ストレス発散のカラオケは意味の分かる歌がよい?歌詞の理解と気分を読み解く

ストレス発散のカラオケでは、歌詞の意味が分かる曲を選ぶべきなのか。歌う活動を調べた系統的レビューや比較試験から、言葉の理解、曲への親しみ、歌った後の気分を分けて考える。日本語と外国語の優劣を決めつけず、研究の対象と結果を確かめながら、自分に合う選曲の見方を整理する。

カラオケの伴奏が流れる前に、予約した曲を入れ替えたくなる。言葉が今の自分に重なる日本語の曲と、意味は全部分からないけれど口ずさめる外国語の曲。ストレスを発散したい夜には、どちらを入れればよいのだろう。

歌詞の意味が分かる曲ほど発散できる、とは現時点で決められない。歌う活動を広く調べた系統的レビューでも、心理面の良い変化を示した研究と、効果を示さなかった研究はほぼ拮抗している。歌うことへの期待と、歌詞を理解することへの期待は分けて持ちたい。[3]

既存記事「ヨガの音楽は歌詞があると集中しにくい?言葉と動作を同時に追う負担を読む」には、運動中の集中という問いを譲る。ここで考えるのは、自分が声を出すカラオケで、言葉を選曲の基準にどこまで使えるかである。

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意味が分かることと、気持ちが軽くなることは別の問い

「分かる歌」という言い方には、違う条件が混ざっている。言葉を聞いて内容を説明できること、歌詞を見ずに口が動くこと、昔から何度も聴いていること。同じ曲で重なる場合もあるが、選曲の際には別々に確かめたい。外国語の歌でも歌い慣れていることはあるし、日本語の新曲でも歌詞を追うので精いっぱい、という場面はある。

ここで使う「意味が分かる」は、歌詞が何を述べているか自分の言葉で言い直せる、という日常的な目安である。研究用の検査基準ではない。意味の理解を、歌の上手さや記憶の良さの点数に置き換える必要はない。

音楽を自分で行う活動と心身の良好な状態を検討した系統的レビューは、50本の論文を対象としている。多くは、参加者を無作為に割り付ける方法ではない準実験であり、個人で歌う活動と集団で歌う活動が多く扱われた。心理面では肯定的な結果と効果を示さない結果がほぼ同程度で、若年・中年成人の合唱研究では肯定的な結果が多かった。幅広い活動をまとめた結果であり、18〜39歳の女性のカラオケにそのまま当てはめるには、対象と活動の違いを考慮する必要がある。[3]

この結果は「歌えば必ずすっきりする」という説明を支持しない。一方で、歌う楽しみを否定する結果でもない。研究の対象となった活動には、声を出すことだけでなく、人と集まることや、決まった活動に参加することも含まれる。レビューでは社会面の良い変化が主に集団歌唱で報告されており、心理面や生理面とは結果のまとまり方が異なる。[3]

このレビューでいう良好な状態は、気分だけを指していない。心理面、生理面、社会面という異なる側面が整理されている。生理面の測定は主に歌唱活動で行われたものの結果は混在し、社会面では集団歌唱を中心に肯定的な結果が多かった。「良かった」という短い紹介を見たときも、何の評価が良くなったのかまで読む必要がある。[3]

カラオケで知りたいことも同様に具体化できる。声を出す時間が楽しかったのか、歌詞を自分の状況と重ねられたのか、友人と同じ歌を歌えてうれしかったのか。これは研究尺度の代わりにはならないが、自分が欲しかった体験を確かめる問いにはなる。全部を「ストレスが減った」にまとめず、気になった感想をそのまま残してみたい。

したがって、言葉を理解することを最優先にして外国語の曲を候補から外す根拠にはならない。逆に、意味を考えずに歌う方がよいと決める根拠にもならない。まずは「今日は歌詞を味わいたいのか、慣れた歌を声にしたいのか」と、選ぶ目的を言葉にするところからでよい。

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親しみのある歌と、歌詞を理解できる歌を分ける

認知機能が低下した高齢者を対象とする集団歌唱の系統的な検索とレビューでは、23研究の実施方法が比べられた。参加者は主に女性で、多くが70歳を十分に超える年齢であり、親しみのある歌を歌う活動が多かった。18〜39歳の女性の日常のカラオケに、そのまま当てはめることはできない。[10]

実施条件をもう少し見ると、このレビューの集まりは典型的には週に1回、1時間を超える長さで、2〜3か月にわたって行われ、平均の実施回数は14回だった。研究ごとに集団の大きさや実施の仕方にはかなりの違いがあった。親しい曲を選ぶという共通点だけを抜き出すより、継続する活動として組み立てられていたことも含めて読む方が正確である。[10]

この数字は、カラオケを同じ頻度で予約する提案ではない。高齢者への支援をどう設計していたかを示す情報である。忙しい週に歌えなかったことを、研究の条件を満たせなかった失敗にする必要はない。自分の余暇の選択と、支援プログラムの実施条件は違うものとして扱いたい。

この「親しみのある歌」という条件は、カラオケの選曲を考えるときにも目を引く。ただし、親しみと歌詞の理解は同じではない。昔から知っている曲には、旋律を覚えていることや、その歌を知る人が周りにいることも含まれうる。研究で親しい曲が使われているからといって、意味の理解だけが働いたと読むことはできない。[10]

また、このレビューが中心に置いたのは、活動をどのように実施したかという比較である。親しい歌と未知の歌のどちらがストレス発散に優れるかを決める試験として扱うべきではない。認知機能の低下がある高齢者への集団活動と、若い成人が仕事帰りに選ぶカラオケとでは、参加の目的も場面も異なる。[10]

選曲画面では、曲名だけで決めず、自分がどの部分を知っているのか振り返ると整理しやすい。旋律は知っているが歌詞は初めて読むのか。意味は分かるが歌うのは初めてなのか。どちらも普段から楽しんでいるのか。この確認は曲の優劣を採点するためではなく、歌い終えた感想を取り違えないための準備である。

日本語の曲で楽しかった夜に「意味を理解できたから効いた」と結論するのは早い。同行者と好きな曲が重なったのかもしれないし、久しぶりに歌えたことがうれしかったのかもしれない。理由を無理に決めなくても、その曲をまた選びたいという感想は残せる。体験の価値と、原因についての説明は別々に持ってよい。

歌った後の気分は、何と比べるかで読み方が変わる

比較相手を工夫した研究として、認知症のある介護施設入居者15人が参加した、無作為化クロスオーバーの予備試験がある。クロスオーバーとは、参加者が順番に両方の条件を経験する方法である。研究では歌う活動と会話の活動を比べ、音楽の有無以外を近づけて、参加中の感情や関わり方などを調べた。認知症のある施設入居者への活動なので、18〜39歳の女性の余暇にそのまま当てはめることはできない。[4]

結果は、歌う活動では専門職介護者の負担が軽くなり、会話の活動では参加者の良好な状態の評価が改善した。一方、活動中の関わり方と感情には、歌と会話の間で差が見られなかった。小規模な予備試験であり、どちらかが明確に優れるとは結論されていない。[4]

これは、歌による気分転換を、歌だけの手柄にしないための例になる。歌った後に楽しかったという感想と、会話など別の活動より良かったという比較は、答えている問いが違う。さらに「歌詞の意味が分かるから良かった」という説明をするには、言葉の条件を比べる必要がある。研究を読む際には、この段階を飛ばさないことが大切だ。[3][4]

例えば立川駅北口で友人と合流し、食事の後にカラオケへ行った夜を想像してほしい。帰り道の気分を振り返るなら、歌の言葉だけでなく、会って話せたことも感想に含めてよい。楽しさを細かく分解しすぎる必要はないが、特定の選曲法を誰にでも勧めるときは慎重でありたい。

この認知症の試験を、そのまま健康な成人のカラオケに当てはめることもできない。役立つのは「何と比べたのかを見る」という読み方である。無活動との比較、会話との比較、異なる歌詞条件との比較では、確かめられる答えが変わる。自分の知りたい問いに研究の比較相手が合っているかを確認したい。[4]

数字で読む歌う活動の研究

50本:音楽を自分で行う活動と良好な状態を調べた系統的レビューの対象論文数。心理面の結果は一様ではなかった。[3]

23研究:認知機能低下のある人への集団歌唱で、実施方法を比べたレビュー。親しみのある歌が多く使われた。[10]

15人:歌と会話を比べた認知症の予備試験。活動中の感情と関わり方に条件間の差はなかった。[4]

199人:産後の抑うつ症状がある母親を、集団歌唱と地域の母子活動に割り付けた試験の参加人数。[19]

2.5点:慢性肺疾患のある人への歌唱試験での精神面の生活の質の平均治療効果。95%信頼区間は−1.9〜6.8点で、有意な改善ではなかった。[2]

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宮川涼 Founder

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