相撲スクワットとワイドスクワットの違い、名前より先に確かめる股関節の向き

相撲スクワット、ワイドスクワット、プリエスクワットを動画で見比べるとき、名前だけで筋肉の働きを決めていないだろうか。足先と太ももの向き、膝の位置を分け、股関節の回旋を調べた研究を読む。筋活動と関節モーメントの違い、女性や膝に痛みのある人の研究を自分に当てはめる前の確認点も整理する。

マットの前で脚を開く。同じような構えなのに、相撲スクワット、ワイドスクワット、プリエスクワットと呼び名が変わる。同じように脚を開いて見えるのに、説明される「効く場所」が違う。マットの上で足を置く前に、種目の名前だけが増えていく。

違いを確かめる出発点は、呼び名をそろえることより、実際の姿勢をそろえることである。足幅や股関節の回旋を扱ったレビューでは、こうした一般的な変化によって筋活動が有意に変わるとはされなかった。一方、股関節を回す角度や膝の位置を具体的に変えた実験では、筋活動や関節に必要な力の働きに違いが見られる。名前から効果を決めるより、何を変えた比較なのかを見る必要がある。[1][4][8]

既存記事「ワイドスクワットと普通のスクワットの違い、関節の角度と上下する距離を分けて読む」には、足幅と上下移動の比較を譲る。ここで扱うのは、似た名前の動画を見比べた際に、足先の向きと股関節の向きが混同されていないかという問いである。内ももに効く種目の順位表ではなく、同じ動きを比べるための読み方を考えたい。

既存記事「ワイドスクワットは足を広げるほどよい?女性が迷う深さと股関節の負荷を読む」には幅と深さの選択を、「ワイドスクワットは床を外へ押すと違う?横向きの力と股関節の負荷を研究で読む」には床を押す方向の問いを譲る。本記事では名前の違いを調べる入口から、足先と太ももの向きをどう区別して読むかに絞る。

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名前を置いて、どこを向けた動きかを見る

相撲、ワイド、プリエという名前を見つけたら、まず説明文をいったん離れて画面を見る。「こちらのほうが外向きだ」と感じたとき、見ているのはつま先なのか、太ももなのか、それとも膝の位置なのか。研究では、足先を外へ向ける条件と膝の位置を組み合わせて比較しており、同じ外向きという印象の中にも別々の条件がある。[8]

股関節の外旋は、太ももを外へ回す動きであり、内旋は内へ回す動きである。股関節の回旋を変えた筋活動の実験では、中間の位置に加え、内向きと外向きの角度を設定して比べている。足を広く置いたかどうかという情報だけでは、この実験のどの条件に近いかは決められない。比べたい動作の記録には、足幅に加えて、何をどちらへ回したのかという説明が要る。[4]

ここで、足先だけをそろえれば比較が完成するとも考えないほうがよい。男女を対象にしたバーベルスクワットの実験では、足先の外向きが小さい条件と大きい条件のそれぞれで、膝を中立の位置にする場合と内側に置く場合を調べた。その組み合わせによって、股関節を外へ回す方向に必要な正味の関節モーメントが違っていた。男女を合わせた結果を18〜39歳の女性だけの反応として扱うことはできない。足先と太ももの相対的な向きが問題になっている。[8]

例えば、動画の足先をまねたつもりでも、膝の置き方まで同じかは別の確認になる。これは研究条件を読み取るための視点であって、画面に合わせて膝を内側へ入れる練習の勧めではない。実験で比較された姿勢と、自分が採用すべき姿勢は分けて考える。研究者が用意した条件は、視聴者全員への処方箋にはならない。[8]

呼び名は動画を探す入口として使えばよい。その後は、どの方向の違いを説明しているのかを言葉にする。「相撲だから違う」よりも「足先を外へ向け、膝の位置も変えている」と書ければ、別の動画と照合しやすい。種目名を覚えたのに動きが分からない、という状況から抜けるための記録である。

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筋活動のレビューは、名前による単純な順位を支えない

荷重したフリーバーベルのバックスクワットを扱うレビューは、筋活動を測った18件の研究を検討している。背中側でバーを担ぐスクワットについて、深さ、足の置き方、トレーニング経験、運動強度などの条件を取り上げたものである。外から加える負荷が増すと主に動作を担う筋肉の活動は増える一方、足幅や股関節の回旋などの一般的な変更では、有意な筋活動の変化がないと整理されている。[1]

この結果は、「相撲という名前を選べば、ワイドより必ず特定の筋肉が働く」という読み方を支えない。ただし、足の置き方がどんな場面でも無関係という意味でもない。レビューが扱ったのは荷重したバーベルスクワットの筋活動であり、対象も測定するものも定まっている。自宅の動画の名前を、そのまま研究上の比較条件に置き換えることはできない。[1]

筋活動と聞くと、「その筋肉がどれだけ育つか」という答えを期待したくなる。ここで扱う実験の表面筋電図は、筋肉の電気的な活動を記録したものである。股関節の向きを変えたときの活動パターンを比べる結果は、その場の働き方を考える材料になる。しかし、それだけで相撲とプリエのどちらが長期的に脚の形を変えるかという順位にはならない。測ったものから離れないことが大切である。[4][5]

比較の結果を手帳に写すなら、「何と何を比べたか」と「何が変わったか」を別の文にするとよい。女性の実験なら、スクワット間の比較なのか、脚上げとスクワットの比較なのかで読む結果が違う。前者で大腿四頭筋に差がなくても、後者では差があった。同じ論文の中でも、比較する相手を省くと意味が変わる。これは細かな但し書きではなく、結果の主語を保つ作業である。[5]

レビューで差がないと整理された結果を読むときも、読者の体感を打ち消す必要はない。動画を替えてきつく感じたなら、名前以外に変わった条件を書き出してみる。重りを持ったか、動き方の説明が変わったか、構えが変わったか。外からの負荷と筋活動の関係が示されている以上、種目名だけを原因にする前に確認する余地がある。[1]

「差がない」は、考えるのをやめる合図ではない。まず大きな整理として受け止め、それと違う結果が出た実験では誰に何をさせたのかを読む。研究同士の違いを、気に入った動画を正当化するために使わない。説明の強さを、対象と測定の範囲に合わせるために使うのである。[1][4]

回す角度の影響は、対象と筋肉によって違う

股関節の回旋を具体的に設定した研究では、内反膝のある男性16人と、ない男性16人を比較した。中間位と、内旋・外旋それぞれ15度、30度、45度でスクワットを行い、表面筋電図で活動を測っている。内反膝は膝が外側へ開く形のことであり、対象は男性である。18〜39歳の女性にそのまま当てはめず、ここでは回旋条件の違いを読む材料とする。[4]

内反膝のある群では、股関節を内へ回した条件で中殿筋の活動が他の位置より高かった。中殿筋は臀部の筋肉である。一方、外へ回す角度が大きくなるにつれて大腿筋膜張筋の活動が増え、内旋条件より有意に高かった。太ももの前面にある内側広筋と外側広筋では、内旋と外旋の両方で中間位より活動が高かった。これは内反膝のある男性群の結果であり、18〜39歳の女性で同じ活動の変化が起こるかは、この比較では判断できない。単に「外向きならお尻」と片づけると、この筋肉ごとの違いが消えてしまう。[4]

この実験では、筋肉同士の活動の比率にも姿勢による違いが見られた。ただし、有意差があることと、日常のレッスンで誰もが同じ変化を感じることは別である。報告された結果は、指定された角度で行った男性の実験における活動パターンである。18〜39歳の女性の推奨姿勢を直接決める結果にはならない。自分に同じ角度を当てはめるより、外向きの程度まで明示しなければ比較が曖昧になることを読み取りたい。[4]

女性を対象にした別の実験もある。臨床的に健康な女性22人と、膝前面に痛みを伴う膝蓋大腿疼痛症候群の女性24人に、脚上げと複数のスクワットを行わせた比較である。スクワットには、股関節を内側へ寄せる条件、外側へ開く条件、外へ回す条件などが含まれた。スクワット同士では、大腿四頭筋の活動に差は認められなかった。症状のある女性も含む比較なので、18〜39歳の健康な女性への適用は、健康群と疼痛群を分けて考える必要がある。[5]

同じ女性の研究では、股関節を内側へ寄せるスクワットで中殿筋の活動が高かった。また、脚上げの条件では、スクワットより中殿筋と大腿四頭筋の活動が高かった。動作の名前から想像する働きと、実際に測った活動は同じとは限らない。しかも、脚を外側へ開くことと、外へ回すことは研究で別々に扱われている。説明に「外へ」としか書かれていない場合、その続きを確認したい。[5]

男性の回旋実験と女性の比較を並べると、結果を単純に統一できないことが分かる。対象、選んだ筋肉、比較する運動が異なるからである。レビューの整理も含めて、誰にでも通用する名前別の効き方より、実際の条件を先に読むのが妥当である。[1][4][5]

数字で読む股関節の向きの研究

18件:荷重したフリーバーベルスクワットの筋活動を検討したレビューの研究数である。[1]

32人:股関節の回旋と筋活動を調べた男性の実験。内反膝の有無で16人ずつに分けた。[4]

15度・30度・45度:男性の実験で設定した内旋と外旋の角度であり、読者への推奨角度ではない。[4]

22人と24人:女性の筋活動比較に参加した健康群と膝蓋大腿疼痛症候群の人数である。[5]

男女各12人:足先と膝の位置を変え、股関節の関節モーメントを調べた実験の対象である。[8]

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宮川涼 Founder

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