ダイエットで筋トレと有酸素運動の割合に迷ったら、時間だけでなく使う筋肉と種目を確かめたい。走る運動と自転車では、直後の脚の力と長期の筋肥大で結果が異なる。メタ分析と女性の研究を手がかりに、同じ脚を使う組み合わせの見直し方と、上半身なら影響がないと言い切れない理由を読む。
スクワットを終えた脚で、ランニングシューズを履くか、自転車のサドルに座るか。運動する時間は決めたのに、「筋トレと有酸素運動の割合」を検索して、また予定表が白紙になる。同じ脚を使ってよいのかが気になるなら、時間を分ける前に、何を続けて、何の変化を確かめたいのかを決めたい。
答えの芯は、筋トレと有酸素運動の併用による影響は、測る能力や種目によって違うということだ。性別・年齢を限定せず健康な成人を対象とした研究をまとめたメタ分析では、筋肉全体の大きさと最大筋力に明確な不利益はなく、素早く力を出す能力では伸びが小さくなった。[4] 18〜39歳の女性だけの結果ではないため、そのまま自分の伸び幅を予測する数字には使えない。したがって、この結果を「痩せるための最適な時間配分」に読み替えることはできない。
既存記事「ダイエットの筋トレと有酸素運動は別日にする?同じ総量で考える週間予定の組み方」には日程の論点を譲る。持ち時間の配分は「ダイエットの有酸素運動と筋トレは何対何?週の持ち時間をそろえて考える割合」の問いである。ここで考えるのは、同じ脚を使う種目を並べたとき、その日の疲れと後から育つ力をどう区別するかだ。

割合の前に、同じ脚で何を伸ばしたいか
筋トレと持久的な運動を組み合わせて続ける方法を、研究では同時トレーニングと呼ぶ。併用によって、筋トレだけの場合より適応の一部が小さくなる現象が「干渉」である。ここでいう適応とは、練習を続けたあとの筋力や筋肉の大きさなどの変化だ。[4][10] 運動を終えたときの疲労感だけを指す言葉ではない。
割合を決めるときには、そもそも何を数えるかが必要になる。運動に使った時間か、実施した種目か、脚に負荷をかけた内容か。スクワットの時間には休憩が含まれ、自転車ではこぎ続ける時間が並ぶ。時計の面積を同じにすることと、同じ筋肉への負荷をそろえることは別の作業だ。予定表の色分けだけでは、脚の仕事内容は見えない。
この違いを考えるうえで参考になるのが、筋トレの処方を同じにして、有酸素運動を加えた群と加えない群を比べる研究である。更新された系統的レビュー・メタ分析は、健康な成人に対する監督下の介入を集め、筋トレの内容を同一にした比較を採用した。[4] 「筋トレを減らして有酸素運動に置き換える」場合とは、問いの立て方が違う。
したがって、併用しても筋肥大が損なわれなかったという結果は、筋トレの量をどれだけ減らしても同じ成果が出るという意味ではない。逆に、干渉があったという結果も、有酸素運動をした時間の分だけ筋肉が失われるという意味ではない。[4] 比較の土台を確認しないまま割合だけを持ち帰ると、研究とは違う予定を組むことになる。
日常の目標も分けておきたい。重い物を持つ力を育てたいのか、素早く動く力を磨きたいのか、筋肉の大きさを変えたいのか。それらの評価は研究でも分かれている。[4] 体重を減らすことを全員の前提にせず、自分が続けたい動きから考えるほうが、どの結果を読むべきかも定まる。
初日の汗は、予約した人だけが持ち帰れる。
筋肉の大きさと素早い力は、同じ成績表ではない
健康な成人の研究をまとめたメタ分析には、43研究が含まれた。筋トレ単独と比べた併用の標準化平均差は、最大筋力で−0.06、筋肥大で−0.01、爆発的筋力で−0.28だった。[4] 標準化平均差とは、測定尺度の異なる研究をまとめるため、差を共通の尺度に直した値である。筋肉がその割合だけ減ったという数字ではない。
最大筋力の95%信頼区間は−0.20〜0.09、筋肥大では−0.16〜0.18と、差がないことを表すゼロをまたいだ。一方、爆発的筋力は−0.48〜−0.08だった。[4] 平均すると、最大限に出せる力と筋肉全体の成長には明確な差がなく、短い時間で力を立ち上げる能力には小さい不利益が認められた、という読み方になる。
ここで、筋トレと有酸素運動は打ち消し合うという一括りの説明は支持されない。[4] ただし、素早く力を出す練習まで含めて何も影響しないとも言えない。スクワットで扱う重さが増えることと、跳ぶ動作の力が伸びることは、同じ「脚が強くなる」の中でも別の成績なのである。[4]
自転車と走行を分けた解析では、このメタ分析は有酸素運動の種類による有意な影響を認めなかった。[4] 「自転車なら筋肉を守れる」「走ったら筋肉が育たない」という断定にはならない。平均的な結果に大きな違いが見つからないことと、個々の練習内容まで等しいことも分けて読む必要がある。
この節の主役は筋肉の大きさと力である。運動後の体重や汗の量を、ここで示した筋肥大の効果量と並べても同じものは比べられない。検索語にはダイエットとあっても、測った項目が筋力なら、その結果はまず筋力の話として受け取る。研究の数字を自分の目的に近づけるには、結論を広げるより、評価の名前を確かめるほうが先だ。
走るか自転車かで、研究の答えが逆に見える理由
古くから引用される21研究のメタ分析では、筋トレに走行を組み合わせた場合、筋肥大と筋力の伸びに不利益が認められ、自転車ではその結果が認められなかった。[10] 持久的な運動の頻度や時間と、筋肥大・筋力・パワーの効果量の間にも負の関連があった。[10] これは関連の解析であり、時間を延ばせば必ずその分だけ筋肉が育たなくなるという因果の式ではない。
この結果だけなら、自転車へ替えれば解決しそうに見える。しかし、先ほどの更新されたメタ分析では、筋肉全体の大きさや最大筋力に併用の明確な不利益はなく、走行と自転車の種類による影響も有意ではなかった。[4] 古い結果を捨てる必要も、新しい結果を万能な保証にする必要もない。対象となる研究のまとまりと、比べている結果をそろえて読むことが大切だ。
さらに、性別・年齢を限定しない健康な成人の研究を集め、筋肉を構成する筋線維の太さを調べた15研究のメタ分析は、筋肉全体を測った研究とは少し違う結果を示した。筋線維全体の肥大に対する標準化平均差は−0.23、95%信頼区間は−0.46〜−0.00だった。[3] 筋トレだけに比べ、併用では筋線維の成長が小さくなる可能性を示す、小さい、境界的な結果である。18〜39歳の女性に絞った推定ではないため、この差をそのまま当てはめるのは慎重にしたい。
持久的な働きに関わるⅠ型筋線維では、走行を組み合わせた解析で−0.81、95%信頼区間−1.26〜−0.36の不利益が認められた。一方、自転車では同じ結果は認められず、著者らは種目による違いを予備的な証拠として位置づけている。[3] 筋線維の一部の結果を、脚全体の筋肉量が大きく減るという話に拡張しないことが要点だ。
筋肉全体では明確な差がなくても、細かい構成要素では差が見える可能性がある。[3][4] 写真で見た脚、測定した筋肉全体、採取して調べた筋線維は、同じ対象を別の縮尺で見ている。縮尺を変えた結果が完全に一致しないからといって、測定の目的に応じて使い分ければよい。日常の種目選びには、細かな不利益の可能性も知りつつ、筋肉全体と機能の結果を軸に据えたい。
筋線維の解析では、Ⅰ型とⅡ型を別々にまとめた全体の結果は、どちらも信頼区間がゼロをまたいだ。Ⅰ型は−0.34で95%信頼区間−0.72〜0.04、Ⅱ型は−0.13で−0.39〜0.12である。[3] 走行を行った一部の研究を抜き出した結果と、筋線維の種類ごとに全体をまとめた結果を混同すると、種目の違いを実際より確実なものにしてしまう。
また、更新メタ分析の対象は、少なくとも4週間の監督下の練習である。[4] 今夜の運動で脚が重かったという経験を、その平均値で説明しきることはできない。予定を見直す場面では、続けたあとの成長を相談しているのか、その日の筋トレを行いやすくしたいのかを分ける。この区別を持ったまま、次に直後の筋力を測った結果を見ると、種目による違いも整理しやすい。
数字で読む種目と測定の違い
43研究:筋肉全体の大きさと力を比べた更新メタ分析に含まれた研究数。[4]
−0.01:併用による筋肥大の標準化平均差。95%信頼区間は−0.16〜0.18。[4]
−0.28:爆発的筋力の標準化平均差。95%信頼区間は−0.48〜−0.08。[4]
15研究:筋線維の太さを評価したメタ分析に含まれた研究数。[3]
0.79:訓練経験のある男性で、有酸素運動直後の筋力低下を表した標準化平均差。低下方向を正で示した値である。[6]
初日の汗は、予約した人だけが持ち帰れる。
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