筋トレの休憩中も次の重さを考える?持つ前の緊張と運動中の脈を分けて読む

筋トレの休憩中、次の重さを思うだけで体は準備を始めるのか。運動前の血液指標を測った試験と、負荷に対する心拍数・血圧の研究から、予期と実際の運動反応を分けて読む。重りの数字だけで決まらないきつさ、脈だけで休憩終了を判断しない理由、次のセットに向けた記録の取り方を考える。

重りを置いて腰を下ろしたのに、頭の中ではもう次の重りを持っている。「さっきより重い。途中で止まったらどうしよう」。床の重りは動かないのに、頭の中だけ先にセットが始まっている。休憩まで課題の時間になっていないだろうか。

体が運動に先立って変化することはある。筋トレ経験のある男女を対象とした重いスクワットの試験では、開始を予期する段階で免疫細胞の受容体の発現が変化した。ただし、これは「次の重さを考えれば心拍数が必ず上がる」「考えないほど回復が速い」という結論ではない。測った指標と、知りたい脈の話を分ける必要がある。[4][5]

休憩中に次の負荷を確認すること自体を悪者にしなくてよい。運動中の循環反応には、筋肉からの反射に加えて、運動を行う中枢からの働きかけが関わる。しかも反応を読むには、重りそのものの大きさだけでなく、その人にとっての負担を見ることが大切だ。[1][3][7]

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休憩の問いは、次のセットをどう迎えるか

ここでは、反復動作のまとまりをセット、そのまとまりの間の休みをレストと呼ぶ。この区切りを置くのは、運動前、動作中、終了後という場面を混ぜないためである。椅子に座っていても、直前の動作を終えた時点と、次の開始を待つ時点では、確かめたいことが違う。

「休憩中に脈が気になる」という相談には、いくつかの問いが含まれる。前の動作の影響が残っているのか。次が難しそうで緊張しているのか。そもそも次の重さは今の自分に合っているのか。これらを一つの数値だけで説明しようとすると、体調の記録が性格の採点になってしまう。

既存記事「女性の筋トレは痩せると強く見える?持ち上げた重さと体重比で読む進歩の違い」には、重さと体重比による進歩の評価を譲る。ここで扱うのは、休憩から再開へ移るときの準備と、その前後で測る体の反応である。

また「体力を測る前から脈が速いのはなぜ?待つ緊張と運動中の負担を分けて読む」には測定待ちの心拍の評価を、「ダイエットの筋トレは休憩中に重りを外す?血流と次の反復を分けて読む」には負荷を支え続ける休み方の比較を譲る。ここでは筋トレの次のセットを迎える場面に絞り、予期の細胞指標と、実際に力を出すときの相対強度をつないで考える。

次の重りの表示を見た時点と、実際に持ち上げた時点は分けて記録したい。運動を予期する段階の細胞指標の変化と、力を発揮している最中の血圧反応は、別の実験で調べられている。その違いを保ったまま読むと、研究が身近な休憩の場面にどうつながるかが見えてくる。[4][5][7]

疑問の続きは、体で確かめるのがいちばん早い。

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脳からの準備と、筋肉からの反射がある

競技者の筋力トレーニングや日常の静的な運動を扱ったレビューは、心拍数や血圧、心臓の収縮力、心臓が送り出す血液量の増加に、中枢からの指令と収縮中の筋肉に由来する反射が関わると説明している。静的な運動とは、ここでは筋肉が力を出し続ける等尺性の運動である。中枢からの指令は、運動を行う神経活動に伴って循環にも働きかける仕組みとして捉えるとよい。競技者を含む知見を扱うため、18〜39歳の女性の日常の筋トレに同じ反応の大きさをそのまま当てはめることはできない。[1]

この仕組みを知ると、「筋肉が動いた結果だけが心臓に伝わる」という一方向の見方は狭いと分かる。一方で、中枢の関与をそのまま「不安な考え」の意味に置き換えてはいけない。運動を遂行する指令と、休憩中に失敗を心配する気持ちは、同じ言葉でまとめられる対象ではない。[1][7]

レビューでは、筋肉の収縮によって筋肉内の圧が高まり、血液の流入が妨げられることと、血圧の上昇の関係も論じられている。つまり、負荷中の循環反応には実際に力を出している体の条件がある。時計の数字を見て「気持ちを落ち着けられないせいだ」と片づける説明では足りない。[1]

休憩の椅子でこの話を使うなら、結論は精神論ではなく観察の分け方になる。「次の重さを見て気になった」と「持ち上げている間にきつかった」を別々の言葉で残す。気持ちの変化を記録することはできるが、それを循環反応の唯一の原因と決めない、という使い方である。[1][7]

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始める前の変化を測った試験は何を見たか

運動経験のある男性8人、女性7人を対象とした試験では、同じ参加者が重いスクワットを行う条件と、運動しない対照条件を、順序を無作為にして経験した。運動条件は、最大で5回反復できる重さのスクワットを6セット行うものだった。日常の軽い運動とは負荷の場面が異なる。若い女性も含むが、筋トレ経験者の結果なので、18〜39歳の女性全般にそのまま当てはめるには経験と負荷の違いを考える必要がある。[4]

研究者が測ったのは、白血球にあるβ2アドレナリン受容体の発現と、血中のアドレナリン、ノルアドレナリンである。受容体は、ホルモンなどの情報を細胞が受け取るための仕組みだ。単球という白血球の一種では、運動を予期する段階でその発現が増えた。血中の両ホルモンは運動中に増加し、回復中には基準の水準へ戻った。[4]

ここで、開始前の受容体と運動中のホルモンを混同しないことが肝心である。「待っているだけで血中ホルモンが運動中と同じになった」という結果ではない。細胞の種類によっても経過は異なり、単球と顆粒球の受容体発現は運動中に減少し、リンパ球では回復時点に増えていた。[4]

別の試験でも、運動経験のある女性7人、男性8人が、重いスクワットと対照条件に無作為の順序で参加した。こちらは、白血球の一種であるB細胞のグルココルチコイド受容体を調べた。18〜39歳の女性への応用を考える際も、経験のある男女の試験と初心者の日常運動の違いを踏まえる必要がある。運動を予期する段階で発現が増え、運動中に減り、回復中に再び増えたという経過だった。[5]

この試験では、血中コルチゾールの反応にも男女の違いがあった。男性では運動中に増加し、女性では有意な増加が認められなかった。同じ課題でも指標の反応には男女差が見られた。ただし、小規模な試験の違いを、そのまま「女性は緊張しない」と読み替えることもできない。[5]

これらは、運動開始前にも体の変化が起こりうることを考える手掛かりである。一方、受容体の発現は本人が感じる動悸の強さではない。開始前の細胞の変化を見つけたことと、休憩中の脈を説明し終えたことの間には距離がある。[4][5]

重りの数字より、自分にとっての重さが関わる

高齢男性を対象にした運動介入研究では、12週間の筋力トレーニングの前後で、腕のカールと脚のプレス中の心拍数や血圧を比較した。持ち上げられる最大重量は、脚で24%、腕で54%増えた。トレーニング後に以前と同じ絶対的な重さを持つと、運動中の循環反応は小さくなった。対象が高齢男性なので、18〜39歳の女性に同じ期間や改善幅をそのまま当てはめることはできない。[3]

ただし、強くなった後の最大重量を基準に同じ割合の負荷をかけると、心拍数や血圧はトレーニング前に同じ割合の負荷で測ったものと同程度だった。前と同じ重りで比べるのか、その時点の最大能力に対する同じ割合で比べるのかによって、答えが変わる。[3]

この「最大能力に対する割合」が相対強度である。重りの表示が同じでも、持つ人やトレーニングの前後によって相対強度は異なる。研究者は結果を、循環反応のかなりの部分が絶対的な力より相対強度に結びつく中枢の先回りの仕組みと整合すると解釈した。直接、心配する考えを操作した試験ではない。[3]

休憩中に「前にも持てた重さだから」と自分を急かすとき、この比較の違いを思い出したい。過去の重量の記録は有用だが、今の負担についての記録も横に置く。隣の人と重りをそろえることや、以前の数字を守ることだけを、再開の判断材料にしないという実務上の整理になる。[3]

比較の具体例として、以前と同じ重りを扱う日と、今の最大能力に合わせて重りを増やす日を考える。前者は絶対負荷をそろえ、後者は相対強度をそろえる方向の比較になる。「トレーニングを続けたのに脈が前と変わらない」という感想も、どちらの条件なのかを確かめてから読むべきである。研究では条件を変えれば比較の結果も違った。[3]

この研究の対象が高齢男性である点も残しておきたい。若い女性の仕事帰りの運動で、同じ期間に同じ変化が起こると予告する数字ではない。生活に持ち帰れるのは、決まった改善幅よりも比較条件の考え方だ。自分の記録に「重さは同じ」「前より反復しやすかった」と書けば、重量の欄を更新しなかった日にも、検討する材料が残る。[3]

休憩中の不安を、この相対強度と同一視する必要もない。難しそうに感じたことと、実際にその人の最大能力に対してどの割合だったかは、別の情報である。心配したから重すぎた、心配しなかったから適切だった、と逆算しない。研究で用いた負荷の条件と、自分が言葉にする気持ちの両方を残し、片方で片方を説明し切らない読み方がよい。[3][4]

数字で読む、準備と負荷の研究

男性8人・女性7人:運動前の白血球受容体を調べた、運動経験者の試験の規模である。[4]

5回反復できる重さを6セット:受容体の試験で用いられた重いスクワットの条件で、初心者への処方ではない。[4][5]

12週間:高齢男性の心拍数と血圧の変化を比較したトレーニング期間である。[3]

108から94拍/分:トレーニング前の最大重量の80%という同じ絶対負荷で脚のプレスをした際の、心拍数の平均値の変化である。[3]

31人:努力の程度と血圧反応を調べた実験に参加した、健康な男性の人数である。[7]

疑問の続きは、体で確かめるのがいちばん早い。

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宮川涼 Founder

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