
腰の負荷は、筋肉の電気信号だけで決められない
腰の負担を考える際には、回転速度とは別に、何を実際に測った研究かを見る必要がある。大学野球の男子選手18人を対象にした研究では、腰椎の椎間板変性がある7人と、ない11人のティー打撃を比較した。椎間板は背骨の骨と骨の間にある組織であり、この研究は変性の有無による打撃動作の違いを調べている。男子競技者と椎間板変性を扱う結果なので、18〜39歳の女性の運動時の安全性へ直接当てはめることはできない。[10]
測ったのは肩や骨盤、股関節の回転角度、角速度、最大角速度に達するまでの時間、そして背中や腹部などの筋活動だった。筋活動は筋肉の電気的な活動を記録したものである。変性の有無により、肩と骨盤の回転角度、最大角速度に達する時間、筋活動などに有意な違いが認められた。[10]
さらに、この打撃研究では腹部だけでなく、広背筋、脊柱起立筋、多裂筋、中殿筋などの活動も調べていた。ひねりという名前の動作であっても、研究では腹筋だけを取り出して評価していない。肩と骨盤の回転が最大速度に達する時点の違いも検討しており、体の各部の働きと時間の関係を合わせて観察している。脇腹の実感だけを手がかりに動作全体を説明すると、こうした測定の視野が失われる。[10]
この結果から言えるのは、画像上の変性の有無とともに、動作や筋活動にも群間差が観察されたということだ。打撃の速さが変性を起こしたと結論する研究ではない。変性がある人を含む比較から、今夜のツイストプランクの安全な速さを計算することもできない。対象と課題を保ったまま読むことが必要になる。[10]
また、筋活動に差があることと、椎間板にかかる力が同じ割合で変わることは別の主張である。研究が記録した電気的活動、動作の角度、時間という項目を、すべて「腰の負荷」に言い換えてしまうと、どこまでが観察結果か分からなくなる。筋肉が働いた証拠を、関節や組織への力の直接測定として扱わないことが、この研究を読む際の境界だ。[10]
腰に不安がある読者にとっては、この区別は回り道ではない。「筋肉が働くなら腰にもよい」「負荷が大きければ効果も大きい」といった飛躍を避けるために役立つ。痛みがある状況を、回数や速さの工夫だけで解決しようとしない。個別の健康状態や運動の可否は医師に相談し、記事の一般的な説明を診断の代わりに使わないでほしい。
初日の汗は、予約した人だけが持ち帰れる。
速さと正確さは別々に評価する
競技者の大きな回転から離れ、手を目標へ伸ばす課題にも目を向けたい。健康な若年成人12人を対象とした比較研究では、利き手と非利き手を用い、自分で選んだ速さと速い動作で目標に到達する課題を行った。目標は正面、動かす手と同じ側、反対側に置かれ、動作の経路や成功率などを測っている。若年成人の到達動作という対象・課題であり、18〜39歳の女性のプランクでも同じ変化が起こるかは別の検証を要する。[19]
利き手や速い動作では、手の経路がより直線的で、体幹の回転も少ないなど、効率のよい動きが観察された。一方、利き手を速く動かす条件では成功率が低下した。見た目の無駄が減ることと、目標へ正確に届くことが同時には良くならなかった。[19]
速い動作では、速度が最大になる時点が動作の後半へ寄り、結果を確かめながら調整する時間に相当する局面が短くなっていた。これは手を伸ばす課題の結果であり、プランクの体幹制御を直接測った結果ではない。それでも「速くできるから上手にできている」と判断する前に、達成したい条件を別に確かめる理由になる。[19]
たとえば、動画の動きをまねる際に、左右の端まで同じように動けたかを見たいのか、画面のテンポに追い付くことを見たいのか。両方を同じ成功と呼ばずにおく。手の到達課題でも、経路の効率と成功率は別々に評価されていた。自分の練習でも、速さの記録と動作の観察を分ける発想として参考にできる。[19]
到達課題では、反対側の目標へ手を伸ばす時は体幹に近い部分の動きが多く、同じ側の目標では末端に近い部分の動きが多いという違いもあった。速さの影響を考える時に、目標の位置をそろえる意味がここにある。ツイストプランクで比較の記録をつける場合も、今日は床のどこへ向かって動いたのかが曖昧なままでは、速さ以外の変更まで一緒に評価してしまう。これは効果を高める処方ではなく、条件の混同を減らすための記録上の工夫だ。[19]
支持する条件も見落とせない。車いすテニス選手15人と、車いすを使用しないテニス選手15人を対象とした研究では、バックハンド時の体幹と肩の動きを比較した。車いす選手は立位の選手より体幹の前方回転が大きく、体幹の角速度や角加速度なども高かった。また、車いすを使用しない選手でも、立位から座位に変えると体幹や肩の動きに変化が生じた。競技者のバックハンドという課題であり、18〜39歳の女性の床上支持へ同じ結果を見込む根拠にはならない。[16]
著者らは、下肢や体幹の機能を十分に使えない条件で、動作を成立させるための対応が現れると考察している。ここから座位や車いすを「悪い姿勢」と判断してはならない。課題に応じた動作の違いを記録した研究である。床で支持する練習でも、体を支える条件を変えた比較と、速さだけを変えた比較を混ぜない視点が得られる。[16]

よくある誤解
「速く回せば、腹筋がより強くなる」は、動作速度と筋力の変化をつないだ主張である。だが、プロ投手の群間比較で測ったのはその時点の動作と球速であり、ゴルファー研究では回旋筋力とクラブヘッド速度に相関がなかった。これらを速いツイストプランクによる筋力向上の証明には使えない。研究の結果は、測った指標の名前のまま受け取る必要がある。[14][18]
「体幹を抑えて動けば、関節の負担は必ず小さい」も単純化である。投球研究では、骨盤が最大速度になる時点の相対的な体幹回転速度が小さいほど、球速だけでなく肘・肩のトルクも大きい傾向があった。何を抑えたのか、どの関節を評価したのかを省くと、研究とは別の話になる。これは腰の負荷の測定結果ではない。[9]
「腰が左右に大きく動けば、体幹全体を同じように使えている」とも限らない。投球では軸脚、骨盤、上部体幹を分けることで角度差と球速との関係が見えていた。座位と立位のテニスでも、支持条件によって体幹や肩の動きが異なった。大きく動いた部分だけを見て、全身の使い方を採点しないことが大切だ。[11][16]
今日からできること
- ツイストプランクの効果を説明する記事では、まず研究で行った動作を確認する。149人の比較[18]はプロ投手の投球であり、プランクの推奨速度を決める材料からは外す。
- 動画で胸と骨盤を見る際は、何を観察したかを言葉にする。投手18人の研究[11]が測った角度差を、自分のフォームの合格基準に置き換えず、観察と評価を区別する。
- テンポに追い付けたことと、狙った動きを繰り返せたことを別々に振り返る。若年成人12人の研究[19]は到達課題の結果なので、プランクへの効果の説明には使わず、記録項目を考える際の比較例とする。
- 足の接地や支持姿勢を変えた日は、その変更も記録する。各15人のテニス研究[16]は支持条件の異なる比較である。自分の記録でも、姿勢と速さを一緒に変えた日の違いを速さだけの成果と扱わない。
- 脇腹の疲れは、その日の感覚として残す。男女各14人のゴルファーの研究[14]が比較したのは筋力と競技速度である。疲れの感覚から継続後の筋力向上までを一続きの結果として判断するのは避けたい。

オンザショア立川店で、動きを確かめる時間を持つ
速さの更新よりも、自分の動きを振り返る時間を予定に置きたい。オンザショア立川店は、JR立川駅北口から徒歩1分の溶岩ホットヨガスタジオである。営業時間は全曜日8:00〜23:30、年中無休。仕事や外出の前後に、通う時間帯を生活の中で考えられる。
所在地は東京都立川市曙町2-14-10 エトロワビル3F。溶岩プレートを敷いたスタジオでのホットヨガに加え、常温のヨガやピラティス、パーソナルトレーニングもある。ヨガのレッスンは25種類以上である。この記事で扱った競技者の研究を、当店のレッスンの効果へ置き換えることはしない。運動の時間を継続して持つ場所として検討してほしい。
妊娠中の方には常温のマタニティヨガがあり、溶岩ホットヨガには参加できない。医師から運動を止められている方は利用できない。参加条件や予定は店の案内で確認したい。
ヨガの体験は税込1,980円。60分のレッスンにバスタオル2枚、フェイスタオル1枚、ヨガマットのレンタルを含む。料金を確かめ、動きを見直す時間を生活に置けそうなら体験の予約で日程を選べる。
参考文献
[9] The effects of relative trunk rotation velocity on ball speed and elbow and shoulder joint torques during baseball pitching — Tanaka Y, Ishida T, Ino T, Suzumori Y, Samukawa M, Kasahara S, Tohyama H., 2024, Sports biomechanics. DOI: 10.1080/14763141.2022.2129431
[10] Analysis of trunk rotation during baseball batting with lumbar disc degeneration — Taguchi N, Izumi S, Miyakawa S., 2023, Fukushima journal of medical science. DOI: 10.5387/fms.2022-14
[11] The association among ball speed and the rotation of pivot leg, pelvis, and trunk separation in collegiate baseball pitchers — Wada N, Otsuka M, Yamaguchi Y, Tsuji T, Kojo T, Kono T, Nishiyama T., 2025, Heliyon. DOI: 10.1016/j.heliyon.2025.e42314
[14] Relationship of Clubhead Speed With Explosive Power and Muscle Strength of the Hip and Trunk Joints of Elite Golfers — Suhara H, Nariai M, Takagi T, Akiyama K, Nagashima J, Shiraki H., 2023, Journal of strength and conditioning research. DOI: 10.1519/jsc.0000000000004345
[16] Sensors for Wheelchair Tennis: Measuring Trunk and Shoulder Biomechanics and Upper Extremity Vibration during Backhand Stroke — Ju YY, Chu WT, Shieh WY, Cheng HK., 2021, Sensors (Basel, Switzerland). DOI: 10.3390/s21196576
[18] Differences in Rotational Kinetics and Kinematics for Professional Baseball Pitchers With Higher Versus Lower Pitch Velocities — Luera MJ, Dowling B, Muddle TWD, Jenkins NDM., 2020, Journal of applied biomechanics. DOI: 10.1123/jab.2019-0235
[19] Comparison of dominant hand to non-dominant hand in conduction of reaching task from 3D kinematic data: Trade-off between successful rate and movement efficiency — Xiao X, Hu HJ, Li LF, Li L., 2019, Mathematical biosciences and engineering : MBE. DOI: 10.3934/mbe.2019077
この記事の情報は2026年10月時点のものです。個別の健康状態については医師にご相談ください。
ヨガとからだの小さな疑問のほかの記事
- 海老反りストレッチの効果は筋電図で分かる?割合の意味と測る場所から読む
- 膝抱えストレッチは吐く時に引き寄せる?呼吸で変わる腰と股関節の動きを読む
- もも裏ストレッチは先に強く力を入れる?全力と軽い収縮の効果を研究で読む
- 前ももストレッチは壁につかまると違う?姿勢を支える力と伸びる感覚を読む
- おしりのストレッチは椅子でもできる?寝て行う姿勢と体重のかかり方を読む
- 開脚ストレッチはお尻の下に台を置く?骨盤を起こす支えと内ももの伸びを読む
- 首のストレッチ前に手で押し合う?僧帽筋の伸びと力の強さを分けて研究で読む
- ランジストレッチは後ろ膝の位置で違う?股関節の伸びと腰の反りを分けて読む
- ランニング前のストレッチは左右同じに行う?脚の柔軟性と走る対称性を読む
- 運動後のストレッチで力加減は戻る?筋力回復とは別に読む力を感じる働き
- 寝る前のストレッチは効くと思うほど眠れる?期待と睡眠の評価を研究で読む
- 風呂上がりのストレッチは何分後まで?筋肉が冷める時計を決められない理由
- ハイプランクは肘を少し緩めると違う?伸ばし切る姿勢と腕の筋活動を読む
- 背面プランクはかかとだけで支える?足の接地と太もも裏の筋活動を研究で読む
- 膝つきプランクは膝を近づけると楽になる?支える長さと腹筋の働きを読む
- サイドプランクは左右で息の入り方も違う?胸の感覚と腹筋の効果を分けて読む
- ウォーキングマシンは同じ時速なら同じ速さ?表示の精度をどこまで研究で判断できるか
- その場足踏みは手と足が同じ側に出てもよい?腕の形と協調の評価を分けて読む
- 朝食前のウォーキングは肝臓の糖も使う?筋肉の燃料と血糖の維持を分けて読む
- 食後のウォーキングは脂質が多い食事でも同じ?血糖の山と歩く時刻を読む
- 夜のウォーキングは帰宅後に足が温まる?皮膚の血流と眠る準備を分けて読む
- 早朝ウォーキングは夜型の人ほどつらい?体内時刻と目覚めの変化を研究で読む
- 縄跳びの消費カロリーは跳び終わって測れる?酸素不足と回復の数字を読む
- ランニングとウォーキングの効果は腱で違う?筋肉の仕事と弾む力を研究で読む
- 生理中の運動がきつい日は速さを選ぶ?固定された強度との違いを研究で読む
- 生理前の運動は呼吸も増えやすい?肺活量と息を出し入れする量を分けて読む
- 生理中の運動は汗が少ないと楽になる?皮膚の濡れときつさを分けて研究で読む
- 生理前の筋トレは関節の位置感覚も変わる?力と動作の再現性を分けて読む
- 生理前に眠い日の運動は注意力を変える?目覚めた感覚と課題の成績を分けて読む
初日の汗は、予約した人だけが持ち帰れる。
2





