有酸素運動のスクワットは浅く速く動く?負荷条件と酸素消費の測り方を読む

有酸素運動としてスクワットをするとき、浅く速く動けばよいのか。反復速度を上げた研究、ゆっくり下ろした研究、深さを変えた試験を読み分ける。全身の酸素消費と筋肉内の酸素反応の違い、回数だけでは決まらない負担、筋力や日常動作の変化との距離から、自分の動きの記録方法を考える。

同じ動画に合わせてしゃがんだのに、昨日より早く脚が疲れた。途中からお尻の位置が高くなったが、画面の回数には追いついた。「これでも有酸素運動になっているのか」と、終わってから検索する。回数を守るために動きが変わる場面は、スクワットの負担を考える入り口になる。

答えの芯は、速さだけでも深さだけでも決められない、である。反復頻度を上げると酸素消費が増えた比較実験はある。一方、下ろす動作を遅くした試験でも筋肉の酸素に関する反応は大きくなった。ただし、前者が測った全身の酸素消費と、後者が測った筋肉内の変化は同じものではない。[1][7]

したがって「浅く速く動けば最も有酸素運動になる」「遅いほど酸素を多く使う」と単純に順位をつけるのは早い。深さの研究では、酸素消費よりも筋力や日常動作の変化が調べられている。ここでは、今その場の負担と、続けたあとの変化を分けて読む。[1][7][14][15]

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反復を速めると酸素消費はどう動くか

男性11人、女性13人の計24人が参加した比較実験では、立った姿勢でのスクワットと、遠心機で仰向けになって行うスクワットを比べている。連続して動く時間は9分で、反復頻度は毎分10回、12回、15回へと増やされた。研究では、反復頻度が高くなるにつれて酸素消費も増えた。立位でもそりに体を預け、遠心機では仰向けになる装置上の比較である。18〜39歳の女性の家庭でのスクワットに、同じ反応の大きさをそのまま当てはめることはできない。[1]

ここでいう反復頻度は、一定の時間内にしゃがんで立つ動作を何回繰り返すか、という速さである。日常の「速いスクワット」という言い方よりも条件が明確だ。下ろす局面だけ速いのか、立つ局面だけ速いのか、途中で止まる時間が短いのかを、ひとまとめにしないための言葉でもある。[1][7]

地上で立って行う条件の、体重当たりの酸素摂取量の増分は平均7.1±2.0 mL/分/kg、遠心機では6.1±1.6 mL/分/kgであった。この数値は平均と標準偏差で示された増分であり、立位と遠心機という姿勢・重力条件の比較値だ。毎分10・12・15回の頻度別の値として並べる数字ではない。研究者は、仰向けでは体幹の筋肉への負担が軽くなることが、遠心機の値が低い理由になりうると考察している。[1]

自宅の運動に遠心機は登場しない。ここで役立つのは、同じスクワットという名前でも姿勢や体の支え方が違えば、酸素消費が変わりうるという視点だ。実験は宇宙での運動対策を念頭に置いた特殊な比較であり、家庭で行う運動の標準回数を決めた試験ではない。[1]

また、頻度を上げた結果を、そのまま「浅くするほどよい」に置き換えることはできない。この実験の主な比較は重力条件と反復頻度である。深さを変えたときの長期的な筋力の研究とは問いが異なる。速さの結果から深さの優劣まで決めると、途中で別の問いに乗り換えてしまう。[1][14]

動画の拍子に遅れないことを優先すると、昨日とは違う高さで折り返しているかもしれない。そんな日は、回数の記録に「浅くなった」と添える方が、数字だけを更新するより比較しやすい。これは特定の回数を勧める処方ではなく、研究が条件をそろえて比較していることを生活の記録に移す工夫だ。[1][14]

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ゆっくり下ろす負担は全身の酸素消費と同じではない

健康な男性12人を対象とする無作為化クロスオーバー試験では、同じ人が異なる条件のスクワットを経験した。比較したのは、素早く下ろす条件、自分で選ぶ速さ、4秒かけて下ろす条件である。いずれも相対負荷を設定したパラレルスクワットで、立ち上がりの初期平均速度を0.70 m/秒にそろえた。自重だけの連続運動へ数字を移す前に、負荷を管理した試験だと押さえたい。18〜39歳の女性にも同じ反応が出るかは、この男性の比較からは判断できない。[7]

この試験は、単に同じ回数を終えたところで止めていない。立ち上がる速度が開始時から20%落ちるまで続ける設定を用い、5セット実施し、セット間は300秒休んだ。速度の低下をそろえるという管理の下で、下ろす速さを変えている。家庭で音楽に合わせて連続する運動とは、休み方も終了の決め方も異なる。[7]

4秒かけて下ろす条件では、素早い条件より血中乳酸の増加が大きく、平均値はそれぞれ3.82、2.89 mmol/Lだった。この値は血中乳酸の増加であり、全身の酸素摂取量のテンポ別測定値として扱ってはいけない。筋肉に張力がかかる時間も長くなり、筋組織の酸素飽和に関する指標や、酸素と結びついたヘモグロビンなどの変化も大きかった。筋肉内の酸素の状態を、近赤外線を使う方法で追った結果である。[7]

重要なのは、ここで測る場所だ。反復頻度の実験は酸素摂取量を測り、遅く下ろす実験は筋肉内の酸素に関する指標を測っている。どちらにも「酸素」が出てくるが、一方の増加率をもう一方へ移して計算することはできない。全身の酸素消費が同じだけ増えた、と読み替えるのも適切ではない。[1][7]

太ももが強く働いた感覚があれば、つい消費カロリーの大きさまで想像したくなる。しかし、このテンポ試験の結果が直接支えるのは、決められた速度低下条件の下で、遅い下降が代謝や筋肉内の酸素反応を変えたことだ。そこから体脂肪の減少量や、全身の持久力が伸びる幅までは決められない。[7]

速く動く実験と遅く動く実験は、反対の答えを出したように見える。実際には、動作のどこを変え、何を測り、どこで止めたかが違う。どちらかを取り消す必要はない。「速さ」という日常語の中に、反復の頻度と、下ろす局面の時間という別の設定が入っているのである。[1][7]

仕事帰りに脚が重く感じたとき、いつもの運動を遅くすれば必ず軽くなる、とも考えない方がよい。少なくともこの条件では、下ろす時間を長くすると局所の反応は大きくなった。ゆっくりという言葉には穏やかな響きがあるが、実験の筋肉はその響きに合わせて働いてはいない。[7]

深さを比べるなら何の変化を見たいかを決める

深くしゃがむ方が酸素を多く使うのか。この問いと、深くしゃがむ練習の方が筋力を伸ばすのかは別である。筋力トレーニング経験のある男性53人を対象にした無作為化比較試験では、フル、パラレル、ハーフの各スクワットと、トレーニングを休止する条件を比較した。期間は10週間である。18〜39歳の女性、とくに重りを持つ練習に慣れていない人への適用は、この訓練経験のある男性とは分けて考える必要がある。[14]

運動群は、最大挙上重量の60〜80%という相対的な負荷をそろえ、主に深さを変えて練習した。自重だけの運動の比較ではなく、外から重さを加えた筋力トレーニングである。最大挙上重量とは、その動作で持ち上げられる最大の重さを表す指標だ。各深さにおける動く範囲や背骨の曲がり方は、事前に確認し、その後の練習と測定でも再現するようにしていた。深さの名称だけを渡して各自に任せた比較ではない。[14]

フルスクワット群は、調べたすべての深さで最大筋力と平均推進速度が増え、効果量は0.77〜2.36だった。ジャンプなどの機能的な成績でも最もよい結果を示した。対してハーフスクワット群では、筋力や機能的成績に増加が認められず、痛みやこわばり、身体機能上の支障の増加が報告された。[14]

ただし、これを「浅いスクワットは誰でも危険」と読むのは対象を広げすぎる。訓練された男性が、重りを用いて継続した条件の結果である。浅い動作そのものを禁止する結論にするのではなく、この集団と負荷設定では、浅い方がよいという予想が支持されなかった、と受け止めるのが筋だ。[14]

別の無作為化試験では、高齢者16人が家庭で体重を支えながら浅いスクワットか深いスクワットを行った。18〜39歳の女性に同じ改善幅が得られるかは、この高齢者の結果だけでは判断できない。深さの目標には椅子を使い、深い条件は高さ40 cm、浅い条件はクッションを加えた高さ60 cmにお尻が触れるまで下げた。両群とも12週間続け、椅子から立つ反復テストやレッグプレスの最大挙上重量に改善が見られた。[15]

一方、膝を伸ばす最大の等尺性トルク、つまり関節を動かさず発揮する力の指標や、太ももの筋厚、歩く速さには、両群とも有意な変化がなかった。深さを問わず改善した測定と、変わらなかった測定が共存している。「脚が強くなった」というひと言では、この違いが消えてしまう。[15]

深さの試験で示された効果量は、変化の大きさを比較するための尺度である。重さの増加量そのものや、酸素消費の増加率を表す数字ではない。フルスクワット群の値が大きいからといって、自分の運動中の消費量に同じ倍率を掛けることはできない。単位の異なる成果を、ひとつの「効いた度」に換算しないことが大切だ。[14]

数字で読むスクワットの条件

毎分10・12・15回:男女24人の比較実験で使われ、頻度の上昇とともに酸素消費が増えた。[1]

4秒:男性12人の試験で、下ろす局面を長くした条件。筋肉内の酸素反応などが大きくなった。[7]

20%:同じテンポ試験で、セットを終える判断に使った立ち上がり速度の低下率。[7]

10週間:訓練された男性53人を対象に、深さを変えた筋力トレーニングを比べた期間。[14]

12週間:高齢者16人が家庭で浅い、または深いスクワットを続けた期間。[15]

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