ダイエットの運動で乳酸が低いほど楽になる?血中への出入りと疲労を分けて読む

ダイエットの運動で気になる乳酸と疲労。血中濃度が下がる理由を、作られなくなることと使われやすくなることに分けて考える。短期トレーニングや運動中の糖質摂取、回復を調べた研究から、濃度だけでは分からない乳酸の動きと、日々の運動記録で確かめたい条件を読む。

自転車をこぎ終え、脚の重さを感じながらタオルに手を伸ばす。「乳酸がたまったのか」。ダイエットのために運動を続けようとすると、乳酸は少ないほどよく、出さない運動が正解に思えてくる。だが、乳酸の数字は疲労の残高ではない。低い数字だけで、楽に動けるかまでは判断できない。[1][13]

血中の乳酸濃度が低くなっても、血液へ現れる乳酸が減ったとは限らない。未訓練の男性を対象にした短期トレーニング研究では、運動中の血中乳酸濃度は低下した一方、乳酸の出現速度には差がなく、代謝クリアランスが増えていた。低い濃度の背景に、処理する側の変化があったのだ。男性の結果なので、18〜39歳の女性でも同じ変化が起きるかは別に確かめる必要がある。[1]

また、人の乳酸代謝を整理したレビューは、筋肉が乳酸を放出すると同時に取り込むことを扱っている。乳酸は、筋肉が外へ捨てて終わる物質ではない。[17] 既存記事「HIITの乳酸は少ないほどよい?同じ速さで比べる閾値と持久力の変化を読む」に運動強度と持久力の論点を譲り、ここでは血中濃度の裏で起きる出入りに焦点を当てる。

ヨガとからだの記事のイメージ写真 立川駅徒歩1分年中無休の溶岩ホットヨガスタジオ

血中濃度は、作る速さそのものではない

乳酸の「濃さ」と「流れ」は分けて読む必要がある。濃度は採血した血液の中にどれほど乳酸があるかを表す。一方、乳酸の動態を調べる研究では、血液へ現れる速さ、血液から消失する速さ、酸化される速さなどを別々に調べる。実際に、糖質摂取条件を変えた人の試験では、これらを分けて測定している。[18]

ここでいう酸化は、乳酸がエネルギーを得る過程で使われることだ。血液から消えることと酸化されることを、同じ言葉で片付けないのが大切である。人の組織を扱うレビューでは、骨格筋だけでなく心臓、肝臓、腎臓、脳などの乳酸代謝が検討されている。血中の乳酸を読むとき、脚だけを見ていては話が狭くなる。[17]

浴槽を思い浮かべると整理しやすい。水位だけを見ても、蛇口から入る水が少ないのか、排水が速いのかは決まらない。ただし、体の乳酸は単純な水槽より複雑であり、筋肉そのものが出し手にも受け手にもなる。同じ組織で同時に取り込みと放出が起こるため、見かけの差し引きだけでは内部のやり取りを代表できない。[17]

したがって、「今日は乳酸が低かった」という報告には、その次の問いがある。血液に現れる速さも調べたのか、処理能力まで評価したのか。それとも濃度だけなのか。これは言葉の細かい区別ではなく、トレーニングによって何が変わったと考えるかを左右する区別である。[1][17]

初日の汗は、予約した人だけが持ち帰れる。

体験レッスンを予約体験専用 03-6665-0898LINE

短期の運動で変わったのは、処理する側だった

Phillipsらの研究は、未訓練の男性に自転車トレーニングを行い、その前後で乳酸の流れを調べたものだ。トレーニングは10日間、最大酸素摂取量の59%に相当する強度で、毎日2時間行った。最大酸素摂取量とは、運動で取り込める酸素の最大量を表す指標である。評価には同じく59%の強度で90分間の運動が使われた。未訓練男性の前後比較であり、18〜39歳の女性に同じ運動量や変化をそのまま当てはめる根拠にはならない。[1]

研究では、目印を付けた乳酸を投与して動きを追う方法が使われている。トレーニング前後のどちらでも、安静時より運動中に乳酸の出現速度は増えた。一方、トレーニング後の運動中は血中乳酸濃度が低かったものの、出現速度には差がなかった。つまり、血中の数字が下がったことを、そのまま乳酸が作られなくなった証拠にする読み方は、この研究では成り立たない。[1]

変わった指標は代謝クリアランス率である。これは、血中濃度との関係から乳酸を処理する働きを表す指標で、運動中の値は36.8から51.4 mL/kg/分へ増えた。単位が血液の量に対応する形でも、これは実際の血流量を直接測った数字ではない。研究は、運動中の血中乳酸が低くなる理由の少なくとも一部を、この処理の増加で説明している。[1]

ただし、話は「作る側は何も変わらない」で終わらない。筋肉内の乳酸濃度も低下しており、研究者はとくに運動初期の解糖系への依存が小さくなった可能性を示している。解糖系とは糖を分解してエネルギーを得る経路だ。血液で見た出現速度と、筋肉の内部で起きる変化は、同じ場所の同じ指標ではない。[1]

この試験の運動量を、仕事帰りの一般的な運動処方に置き換えるのは早い。短期間に集中的に自転車をこいだ男性の前後比較だからである。ここから持ち帰りたいのは日程の模倣ではなく、濃度が下がった理由を分解する視点だ。「乳酸が減った」という短い説明の中にも、出現と処理で異なる結果が入っている。[1]

筋トレ美女 立川駅徒歩1分年中無休の溶岩ホットヨガスタジオ

筋肉は乳酸の送り手であり、受け手でもある

van Hallのレビューは、人の骨格筋とほかの組織における乳酸代謝を整理している。乳酸を酸素不足や疲労と結び付ける歴史的な見方に加え、筋肉が乳酸の処理にも関わること、同位体で追跡すると取り込みと放出が同時に観察されることを取り上げている。筋肉を乳酸の製造所だけとして描く図では、役割の片側しか見えない。[17]

「血液から乳酸が減った」と聞くと、体外へ排出された姿を想像しがちだ。しかし、乳酸の出入りを追う研究は、血液と組織の間の移動や酸化を扱う。汗として追い出した量を測っているわけではない。人の運動試験では、血中へ現れる乳酸と消失する乳酸の両方が増え、酸化も増える結果が得られている。[17][18]

この区別は、運動後に「乳酸を抜けばすべて解決する」と考えたくなる場面にも役立つ。血中濃度を下げること、乳酸の処理を速めること、次の運動で力を出せることは、評価する対象が違う。回復法を調べる試験でも、血中乳酸の動きとは別に、酸素摂取量や疲労困憊までの時間を測っている。乳酸の結果だけで運動能力の結果を代用しない設計なのだ。[13]

運動後の写真に写る汗の量と、研究で追跡した乳酸の流れは別の情報である。見た目が分かりやすいことと、代謝を正確に表すことは一致しない。読むべきなのは、測定したものの名前と、そこから答えられる問いの範囲だ。[17][18]

糖質を変えると、出現と利用が一緒に増えた

Lecoultreらの無作為化試験では、持久的なトレーニングをしている男性7人が、最大酸素摂取量のおよそ60%で120分間運動した。比較したのは、運動中にブドウ糖を摂る条件と、ブドウ糖に果糖を組み合わせる条件である。単に運動をした日としない日を比べた研究ではなく、長時間の運動中の糖質条件を比べている。持久的に鍛えた男性の結果を、18〜39歳の女性の日常の運動や飲食へ直接当てはめることはできない。[18]

果糖を組み合わせた条件では、乳酸の出現速度が94から120 μmol/kg/分へ、消失速度が95から121 μmol/kg/分へ増えた。加えて乳酸の酸化も増えていた。血中への供給が活発になるのと並行して、血中からの取り込みや利用も活発になっていたのである。[18]

ここでは出現と消失が近い値になっている点に注目したい。どちらの条件でも乳酸は流れており、果糖を組み合わせた条件では両側の流れが大きい。出現速度だけを抜き出して「乳酸が増えるので悪い」と評価すると、同時に増えた消失や酸化を落としてしまう。数字を対にして読むと、乳酸を余り物だけとして扱えなくなる。[18]

この結果は、ダイエット中の飲み物に果糖を足す勧めではない。持久的に鍛えた男性の長時間運動で、糖質の代謝を調べた試験である。体重の減少や日常の脚の重さを目標にした実験と混同しないことが大切だ。ここで確かめられるのは、運動中に乳酸を作る側と使う側が一緒に活発になり得る、という点である。[18]

研究同士を比べるときは、同じ「代謝」という言葉でも測り方が異なる点にも注意したい。短期トレーニング研究は目印を付けた乳酸を使い、血液へ現れる流れと代謝クリアランスを調べた。糖質の試験も追跡用の目印を利用し、乳酸と糖の動きを評価している。運動後の血中濃度を繰り返し測って回復曲線を解析する方法とは、得ている情報が異なる。[1][18][16]

たとえば「乳酸の処理が改善した」という紹介を並べても、濃度との関係から計算したクリアランス率なのか、回復曲線の形を表す指標なのかで数字の意味は変わる。着圧試験で使った曲線の指標と、短期トレーニング試験のmL/kg/分という値を、同じ物差しの増減として足し合わせることはできない。まず指標名を残すほうが、結果を誇張せず理解できる。[1][16]

日常の運動に引き寄せる際も、研究の乳酸値を自分の疲れに当てはめる前に、対象者と場面を確認しよう。持久的に鍛えた男性の長時間運動、未訓練男性のトレーニング前後、大学生の最大運動後では、比べている状況が違う。研究条件を添えることが、数字だけを独り歩きさせないための手掛かりになる。[1][13][18]

数字で読む乳酸の出入り

10日間:未訓練男性の乳酸代謝をトレーニング前後で調べた期間。[1]

36.8から51.4 mL/kg/分:同研究の運動中の代謝クリアランス率。血中濃度の低下とともに確認された変化である。[1]

7人・120分:糖質の組み合わせを比べた試験の対象と運動時間。持久的に訓練した男性を調べている。[18]

94から120 μmol/kg/分:ブドウ糖のみの条件から果糖併用の条件への乳酸出現速度の違い。[18]

95から121 μmol/kg/分:同じ比較での乳酸消失速度。入る流れと出る流れがともに増えた。[18]

初日の汗は、予約した人だけが持ち帰れる。

体験レッスンを予約体験専用 03-6665-0898LINE

💬 ご質問がある場合はこちらからどうぞ

オンザショアのチャットで質問する(24時間受付)

レッスン内容・料金・体験のご予約など、気になることをお気軽にお尋ねください。

author avatar
宮川涼 Founder

1

2

関連記事

ご体験予約