姿勢の歪みがわかるアプリは誰でも同じ精度?検証した人と測る項目を読む

姿勢の歪みがわかるアプリの数字は、自分の体にも同じ精度で当てはまるのか。走行とジャンプのメタ分析、肩の可動域、立位の荷重、スクワットの補正研究から、平均誤差と個人のずれ、検証した人と測る項目を分けて読む。画面の線を体の成績表にする前に、対象者と測定条件を確認する。

試着室の鏡では気にならなかった肩に、姿勢アプリの画面では斜めの線が引かれる。歪みらしい角度まで出る。推しのライブが近い週だと、その数字が余計に目につく。友人と同じアプリなのに、自分の画面だけ気になる。体型のせいだと考えたくなるのは自然だが、そこで原因まで決めるのは早い。

答えの芯は、誰の体でも同じ精度だとは扱えない、ということだ。画像から動きを測る研究では、同じ技術の仲間でも、対象者、動作、関節、測る方向によって参照法とのずれが異なる。走行で小さな誤差だった結果を、自宅の立ち姿の採点に移すことはできない。[1][2][14]

ただし、「自分の体型は学習データに少ないから誤判定された」と原因まで決めるのも、同じだけ飛び越えている。学習に使った人の構成、完成した仕組みを試した人、測った項目、撮る位置は、別々に確かめる対象である。この記事は体の形の優劣を探すものではなく、画面の数値を受け取る条件を整理するものだ。

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画面の線は、体の成績表ではない

マーカーレス動作計測とは、体に目印を付けず、映像を利用して動きを測る方法である。研究では、目印を付ける方式などの参照法と同時に計測し、関節角度がどれほど一致するかを調べている。スマホ1台で使う仕組みもあれば、複数のカメラを使う仕組みもある。この名称だけで、同じ測定器だと考えないほうがよい。[6][17][19]

ここで大切なのは、角度が測れることと、その角度を健康上の問題として判定できることを分ける姿勢だ。走行の股関節角度を比較した研究が答えるのは、その走行条件での角度の一致である。家で立った写真に付いた「歪み」という名称の妥当性まで、その結果の検証範囲を超える。[1]

たとえば、立ち姿の画面を見て、腰の線をもっと水平にしなければと思ったとする。そこで先に尋ねたいのは、良い姿勢の形ではなく、「この数値は何を測ったものか」である。関節の角度なのか、左右の荷重なのか。後述する立位の研究では、足への荷重割合の推定には大きな個人差があり、研究者は臨床での使用を受け入れられないと判断している。立っている映像を使うからといって、測る項目は区別する必要がある。[14]

既存記事「姿勢改善の写真は撮る高さでも違う?顔の変化とカメラの測定誤差を研究で読む」には撮影位置の論点を譲る。「姿勢改善のアプリは通知だけでも役立つ?振動の合図と外した後の姿勢を読む」には、合図としての使い方を譲る。隣の記事「姿勢のチェックは腕で腰が隠れても測れる?見えない関節の推定と写真の限界」では隠れた部位を扱う。ここでは、検証に参加した人と自分との距離、測る項目の違いに焦点を置く。

スマホ1台で歩行の矢状面の角度を測った研究では、健康な成人20人の股関節、膝、足首を慣性センサ方式と同時に記録した。級内相関係数は股関節0.914、膝0.934、足首0.723、二乗平均平方根誤差は股関節7.73度、膝7.48度、足首6.38度だった。研究者は臨床的に受け入れられる範囲だと判断している。自宅の立ち姿の歪み判定まで、この歩行課題の検証範囲を超える。[17]

疑問の続きは、体で確かめるのがいちばん早い。

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平均の誤差と、個人のずれを分けて読む

まず研究全体の見通しを押さえたい。走行中の下肢を扱った系統的レビューとメタ分析は、複数研究を決めた方法で集め、結果を統合したものである。含まれたのは8研究で、矢状面の角度を比較した。統合された誤差は股関節3.84度、膝4.30度、足首3.93度だった。[1]

この誤差は二乗平均平方根誤差という指標で、英字ではRMSEと表す。参照値からのずれをまとめた数値であり、すべての人の測定がちょうどその角度だけずれる、という意味ではない。股関節の統合値の95パーセント信頼区間は2.53〜5.15度であった。統合値の不確かさを示す幅であり、個人の測定値に付ける保証範囲とは区別したい。[1]

ジャンプ課題のメタ分析では20研究が集まり、同じ矢状面の誤差は股関節5.3度、膝4.4度、足首4.9度であった。股関節の95パーセント信頼区間は2.9〜7.6度で、仕組みや使用状況によって成績のばらつきが大きいことも報告された。前額面、つまり体を正面から見る方向では、股関節3.0度、足首7.5度だった。跳躍の高さの偏りはマイナス2.9センチメートルである。走行とジャンプの数字は、別の研究の集合で得られたものだ。並べて読めても、動作だけが誤差の違いを生んだと断定はできない。[2]

肩の可動域を遠隔で測る技術をまとめた系統的レビューとメタ分析は、26研究を対象にした。参照法と比べると、統合された平均の偏りは2.63度で、やや大きめに見積もる傾向があった。病気のある集団では偏りが4.33度、健康な対象では2.37度と、ばらつきの見え方が違った。病気のある人を含む統合結果を18〜39歳の女性にそのまま当てはめるには、健康状態と測定動作の照合が必要だ。[3]

小さい誤差という見出しだけを切り取ると、スマホの表示もかなり正確だと思いやすい。しかし、統合された結果は対象となった測定技術と動作条件に結び付いている。走行のレビュー自身も、結論の範囲をそのように限定している。自分が使うアプリと同じ方式かを確かめる工程は、省けない。[1]

友人との比較にも同じ注意が要る。自分と友人の角度が違っても、測定のずれと実際の違いをその場で切り分けるには別の検証が要る。画面の小数点は細かいが、検証結果が持つ幅は残る。研究の平均値は、個人の体を並べる順位表として読むより、測定方法の見通しとして読むほうが適切だ。[1][2]

検証された人の構成は、体型の保証書ではない

女性を含む成人の検証例もある。30人を対象にした研究では、女性18人、男性12人が、ジャンプ、頭上に腕を上げたスクワット、ランジ、方向を変える走行を行った。平均年齢は25.4歳、身長は1.71メートル、体重は71.6キログラムで、それぞれの標準偏差は8.6歳、0.08メートル、11.5キログラムであった。[19]

標準偏差は、参加者の値の散らばりを表す指標である。平均身長と平均体重だけでは、集団の全員が似た体格だったのか、違う人を含んでいたのかが見えにくい。この研究では散らばりも示されている。ただし、その平均に近ければ自分の角度も正確に測れる、という通行証として使うものではない。集団の紹介と個人の精度予測は役割が違う。[19]

この比較では、マーカーレス方式の矢状面の誤差が3.20〜15.66度、前額面では2.12〜9.14度、ひねりの方向に相当する横断面では3.160〜56.61度だった。同じ参加者を測っても、測定方向や項目まで一律の精度にはならない。慣性センサ、色と距離を撮るカメラと比べると、マーカーレス方式の一致が最も高かった。研究者は、動作や測定場所、使う人の技術を踏まえた方式選びを勧めている。[19]

ここで女性が参加している点には意味があるが、「女性なら同じ精度」と広げることはできない。この研究が示すのは、こうした構成の成人で、これらの動作を比較した結果である。体型の区分別に保証された精度を知りたいなら、それに対応する結果を確認する必要がある。[19]

学習データは仕組みを作るために用いる情報で、検証対象者は完成した仕組みを試す人である。両者を同じ名簿のように扱わないことが出発点になる。「女性を含む研究で検証済み」という説明から、学習時の女性の割合までは読み取れない。測定器の適用範囲を尋ねるのに、自分の体を先に直す必要はない。

数字で読む姿勢推定の適用範囲

走行の8研究:矢状面の股関節角度の統合誤差は3.84度で、95パーセント信頼区間は2.53〜5.15度。[1]

ジャンプの20研究:矢状面の股関節角度の統合誤差は5.3度で、95パーセント信頼区間は2.9〜7.6度。[2]

肩の可動域26研究:参照法より平均2.63度大きく見積もり、病気のある集団では4.33度、健康な対象では2.37度だった。[3]

健康な成人男性30人のスクワット:補正前の股関節はマイナス11.2度、膝はマイナス10.6度と系統的に小さく見積もられた。[8]

立位の荷重比較:若年成人、高齢成人、脳卒中のある人が各12人参加し、一致限界は偏りの上下に12.8〜33.6パーセントだった。[14]

歩行の不確かさの検証:68人を対象に、ステップ長の誤差の中央値は約16ミリメートルだった。[11]

疑問の続きは、体で確かめるのがいちばん早い。

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宮川涼 Founder

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