ダイエットのご飯は硬水で炊くと違う?米の吸水と硬さから水選びを考える

ご飯を硬水で炊けば、ダイエットに役立つのだろうか。白濁した米の炊飯実験、カルシウム強化米、米でんぷんの加工実験を分けて読み、食感が変わる条件を確かめる。吸水しやすさ、粒の硬さ、食べた後の消化を混同せず、いつもの炊飯で水を替える前に見る点を整理する。

帰宅して炊飯器を開けたとき、今日は粒が少し頼りなく感じる。米を替える前に、水を替えたらどうなるだろう。「硬水ならご飯も硬くなって、ダイエット向きになるのでは」と考えたくなるが、まず分けたいのは、炊き上がりの食感と体重の話である。

硬水で米の食感が変わることを示した炊飯実験はある。ただし、高温で登熟して白濁した粒を混ぜた米が対象だ。そこで示されたのは、米がもともと持つ酵素の働きを抑え、炊いた粒の食感の劣化を防ぐ可能性である。この結果を、そのまま「硬水で炊けば痩せる」という答えにすることはできない。[5]

既存記事「ダイエットのご飯は長く浸水すると違う?炊く前の吸水とでんぷんの消化を読む」には浸水時間の問いを譲り、ここでは水に含まれる成分と米の状態に絞る。水選びを考えるときの主役は、ボトルの印象より、何を炊いて何を比べたかである。

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硬水の実験で使われたのは、白濁した粒を含む米

中心になるのは、日本で収穫されたジャポニカ米を調べた食品実験である。研究者は高温で登熟して白濁した粒と、そうでない粒を分けて比較した。対象は2021年収穫の14試料であり、その後の炊飯比較には白濁した粒を30%混ぜた米を用いた。人に食事を続けてもらう減量試験とは、出発点が違う。18〜39歳の女性が食べた際の消化や体重の変化に、そのまま当てはめることはできない。[5]

ここでいう白濁した粒は、高温での登熟に伴って生じたものだ。研究では通常の粒との間に、アミラーゼやプロテアーゼだけでなく、キシラナーゼやセルラーゼという酵素の活性の違いが見られた。酵素とは物質の分解などを進める働きを担うもので、この比較では、でんぷん、たんぱく質、細胞壁の成分に関わる酵素が調べられている。[5]

台所では、同じ袋から出した米を同じ量の水で炊いたつもりでも、粒の状態まで毎回確かめることは少ない。だが、この実験の読みどころは「水だけを見ればよい」という話ではない。炊かれる側の米に特徴があり、その米の食感を保つ手段として硬水を試したという順序にある。[5]

研究者は、普通の水と硬水で浸水・炊飯した米の糖、ミネラル、食感を比較した。その結果、硬水は内在する加水分解酵素の働きを抑え、白濁した粒を含む炊飯米の食感の劣化を防ぐのに役立った。加水分解とは、水が関わる分解反応である。水は米を濡らすだけの脇役ではなく、こうした反応が進む環境にもなる。[5]

ここから持ち帰れるのは、米の状態によっては炊飯水が品質調整の手段になるということだ。いつものご飯が好みの食感なら、この研究を理由に急いで水を替える必要はない。反対に、粒の状態が気になるなら、水を替えて食感を比べるという問いは立てられる。研究の条件を知ると、買い物の目的が「何となく体によさそう」から「炊き上がりを確かめたい」に変わる。

疑問の続きは、体で確かめるのがいちばん早い。

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米の中の酵素を考えると、硬さの見方が変わる

アミラーゼはでんぷん、プロテアーゼはたんぱく質、キシラナーゼなどは細胞壁の成分の分解に関わる。この研究は、炊いた白濁米の食感の変化に、アミラーゼやプロテアーゼに加え、キシラナーゼも重要な役割を持つ可能性を示した。粒の感触を、でんぷんだけで説明し切らない点が興味深い。[5]

ご飯の「硬い」「軟らかい」は短い言葉だが、研究ではその背後にある材料の変化を調べる。食卓の感想と分析値をつなぐには、どの粒が、どの条件で、どう変わったかを追う必要がある。白濁した米で酵素の活性が異なり、硬水でその活性が抑えられたという結果は、この筋道で読むと理解しやすい。[5]

一方、「硬水」という名前から、米の外側に硬い殻ができるような絵を想像するのは早い。この炊飯実験が示した説明の中心は、内在する酵素の活性と食感の関係だ。名前が似ているからといって、水の硬さと粒を噛んだ硬さを同じ物差しに置くわけではない。[5]

さらに、酵素の働きが抑えられたという食品内の結果を、人の消化全体が遅くなる話へ移すこともできない。炊飯中の米で起きる反応と、食べた後の体の反応は、答えようとしている問いが異なる。食感の説明として有用な実験は、食感の説明として受け取る。その線引きをすると、研究の面白さを残したまま、過大な期待を外せる。

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カルシウム強化米は、濃さと酸性度でも変わる

別の食品実験では、精白米を乳酸カルシウム溶液に浸し、蒸して乾燥させた強化米が作られた。比較された溶液の濃度は0、30、50 g/Lで、浸す温度も室温、40°C、60°Cに分けられている。これは飲用の水を替えて炊く操作とは異なり、カルシウムを米に付加するための加工である。対象は加工した精白米であり、18〜39歳の女性の食後の反応を直接評価した結果としては使えない。[18]

この実験ではカルシウム濃度が高くなると、炊いた米の硬さが増した。また、強化によって明るさが下がり、糊化時の粘度も低下した。糊化時の粘度とは、でんぷんが加熱される過程で示す粘りの性質を捉える指標である。硬さだけが単独で動いたのではなく、見た目や粘りにも変化があった。[18]

温度の比較にも、単純な足し算では済まない結果がある。高い浸水温度ではカルシウムが粒に入りやすくなった一方、洗浄後には失われやすくなった。米に入る量と、その後の操作を経て残る量は別の問題だ。台所でも「浸した直後」と「洗って炊いた後」を同じ完成品として扱わない見方につながる。[18]

さらに酢酸を加えた条件では、カルシウム量は高温で浸した場合と同程度に高まり、洗浄後の保持や溶けやすさが改善した。しかし酸を加えると、炊飯米の硬さは下がり、固形成分の流出と糊化時の粘度は増えた。酸味は残ったが、評価者には受け入れられたという結果である。[18]

この対照が教えるのは、「カルシウムを増やせば、どんな調理でも同じように硬くなる」とは整理できないことだ。同じ研究の中でも、濃度を変える操作と、酸を加える操作では硬さの動く方向が違う。硬さを選ぶつもりが、味や成分の残り方まで一緒に変えている。炊飯器の水位線だけでは見えない条件がある。[18]

吸水がよい米と、硬いご飯は同じ分類ではない

吸水を考えるために役立つのが、乾燥した即席米を作る加工実験である。対象は加工米で、18〜39歳の女性への食事介入ではないため、再吸水の結果をそのまま体内の消化へ当てはめることはできない。塩類を使った浸水前処理によって、米のかさ密度や損傷粒の割合が下がり、多孔性、体積の増加、重量の増加、再び水を吸う性質が高まった。粒の伸び率には有意な影響がなかったが、水の取り込みと化学組成には有意な影響が見られた。[15]

この研究の到達点は、熱湯を加えたときに短時間で戻る即席米だ。塩化カルシウム1%で前処理し、開放した鍋で調理した後、凍結・解凍・脱水を行い、水分を5〜6%にした条件が最適とされた。その加工米は、熱湯を加えるだけで2分未満で戻った。普段の生米を炊く場面とは、途中の工程が大きく違う。[15]

白濁米の炊飯実験では食感の劣化防止が、即席米の実験では再吸水の改善が着目された。同じカルシウムに関係する話でも、狙う完成品と評価する性質が違えば、結果の見え方も違う。水を吸いやすいという結果から、必ず軟らかい、あるいは必ず硬いと推測するのは避けたい。[5][15]

即席米でいう再吸水は、調理して乾燥した材料に、食べる前に再び水を含ませる場面である。研究では水の吸い方を数式のモデルでも評価し、加工した粒がどう戻るかを検討した。「吸水がよくなった」という説明を見たら、生米を炊く前なのか、乾燥した即席米を戻すときなのかまで読みたい。工程の位置が違えば、夕飯の準備で参考になる部分も変わる。[15]

また、この加工では多孔性が高まったという結果も得られている。多孔性とは、材料の中に空隙がある性質のことだ。米が水と接する条件は、液体に何を含むかだけでなく、処理された粒の形や内部の状態にも関係する。塩類の名前だけで再吸水の速さを説明するより、調理と乾燥まで含めた加工の成果として見る方が正確である。[15]

数字で読む炊飯水と加工条件

14試料:白濁した粒と通常の粒を比較した、日本のジャポニカ米の試料数である。[5]

30%:硬水と普通の水を比べた炊飯材料に混ぜた、白濁した粒の割合である。[5]

50 g/L:カルシウム強化米の製造で調べた乳酸カルシウム溶液の濃度のひとつで、家庭の炊飯への推奨濃度ではない。[18]

1%:即席米の製造で最適条件の一部となった塩化カルシウム前処理の濃度である。[15]

2分未満:前処理、調理、凍結・解凍・脱水を経た即席米が、熱湯で戻るまでの時間である。[15]

疑問の続きは、体で確かめるのがいちばん早い。

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宮川涼 Founder

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