ダイエットのプロテインはカップの色で甘く感じる?器の目印と飲む前の期待を読む

ダイエット中のプロテインが苦手で、カップの色を変えれば甘く感じるのか気になる人へ。色分けカップ、警告表示、官能評価、加糖飲料の介入研究から、器の見た目と飲む前の期待、実際の配合を分ける。液体そのものの色は譲り、自分で飲み比べるときにそろえる条件を整理する。

夜11時、講義のあとで立川に戻る。新しい色のマグカップに、いつもの粉を溶かす。一口目が昨日より甘い気がする。袋は替えていない。甘く感じたという感想は、その夜の事実として残してよい。ただし、器の色が甘さを増やした、と決めるのはまだ早い。

色のついたカップを使った試験はある。健康な成人20人に、エタノールまたはプラセボを色分けしたカップで渡し、その後の夜にカップの色を手がかりとして寝る前の飲料を選ばせた比較試験である。[1] プラセボとは、ここでは比較のために使うエタノールを含まない飲料を指す。調べた中心は、どの飲料を選んだか、睡眠と気分がどう動いたかであり、赤と青のどちらが甘いかではない。[1]

液体そのものの色と糖の量は、既存記事「いちご味のプロテインは赤いほど甘い?色の濃さと糖の量が一致しない理由を読む」に譲る。同じ粉の苦さは「ダイエットのプロテインは同じ粉でも苦さが違う?味覚の個人差と遺伝を読む」に任せ、紙ストローの感触は隣の記事へ送る。ここで追うのは、器が知らせる情報、飲む前の期待、実際に口へ入った配合である。

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色分けしたカップは、甘さの比較ではない

論文に色つきのカップが出てきた瞬間、味覚の実験だと思いたくなる。ところが色は、中身を区別する目印としても使われる。甘さを変える刺激と、選択の手がかりとでは、担っている仕事が違う。

対象は21歳から45歳の健康な成人20人で、いずれも中程度の社交的な飲酒者だった。臨床的な終夜睡眠検査で、不眠のある11人と、通常の睡眠が取れている9人に分けられている。[1] 2晩ずつ、就寝前にエタノール0.5 g/kgまたはプラセボを、0.2、0.2、0.1 g/kgの3回に分け、15分おきに色分けしたカップで渡した。続く3晩は、カップの色を手がかりに、エタノール0.2 g/kgかプラセボかを選び、15分おきに追加で3回まで同じ飲料を足せた。総量の上限は0.8 g/kgである。[1]

不眠のある群がエタノールを選んだ夜の割合は67%、通常の睡眠の群では22%だった。不眠のある群は追加の回数も多く、1晩あたりの平均は0.45 g/kg、通常の睡眠の群はプラセボの追加が多かった。[1] 目を引く差だが、これはカップの色が味を変えた結果ではない。睡眠の状態と、どの飲料を再び選んだかの関係である。

採取した夜では、0.5 g/kgのエタノールが両群の8時間睡眠のうちREM睡眠を減らし、不眠のある群では夜の前半のステージ3-4睡眠を増やし、ステージ1睡眠を通常の睡眠の群の水準まで減らした。就寝前の気分では、緊張と集中の因子の改善がエタノールの投与と結びついていた。[1] 色は、どのカップがどの飲料かを知らせる役割を負っている。特定の色の器自体に甘さを足す働きがある、という説明にはならない。

台所で白いカップと濃い色のカップを使い分ける人はいる。その器を見て何を思い浮かべるかという問いと、色だけを替えたときの甘さという問いは、分けて立てられる。前者を調べたいのに後者の答えを出すと、器に仕事をさせすぎる。論文を読むときは、名詞より動詞を探すとよい。「カップがある」ではなく、何を変え、何を選ばせ、何を測ったかである。[1]

寝る前に飲酒する方法を勧める材料としても、この試験は使わない。色の名前だけを抜き出して甘さの法則にするのは、実験の道具を主役に昇格させすぎである。

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表示は、買う前の評価を動かす

飲み物を見て「体によさそう」「買ってみたい」と思うことはある。その評価が変わる実験は、実際に飲んで甘さを判定する実験とは距離がある。日常では続いて起こる出来事でも、研究が答えている問いは違う。

ウルグアイの若い成人340人を対象にしたオンラインの無作為化比較試験では、市販のエナジードリンクの缶に警告表示をつける条件と、表示のない条件を比べた。刺激には、市場でよく知られたブランドとあまり知られていないブランド、通常の糖の条件と糖を加えていない条件の缶が含まれていた。[18] 警告は、不眠を図で示す、不眠を文章で示す、頻脈を図で示す、頻脈を文章で示す、の4条件である。頻脈とは、脈が速くなることを指す。無作為化とは、比べる条件への割り当てを偶然に任せる方法である。[18]

頻脈を図で示した警告は、表示のない条件より購入意向と健康的だという評価を低下させた。残る警告条件では、その差は統計的に有意ではなかった。[18] 缶に何かを書けば同じように評価が動く、という単純な結果ではない。警告表示は、そこで強調した好ましくない作用の帰属を高める一方、好ましい結果への効果は統計的に有意ではなかった。[18]

購入したい気持ちが下がったことを、甘さが弱く感じられた、とは書けない。画面上の缶を評価する場面と、液体を舌で評価する場面は別である。プロテインの袋やカップを見た瞬間の印象だけで、味の判定まで終えない。反対に、実際に飲んで好きだったという感想を、栄養上の利点にまで広げない。「気に入った」と「健康によい」は、同じ欄に丸をつける質問ではない。[18]

表示された強さが、飲む前の判断を動かす例はほかにもある。女性1128人を対象にしたオンラインの場面想定試験では、アルコール度数11%、7.5%、0%の飲料を特別な機会の飲み物として提示し、妊娠中に自分または他者がそれを選ぶ場面を想像させた。[13] 通常の度数と低めの度数は、アルコールを含まない飲料より有害だと評価され、アルコールを含まない選択への同意は高かった。自分の選択を評価するほうが、他者の選択を見る場合より有害だと感じる傾向も見られた。[13]

この試験が扱ったのは、味の甘さではない。容器や表示から受け取った情報に対する態度である。[13] 妊娠中の飲酒を勧める材料にはならない。家庭のプロテインへ持ち帰るなら、袋やカップに書かれた言葉、色、数字が、口に入れる前の評価を動かしうる、という距離感にとどめる。

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好きだと感じることと、満腹感は同じ結果ではない

器の色で飲みやすくなれば、量も減らせるのではないか。考えたくなる筋道だが、途中には別々の確認がある。味の好みが変わったか、実際に配合を変えたか、食後の満腹感が動いたか。研究では、これらは別の測定になる。

カシューナッツの副産物から高たんぱくの植物性飲料を作った研究では、3つの配合を用意し、81人のパネルによる官能評価で受け入れる程度を調べた。バニラ風味が最も受け入れられた。[10] 選ばれた配合は400 mLあたりたんぱく質35.39 g、フルクトース62.68 mg/Lを含み、脂肪酸ではオレイン酸が44%を占めた。官能評価とは、人の感覚を使って食品を評価する方法である。[10]

その後、健康な27人を対象にした無作為化、盲検、交差の急性試験では、カシューナッツ由来の試験飲料と、ホエイたんぱくの対照、牛乳の対照を、エネルギーと栄養が揃うよう用意して比べた。満腹感は10 cmの視覚的アナログ尺度で測り、その後の食事量は食事記録で見た。3つの飲料のあいだで、満腹感の感じ方、その後のエネルギー摂取、消化器の症状に有意差は見られなかった。[10]

受け入れられた味であることと、食後の反応が他の飲料と違うことは、同じ成績ではない。[10] カップの色を替えて「飲みやすくなった」と感じても、その感想を満腹感の変化や糖の削減の証拠に使えない理由がここにある。自分のメモでも、好きだったか、足りたか、材料を替えたかは、欄を分けたほうがよい。

推し色のカップで飲むのは自由である。その理由は「使いたいから」でも足りる。毎朝の器に、研究で確認されていない減量の使命まで背負わせる必要はない。

器を替えた日は、音や場所も記録する

立川駅北口から帰り、台所で立ったまま飲む日もあれば、休日に音楽をかけて飲む日もある。「昨日と同じ粉」というだけでは、飲んだ場面まで同じとは限らない。カップの比較をするつもりなら、周囲の条件もメモしておく価値がある。

音と飲食行動に関する歴史的なナラティブレビューは、1950年代以降の研究をたどり、背景の騒音や音楽、環境の音、かむ音、調理音、包装の音、商品名の音象徴までを取り上げている。ナラティブレビューとは、研究を文章で整理し、知見のつながりを検討する形式である。[3] 音の刺激は、飲食物の知覚と行動、摂取量、摂取速度、選択に影響しうると論じられている。[3]

ここから「甘くなる音楽があるから、この色のカップも効く」とつなげることはできない。音の研究は音の研究である。ただ、カップ以外の環境も検討の対象になることは分かる。[3] 新しい器を買った日にプレイリストまで新しくしていたら、比較の条件が祝日になっている。感想の違いを色だけに割り振る説明は、慎重にしたい。

自宅で試すなら、粉と注ぐ液体を普段と同じように用意し、器の候補を書き出しておく。テレビをつけたか、仕事をしながらだったかも一緒に残す。家庭の飲み比べが研究と同じ条件になるわけではない。それでも「カップを替えた」以外の違いに気づける記録にはなる。カップの写真だけ撮り、どんな場面で飲んだかを忘れると、後から色に説明を集めやすい。

数字で読む、飲料研究が実際に比べたもの

20人:色分けしたカップで寝る前の飲料を選ばせた成人比較試験の対象者数であり、甘さの色比較の人数ではない。[1]

67%と22%:不眠のある群と通常の睡眠の群で、エタノールを選んだ夜の割合だった。[1]

340人:エナジードリンクの缶の警告表示と購入意向などを調べたオンライン試験は、この人数を対象にした。[18]

81人:カシューナッツ由来の高たんぱく飲料を、この人数のパネルが官能評価した。[10]

47研究:子どもの加糖飲料摂取を減らす学校での介入を整理した系統的レビューの採用数だった。[16]

437人:地域の行動介入と小児の体格指数の変化を調べたクラスター試験に参加した子どもの人数だった。[19]

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宮川涼 Founder

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