スクワットは毎日同じ回数まで粘る?途中の減速と翌日の予定で考える切り上げ方

スクワットを毎日何回行えばよいか迷うとき、回数だけでは見えないのが途中の減速である。速度低下の幅を変えた試験から、疲れ方、翌日の回復、筋力や筋肉の変化を読む。重りを使った研究と自宅の自重運動を区別し、固定回数まで粘る前に確認したい条件と記録の残し方を考える。

スクワットの終盤、しゃがむところまでは同じなのに、立ち上がる動きだけが重くなる。予定の回数はまだ残っている。明日も脚を使うのに、残りを粘ることが今日の成果になるのだろうか。

答えの芯は、回数だけで切り上げどきを決めないことである。重りを使うスクワットの試験では、反復中の速度低下を大きく許すほど疲労が強く、回復が遅れる場合があった。一方、減速を小さく抑えても筋力は向上しており、粘った回数だけでは成果を判定できない。[8][14]

ただし、これを「自宅では特定の割合だけ遅くなったら終わる」という処方にはしない。研究の測定条件と、自分が感じる遅さは区別したい。痩せるための必須回数を決める話ではなく、毎日同じ数字を追う前に、今日の反復がどんな負担になっているかを考える話である。[8][18]

既存記事「スクワットは毎日同じ速さで行う?一回の所要時間と途中の減速を分けて読む」には、立ち上がる動作の内側で速さが変わる論点を譲る。こちらは反復を重ねたときの減速を終了条件にして、その後の回復と成果まで比べる。

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同じ回数でも、終わり方はそろわない

研究でいう速度低下とは、反復を続ける間に挙上速度がどの程度落ちたかを表す指標である。スクワットの研究では、速度を測る機器を使い、決めた低下幅に達したところでセットを終える方法が用いられている。セットとは、休息を挟むまでのひとまとまりの反復である。単にゆっくり運動する指示とは、設定している条件が異なる。[8][18]

この違いが分かりやすいのが、筋トレ経験のある男性16人を対象にした無作為化クロスオーバー試験だ。同じ参加者が異なる条件を経験し、バーベルのスクワットで速度低下の幅を10%、20%、30%に変えて比較した。平均の反復回数は、それぞれ4.2回、6.4回、7.8回だった。大きく遅くなるまで続ける設定ほど、多く反復していた。男性の経験者での比較であり、18〜39歳の女性の自重スクワットに同じ回数の関係を直接当てはめることはできない。[18]

そのときセットの平均挙上速度は、同じ順に毎秒0.66m、0.62m、0.59mであった。回数を多く積んだ条件では、平均の速さも低かった。回数欄だけを見ると量の違いに見えるが、実際には動きの出力も変わっている。予定の数字をそろえることと、反復の質をそろえることは同じではない。[18]

さらに、この試験では各条件で5セット行う間に反復回数が減り、その変化の個人差も認められた。一定の速度低下で終えるという同じルールでも、毎回の回数は変わる。回数が変わることは、必ずしも練習の失敗を意味しない。どこで終えるかという条件をそろえた結果、回数が変わる練習もあるのである。[18]

自宅の記録へ移すなら、「何回できたか」の隣に「終盤はどうだったか」という欄を作る発想になる。ただし、これは研究の測定を再現したものではない。見た感じの減速を、機器で測った速度低下と同じ数値には置き換えない。この線を残しておくと、記録が精密そうな顔をして独り歩きするのを防げる。[8][18]

既存記事「スクワットは毎回声色を変えると覚えやすい?単調さと回数の記憶を分けて考える」には数える行為と記憶の論点を譲る。ここで扱うのは、数えた回数が正しいと分かった後にも残る問いだ。その回数まで粘った結果、次の予定へどんな疲れを持ち越すのかを見ていく。

疑問の続きは、体で確かめるのがいちばん早い。

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翌日の予定があるなら、減速の大きさも読む

筋トレ経験のある男性15人の無作為化クロスオーバー試験では、フルスクワットを最大挙上重量の70%で3セット行い、速度低下20%、30%、40%で終える条件を比べた。最大挙上重量とは、持ち上げられる最大の重さを指す。加えて、反復の途中に休息を置くクラスター方式で、速度低下20%とする条件も調べている。男性の経験者で測った回復経過のため、18〜39歳の女性にも同じ時間で回復するかは、この試験だけでは判断できない。[8]

運動後の評価は、直後だけでなく6時間後、24時間後、48時間後にも行われた。速度低下40%の条件では、24時間後にもジャンプ高と所定の重りを挙げる速度が有意に低下した。30%の条件では、48時間後のジャンプ高などに有意な低下が認められた。追い込んだ直後のつらさだけでは、負担の時間的な広がりを捉えきれない。[8]

一方、20%の条件とクラスター方式では、6時間後、24時間後、48時間後の評価で有意なパフォーマンス低下は認められなかった。ここでいうパフォーマンスは、研究で測った挙上速度、ジャンプ高、短距離走などである。「有意な低下がなかった」を、「誰にも疲れがなく、毎日行える保証」と読むのは飛躍だ。対象と測定した能力の範囲で受け取る必要がある。[8]

30%と40%の数字だけを並べると、低下幅が大きいほど、すべての項目がより長く悪化するように想像しがちだ。しかし実際の結果は、検査項目と測定時点の組み合わせで違っている。この試験が支持するのは、高い速度低下を許す条件で疲労が強まり、回復が遅くなるという全体の傾向である。特定の割合から回復時間を機械的に計算することではない。[8]

翌日に階段の多い移動や別の運動を控えているなら、今日だけの達成回数で終点を決めない、という考え方につながる。研究のようなジャンプ検査を家庭で課す必要はない。むしろ、次の日にも脚を使う予定があることを、始める前のメモに入れておきたい。明日の用事は、今日のカウンターには表示されない。[8]

途中で休むと、回数と疲労の組み合わせが変わる

前の試験で注目したいのは、速度低下20%で連続して行う条件より、クラスター方式のほうが総反復回数は多かった点だ。それでも、後の測定では両条件に有意なパフォーマンス低下がなかった。クラスター方式は、総反復回数が近かった30%、40%の条件と比べると回復が速かった。量を増やす方法は、休まず続けて終盤の減速を受け入れる方法だけではない。[8]

筋トレ経験のある女性と男性36人を無作為に分けた別の試験でも、クラスター方式と従来の連続したセット構成を比較している。期間は6週間で、種目はバックスクワットだった。男女の筋トレ経験者を含む結果であり、18〜39歳の女性全般への適用には、経験と負荷の違いを考慮する必要がある。クラスター方式ではバーの速度が高く保たれ、速度低下、血中乳酸、主観的なきつさで示される急性の疲労が小さかった。[5]

この試験で、最大挙上重量の改善を表す効果量はクラスター方式で0.28、従来方式で0.23だった。効果量とは、変化の大きさを比較しやすくした指標であり、増えた重量そのものではない。筋持久力にも両方式で同程度の改善が見られた。疲れを小さくした方式でも、筋力や筋持久力を伸ばせた点が判断材料となる。[5]

ただし、ジャンプ高と等尺性の最大筋力には有意な改善が認められなかった。等尺性とは、関節を動かさずに力を出す条件をいう。ある評価で改善したから、伸びた能力は評価項目によって異なる。途中で休む方式を選ぶ場合も、何を保ち、何を伸ばしたいかを区別しておきたい。[5]

自宅では「途中で止まったら、そこまでの分は無効」と扱わなくてよい。ただし、自宅で任意に挟んだ休息と、研究で設定した休み方は区別する。記録としては、連続して行った日と休息を挟んだ日を分けて残すのが筋の通った使い方である。同じ総回数という理由で、休み方の違いを消してしまわない。[5][8]

休み方を比べるときには、総反復回数が近い比較と、疲労が近い比較を分けて読むと理解しやすい。男性15人の試験で、クラスター方式は、量が近い条件に対しては回復の速さに利点を示し、疲労が近い条件に対しては量を多く実施できた。単に「休むと楽になる」という説明より、何をそろえた比較なのかが具体的になる。[8]

また、女性と男性を含む6週間の試験では、女性の血中乳酸と主観的なきつさは低かったが、長期の適応は男女で似ていた。つらさの表れ方と、後に得られる変化も同じ尺度ではない。疲れた表情やきつさだけを見て、隣の人より十分に練習できているかを採点する必要はない。[5]

仕事帰りの短い時間に運動を終えたい場面では、休むことが予定からの脱落に見えることもある。そんなときは、続けた回数と休んでから追加した回数を、ひと続きの記録へ押し込めずに残したい。これは休息時間を指定する提案ではなく、比較条件を保存する工夫だ。休息を挟んだ研究の結果を読むにも、その条件が書かれていることが欠かせない。[5][8]

数字で読むスクワットの減速と回復

速度低下10%、20%、30%で終える条件の平均反復回数は、4.2回、6.4回、7.8回。筋トレ経験のある男性16人での比較である。[18]

速度低下40%の条件では、24時間後にもジャンプ高と挙上速度が有意に低下。筋トレ経験のある男性15人の試験である。[8]

速度低下20%で終えた群は40%の群より反復回数が40%少なくても、スクワット筋力の向上は同程度だった。若年男性22人の試験である。[14]

睡眠を制限した女性の試験では、総負荷量の減少は1%未満でも、下半身の複合種目の平均挙上速度は最大15%遅くなった。[15]

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宮川涼 Founder

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