ダイエットの運動を始めたら太った?筋肉の糖と水の比率で体重を読めるか

ダイエットで運動を始めたのに体重が増えると、脂肪が増えたのか気になる。筋肉に蓄える糖であるグリコーゲン、運動後の補充、体水分が体組成の推定に与える影響を論文から読む。糖と水の比率で増加分を計算してよいか、食事を削る前に何を分けて考えるかを、研究の対象と期間に沿って整理する。

運動着を洗濯に出し、翌朝は少し期待して体重計に乗る。ところが表示は増えている。昨日の努力を取り消すような数字に見えて、朝食のご飯を減らそうかと手が止まる。

運動を始めた後の体重増加を、そのまま脂肪の増加と読むことはできない。筋肉には糖を蓄える仕組みがあり、運動後には使った糖を補充する働きがある。また、短期間の食事比較では、糖の蓄えと体水分の変化が、脂肪以外の重さの推定に影響する。[17][16]

ただし、増えた分をすべて水と決めるのも早い。ここでは糖と水の固定比率を体重計の数字に当てはめず、運動中の消費、運動後の補充、測定で見える重さを分けて考える。体重を減らすことが全員の目標である必要はない。数字をどう受け止めるかを考えるための読み物である。

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筋肉の糖は、使った後に補充される

グリコーゲンは、体が糖を蓄えるときの形である。運動とインスリンの相互作用を扱ったレビューでは、食事の後に分泌されるインスリンが、糖をグリコーゲンとして蓄える方向に働く一方、運動中には蓄えた燃料を動員して使う必要があると整理されている。インスリンとは、食後の糖の貯蔵などを調節するホルモンである。[17]

この説明の要点は、運動の最中と、その後で体の仕事が変わることだ。運動中は燃料を使い、終わった後は使った蓄えを戻す。レビューは、運動した筋肉でインスリンへの反応が高まり、糖がグリコーゲンの再合成に向かうと説明している。再合成とは、使った蓄えを作り直すことだ。[17]

夕方に体を動かして、帰宅してから夕食を取る。その食事で入った糖を「せっかく使った燃料を台無しにするもの」と考える必要はない。運動後の糖の補充は、筋肉で起きる回復過程の一部として理解できる。ただし、補充が起きる仕組みを知ることと、自分の体重増加の原因を特定することは別の作業である。[17]

運動前後を同じ状態として比べると、ここが見えなくなる。昨日の運動で糖を使ったという話と、今日の筋肉にどれだけ糖があるかという話は、同じ答えにはならない。間に食事と回復があるからだ。運動直後の状態だけを想像して、翌朝も糖の蓄えが減ったままだと決めつけないことが大切になる。[17]

競技者の高強度運動も扱う、トレーニングによる筋肉の代謝適応のレビューでは、筋肉の大きさ以外にも変化が挙げられる。筋線維の性質、毛細血管、ミトコンドリアの量や機能、筋肉内のグリコーゲンや脂質の蓄えなど、多くの項目が挙げられている。ミトコンドリアは細胞でエネルギーを作る働きを担う構造である。競技者の知見を含むため、18〜39歳の女性が日常的な運動を始めた場合の変化量に、そのまま当てはめることはできない。[5]

したがって、運動を始めた体を、ただ軽くなる方向だけに動くものとして描くのは狭すぎる。燃料を使う能力や蓄える状態も、研究が扱う変化に含まれる。このレビューを読む目的は、初心者の増加幅を判定することより、体内で何が変わるかを知ることにある。[5][17]

疑問の続きは、体で確かめるのがいちばん早い。

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糖と水の比率を、その朝の体重に掛けない

「糖が増えると水も動く」と聞くと、体重の増加分から筋肉に戻った糖を逆算したくなる。しかし、体重計が示すのは全体の重さであり、その表示だけではグリコーゲンの増加量と体水分の変化量を分けて取り出せない。食事法を比較した知見でも、糖と体水分の移動は体組成の推定を読む際の注意点として扱われている。[16]

主に健康で活動的な成人や競技者を扱い、過体重・肥満の人の臨床研究も参照した国際スポーツ栄養学会の見解は、ケトン食と、より糖質の多い食事の比較を整理している。ケトン食とは糖質を強く制限する食事法である。その見解では、ケトン食は体重と体脂肪を減らす一方、比較対象より除脂肪量が大きく減る傾向があり、とくに短い試験ではグリコーゲンと総体水分の変化が推定値に影響しうるとされる。対象が幅広いため、18〜39歳の女性の運動開始後の体重変化に、そのまま当てはめることはできない。[16]

除脂肪量は、脂肪を除いた体の重さを指す。ここを「筋肉そのものの量」と読み替えると、食事で変わった水分まで筋肉の増減として受け取ってしまう。比較試験で除脂肪量が動いたときは、筋肉の組織だけが動いたと決めず、糖と体水分も関わる推定値として読む必要がある。[16]

この指摘は、糖と水がいつでも一定の比率で増減するという意味ではない。また、糖質を減らす食事の試験を、そのまま運動を始めた人の翌朝に移してよいわけでもない。食事法の違いを比べる問いと、個人の運動開始後の増加を説明する問いでは、比較している条件が違う。前者は後者を考える材料になるが、答えを丸ごと代行はしない。[16][17]

たとえば、運動後に普段どおりの夕食を食べた朝と、主食を控えたままの朝を比べたとする。差を見て「運動が脂肪を増やした」と結論する前に、食事の条件も動いていたかを確認したい。これは水分量を家庭で計算する方法ではない。食事と運動を同時に変えた結果を、運動だけの成績と呼ばないための整理である。[16][17]

比率を知りたいという問いの奥には、増えた数字に説明をつけたい気持ちがある。その気持ちに、もっともらしい換算式で応じる必要はない。「脂肪が増えたと確定していない」と「水だけだと確定した」の間には幅がある。その幅を残したまま記録を見る方が、糖と体水分が推定に関わるという研究の扱いに沿っている。[16]

減った重さと、動ける状態は別に確かめる

では、数字を早く減らすために食事をさらに削ればよいのか。持久系の運動習慣がある女性を対象にした試験は、その発想に別の問いを置く。持久系の運動を行う女性12人が参加した無作為化クロスオーバー試験では、同じ参加者が、利用できるエネルギーの少ない食事条件と、十分な条件を、それぞれ14日間経験した。トレーニングを積んだ女性の結果であり、18〜39歳の女性全般にそのまま当てはめるには、運動習慣の違いを考慮する必要がある。[12]

利用できるエネルギーとは、運動の消費を考慮して体の働きに使える分を捉える考え方である。この研究での条件設定は、個人への食事量の処方ではない。参加者は食事条件が異なる間もトレーニング量を維持し、筋肉の測定や運動能力の検査を受けている。日常で食事を少し変えた人の感想とは、比べ方が異なる試験である。[12]

エネルギーの少ない条件では、筋肉のグリコーゲンやミトコンドリアの呼吸能力などは変わらなかった。一方、20分間の持久運動テストの成績は7.8%低下し、出力の差はマイナス16.8 W、95%信頼区間はマイナス23.3〜マイナス10.4 Wだった。信頼区間は、推定した差の不確かさを表す範囲である。[12]

ここで大切なのは、糖の蓄えが変わらなくても運動能力は低下したという組み合わせだ。「グリコーゲンが足りていれば、食事を削っても問題ない」とは読めない。逆に、動きが重い日の理由をすべてグリコーゲン不足に帰す読み方も、この結果には合わない。糖の量と運動の成績は、同じ検査項目ではないのである。[12]

この対象は持久系のトレーニングをしている女性であり、運動を始めたばかりの人全般を代表するわけではない。それでも、体重を動かすことだけを食事変更の評価にしないという読み方にはつながる。階段を上るときの感じや、予定した運動を行えたかも記録に添える。家庭の記録を実験の成績と同一視せず、相談時に状況を伝える材料として残すのである。[12]

運動の評価に使う言葉も、ここで分けておきたい。「蓄えが戻る」は燃料の話であり、「筋肉が成長する」は組織の変化の話である。「持久運動の成績が上がる」は、決められた運動課題で発揮した能力の話になる。どれも運動と関係するが、同じ測定結果の言い換えではない。糖が補充される仕組みを、筋肉の成長や運動成績の向上の証明として使わないことが、体重の読み違いを減らす。[17][5][12]

また、食事を変える理由も区別したい。運動後に使った糖を補充することと、長く続けられる食事法を選ぶことは、重なる部分があっても目的が異なる。成人の減量食に関する見解は、糖質と脂質の割合を個人の好みに合わせられるとしている。糖質を多くするか少なくするかという二択で、すべての人の正解を決めてはいない。体重表示の変化だけを理由に、これまでの食事を急に別の型へ切り替える必要があるかは、改めて考えたい。[16]

数字で読む糖の蓄えと運動の評価

12人:食事のエネルギー条件を比較した、持久系の運動習慣を持つ女性の人数である。[12]

14日間:同じ女性が各食事条件を経験した期間であり、初心者の体重増加が続く期限ではない。[12]

7.8%低下:エネルギーの少ない条件での持久運動テストの成績変化である。[12]

50人:運動と食事助言を組み合わせた効果を調べた、糖尿病予備群などの男女の人数である。[2]

16週間:その試験の介入期間であり、翌朝の体重変化を説明する時間幅とは異なる。[2]

疑問の続きは、体で確かめるのがいちばん早い。

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宮川涼 Founder

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