ダイエット中のラムネを量だけで選ぶ前に、酸味のある菓子と歯の接触を考える。普通味と酸味を強めた菓子の実験、唾液の量と酸性度の測定、子どもの酸味の好みの研究を読み、口に留める習慣を見直す視点を示す。実験の数値を食べてよい時間や個数に置き換えず、ラムネにも一律に広げない読み方である。
午後の会議が終わり、机の引き出しからラムネの袋を出す。甘さのあとに酸味が残るので、すぐ食べ終わる日もあれば、頬の内側に置いたまま次の資料を読んでいる日もある。袋の残りは見えるが、口の中で歯に触れていた時間は袋に印刷されていない。
ダイエット中のラムネを考えるときにも、量とは別に酸味と接触の仕方を見る余地がある。通常味と酸味を強めた菓子を比べた実験では、酸味を強めた菓子で歯の表面の損傷が概して深かった。ただし、これは歯を菓子の混合液にさらした実験であり、市販のラムネすべての影響や、食べてよい時間を決めた結果ではない。[2]
ここでの答えは、酸っぱいラムネを選べばダイエットによい、ではない。菓子の酸性度、口に留める習慣、唾液の状態を分けて考えることである。既存記事「間食の飴は短時間で食べればよい?糖の量と口から消えるまでの時間を読み解く」に時間一般の問いを譲り、こちらは普通味と酸味を強めた菓子の比較を中心に読む。既存記事「ダイエットの間食のチョコは練り方で変わる?練る時間と香りの残り方を読む」が扱う製造工程と香りからも、歯への接触という問いを分ける。[2][3]

普通味と酸味を強めた菓子は同じではない
比較実験では、菓子を人工唾液または水に溶かし、その混合液の酸性度と、歯の表面に生じた損傷の深さを測っている。人工唾液とは、実験で唾液の働きを検討するために用いる液体である。対象は実験に用いた歯の表面であり、18〜39歳の女性が食べたときの影響へそのまま当てはめることはできない。[2]
調べたのは、もともとの味の菓子と酸味を強めた種類である。歯の表面の損傷は、概して酸味を強めた種類のほうが深かった。また、人工唾液に溶かした場合より、水に溶かした場合に深かった。味の種類だけでなく、周囲の液体も結果に関わった点が大切である。[2]
通常味にも歯の表面を酸で損なう可能性があり、酸味を強めた種類では、より注意が必要という結論である。「普通味なら影響がない」とする比較ではない。比較対象より小さいことと、影響が存在しないことは別であり、店頭では普通味にも目を向ける必要がある。[2]
ラムネという名前だけで、この実験の結果を割り当てることもできない。ここで比べたのは研究対象になった菓子であり、すべてのラムネを同じ条件で試した結果ではない。だから日常に持ち帰るのは銘柄の順位ではなく、酸味の違いを確かめる視点である。袋の表に同じ果物の絵があっても、研究上の比較条件まで同じとは扱わない。[2]
たとえば、仕事机の引き出しに普通味と酸味の強い菓子を置いているなら、どちらを食べたかだけを思い出すより、食べ方も一緒に振り返るとよい。酸っぱいほうを頬に置いて長く楽しむのか、次の菓子へ続けて手が伸びるのか。研究は、摂取の多さや口の中に溜める習慣、唾液の少なさに注意した予防的な助言を求めている。[2]
これは間食を楽しむことへの点数付けではない。歯への接触を考えるとき、食べた菓子の種類だけで説明を終えないための確認である。小さい袋を持っているという事実と、酸を含むものが口にどう留まったかという事実は、同じ記録欄には収まらない。[2]
初日の汗は、予約した人だけが持ち帰れる。
酸性の強さと、打ち消すのに必要な量を分ける
この比較研究は、酸性の程度を示すpHと、滴定酸度を測っている。滴定酸度は、酸を中和するのに必要な量から酸の性質を見る指標である。ひと口に「酸っぱい」と言っても、研究者はひとつの数値だけで菓子の影響を説明していない。[2]
歯の損傷の深さは、混合液の初期pHとは負の関連、滴定酸度とは正の関連を示した。つまり、この実験では初期pHが低いほど、また滴定酸度が高いほど、損傷が深い傾向だった。酸性の強さを測る視点と、どれほど中和が必要かを見る視点が、同じ比較の中にある。[2]
ただし、関連があるという結果を、どの数値から何倍傷むという計算式にはできない。商品ごとの比較に用いた測定値であり、読者の歯で起きる変化の速度を直接表してはいない。口の中に置く場所や唾液の状態まで異なる日常へ持ち込むときには、測定の対象が何だったかを残して読む必要がある。[2]
別の実験では、弾ける菓子とチョコレートを人工唾液に溶かし、酸性度と歯のエナメル質の変化を調べた。エナメル質とは歯の外側の硬い部分であり、微小硬さはその表面の硬さを小さな範囲で測る指標である。実験で表面の硬さが下がったことと、食べた人がその場で歯を失うことは同じ話ではない。[1]
この研究では、健康な永久歯の小臼歯と乳歯の切歯をそれぞれ33本用い、各菓子5gを人工唾液2mlに溶かした。対象は取り出した歯であり、18〜39歳の女性の口の中へそのまま当てはめるには条件が異なる。菓子の味を比べるだけでなく、どの歯を、どの液体に、どれほどの菓子と接触させたかが結果の土台になっている。[1]
硬さへの影響は、オレンジ味、イチゴ味、チョコレートの順に大きく、接触後は表面の粗さも増した。比較の差は統計的に有意だったが、数値の順位をそのまま果物の味全体の順位にはしない。研究で使った製品と、別の配合の菓子は区別する必要がある。[1]
弾ける菓子の研究では、試した菓子のうちキャンディーのpHだけが、研究でエナメル質の臨界pHとされた5.5を下回っていた。それでも研究全体の結論は、弾けるチョコレートとキャンディーによって表面の微小硬さが低下した、というものだった。ある数値の線をまたいだかどうかだけで、測定結果の全体を代用しない読み方が必要になる。[1]
この5.5は、論文が用いた比較の目安として読む値である。店頭で味見をして自分で測れる値でもなく、口の中の状態を確かめずに菓子へ貼る安全の印でもない。pHに加えて滴定酸度を測り、さらに歯の硬さや粗さを調べた研究の組み立てを見ると、評価の対象がひとつではないことが分かる。[1]
数値の違いには、測り方の違いも含まれる。人工唾液に混ぜた菓子の酸性度と、人の口の中で測った唾液の酸性度では、数字が付いている対象が異なる。比較の条件を飛ばして小さい数字だけを並べると、製品の液体を測った結果と、食べた後の反応を測った結果が混ざってしまう。[1][3]
唾液が増えても酸性度まで安心とは限らない
酸っぱいものを口にすると、唾液が出た感覚を持つことがある。その感覚を「口の中が元通りになった」と読み替えないことが、この題材の難しいところである。健康な協力者にスプレー型の菓子を与えた研究では、唾液の流量が増えた一方で、唾液のpHは下がった。18〜39歳の女性にそのまま当てはめる際には、固形のラムネとスプレー型菓子という摂取形態の違いも考える必要がある。[3]
対象は市販のスプレー型菓子7種類であり、研究室での測定と、人の唾液の測定を組み合わせた研究である。菓子自体のpHは1.9〜2.3だった。これは固形のラムネを測った値ではなく、調べたスプレー型菓子の値である。酸味のある菓子をすべて同じ数字で説明するための値ではない。[3]
協力者に単回投与した後、唾液の流量は短時間に3.0〜5.8倍になり、同時に唾液のpHは4.4〜5.8へ低下した。量が増える変化と、酸性になる変化が同時に起きている。唾液が多い感じがする、というひとつの体感だけでは、もうひとつの変化を判定できない。[3]
普通味と酸味を強めた菓子の比較でも、人工唾液には保護的な働きが示唆された一方、酸味を強めた菓子では保護が期待しにくいとされた。唾液の働きがあることは、酸味を強めた菓子を長く口に留めても差し支えない、という許可にはならないのである。[2]
研究室の人工唾液と人が分泌する唾液は、同じ対象ではない。それでも、液体の条件を変えた実験と、人の流量・pHを測った研究は、唾液の量だけで判断を終えないという点でつながる。袋から次の菓子を出す前に、唾液が出るから大丈夫だと思っていないかを振り返る材料になる。[2][3]
スプレー型菓子の研究は、中和に必要な量も測っている。0.25Mの水酸化ナトリウムを用いたとき、必要量は0.8〜1.6mlと種類によって異なった。この数値は実験室で使う薬液の量であり、飲み物をどれほど飲めばよいかという指示ではない。同じスプレー型の括りでも、酸の性質が一様ではなかった点を読むための結果である。[3]
数字で読む酸味のある菓子と歯の接触
25時間:通常味と酸味を強めた菓子の混合液に、歯の表面を接触させた実験時間。推奨する摂取時間ではない。[2]
各33本:弾ける菓子の実験に使われた永久歯と乳歯の本数。参加者数ではない。[1]
5gと2ml:弾ける菓子と人工唾液を混ぜた条件。日常の口の中の濃さを示す値ではない。[1]
7種類:酸性度と唾液の反応を調べたスプレー型菓子の種類数。[3]
3.0〜5.8倍:スプレー型菓子の投与後に短時間増加した唾液の流量。歯の保護効果の倍率ではない。[3]
初日の汗は、予約した人だけが持ち帰れる。
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