ダイエットでプロテインを食前に飲むなら、何分あければよいのか。女性の比較試験を中心に、食事までの間隔、満腹感、次の食事量、飲料を含む総量の違いを読む。食前と食後を比べた血糖の研究も取り上げ、食べる量の調整と混同せず、仕事帰りの食事にどう位置づけるかを考える。
帰宅して夕食を温める前に、プロテインを飲む。ところが電子レンジが止まった瞬間、「もう食べてよいのか、それとも待つべきか」と迷う。温かいうちに食べたい夕食に、急に待ち時間が加わる。
ダイエットのために食前のプロテインを考えるなら、まず「何分前が最もよい」とは決めきれないことを押さえたい。健康で標準体重の女性を対象にした試験では、ホエイを含む飲料で次の食事量は減ったが、食事までの間隔による差は認められなかった。さらに、飲料を含む合計の摂取エネルギーは、水だけの場合より多かった。[7]
既存記事「ソイプロテインを夜に飲むなら、食後の数値と翌朝までの筋合成を分けて考える」には夜の摂取という問いを譲り、ここでは食前から食卓までの間隔を扱う。飲み方を工夫したい人にも、食べる量を減らす必要がない人にも、食事の前に足すものの意味を確かめる読み方である。

食前の間隔は、長く待てば有利になるのか
食事の前に決められた飲食物をとり、その後に食べる量や体の反応を調べる方法を、ここでは先行摂取と呼ぶ。ホエイは乳由来のたんぱく質である。食前のホエイを調べた研究には、血糖を主に測るものと、食欲や摂取量を主に測るものがあり、同じ「食前」という言葉でも答えようとしている問いは違う。[1][7]
間隔を直接比べた女性の試験では、健康で標準体重の女性19人が、別々の日に、水、マルトデキストリンという炭水化物、またはホエイを含む先行摂取を行った。食事の30分前、60分前、120分前という条件を設け、その後は自由に食べられる食事で摂取量を測定した。参加者が条件を替えて比べる試験である。[7]
次の食事でとったエネルギーは、ホエイ条件が2343 kJ、炭水化物条件が2584 kJ、水条件が3135 kJだった。ホエイ条件はほかの条件より有意に少なかったが、間隔によって食事量の反応が変わるという結果ではなかった。この試験は直前の摂取を比較しておらず、30〜120分前の範囲では長く待つ利点を示さなかった。[7]
大切なのは、ホエイと水の比較と、飲む時刻どうしの比較を混ぜないことだ。前者に差があっても、後者は別に確かめる必要がある。検索では「食前に飲むと食事量が少なかった」という部分だけが目に入りやすい。しかし、その文に「だから早めに飲もう」を続けるには、時刻を比べた結果が必要になる。[7]
また、差を検出しなかったことを、あらゆる間隔が完全に同じだと読むのも行き過ぎである。この試験が比べたのは、決められた先行摂取と食事の組み合わせだ。自宅の夕食にそのまま最適な待ち時間を与える結果ではない。少なくとも、測定された範囲では長い待ち時間の優位を示さなかった、という位置にとどめたい。[7]
日常では、調理を始める前に飲む日と、配膳した後に飲む日がある。時刻だけを見て優劣を決めるより、「何を、どれくらい飲み、その後に何を食べたか」まで書く方が、この研究との比較に近づく。食卓を前に時計を見続けることは、試験が示した利点ではない。[7]
初日の汗は、予約した人だけが持ち帰れる。
次の食事が減っても、飲料まで足すと答えが変わる
同じ女性の試験を、今度は食事と先行摂取を足して読む。合計の摂取エネルギーは、炭水化物条件が3955 kJ、ホエイ条件が3676 kJ、水条件が3135 kJだった。ホエイ条件では次の食事量が少なくても、飲料を含めると水条件を上回った。皿の上だけなら減少、食前から合わせれば増加という、同じ試験の結果である。[7]
これは計算上の細部ではない。食前に足した分を、その後の食事の減少だけでは埋め合わせられなかったことを意味する。「ご飯を残したから飲んだ分は帳消し」という判断と、実際の合計量は一致しなかった。プロテインの容器も、夕食の一部として同じテーブルに置いて数える必要がある。[7]
研究の飲料はホエイだけを単独で比較したものではなく、混合した組成の先行摂取である。この結果を市販のどの飲料にも同じ数値で当てはめることはできない。ここで持ち帰れるのは、特定の差を予測する計算式ではなく、食事だけを切り取って評価しないという視点だ。[7]
別の試験でも、似たずれが現れた。参加者56人が無作為な順序で条件を替え、たんぱく質、脂質、炭水化物の液体を先にとる日と、とらない日を比べた研究では、いずれの先行摂取でも昼食量は少なくなった。しかし、飲料を含めると、すべての先行摂取条件で合計エネルギーは先行摂取なしより多かった。参加者を食事直前に飲む群と1時間前に飲む群に分けた比較でも、間隔による有意な影響は認められなかった。18〜39歳の女性に同じ反応が生じるかは、この結果だけでは判断できない。[16]
この研究では、たんぱく質が炭水化物より強く満腹をもたらすという考えも確認されなかった。女性の試験ではホエイ条件の食事量が炭水化物条件より少なく、こちらではたんぱく質の優位が確認されない。研究ごとの飲料や対象、比較の組み方を越えて、たんぱく質なら常に最も食欲を抑える、と順位を固定することはできない。[7][16]
夕食前の一杯を、栄養を補うためにとるのか、夕食を小さくするために足すのか。目的が違えば、同じ合計量の増加に対する評価も変わる。食事量を調整したい人には、飲料を足した分も見る必要がある。一方、食べる量を確保したい人にとっては、合計が増えること自体を失敗と呼ぶ理由はない。[5][7]
満腹の感覚と、一日分の摂取量は別に見る
お腹が満ちた感じ、次の食事で食べた量、その日の合計は、似ていて別の測定項目である。女性19人の試験では、主観的な食欲の評価は、ホエイが炭水化物より食事量を強く減らしたという差を裏づけなかった。水に対してはホエイと炭水化物の双方に満腹をもたらす反応があったが、感覚だけで食事量の順位まで説明できたわけではない。[7]
そこで「自分が最も満腹になる時刻」を探したらどうか。男性10人の無作為化クロスオーバー試験では、高たんぱくの先行摂取を昼食と夕食の15分前にとる条件、個別に設定した約50分前にとる条件、自分で間食を選ぶ条件が比較された。先行摂取は300 kcalで、エネルギー比はたんぱく質40%、炭水化物40%、脂質20%だった。男性を対象とした結果であり、18〜39歳の女性で個別の時刻設定が同じ結果になるかは別に検証する必要がある。[8]
一日の摂取エネルギーには、条件間の有意差がなかった。満腹感に合わせて個別に時刻を設定しても、この試験では一日の合計を減らさなかったのである。食欲に関係するペプチドYYとGLP-1というホルモンも測定されたが、多くの時間帯で条件間の差はなかった。この条件では、個別に時計を合わせる工夫による摂取量の減少は確認されなかった。[8]
食事時の量だけを測る試験と、一日全体を測る試験は、結果の守備範囲が違う。夕食が少なかったという観察から、翌日まで続く変化や体重の変化へ飛ぶことはできない。男性の試験の有意差なしも、どんな人にも一切変化がないという意味ではなく、その条件で日単位の減少を確認しなかったという結果だ。[7][8]
年齢の違いも見落とせない。健康な高齢男性16人の無作為化試験では、30 g、120 kcalのホエイ飲料を、食事の3時間前、2時間前、1時間前、直前にとった。食欲の感覚や胃腸症状、自由に食べる食事の摂取量について、飲む時刻の影響は認められなかった。飲料と食事を足した量は、対照より平均82±24 kcal多かった。対象は高齢男性であり、18〜39歳の女性の食事量にも同じ反応が起きるかは、この試験からは判断できない。[5]
この高齢男性の研究は、低栄養の危険がある高齢者への栄養補給という文脈を持つ。若い女性の食事調整の手順書として使うのは適切ではない。しかし、先にたんぱく質をとれば誰でも自動的に食事量を減らす、という普遍的な説明に対しては、はっきり反例になる。[5]
食後に「今日は軽かった」と思うことは、自分の感覚として残してよい。それを一日の摂取量が少なかった証拠に変えないことが肝心だ。感じ方を否定する必要はないが、感覚には感覚の欄を用意する。研究も、食欲の評価と食べた量を別々に測っている。[7][8]
数字で読む食前から食卓まで
19人:健康で標準体重の女性が参加した、間隔と先行摂取の比較試験。[7]
30・60・120分前:女性の試験で比較した間隔。食事量の反応に間隔の影響はなかった。[7]
2343 kJ:ホエイ条件の次の食事の摂取量。水条件は3135 kJだった。[7]
3676 kJ:ホエイ条件で飲料まで含めた合計。水条件の3135 kJを上回った。[7]
10人:個別に設定した時刻で高たんぱくの先行摂取を行っても、一日の摂取量に有意差がなかった男性の試験。[8]
初日の汗は、予約した人だけが持ち帰れる。
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