ハグの効果は何秒で変わるのか?短い抱擁が快さで下回った実験の読み方

相手役との抱擁を1秒、5秒、10秒で比べた実験では、1秒は5秒と10秒より快さと制御の評価が低かった。腕の組み方より秒数が評価を分け、直後の気持ちの高ぶりは数分後より高い。何時間もの家族の療法や、乳児の就寝で数える抱擁とは、測っている手続きが違う。改札の一瞬も、同じ枠で読む。

玄関で「おかえり」と抱き合う。一瞬で手を離す日もあれば、上着に顔を寄せてしばらく止まる日もある。「ハグの効果は何秒で変わるのか」という問いは、この離れるまでの時間を比べるところから始まる。

その差を、実験の相手役との抱擁で直接比べた研究がある。長さは1秒、5秒、10秒の三つ。尋ねたのは、触れ合いがどれだけ快いか、覚醒、つまりどれだけ気持ちが高ぶるか、どれだけ制御できていると感じるかだ。長さのほうが腕の組み方より評価を分け、1秒は5秒と10秒より快さと制御の評価が低かった。抱いた直後の快さの自己評価も、1秒は5秒と10秒より低かった。[3]

5秒と10秒のどちらが上かは、この結果の文は順位にしていない。1秒を、5秒および10秒より低い側へまとめている。血圧やオキシトシンを主眼にした話は、既存記事「ハグの効果は医学的にどこまで?血圧とオキシトシンの実験を読む」に譲る。痛みが和らぐかは「ハグの鎮痛効果は気分だけなのか?手をつなぐ実験で見えた痛みと脳の反応」の問いである。ここでは、秒の実験をどう読み、何時間もの抱擁療法や乳児の就寝の項目と混ぜないかを見る。[3]

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1秒は、5秒と10秒より快さと制御の評価が低かった

抱擁は、日常でよく出会う感情を伴う触れ合いの一つだ、とこの研究は書き出している。それでも、評価と行動を左右する要因はあまり分かっていない、とも著者は置いている。そこで二つの調査を組んだ。一つは、長さと腕の組み方が評価と気分をどう変えるか。もう一つは、自然に近い場でどんな腕の組み方が多いか、そして性別、情緒的な近さ、身長差から型を予測できるかである。[3]

実験の側では、参加者が相手役と1秒、5秒、または10秒抱き合い、腕の組み方は2種類だった。そのあと、快さ、覚醒、制御できている感じを報告している。気分の自己評価は、直後、3分後、6分後の三度。相手は実験のために抱擁を担当する人であり、帰宅後の恋人や子どもを、この場にそのまま置いた設計ではない。[3]

結果の芯は、長さが腕の組み方より大事だった、という一文にある。快さ、覚醒、制御の評価について、そう書いている。具体的には、1秒の抱擁が、5秒と10秒より快さでも制御の評価でも最も低かった。1秒は、抱いた直後の快さの自己評価でも、5秒と10秒を下回った。[3]

ここで足してはいけない読みが二つある。一つは、10秒が5秒に勝った、という順位である。結果の文は、1秒を5秒および10秒と比べて低い、とまとめており、5秒と10秒を勝ち負けに分けてはいない。もう一つは、1秒が不快だった、という言い切りである。低いのは、この三つの長さのなかでの評価であり、1秒を嫌な接触だったと断定する語は、結果の文にない。[3]

中央線の満員を降りて、北口で同僚と軽く肩を合わせる。それは挨拶としては自然でも、実験が低く置いた1秒に近い。5秒や10秒なら、挨拶を交わしたあともその場にとどまる長さになる。数えて10で離れる習慣を、5秒より優位だと実験が保証したことにはしない。結果が置いているのは、1秒が5秒と10秒のどちらよりも、快さと制御の評価で下だった、という比較である。[3]

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抱いた直後の高ぶりは、数分後の気分と同じではない

気分は、抱擁が終わった瞬間だけを見ると取りこぼす。この実験は、自己評価を直後、3分後、6分後に取っている。結果として書かれている時間の差は、覚醒の自己評価が、抱擁の直後のほうが数分後より高かった、という点である。3分と6分のどちらが上かは、結果の文は「数分後」とまとめており、その二時点の勝負にはしていない。[3]

快さの自己評価については、時間の経過そのものより、長さとの組み合わせが前に出る。1秒は、直後の快さの自己評価が5秒と10秒より低かった。結果が快さの低下を置いているのは、この直後の一点である。[3]

玄関で5秒ほど止まって、そのままキッチンへ歩いたとする。高ぶりが直後に上がり、数分後には下がる、という実験の覚醒のパターンを、その夜の自分に当てはめるなら、抱いた瞬間の顔と、湯を沸かしているときの顔は同じ測点ではない。直後が良くても6分後の家事の気分まで保証しないし、直後が淡くても数分後に悪化すると実験が示したわけでもない。示されたのは、覚醒の自己評価が直後に高く、数分後にはそれより低い、という時間の向きである。[3]

制御の評価も、長さと一緒に動いている。1秒は、5秒と10秒より制御できている感じが最も低かった。短い接触は、快さだけでなく、自分で扱えているという評価でも下だった、と結果は並べている。[3]

実験が目指した問いは、抱擁が気分に影響しうるかだった。結果の側で具体的に置かれているのは、直後の快さが1秒で低く、覚醒の自己評価が直後に高い、という二つの時間の事実である。一日の終わりの気分が抱擁で底上げされる、という生活全体の話には、この三時点の自己評価を伸ばさない。[3]

腕の組み方より、秒数が快さの評価を分けた

腕をどこへ回すかは、写真に残るので議論になりやすい。この実験は、組み方を2種類にして、長さと一緒に変えている。それでも快さ、覚醒、制御の評価を分けたのは、組み方より長さのほうだった、と結果は述べている。北口で腕の位置だけを真似しても、1秒で離れれば、実験が低くした側の長さに寄る。[3]

二つ目の調査は、実験室の相手役ではなく、学内で人に声をかけ、抱擁を共有するよう頼んだ場である。見たのは腕の組み方で、身長差、性別、自分で評価した情緒的な近さを、型を予測しうるものとして記録した。結果の文が結びつけているのは性別である。男性どうしの組は、女性どうしの組とは抱擁の型が違った。[3]

近さと身長差を記録したことと、それらが型を決めたと結果が述べたことは、別である。結果の文が対比しているのは、男性どうしと女性どうしである。男女が混ざった組の型、近さが高い組の型は、この結果の一文の外に置く。誰からでも同じ効果か、という問いも、既存記事「ストレス発散のハグは誰からでも同じ?望む接触と運動仲間の支えを分けて考える」に譲る。キスと抱擁を同じ効果として一括りにする話は「キスとハグの効果は同じなのか?触れ合いの試験で分けたい行為とストレスを読む」の側である。[3]

著者らは、これらの所見を過去の抱擁の研究と、触れ合いにおける性差との関係で論じている。型が性別で違ったから、女性どうしの組み方が快さで優位だ、とは結果は言っていない。快さの順位がついたのは、一つ目の実験の長さの比較である。二つ目が示したのは、頼んで共有した抱擁の型が、男性どうしと女性どうしで違った、という行動の側の差である。[3]

20代の夜、ライブのあと駅で友人と抱き合う場面を考える。腕の位置は相手の身長で変わりやすい。実験が記録した予測の候補に身長差はある。しかし快さの評価を動かしたと書かれたのは、学内の観察ではなく、1秒・5秒・10秒を割り当てたほうの実験である。型を揃えるより、離れるまでの長さを見るほうが、この論文の評価の結果には近い。[3]

数字で読む抱擁の秒数

1秒・5秒・10秒:相手役との抱擁で比べた三つの長さ。快さ、覚醒、制御の評価では、長さが腕の組み方より差を分けた。[3]

直後・3分後・6分後:気分の自己評価を取った時点。覚醒の自己評価は、直後のほうが数分後より高かった。[3]

16時間・2日連続:重い行動の障害がある4〜18歳の子どもと家族への、長時間の親子抱擁療法の指導時間。家庭では少なくとも1年続けるよう指示した。[1]

96人・およそ50パーセント:二つの書面の得点が、開始時から追跡時までに下がった子ども数と幅。P<0.001。対象の連続症例は102人である。[1]

468人:出生コホートで、3・12・18・24か月に就寝と睡眠を保護者に尋ねた子どもの数。抱擁やキスは、適応的な就寝の活動の例である。[12]

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宮川涼 Founder

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