ピラティスのマットとリフォーマーの違い、前庭の垂直基準は最初の反応より遅いか

マットとリフォーマーでは、足の下が動くかどうかが違う。立位で床を動かした実験では、前庭への刺激は最初の重心移動をほとんど変えず、開始から1.5〜2.5秒後の位置と終わりの平衡で垂直の基準をずらした。左右の足の重み、揺らし方、戻るまでの歩数も分けて読む。

台が動いた瞬間と、止まってから「まっすぐ」と感じるまで。同じバランスでも、見る時点で答えは変わる。マットとリフォーマーを比べるときも、動き始めと落ち着いた位置を分けて考えたい。立って床が動く実験では、前庭への電気刺激は、最初の圧中心と質量中心の動きをほとんど変えなかった。変わったのは、姿勢の動きを実行している途中と、終わりの平衡位置である。著者は、前庭は最初の反応を起動する役では決定的ではなく、垂直の内部基準を作る側で重要になりうると述べている。[14]

刺激の強さは0.2〜0.5ミリアンペアで、床が動く500ミリ秒前から流れ続けた。圧中心と質量中心のずれのピークは、床の移動が始まってから1.5〜2.5秒だった。床の速度が上がると、そのずれは大きくなった。終わりの平衡位置もずれたが、ずれはより小さく、速度にはよらなかった。同じ電流でも、静かなたたずみより、床が動いているときの方がずれは大きかった。電流の向きで、ずれは前にも後ろにも出た。[14]

ここで扱うのは、床を動かしたり体を引いたりして姿勢を乱す外乱刺激への反応実験であり、ピラティスの体系やマットとリフォーマーの効果を直接比較した研究ではない。1.5〜2.5秒は電気刺激によるずれのピークで、教室で感じる遅れの説明や姿勢の保持時間には転用できない。器具の違いが結果を変えるかは「リフォーマーとマット|器具の違いは結果を変えるか」に譲る。ばねが助ける方向と研究の結果の切り分けは「ピラティスのマットとマシンの違い、ばねが助ける方向と研究の結果を分ける」に譲る。ここから先は、垂直の基準が出る時刻、左右の足の重み、揺らし方で筋肉の順番と戻りの歩数がどう分かれるかを読む。

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最初の重心移動と、垂直の基準は同じ秒にいない

圧中心は、足裏が床を押す力の集まりの中心である。質量中心は、体の重さが集まる点である。前庭電気刺激は、立っている人の前庭に弱い電流を流し、垂直の感じの基準を実験的にずらす方法だった。床の平行移動と組み合わせると、最初の数百ミリ秒の重心移動はほとんどそのままなのに、その後の位置と、落ち着いたあとの位置がずれる。[14]

著者は三つの含意を残している。一つ目は、一定の電流が、自動的な姿勢反応の終わりの平衡位置を変えうる、ということだ。二つ目は、前庭は静かなたたずみを制御するときより、姿勢が動いているとき、とくに速い動きのときの感覚の再入力を解釈する側で、より大きな役割を持ちうる、ということだ。三つ目は、最初の姿勢反応の引き金としては決定的ではなく、垂直の内部基準を立てる側で決定的になりうる、ということだ。速い床ほど途中のずれが大きい、という結果と、終わりの位置のずれは速度に依存しない、という結果は、同じ論文の中で並んでいる。途中と終わりを一つの「効き」にまとめない。[14]

立ち仕事の帰りに、最初の一歩の感覚だけでマシンの良し悪しを決めたくなる。実験が垂直の基準を厚く見ていたのは、動きが始まってから1.5〜2.5秒と、そのあとの平衡位置である。最初の重心移動が電流でほとんど変わらなかった事実を残すと、台が滑った瞬間の驚きと、まっすぐが戻るまでの遅さは、別の欄になる。マットは支持面が止まっている時間に近く、リフォーマーは支持面が動く時間を含む。この対比は実験が実際に比べた「静かなたたずみ」と「床の移動」の種類の話であって、二つの教室を点数化した話ではない。[14]

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目を閉じると、左右の足は別々に信用を落とす

健康な人が目を閉じて立った実験では、左右の足の固有感覚を別々に揺らした。固有感覚とは、関節や筋肉から来る、自分の位置の情報である。方法は、左右の支持面を連続して回転させることと、体を床の平行移動で揺らすことだった。片方の支持面の振幅を試行とともに上げ、もう片方は動かさない条件と、一定の振幅で揺らし続ける条件を置いた。足首のトルクが振幅にどう応答するかを感度として推定し、各脚が立位をどれだけ安定させているかも推定した。[3]

片方の振幅を上げると、その側へのトルク感度は下がった。一定の振幅で揺らし続けた側のトルク感度には、有意な差がなかった。安定させる仕組みの性質は、どちらの支持面を揺らしても一定のままだった。著者は、左右の足の固有感覚は独立に重み付けされ、振幅が大きいほどその重みは下がり、片方の重みはもう片方の重みに影響しない、と示している。目を閉じると視覚が無くなるので、感覚の重み付け仮説に従えば前庭情報の重みは上がるはずだ、とも述べている。これは仮説に沿った述べ方である。[3]

リフォーマーで、片方の足がストラップに乗り、もう片方が台に残る動きを、この装置そのものだとは扱わない。実験が分けたのは、左右の支持面の揺れの大きさである。マットで両足が同じ静止面に載る時間と、左右で入力の大きさが違う時間とでは、重みの置き方が同じだとは限らない。信用が落ちるのは「足」という一つの塊ではなく、揺れている側である。前庭情報の重みは、視覚が無いときの感覚の重み付け仮説として著者が述べた通りに読む。[3]

夜、スマホの動画で「目を閉じて体幹を起こせ」と流れてくる。閉じた目が自動で前庭を鍛えるスイッチだとは、この実験は言っていない。言っているのは、視覚を消した立位で、支持面の振幅が上がった脚のトルク感度が下がり、もう一方の一定側は有意に動かなかった、ということだ。教室で目を閉じるかどうかは、左右の入力が同じかどうかと一緒に残す方が、仮説と結果を混ぜない。[3]

床を動かすと、後ろの筋肉は足側から始まる

健康な男性15人、年齢24.3±3.0歳に、予測できない前後の床移動と、上半身をケーブルで引く刺激を、強さを揃えて与えた。前側の筋肉が働き始めるまでの時間は、二つの方法でほぼ同じで、約210ミリ秒だった。床移動では、後ろ側の筋肉が左右とも、体から遠い側から近い側へ、70ミリ秒から260ミリ秒の間に働いた。ケーブルで引く方法では、軸足側の後ろの筋肉が、近い側から遠い側へ、70〜130ミリ秒で働いた。その潜伏時間は約80ミリ秒で、軸足側の後ろの筋肉のあいだに差はなかった。強さを揃えても、神経と筋肉の組み立ては方法で明らかに違った。著者は、回復の解釈には刺激の強さだけでなく種類が要ると書いている。対象は健康な男性であり、18〜39歳の女性でも同じ筋活動の時刻や順序になるかは、この比較から判断できない。[13]

別の、健康な若い男性15人の実験でも、床移動と肩を引く方法を、目を開けた条件と閉じた条件で比べた。自然に反応するよう求め、前方向へ一歩が出た試行を解析した。一歩が出る瞬間の安定余裕は、床移動で0.01±0.01メートル、肩を引く方法で0.04±0.01メートルだった。足が着いた時点では、床移動が0.09±0.01メートル、肩を引く方法が0.17±0.01メートルだった。安定余裕は、支持面の端から、倒れる側へ残る距離の指標である。床移動の方が小さく、立て直しには不利な位置にいた。二歩目が必要だったのは、床移動の試行の14パーセント、肩を引く方法の3パーセントだった。これは健康な若い男性の反応実験で、18〜39歳の女性に同じ割合が当てはまるかは別途確かめる必要がある。[11]

視覚を無くしても、一歩が出る瞬間の安定余裕は変わらなかった。足が着く時点では、床移動に限って、目を閉じた0.11±0.01メートルが、目を開けた0.08±0.01メートルより大きかった。肩を引く方法では、目を開けた0.17±0.01メートルと、目を閉じた0.18±0.01メートルのあいだに差はなかった。目を閉じる効果は、方法と、一歩のどの時点かで分かれる。著者は、床移動の方がバランスの回復においては難しいようだと述べ、違う揺らし方の研究を横断して読むときには注意が要るとしている。[11]

若い健康な男性14人では、一歩が出るのに必要な力と変位の、最も小さい組が、両方の方法で逆比例の直線に乗った。二つの方法に共通する、最も小さい組は、体重の8.75パーセントの力と、足の長さの105パーセントの変位だった。これは将来、刺激を揃えて方法を比べるための候補であって、リフォーマーのばねの設定値ではない。力は自由落下するおもりで作り、いつ来るかは知らせなかった。対象は若い健康な男性で、18〜39歳の女性の踏み出しの閾値にも同じ値を使えるかは未確定である。[15]

看板が同じ「バランス」でも、後ろ側の筋肉は、足から上がるか、体から降りるかで逆になる。リフォーマーの台の移動は、この床移動そのものではない。肩を引く方法でもない。それでも、強さを揃えても方法が違えば組み立てが変わる、という結果は、マットとマシンを「同じ運動の強弱」の一列に置く根拠にはならない。動く台を見ることと、姿勢を直す表示の話は「マシンピラティスとマットの違い、動く台を見ることと姿勢を直す表示を分ける」に譲る。[13][11]

数字で読む、動く台と垂直の基準

1.5〜2.5秒:床の移動開始から、前庭への電流による圧中心と質量中心のずれがピークになる時刻。終わりの平衡のずれはこれより小さく、速度にはよらなかった。[14]

0.2〜0.5ミリアンペア:床が動く500ミリ秒前から流し続けた電流。最初の重心移動はほとんど変わらなかった。[14]

0.01±0.01メートルと0.09±0.01メートル:若い男性15人で、床移動により一歩が出る瞬間と、足が着いた時点の安定余裕。肩を引く方法では0.04±0.01メートルと0.17±0.01メートル。[11]

14パーセントと3パーセント:同じ男性15人で、二歩目が必要だった試行の割合。床移動が14パーセント、肩を引く方法が3パーセント。[11]

8.75パーセントと105パーセント:若い男性14人で、二つの方法に共通して一歩が出た、最も小さい力と変位。力は体重比、変位は足の長さ比。[15]

70パーセント:22〜28歳の成人5人で、予測できない床移動への踏み出しに、左右の予備姿勢が見えた割合。その予備は、質量中心の横移動を実質的には変えなかった。[5]

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宮川涼 Founder

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