帰れる。

体験レッスンを予約体験専用 03-6665-0898LINE

隣の人と同じ汗でも、同じ補給量にはならない

汗で失う水分量は、人によって大きく異なる。競技者506人のデータをまとめた後ろ向き解析では、全身の発汗速度の平均は毎時1.21 L、標準偏差は0.68 Lで、範囲は毎時0.26〜5.73 Lだった。成人と若年者、男女、複数の競技や環境を含む測定である。[9] 18〜39歳の女性の日常の運動に、この競技者集団の平均をそのまま飲水目標として当てはめることはできない。

幅の広さは、全員が同じ汗をかくという想定が合わないことを示す。測定対象には涼しい条件から暑い条件までが含まれ、練習や競技の場面も異なっていた。[9] タオルが同じくらい濡れている隣の人と、自分の体から失われた量が同じだと決める材料にはならない。床の水滴は、補給量を書いた処方箋ではない。

この研究で発汗速度を求める際には、運動前後の体重変化に、飲食した量と尿として出た量の補正を加えている。[9] 体重計の数字だけで完結しない点が大切だ。途中で水を飲んだ日と飲まなかった日、途中で排尿した日としなかった日を、同じ条件として比べるわけにはいかない。

運動時の補水指針も、発汗量と汗に含まれる電解質には大きな個人差があるため、補給を個別に組み立てることを勧めている。運動前後の体重を測ることは、自分の発汗量を見積もる手がかりに挙げられている。[4] 体重を小さくする競争ではなく、出入りした水分を考えるための測定である。

ここで「今日はトイレが少なかった」を加えるなら、記録の一部として扱うのがよい。暑かったか、どの程度動いたか、途中で飲んだかという状況と一緒に置く。研究で用いられた収支の見方に沿えば、尿だけを切り出して判定するより、飲水と発汗を含む流れとして見る方が筋が通る。[4][9] 隣の人のボトルの減り方は、自分の腎臓の成績表ではない。

飲んだ後に尿が減る試験は、何を測っているか

健康な若い男性10人を対象にした無作為化クロスオーバー試験では、同じ参加者が異なる飲み物の条件を経験した。加温しながらの自転車運動で体重が2%減る状態をつくり、その後の運動と回復の過程で、水、糖質2%の飲料、糖質6.5%と電解質を含む飲料を比較している。[1] 暑熱下の運動からの回復を調べた男性の実験であり、18〜39歳の女性の日常の飲水へそのまま当てはめることはできない。

糖質6.5%と電解質を含む条件では、ほかの条件より回復後半の血漿量の回復が大きかった。一方、尿量が少なくなる傾向の統計値はP=0.069であり、明確な差がついた結果としては扱えない。胸部の発汗速度、皮膚の血流、直腸温や平均皮膚温には、条件間の有意差がなかった。[1]

この結果は「よく汗をかいた飲み物ほど、水分が残る」という筋書きではない。血漿量の回復に差があっても、測定された放熱の反応には差がなかったのである。[1] 汗の出具合だけで、飲み物の役割を採点することはできない。血漿量、尿量、放熱反応という測定項目ごとに結果を読む必要がある。

別の無作為化クロスオーバー試験では、健康な男性49人が冷房環境で日常活動を行い、水と等張飲料を比較した。8時間の尿量は、等張飲料で1862 mL、水で2104 mLであり、体内に保持された水分の割合はそれぞれ17%と7%だった。[3] 男性だけを対象にした屋内試験なので、18〜39歳の女性に同じ保持率をそのまま当てはめることはできない。

この試験では大量の発汗を伴わない屋内でも、飲み物の条件で尿量と水分保持に差が見られた。[3] つまり「汗をかいていないのに尿量が違う」という結果もある。汗の量と尿量が、いつも同じ比率で入れ替わるわけではないと考える手がかりになる。ただし、長時間の屋内試験の結果を、短い運動の直後へそのまま移すことも避けたい。

試験を読むときは、飲んだ水の量だけでなく、どんな状態で始め、いつまで尿を集め、何を回復の指標にしたかをそろえて見る必要がある。[1][3] 血液側の水分が回復したという結果と、トイレに行きたい感覚が弱まったという経験は、同じ測定結果ではない。研究から受け取る答えの範囲を、質問に合わせて狭めることも大切だ。

冷房環境の試験では、尿量だけでなく血液量の変化にも違いがあった。血液量の低下は等張飲料で1.18%、水で2.11%であり、水を排出する腎臓の働きの指標にも差が見られた。[3] ただ排尿を減らしたという結果より、血液側と尿側を合わせて水分保持を調べた結果として読むと、試験の狙いが分かりやすい。

暑熱運動後の試験も、回復の最初の30分で、体重減少分に相当する量を飲み、その後の2時間を観察したものだった。[1] ボトルを口にした直後の感覚で比べたのではない。実験で「回復した」と呼ぶときには、何をどの時点で測ったのかがついている。帰り道でまだ尿が出ないことを、この回復結果と同じ意味に扱うことはできない。

発汗の個人差にも成分の違いがある。競技者の解析では、前腕で測った汗のナトリウム濃度と、そこから推定した全身の濃度を区別している。[9] 汗の量が多いという印象だけでは、含まれる成分まで決まらない。補水指針が水分量と電解質の個人差を並べて扱うのは、この両方を見ているからである。[4]

数字で読む汗と尿の水分収支

506人:競技者の発汗データをまとめた後ろ向き解析の対象人数。一般のスタジオ利用者だけを測った値ではない。[9]

毎時0.26〜5.73 L:同解析での全身発汗速度の範囲。平均だけを自分の目標量にしないための幅である。[9]

10人:暑熱下の運動後に飲み物を比較した試験の対象。全員が若い健康な男性だった。[1]

P=0.069:同試験の尿量の減少傾向。血漿量の回復と、尿量の明確な減少は区別して読む。[1]

1862 mLと2104 mL:冷房環境で男性49人を調べた試験の8時間尿量。等張飲料と水の比較である。[3]

初日の汗は、予約した人だけが持ち帰れる。

体験レッスンを予約体験専用 03-6665-0898LINE

💬 ご質問がある場合はこちらからどうぞ

オンザショアのチャットで質問する(24時間受付)

レッスン内容・料金・体験のご予約など、気になることをお気軽にお尋ねください。

1

2

Warning: Attempt to read property "show_author" on false in /home/c1531448/public_html/ontheshore.jp/wp-content/themes/heal_tcd077/single.php on line 165

関連記事

ご体験予約