プロテインとクレアチンは誰でも同じ効き方?食習慣で違う蓄積と運動の伸びを読む

プロテインとクレアチンの効き方を、普段の肉や魚の摂取と筋肉への蓄積から考える。菜食者では補給後の蓄積が増えても、運動成績が雑食者より伸びるとは限らない。女性の食事変更試験、系統的レビュー、新しい比較試験を読み、体内の量と筋力、記憶への反応を分けて確かめる。

運動帰りにプロテインの袋を見ながら、クレアチンも足すべきか迷う。隣で同じ運動をした友人は肉をよく食べ、自分の昼食は豆と野菜が中心である。同じものを飲めば、同じ変化が起きるのだろうか。

クレアチンでは、普段の食事によって筋肉内の蓄積量に違いがある。菜食者は雑食者より低い傾向があり、補給で大きく増える場合もある。ただし、蓄積の増加が大きい人ほど運動成績も必ず大きく伸びる、という結果にはそろっていない。[3][16]

「筋力低下が気になる食事は肉が必要?クレアチン補給と食べ物の比較を読み直す」は食品と補給の比較を扱う記事である。ここでは食べ物の優劣から離れ、食習慣で異なる出発点が、補給後の蓄積と実際の成績にどう表れるかを追う。

「クレアチンは運動前と後のどちらに飲む?プロテインと合わせる時刻の研究を読む」には摂取時刻を、「プロテインにクレアチンを混ぜる意味は?単独補給との比較で見える成果の違い」には併用の比較を譲る。また「女性の筋トレでクレアチンを使うと太る?体重と水分、筋肉の増加を分けて読む」が扱う体重の内訳を繰り返さず、今回は食習慣による蓄積と反応の差を中心に据える。

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プロテインとクレアチンを同じ袋の話にしない

「プロテインとクレアチンの違いは役割にある?アミノ酸供給とエネルギー再生を読む」に基本の役割の比較は譲る。今回の焦点は、補給する前から体内にあるクレアチンである。肉や魚を普段食べるかどうかは、その出発点を考える手掛かりになる。[3]

食事性クレアチンを扱ったレビューによれば、成人が食べ物から得るクレアチンは、主に肉や魚などの動物性食品に由来する。一方、体内でもアルギニン、グリシン、メチオニンというアミノ酸を使って合成される。食品から入らなくても、体内合成という供給経路がある。[3]

このレビューが例に挙げる体重70kgの男性では、日々必要な量は約2gで、典型的な雑食の食事から最大でその半分ほどを得て、残りは体内で合成する。これは体重70kgの男性を説明する数字であり、18〜39歳の女性の必要量にはそのまま当てはめられない。[3]

ここでいう蓄積量とは、筋肉などに存在するクレアチンの量のことだ。食べた量、血液中の濃度、筋肉内の濃度は、同じ測定ではない。食事性クレアチンのレビューは血中と筋肉内の濃度が菜食者でやや低い傾向を示すが、その説明と、補給後にどれだけ持ち上げられるかという成績は別に読む必要がある。[3][16]

「植物中心なら足りない」と即決するのも早い。レビューでは、合成酵素の先天的な問題や材料となるアミノ酸の供給の問題などがなければ、通常の機能に必要なクレアチンを人は合成できるとしている。濃度が相対的に低いことと、通常の機能が保てないことは同義ではない。[3]

したがって、プロテインの摂取だけを聞いてクレアチンの出発点を決めるより、食事全体を見るほうが問いに近い。大豆中心の日がある、魚はよく食べる、肉を避ける食生活を続けている。それぞれを同じ「サプリを飲んでいる人」という箱に入れると、食事からの供給と体内合成の違いが見えなくなる。[3]

疑問の続きは、体で確かめるのがいちばん早い。

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食事を変えた女性では蓄積も動いた

もともと菜食の人と雑食の人を比べるだけなら、食事以外の違いも含まれうる。そこで役立つのが、普段は雑食だった女性の食事を変えて追った無作為化試験である。食事の違いとクレアチンの関係を、時間の流れに沿って確かめている。[17]

参加したのは雑食の女性40人で、期間は6か月だった。雑食を続ける10人、補給なしで菜食へ移る15人、菜食に移ってクレアチンとβアラニンを補給する15人に分かれた。βアラニンはこの試験で併用された別の補給成分であり、クレアチンだけを足した群ではない。[17]

補給なしで菜食へ移った群では、開始時から3か月後に、血中クレアチンと筋肉内の総クレアチンが低下した。一方、補給群では血中クレアチンが開始時より増え、著者らは低用量の補給によって菜食移行に伴う体内の蓄積低下が緩和されたと結論している。[17]

期間の読み方も大切だ。試験全体は6か月でも、筋肉の組織を採って調べたのは開始時と3か月後である。「半年間の筋肉内濃度を連続して確認した」と言い換えると、実際に測った範囲からはみ出す。血液、尿、筋肉では測定の時点も手段も違っていた。[17]

この結果から見えるのは、食習慣が長年固定された人同士の差だけではない。雑食から菜食へ移る過程でも、体内のクレアチンの状態は変わりうる。会社の昼食を植物性中心に替えた人が食事記録を見返すなら、「今日何を食べたか」に加え、「食べ方を変えてからどう過ごしたか」という時間の軸が役立つ。[17]

ただし、この試験のクレアチン低下を、そのまま筋力低下や不調へ読み替えてはいけない。調べた中心は体内の成分の状態である。成分が変わることを確認した研究に、運動成績の結論まで背負わせず、次は実際に動いたときの試験へ進む。蓄積の話を成績の話へ移すには、橋になる測定が必要だ。[17]

食事変更試験の補給群では、クレアチンモノハイドレートを1日1g使用した。ここでのモノハイドレートは研究に用いられたクレアチンの形を指す。併用されたβアラニンの量も設定されており、補給成分を何も足さない菜食群との比較だった。「少量を続けた研究」という特徴はあっても、この量があらゆる目的に最適だと決めた試験ではない。[17]

さらに、同時に調べた成分がすべて同じように低下したわけでもなかった。カルニチン関連の成分には有意な時間と群の相互作用がなく、筋肉内のカルノシンは、補給なしの菜食群と雑食を続ける群で半年間変わらなかった。食品の構成を変えるときも、成分名をまとめて「肉由来のものが全部減る」とするより、それぞれの測定結果を読むほうが正確だ。[17]

蓄積が増えやすくても運動の伸びは別だった

菜食者への補給をまとめた2020年の系統的レビューには、9研究を報告した11本の論文が含まれた。対象になったのは菜食者を調べた無作為化比較試験や前向き研究である。競技者への利益を論じたレビューであり、18〜39歳の女性の日常的な運動にも同じ程度の利益があるかは、別に確かめる必要がある。「11研究」でも「9本のレビュー」でもなく、研究と、それを報告した論文の本数を区別して読む。[16]

補給によって、菜食者の太ももやふくらはぎの筋肉、血液中などでクレアチン関連の濃度が増え、雑食者を上回る水準になる例もあった。筋肉内では総クレアチンだけでなく、クレアチンやリン酸クレアチンも調べられている。リン酸クレアチンは高エネルギーのリン酸を蓄える形の成分である。[4][16]

レビューには、除脂肪組織量、筋線維の面積、筋力、筋持久力、自転車運動の平均出力、記憶などの改善が含まれていた。著者らも全体として、菜食の競技者は補給から利益を得る可能性が高いと評価している。補給には意味がない、と読むのは著者の結論を落としてしまう。[16]

しかし、「菜食者の運動成績が雑食者より大きく改善するか」については結果が混在していた。しかも、含まれた研究には中等度から高い偏りのリスクがあった。体内の濃度が増えることと、比較相手を上回る改善が出ることの間には、なお距離がある。[16]

この距離は、買い物の場面で効いてくる。「肉を食べない人ほど効く」という宣伝を見たら、何が増えたのかを確かめたい。筋肉の中の成分なのか、運動の回数なのか、体組成の測定値なのか。どれも研究上は大切だが、自分が求める変化と一致するとは限らない。[16]

たとえば、運動仲間と同じ期間補給して、片方だけ階段を軽く感じたとしても、感覚の差だけで取り込み量を比べることはできない。研究が濃度と運動成績を別々に調べているのは、両者を自動的につなげられないからだ。体内の倉庫が満ちる話と、競技の記録が動く話は、別の成績表なのである。[16]

数字で読む食事とクレアチン

9研究・11論文:菜食者へのクレアチン補給を整理した系統的レビューの規模である。[16]

40人・6か月:雑食の女性が食事を変えた無作為化試験の参加者数と介入期間を示す。[17]

3か月:補給なしで菜食へ移った女性に、筋肉内の総クレアチン低下が確認された時点である。[17]

20人・4週間:活動的なヴィーガン成人への補給試験の規模と期間に当たる。[7]

128人・5日間:菜食と雑食の若年女性で認知課題への反応を比較した試験の規模と期間である。[4]

疑問の続きは、体で確かめるのがいちばん早い。

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宮川涼 Founder

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