脂肪燃焼量の計算はたんぱく質も含める?呼気と尿で分ける燃料の内訳を読む

脂肪燃焼量は、消費カロリーや体脂肪の減少量と同じではない。呼気と尿中窒素を使う間接熱量測定を入り口に、たんぱく質の寄与、食事による燃料の変化、総消費量との差を論文で読む。測定した対象と時間、比較した食事を確かめ、運動後に目にする数字を自分の体の評価へ急いで結びつけないための視点を示す。

同じ消費カロリーでも、使った燃料の内訳は同じだろうか。運動を終え、記録を眺める。「このうち脂肪はどれだけだろう」と考えたところで、計算の話は急に難しくなる。研究で使われる間接熱量測定は、呼気のガス交換と尿中窒素を手がかりに、エネルギー消費や使われた燃料を調べる方法である。脂肪だけを直接量る測定ではない。[1]

答えの芯は、たんぱく質も燃料の内訳に関わる、ということだ。したがって「消費したエネルギーの全部が脂肪だった」とは扱えない。食事条件によってたんぱく質の酸化が変化する試験があり、脂肪や糖質だけを見て終わらない読み方が必要になる。[4][19]

既存記事「有酸素運動でたんぱく質も燃える?強度と時間で変わる燃料と食事の読み方」には運動中の燃料選択の問いを譲る。ここで確かめるのは、研究に出てくる脂肪燃焼量の数字が、どんな測定と比較から作られたかだ。運動後に記録を見返すときにも、計算の前提は置き去りにしないでおきたい。

呼気データを何分で平均するかは、既存記事「脂肪燃焼の測定は何分の平均で読む?呼気の揺れと燃料の計算を分けて研究で読む」に譲る。こちらは平均時間の選択ではなく、たんぱく質を含む燃料の内訳と、総消費量の読み分けを扱う。

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脂肪燃焼量は、呼吸だけで確定する数字なのか

間接熱量測定についての方法論・臨床レビューは、吐く息のガス交換と尿中窒素を測り、エネルギー消費と基質利用を評価する方法と説明している。基質とは、この文脈では体がエネルギーのために使う燃料のことだ。酸化は、燃料を使ってエネルギーを得る過程を指す。日常語の「燃焼」を、研究では燃料ごとの酸化として読んでいく。[1]

このレビューの主な対象は重症の小児患者である。正確な測定には精密な機器が必要だと述べている。小児の臨床で測る値を、18〜39歳の健康な女性の運動後の値にそのまま当てはめることはできない。ここから借りるのは、測定が呼気と窒素という手がかりを組み合わせる、という方法の骨組みである。[1]

「たんぱく質の補正」と聞くと、測定後に余分なものを消す操作に思えるかもしれない。だが、たんぱく質も含めて燃料の利用を評価することが本来の問題だ。呼気由来のエネルギー消費と、燃料別の酸化を同じ言葉でまとめてしまうと、どこにたんぱく質の情報が必要なのか見えにくくなる。[1]

数字を読む入口では、まず何を結果にした研究かを確かめたい。「エネルギー消費量を測定した」と「脂肪の酸化量を比較した」では、見ている結果が異なる。実際、食事を変えて脂肪酸化が増えても、総エネルギー消費に差がなかった試験がある。この違いが、計算の内訳を読む理由になる。[5]

たとえば運動記録に消費カロリーだけが載っていたら、そこに書かれているのはその項目までだと受け止める。自分の想像で「脂肪由来」という見出しを足さない。呼気と尿を使う研究の方法を知ることは、家庭で同じ検査を再現することよりも、表示された項目の意味を取り違えないことに役立つ。[1]

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尿の窒素は、燃料の内訳を考える手がかりになる

たんぱく質の関わりを具体的に見る例が、健康な男性を対象に食事の糖質量を変えた比較試験である。男性6人が、たんぱく質のエネルギー比率を15%に保ち、糖質比率を85%、44%、2%に変えた等エネルギー食をそれぞれ11日間とった。安静時のエネルギー消費は間接熱量測定で、窒素の排泄は尿で調べられた。男性を対象にした結果なので、18〜39歳の女性の変化量へそのまま当てはめることはできない。[18]

糖質が最も少ない条件では、尿中窒素排泄が増加した。平均値は高糖質、中間、低糖質の順に10.91、12.79、15.89 g/24時間であった。一方で、食事の糖質比率は安静時エネルギー消費には影響しなかった。使われる体内成分に関わる変化と、安静時の総消費の変化は、同じ動きをしなかったのである。[18]

この研究は、エネルギー量を同じにしても、極端な糖質の減少によってたんぱく質の異化、つまり分解して使う側の代謝が増えたと結論している。食事の総カロリーを揃えても、たんぱく質の寄与は変わる例だ。ただし小規模な男性の試験であり、ここから読者全員の変化量を計算することはできない。[18]

尿中窒素の数字を、筋肉の減少量へ直接読み替えることにも注意したい。大腸手術後の患者18人を対象にした別の無作為化試験では、十分な栄養と低エネルギーの栄養を比較した。尿中窒素の損失には群間差がなかったが、窒素収支には差があり、十分な栄養を与える条件で収支が保たれた。手術後の患者の結果であり、18〜39歳の健康な女性の日常の代謝へそのまま当てはめることはできない。[17]

窒素収支は、窒素の出入りを差し引いて捉える指標である。「尿にどれだけ出たか」という項目と、「出入りを差し引いてどうなったか」という項目は区別して読む必要がある。手術後の結果を運動の助言にするのではなく、同じ研究でも排泄量と収支を別々に示していることに注目したい。[17]

数字の単位にも目を置く。尿中窒素のグラム、たんぱく質酸化のグラム、脂肪酸化の増加率は、並んでいても交換できる数字ではない。臨床試験が測る窒素の損失と、食事試験が報告する燃料の酸化を、見出しの「消費」だけで一緒にしないことが大切だ。[4][17][18]

たんぱく質を増やすと、計算の前提も動く

過体重の男女17人を対象にした無作為化二重盲検クロスオーバー試験では、エネルギー量を揃えた食事で、たんぱく質と糖質を置き換えた。クロスオーバーとは、同じ参加者が異なる条件を経験して比較する設計である。ホエイ由来の微小ゲルを30 g、50 g、またはカゼインを50 g含む条件などが比べられた。過体重の男女の結果であり、18〜39歳の女性全体に同じ変化が生じるかは、この比較だけでは判断できない。[4]

食事誘発性熱産生、つまり食事に伴うエネルギー消費の増加は、対照で6.7%、ホエイ30 gで13.0%、ホエイ50 gで18.0%、カゼイン50 gで16.0%であった。ホエイ50 gと30 gの差は統計的に有意だったが、ホエイ50 gとカゼイン50 gの差は有意ではなく、傾向にとどまった。[4]

この試験では、ホエイ50 gの条件はカゼイン50 gの条件よりたんぱく質酸化が高かった。著者らは、たんぱく質の酸化が熱産生の重要な要因になり得ると考えている。だから、食後の消費が増えたという話を、すべて「脂肪が多く燃えた」と訳すことはできない。[4]

さらに、持久系トレーニングを行う男性ランナー5人の無作為化クロスオーバー試験でも、摂取量でたんぱく質酸化は変化した。体重当たりの摂取量を変えた食事を各3週間続け、評価したのは安静時の代謝である。走っている最中だけの測定として読むと、対象と時間を取り違える。男性ランナーの安静時の結果を、18〜39歳の女性の運動中の値にそのまま当てはめることはできない。[19]

高たんぱく条件では低たんぱく条件より、ロイシンというアミノ酸の酸化と、分解を示す指標が高かった。一方、合成の指標には食事間の差がなく、窒素収支は高たんぱく条件でより大きかった。酸化が増えることと、出入りの収支が悪くなることを、同義にはできない結果である。[19]

ここでの要点は、大量のたんぱく質を試すことではない。摂取条件が変われば、たんぱく質に関わる代謝の数字も動くということだ。食前と食後、普段の食事と特別な補給の日を比べるなら、その条件差を書き添えて初めて数字を読む足場ができる。[4][19]

食事試験の百分率は、何を分母にした数字なのかも大切だ。食事誘発性熱産生として示された割合と、条件間でたんぱく質酸化が高かったという結果は、同じ項目ではない。熱産生の割合をそのまま脂肪の重量へ換算するのではなく、試験が別々に測った結果を、そのまま別々に受け止める必要がある。[4]

また、たんぱく質の量を変えた研究と糖質を極端に減らした研究は、どちらもたんぱく質の代謝を扱うが、問いが異なる。前者は摂取量の違いに対する代謝の応答を、後者は同じエネルギー量で糖質構成を変えた応答を調べている。「食事を変えた研究」という共通点だけで、同じ補正値を使えると考えないほうがよい。[18][19]

記録するなら、数字だけをメモするより「どの条件と比べた値か」を一緒に残す。ホエイの量の違いなのか、ホエイとカゼインの違いなのかで、得られた差の解釈も変わる。この試験でも、量の比較で有意だったことと、種類の比較で傾向にとどまったことは、同じ強さの証拠ではない。[4]

数字で読む燃料の内訳

17人:たんぱく質の量と種類を比べた、過体重の男女の食事試験である。[4]

18.0%:ホエイ50 g条件の食事誘発性熱産生の平均値。脂肪の減少率ではない。[4]

15.89 g/24時間:糖質比率が2%の条件での尿中窒素排泄の平均値である。[18]

32%:難消化性でんぷんを用いた試験での脂肪酸化の増加率。総消費量には差がなかった。[5]

33人:筋力運動とたんぱく質補給を調べた、健康な高齢男性の試験の参加人数である。[3]

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宮川涼 Founder

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