O脚の治し方やX脚の改善を探す前に、立ったときの脚の形と、しゃがむ・着地する際の膝の動きを分けたい。若い女性の筋力トレーニングやピラティスの試験、変化が出なかった研究から、運動で確かめられたことを読む。写真の見た目、痛み、けがの予防まで同じ効果として扱わないための記事である。
鏡の前では脚の隙間が気になるのに、片脚でしゃがむと今度は膝が内側へ動く。「O脚 治し方」で見つかる脚を閉じた写真と、「X脚 改善」で見つかる着地の動画。どちらも膝の話に見える。しかし、静止した写真の隙間と、動いている途中の膝の角度は、同じ問いなのだろうか。
若い女性を対象にした試験には、股関節の筋力トレーニングで跳ぶときの膝の動きが改善しても、台から着地するときには比較した方法との差が出なかったものがある。[1] 鏡の前で脚を眺めるだけでは、この違いは見えてこない。脚の形を採点する前に、研究者が何を測ったのかを確かめたい。
既存の「姿勢の科学 第3回 ピラティスで姿勢改善、測る部位で結果が変わる理由」に姿勢全体とピラティスの問いを譲り、ここではしゃがむ・跳ぶ・着地する際の動的な膝の角度に焦点を絞る。また、「【連載】体型は変えられるか 第1回|体型を決めるもの——骨格・脂肪分布・筋量」に体型全体の問いを譲り、ここでは膝の並びを扱う。同じ特集の巻き肩やハイヒールの記事とも分け、運動後の膝の角度、動作、痛みを別々に読む。目標は写真の中の脚に近づくことではなく、自分が確かめたい変化を選べるようになることだ。

立っている脚と、動いている膝は別の測定だ
「膝の並びが改善した」という説明には、測定した場面が必要である。今回読む試験で多いのは動的膝外反、つまりしゃがむ、跳ぶ、着地するなどの動作中に膝が内側へ動くことだ。ピラティスの試験も、動作中に膝が過度に内側へ動く人を選び、片脚スクワットと着地で角度を測っている。[6] 立った姿を撮った写真の印象だけで参加者を集めた研究ではない。
片脚スクワットとは、片脚で体を支えてしゃがむ動作である。試験では正面から見た角度を用いる一方、若い女性の筋力トレーニング試験では立体的な動作計測を用いている。[6][1] 正面から見た角度と立体的な計測では、捉える動きの範囲が異なる。[6][1]写真の加工前後を並べた画像と、決められた課題を同じ方法で測った結果を、そのまま交換することはできない。
O脚のある高齢女性の試験では、バランスや膝の位置を感じ取る能力、筋力、立ち上がって歩く機能を評価している。[2] 一方、膝の変形性関節症に対する足底板の試験では、画像検査で大腿骨と脛骨の角度を測っている。[12] 前者は高齢女性、後者は関節症の患者の結果であり、18〜39歳の女性にそのまま当てはめられるかは、これらの試験から判断できない。[2][12] 前者で機能が改善したことと、後者で画像上の角度が変わったことは、違う種類の成果である。
この区別が、O脚・X脚の検索で最初に持ちたい物差しだ。「膝が内側へ入る動きを減らす」「立ったときの並びを変える」「痛みを減らす」のどれを確かめたのか。動作中の角度を測った研究から、静止した脚の形や骨そのものが変わったと結論することはできない。[1][6] 検索語は短くても、研究の答えには動詞が付いている。
初日の汗は、予約した人だけが持ち帰れる。
若い女性の筋トレでは、跳び方で結果が分かれた
痛みなどの症状がなく、運動習慣のある女子大学生20人を対象にした予備的な無作為化比較試験がある。平均年齢は21.3歳で、動的膝外反のある参加者を、股関節を外へ開く筋肉の異なる鍛え方に分けた。週3回、4週間、最大努力の運動を10回ずつ4セット行った試験である。[1] 日常的な軽い体操を、そのまま検証したものではない。
比較したのは、筋肉が伸ばされながら力を出す鍛え方と、縮みながら力を出す鍛え方だ。前者はエキセントリック、後者はコンセントリックと呼ばれる。結果では、片脚で沈み込んでから跳ぶ課題において、前者のほうが動的膝外反の改善に優れていた。しかし台から片脚で着地する課題では、その優位性は認められなかった。[1]
重要なのは、成功した課題と成功しなかった課題が同じ参加者の試験に並んでいる点だ。自分で跳び上がる動きに結果が出たからといって、この試験の着地課題には優位性がなかった。[1] 「お尻を鍛えれば膝は全部整う」という説明より、どの場面で変わったかを言うほうが、この研究に忠実である。
両方の鍛え方で片脚ジャンプの能力は改善した。[1] つまり運動能力の変化と膝の角度の変化も、完全には重ならない。高く跳べるようになったことを喜ぶ場面と、膝の動きを確認する場面は分けてよい。結果を一つの「脚がきれいになった」に詰め込むと、何が実際に変わったのかが消えてしまう。
この試験は小規模な予備研究であり、膝の角度が何度減ったかという効果量や信頼区間は、ここで参照する記載から確認できない。[1] したがって、自分も同じ期間で同じ角度だけ変わるという予定は立てられない。期間は研究の条件であって、鏡に映る脚が変わるまでの締め切りではない。講義のあとに運動するなら、試験の最大努力を自己流で再現するより、何の動きを練習しているかを理解することから始めたい。
ピラティスも、レッスン名だけでは判定できない
動的膝外反のある36人を、神経筋運動、ピラティス、対照の各群に分けた無作為化比較試験では、介入群が理学療法士の監督下で6週間、週3回、計18回の運動を行った。各群の平均年齢は22.0〜23.5歳である。[6] 参照した記載では参加者の性別が確認できず、18〜39歳の女性にそのまま当てはめられるかは未確認である。[6] 神経筋運動は、筋力だけでなく体の動きを調整する働きにも着目した運動だ。
ピラティス群では、着地時に正面から見た膝の角度、太ももの前側にある大腿直筋の筋力、姿勢の安定性に有意な改善が報告された。片脚スクワット中の角度には、神経筋運動群とピラティス群の双方で改善があった。[6] 膝をどう動かすかという問いに対して、ピラティスを検討する理由はある。
ただし、この記載には角度の変化量や信頼区間が示されていない。[6] 統計的に有意とは、研究の分析で差が認められたことを指すが、日常の見た目への影響を判断するには変化量も必要だ。変化の大きさを知らずに「はっきり分かるほど脚が変わる」と書けば、論文にない約束を足すことになる。
さらに、ピラティス群で改善したという報告を、あらゆる種目に対してピラティスが最良だという順位表にはできない。[6] 理学療法士が監督した構造化されたプログラムと、短い動画を見て行う運動や一般のレッスンは、条件が異なる。看板の名前だけをそろえても、対象者、運動内容、練習した課題の違いは残る。
別の試験では、動的膝外反のある女性競技者84人が、競技に合わせた運動を計18回行い、両脚での着地中の膝の動きを評価した。バレーボール、バスケットボール、サッカーのいずれでも、正面から見た膝の動く範囲が減ったと報告されている。一方、膝を曲げる動きの増加はバスケットボール向けのプログラムに特徴的だった。[7] 対象は競技者であり、18〜39歳の女性の普段の動作にもそのまま当てはめられるかは、この競技課題の試験では確認していない。[7]
ここでも結果は一枚岩ではない。膝が内側へ動く範囲と、膝を曲げる動きは別の測定項目で、競技別の結果にも違いがある。[7] ジャンプを繰り返す部活動と、仕事帰りに体を動かしたい人では、まず確かめたい課題が違う。同じ運動を選ぶとしても、目的まで同じにする必要はない。
研究の条件を生活へ移すときは、参加者を無作為に分けたことと、すべての生活場面を調べたことを取り違えないようにしたい。無作為化比較試験は、介入方法の違いを比べる設計である。しかしこのピラティスの試験が評価した課題は、片脚スクワットや跳んだあとの着地などに限定される。[6] 買い物袋を持った帰り道や、子どもを抱えた立ち姿まで測った結果としては読めない。
確認する項目は角度だけではない。この試験では片脚での垂直ジャンプ、バランス、動かさずに力を出す筋力も評価している。[6] 動きの研究が複数の測定を置くのは、成果を一つの印象にまとめないための手掛かりになる。「以前より安定してしゃがめる」と「写真の脚が違って見える」を別々に言葉にできれば、次に何を確かめたいかも決めやすい。
競技者の試験では、対照群は普段の運動を続けた。[7] 18〜39歳の女性の日常生活への適用は未確認だが、競技者における比較の意味は読める。[7] 比較は、運動する人と何もしない人という単純な二択ではなく、通常の練習に対して特定のプログラムを加える意味を問うものだ。すでに体を動かしている人にとっても、練習内容を区別する理由がある。回数だけをそろえて、課題の違いを省いてしまうと、研究が比較したものから離れていく。
数字で読む膝の動きの研究
20人:症状のない活動的な女子大学生の筋力トレーニング試験。跳ぶ課題と着地で結果が分かれた。[1]
6週間・18回:動的膝外反に対するピラティスと神経筋運動の試験。監督下の介入だった。[6]
84人:競技別の着地練習を検証した女性競技者の試験。18〜39歳の女性の通勤場面への適用は未確認だ。[7]
44人:器具を使う軟部組織への介入を受けた若い女性の試験。膝の角度には群間の有意差がなかった。[18]
約60%:複合的な予防運動による靱帯損傷リスクの減少。思春期の女性競技者の特定の競技が対象で、脚の角度の減少率ではない。18〜39歳の女性全体への適用は未確認だ。[13]
初日の汗は、予約した人だけが持ち帰れる。
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