有酸素運動と筋トレの食後の消費量は?熱産生と血液の変化を分けて比較する

有酸素運動や筋トレの後に食べると、食事による熱産生まで増えるのか。食後の消費エネルギー、脂肪の酸化、血糖や中性脂肪の変化を分け、女性を対象にした試験や結果が一致しない研究を読む。運動時間や測定条件にも目を向け、血液の数値を追加の消費カロリーに読み替えない比較の仕方を考える。

筋トレを終えて食卓に着く。湯気の立つ夕食を前に、歩いた日と筋トレの日では、同じ食事でも、その後に消費する量まで違うのだろうか。食べた後の体の働きも運動の成果に足したくなるが、そこでまず確かめたいのは、何の数字を見ているかである。

有酸素運動や筋トレの後には、食後の中性脂肪や脂肪酸の酸化が変化した試験がある。一方、有酸素運動を続けても食事への熱産生反応には変化がなかった女性の試験もある。血液の改善と食事による消費の増加は、同じ結果ではない。[15][19]

食事を運動の前後にどう配分するかは、既存記事「有酸素運動と筋トレの食事は運動後にまとめる?時刻と総量の比較を読み直す」に譲る。ここでの問いは、運動の後に測った食後の反応を、どこまで「消費量」と呼べるかである。

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食後に測った数字は、すべて熱産生なのか

食事による熱産生は、食事を受けた体のエネルギー消費にかかわる反応を指す。運動とエネルギー消費を扱うレビューでも、安静時の代謝、食事による熱産生、運動以外の身体活動は分けて扱われている。このレビューの主題は加齢と高齢者の身体活動であり、18〜39歳の女性への適用は別に検討する必要がある。夕食後に測定したという時刻の情報だけでは、その数字が何を表すかは決まらない。[17]

たとえば、食後の血液から中性脂肪を調べる研究は、血中の脂質の動きを見ている。息の成分から脂肪酸の酸化を調べる研究は、脂肪酸をエネルギーとして使う働きを見ている。女性を対象に有酸素運動と筋トレを比較した試験では、この両方を測定しているが、中性脂肪の濃度と脂肪酸の酸化率は別の結果として報告されている。[15]

「食後の代謝がよくなった」とだけ書くと、読者の頭の中では、消費カロリーが増えた話に変わりやすい。しかし、血中の中性脂肪が少なくなることと、食事による熱産生が大きくなることは区別する必要がある。食後の脂質反応には、運動の種類だけでなく、食事の内容、運動と食事の間隔、対象者の違いもかかわる。[14]

また、運動後の回復中に増える酸素消費も、食事による熱産生とは別の問いである。運動強度を変えて回復中の消費を検討した男性の試験では、その追加の消費が食後の中性脂肪の低下に大きく寄与したとはされなかった。対象は運動習慣の乏しい過体重・肥満男性であり、18〜39歳の女性の食後の消費量を直接示す結果ではない。[6]

研究を読む際は、「食後」という言葉の次に、何を採ったのかを探したい。血液か、呼気か、代謝測定か。さらに、結果の単位が血中濃度なのか、酸化の速度なのか、エネルギー量なのかを確かめる。測ったものの名前を残すだけで、食後の変化をすべて熱産生にまとめる読み方を避けられる。[6][15][19]

血中濃度は、時間とともに動く反応でもある。食後の中性脂肪を扱う試験では、ピークの高さだけでなく、測定期間を通した反応も比べている。そのため、食後のある時刻の値が低かった話と、食後全体の反応が小さかった話も同じではない。研究で使う「曲線下面積」は、時間ごとの値をつないだ曲線の下の面積で、反応の大きさを期間全体で捉えるための指標である。[9]

この面積には、測った値の全体を使うものと、食前などの出発点から増えた分に注目するものがある。速歩の試験では両方を検討している。数字の名前を長いと感じても、ここを残すと、食後のピークだけを小さくしたいのか、長く続く反応を見たいのかが分かる。面積の変化も、それだけで消費エネルギーを表す値にはならない。[9]

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女性の比較試験は、消費量と脂質の由来を分けている

日常に引き寄せて読みたいのは、運動習慣の乏しい肥満女性を対象にした無作為順序の比較試験である。同じ参加者が、有酸素運動、筋トレ、座って過ごす対照条件を経験した。有酸素運動は有酸素能力の60〜65%で60分、筋トレもおよそ60分の高強度の運動だった。対象の体格と運動習慣が限られるため、18〜39歳の女性全般に同じ反応を見込むには慎重さが必要だ。[15]

運動後には、追跡の目印をつけた脂肪を含む液体の混合食を摂り、その後7時間にわたって調べた。目印を使う理由は、血中にある脂質のうち、食べた脂肪に由来する分と、体内に由来する分を分けるためである。「血中の脂質が減った」から先へ進み、どこから来た脂質が変わったかを確かめる設計だ。[15]

結果として、有酸素運動でも筋トレでも、対照条件より食後の血中中性脂肪が低くなった。ただし、食事由来の中性脂肪には運動の影響がなかった。減少したのは、主に体内由来の脂肪酸がかかわる中性脂肪だった。食べた脂肪が血中から速く消えた、と説明すると結果の意味が変わってしまう。[15]

脂肪酸の酸化率は、どちらの運動後にも対照条件より高く、運動の種類の間では有意差がなかった。ここから言えるのは、この試験条件では両方の運動に食後の脂質の変化が見られたということだ。「筋トレより有酸素運動のほうが夕食を燃やす」と順位をつける結果ではない。[15]

とくに大切なのは、運動時間を合わせた比較であり、運動中の消費エネルギーを合わせた比較ではない点である。同じ長さのレッスンを予定に入れる場面には近いが、同じエネルギーを使った場合の優劣を答える設計ではない。比較の土台が時間なのか消費量なのかで、受け取れる答えは異なる。[15]

液体の混合食を摂った実験と、帰宅して普段の夕食を食べる場面も区別したい。この試験を食事の献立や運動の強度の指定に変える必要はない。参考になるのは、食後の中性脂肪、脂肪の由来、脂肪酸の酸化を別々に調べると、単純な「食べた分を燃やした」という説明では足りなくなることである。[15]

続けた有酸素運動でも、食事の熱反応は増えなかった

食事への熱産生反応を実際に調べた女性の試験も見ておこう。授乳中で、それまで座って過ごすことの多かった女性を、産後6〜8週に運動群と対照群へ無作為に割り付けた研究である。運動群は、1日45分、週5日、12週間の有酸素運動を行った。授乳期に限った比較であり、18〜39歳の女性全般への当てはめには、この生理的条件の違いを考える必要がある。[19]

最大酸素摂取量という持久力の指標は、運動群で25%、対照群で5%増加した。運動への適応は確認された。一方、安静時代謝には群間差も期間による変化もなく、食事への熱産生反応にも、群や時間の影響は見られなかった。持久力の改善と食後の熱反応は、足並みをそろえて変わらなかったのである。[19]

体重と体脂肪率は研究期間中に低下したが、運動群と対照群の間に差はなかった。この結果を「運動をしても意味がない」と読むのも、「持久力が伸びたのだから食事による消費も増えたはず」と読むのも、測定結果から外れる。良くなった項目と変わらなかった項目を並べて受け取る必要がある。[19]

ただし、対象は授乳中の女性である。若い女性全般や授乳をしていない人、筋トレを行う人へそのまま当てはめることはできない。それでも、「運動を習慣にすると必ず食事の熱産生も大きくなる」という断定を支える結果ではない。運動習慣という同じ言葉でも、対象と評価項目を残して読むことが大切だ。[19]

この試験では、持久力が増すほど食後のインスリン反応が低下する関係も見られたが、血糖と熱産生反応には群や時間による影響がなかった。インスリンは血糖の調節にかかわるホルモンであり、その反応と熱の反応も同じものではない。体の中の変化を「代謝アップ」の一言に押し込めると、こうした違いが消える。[19]

生活に戻すなら、持久力の変化を知るための記録と、食事による消費を知るための測定を混ぜないことだ。運動が続いた、動く予定を確保できたという生活上の記録に、測っていない熱産生の増加を書き足す必要はない。授乳期の試験が示したように、運動で変わる項目があることと、代謝にかかわる項目が一斉に変わることは別である。[19]

数字で読む食後の測定条件

60分:肥満女性の試験で用いた有酸素運動の時間。筋トレはおよそ同じ長さで、消費エネルギーを一致させた比較ではない。[15]

7時間:女性の比較試験で、運動後の液体混合食に続いて調べた時間。瞬間の血液の値だけを比べた研究ではない。[15]

12週間:授乳中の女性が有酸素運動を続けた期間。食事への熱産生反応には変化がなかった。[19]

25%と5%:同じ授乳期の試験での最大酸素摂取量の増加。運動群と対照群の値であり、消費カロリーの増加率ではない。[19]

8%:過体重・肥満の男女を対象とした別の比較試験で、有酸素運動後の中性脂肪が非運動条件より低かった割合。熱産生の増加率ではない。[10]

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宮川涼 Founder

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