朝ごはんのウインナーは残留量で安心を決める?亜硝酸塩と加熱後の成分を読む

朝ごはんのウインナーを焼くと亜硝酸塩が減るなら、毎日食べても安心なのか。残留亜硝酸塩とニトロソアミンを分け、ゆでる・焼く・電子レンジの比較研究を読む。肉の種類や保存中の変化、色で判断できない理由も確かめ、成分の減少を健康リスクの減少と取り違えない朝の選び方を考える。

パンを焼きながら、フライパンのウインナーを転がす。少し焦げたところで「焼けば添加物が減るのだろうか」と手が止まる。残る成分を減らしたい気持ちと、香ばしく食べたい気持ちが、同じフライパンに乗っている。

答えの芯は、亜硝酸塩が減ることだけで安心を決めない、である。豚・牛のソーセージの予備実験では焼くことで残留亜硝酸塩が50%減った。一方、別の乾燥塩せきソーセージの実験では、焼く・揚げる処理でニトロソアミン類の含有量が高くなった。測っている物質が違うので、「減った」と「増えた」は両立する。[2][3]

既存記事「糖質制限のウインナーは焼き方も選ぶ?加熱で変わるソーセージの成分を読む」には調理法全体の比較を譲る。ここで考えるのは、朝ごはんに繰り返し登場するウインナーを、残留成分の数字だけで選んでよいか、という問いだ。朝の支度で使える判断と、数字だけでは決められない判断を分けたい。今朝の焼き色から、将来の健康までを一足で判定しないための読み方を整理する。

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亜硝酸塩とニトロソアミンは別の項目である

亜硝酸塩は、肉の塩せきなどに使われる食品添加物であり、食品の保存に関わる。製造時に加えた量と、食べるときに食品に残っている量は同じではない。残留亜硝酸塩とは後者を指す。製造後の時間や調理を考えず、最初の添加量をそのまま口に入る量とみなすと、摂取量の見積もりがずれる。[2]

ニトロソアミン類は、残留亜硝酸塩とは別に分析される化合物の一群である。乾燥塩せきソーセージを調べた実験では、残留亜硝酸塩、ニトロソアミン類、生体アミン類をそれぞれ測っていた。生体アミン類にはヒスタミンやカダベリンなどが含まれ、加熱によって増えた成分と減った成分があった。[3]

この区別は専門用語の暗記ではない。検索結果に「加熱で減少」と出たら、まず何が減ったのかを見るための区別だ。亜硝酸塩が少なくなったという結果を、ニトロソアミンも少なくなったと読み替えることはできない。実際に同じ実験の中で、調理による残留亜硝酸塩の減少と、焼く処理による特定のニトロソアミン類の増加が観察されている。[3]

また、加工肉という区分は、牛や豚という動物の名前とは異なる。評価レビューでは、風味や保存性を高める目的で塩漬け、塩せき、発酵、燻煙などを施した肉を加工肉としている。鶏肉を含む製品もその範囲に入りうる。白い肉に替えれば加工という条件も消える、という整理にはならない。[8]

朝の買い物では「何の肉か」「どう加工されたか」「何を測った結果か」を別々に確かめたい。袋にある言葉を健康の順位表に並べ直す前に、比較の項目をそろえるのである。肉の種類の比較と調理後の成分の比較を混ぜると、研究が答えている問いから離れてしまう。[2][8]

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焼くと半減した数字は、製品と実験の条件を伴う

Merinoらは、スウェーデンで子どもがよく食べる肉製品を対象に、亜硝酸塩の時間経過による変化を調べた。対象は豚・牛のソーセージ、レバーパテ、鶏ソーセージの異なる種類で、合計4製品である。製造工程、保存、ゆでる処理、焼く処理が、最初に加えた亜硝酸塩の量にどう関わるかを追っている。人に食べてもらい健康の変化を比較する試験ではなく、食品成分と摂取量推計の研究だ。18〜39歳の女性が食べ続けた場合の健康への影響に、そのまま当てはめることはできない。[2]

添加した時点から24時間後の最初の採取までに、亜硝酸塩は大きく減少した。その後も推奨される使用期限まで減ったが、減少の速さは緩やかだった。しかも鶏製品では、後半の減少が豚・牛製品より小さかった。同じ「ソーセージ」という名称でも、時間に伴う残り方まで同一ではなかったのである。[2]

よく目を引く50%という数字は、その研究に含まれる豚・牛ソーセージの予備実験の結果である。焼く処理では残留亜硝酸塩が減ったが、ゆでる処理では影響が見られなかった。したがって「ウインナーなら焼けばいつも半分になる」という家庭用の換算係数にはできない。対象が特定の製品であることと、結果が予備実験から得られたことを、割合と一緒に持ち帰る必要がある。[2]

この研究は、鶏製品のほうが残留亜硝酸塩の水準が高かったとも報告している。赤い肉から白い肉に食べ方を切り替えると、条件によっては亜硝酸塩への曝露が増える可能性があると指摘した。これは鶏製品全体を避ける勧めではなく、肉の色の印象と特定成分の残留量が一致しない例である。[2]

時間がたつと減るという結果も、家庭で保存を延ばす提案に変えてはならない。研究が追っていたのは推奨される使用期限までの成分変化であり、残留量の減少を理由に期限を超える判断とは別である。朝食の準備では製品の保存・調理表示を先に確認し、亜硝酸塩の数字を下げるための独自の保存方法を作らない、という使い方が適切だ。[2]

残る量が減っても、別の成分は増えうる

Liらが比較したのは、乾燥塩せきソーセージに対する、ゆでる、フライパンで焼く、油で揚げる、電子レンジで加熱する処理である。加熱前の試料に含まれる総ニトロソアミン量は5.31 μg/kgだった。ここでの単位は食品の重さ当たりの濃度であり、朝食で食べた量や発症の確率を表す数字ではない。[3]

焼く処理と揚げる処理の後には、ゆでる処理や電子レンジ処理と比べ、ニトロソアミン類の含有量が有意に高かった。ゆでる処理と電子レンジ処理は、加熱前との間で差が認められなかった。だから「ゆでれば元よりニトロソアミンが減った」と説明するのも正確ではない。増やさなかったという比較結果と、減らしたという比較結果は区別する。[3]

焼く処理では、ニトロソアミン類のうち、ニトロソジメチルアミン、ニトロソジエチルアミン、ニトロソピロリジンが増えていた。他方でヒスタミンとカダベリンは減った。ゆでる処理と電子レンジ処理では、総生体アミン量が有意に減少した。加熱後の成分を、全部まとめて「悪いものが抜けた」と呼べないことがよく分かる。[3]

研究者はこの成分比較から、塩せき肉にはゆでる処理と電子レンジ処理がより適しているとした。対象は乾燥塩せきソーセージであり、18〜39歳の女性への健康効果を確かめた試験ではない。家庭で使う製品の必要な加熱を省いたり、電子レンジならどんな扱いでもよいとしたりする結論ではない。食品実験での比較を調理法の参考にしながら、実際の製品の扱いは表示に合わせる、という順番になる。[3]

先ほどの研究ではゆでても亜硝酸塩に影響がなかったのに、こちらでは調理処理で残留亜硝酸塩が有意に減った。一見食い違うが、同じ食品を同じ条件で追試した比較ではない。前者は豚・牛ソーセージの予備実験、後者は乾燥塩せきソーセージの調理比較である。「ゆでる」という動詞だけをそろえて、残る量も同じはずだと考えないほうがよい。[2][3]

調理の比較を読むときは、比べた相手にも目を向けたい。「ゆでるより焼くほうが高い」という結果は、加熱前よりどれほど増えたかという問いとは異なる。Liらの研究は、調理法どうしの比較に加え、加熱前の試料との比較も行っている。そのため、ゆでる処理と電子レンジ処理については、ニトロソアミン類が加熱前と異ならなかった、という説明まで区別できる。どの料理が一番かという順位だけでは、この情報が落ちてしまう。[3]

さらに、総量と個別の物質にも違いがある。総ニトロソアミンの測定値は、研究で分析した物質をまとめて見た数字である。一方、焼く処理によって増えたと報告された個別の物質名もある。「ニトロソアミン」というひとまとまりの呼び方で読み進めてもよいが、特定の物質の変化を、すべての物質に共通する動きとして広げないことが大切だ。亜硝酸塩とニトロソアミンを分けた後にも、分析項目の違いは残っている。[3]

数字で読む残留量と加熱後の成分

4製品:亜硝酸塩の時間経過を調べたスウェーデンの肉製品。全国の製品平均ではない。[2]

24時間:添加後の最初の採取までの時間。この間に亜硝酸塩が大きく減少した。[2]

50%:豚・牛ソーセージの予備実験で、焼く処理後に減った残留亜硝酸塩の割合。[2]

5.31 μg/kg:乾燥塩せきソーセージの加熱前の総ニトロソアミン濃度。安全の境界値ではない。[3]

50〜60℃:加工肉の実験で、発色割合の増加が特に見られた温度帯。家庭の加熱目標ではない。[4]

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宮川涼 Founder

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