HIITの筋肉を光で測ると何が分かる?脱酸素化の反応と運動成績を比べる視点

HIIT中に表示される筋肉の酸素は、何を測った数字なのか。光で推定する局所の酸素化、ヘモグロビンとミオグロビンを合わせた指標、休憩中の変化を研究から読み分ける。女性の月経周期や運動条件の影響にも触れ、数値の上下を筋肥大や筋力の成果と取り違えずに記録する視点を示す。

エアロバイクをこぐ太ももに貼ったセンサーが、運動と休憩に合わせて上下する線を描く。「筋肉の酸素が下がった」という説明を聞くと、下がるほど効いているのか、休憩で戻れば次へ進んでよいのか、気になる。

光を使って局所の筋肉の酸素化を推定することはできる。ただし、その表示は筋肉が増えた量ではない。主に男性の筋トレ研究を集めたレビューでも、近赤外分光法による測定から筋肥大や筋力の成果を予測できるとは支持されていない。18〜39歳の女性の成果予測へも、そのまま適用する根拠にはならない。[2]

もうひとつ大事なのは、指標の名前だ。HIITの研究には、ヘモグロビンとミオグロビンを合わせた脱酸素化の変化を用いるものがある。画面に「筋酸素」とあっても、血液と筋肉の成分を合わせた指標なのだ。[13][15]

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光で測るのは局所の酸素化である

近赤外分光法は、NIRSと略される、光を利用した非侵襲的な測定法である。筋トレに関するスコーピングレビューでは、ヘモグロビンに関係する変数や筋酸素飽和度を測り、局所の筋酸素化を推定する方法として説明されている。ここでの酸素化とは、測定している組織での酸素の状態を表す言葉だ。[2]

この「局所」を読み飛ばさないことが出発点になる。太ももで測った線を、そのまま全身の成績表として読むわけにはいかない。スポーツ科学の批判的レビューでも、筋酸素化の測定、左右差の評価、運動の閾値の評価など、異なる目的でNIRSが利用されている。測定する目的が違えば、同じ光の技術でも問いは変わる。[4]

測定の深さや皮下脂肪の問題は、既存記事「HIITの筋肉の酸素はどう測る?皮下脂肪と光の届く深さで変わる数字を読む」に譲る。ここでは、測れた信号を何の変化と呼ぶのか、そこからトレーニングの成果まで言えるのかを考える。

たとえば「運動中に変化した」と「運動を続けて能力が変わった」は違う質問だ。前者はその場の反応、後者は継続後の適応を扱う。筋トレのレビューが内部負荷を監視する可能性を認めながら、筋肥大や筋力の予測には慎重なのは、この距離を残しているからである。[2]

駅の改札を通れた記録だけでは、目的地に着いたかは分からない。数字も、答えられる問いを先に決めておくと働きどころが見える。

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ヘモグロビンとミオグロビンを合わせた指標を読む

研究の図に出てくるHbはヘモグロビン、Mbはミオグロビンを指す。両者を合わせた脱酸素化の変化が、Δdeoxy[Hb+Mb]などと表される。神経筋疾患の患者の運動評価を扱った系統的レビューでは、このヘモグロビンとミオグロビンの脱酸素化濃度の変化が、持久的トレーニング後の酸化的代謝の適応を捉えた指標のひとつとして挙げられている。患者の運動評価の結果を、健康な18〜39歳の女性の適応へそのまま当てはめることはできない。[15]

記号を全部覚える必要はない。「+」を消さずに読むことが大切だ。両者を合わせた指標の結果を、ミオグロビンだけの増減へ言い換えることはできない。また、この研究で評価しているのは脱酸素化の変化であり、ミオグロビンそのものの総量を増やせたかという問いとも違う。[13][15]

実際に、男性持久系競技者を対象としたHIITの無作為化比較試験では、太ももの外側にある外側広筋で、この合成された脱酸素化指標が使われた。論文の測定値を「筋肉が酸素を蓄える成分の量」と呼び替えず、どの試験中に測った何の変化かまで読む必要がある。男性競技者の測定結果を18〜39歳の女性へ適用するには、性別と運動経験の違いを検討する必要がある。[13]

また、酸素化ヘモグロビン、脱酸素化ヘモグロビン、総ヘモグロビン、組織酸素飽和度も同じ名称ではない。慢性疾患のある成人の運動介入を集めた系統的レビューは、これらをそれぞれ評価変数として挙げている。飽和度の線と総ヘモグロビンの線を交換して、同じ現象のように説明するのは避けたい。慢性疾患のある成人の結果は、健康な18〜39歳の女性の運動反応を直接説明するものではない。[20]

説明を受ける場面なら、「これは何という指標か」「変化量か、飽和度か」と尋ねるだけでもよい。表示された線に意味を与えるのは色や見栄えではなく、測定変数の名前である。

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HIITの試験では数字と成績が別々に動いた

男性持久系競技者18人の無作為化比較試験では、通常の練習にHIITを週3回、3週間加え、下肢の血流制限を伴う群と伴わない群を比べた。運動は最大有酸素パワーの100%で15秒間動き、15秒間回復する構成だった。これは競技者への研究条件であり、仕事帰りに始める人への推奨メニューではない。18〜39歳の女性へ同じ変化量をそのまま当てはめることもできない。[13]

血流制限を伴う群では、30秒間の自転車の全力テストで総仕事量が3.6%増加した。同じテスト中のNIRS由来の脱酸素化指標の変化は、トレーニング後に8.8%小さくなった。成績が上がった場面で、指標の変化幅まで小さくなった点が、この研究の読みどころだ。[13]

さらに、この群の最大有酸素パワーは4.5%増えた一方、最高酸素摂取量には群間の変化がなかった。自転車のタイムトライアル成績は両群で改善した。「効果があった」という短い説明の中にも、変わった項目と変わらなかった項目が共存している。[13]

したがって、脱酸素化が大きいほど成績もよい、という順位表にはできない。少人数の鍛錬された男性の結果を、女性や運動初心者、ヨガの場面へそのまま移すことも避けたい。何をする試験で成績を測ったかと、どの筋肉の指標を記録したかをセットで確認する読み方になる。[13]

血流制限を扱う健康成人の研究16本のナラティブレビューでは、通常の血流下の運動より、急性の脱酸素化反応が大きい傾向が報告されている。一方、長期的な筋酸素化への影響を扱う証拠は限られ、微小血管機能の知見も少ない。急性の変化が大きいことを、そのまま長期の利益の大きさに置き換えられない。健康成人をまとめた結果から、18〜39歳の女性だけの反応を同じ大きさで見積もることはできない。[5]

この節は血流制限を自分で追加するための話ではない。研究で条件を変えると信号も変わる、という例として読むのが役に立つ。

この試験で、光の測定とは別に自転車の仕事量やパワーを測っていた点にも注目したい。測定値と成果の関係を考えるには、成果そのものを確かめる手順が要る。脱酸素化の指標だけを取り出した図では見落とすが、成績の試験を並べることで、何が改善し何が変わらなかったかが具体的になる。[13]

また、全力テスト中の変化が小さくなったことを、普段の運動中にも酸素が下がらなくなるという約束へ広げることはできない。研究では、トレーニングを行う条件と、その前後に効果を確かめる試験の条件がある。運動の紹介を読むときは「どんな練習をしたか」の次に「何をして測り直したか」を探すと、指標の意味を追いやすい。[13]

女性の測定は運動と休憩の組み合わせも確認する

女性のHIIT研究では、月経周期の低ホルモン期と高ホルモン期に、異なる運動と休憩の組み合わせを無作為の順序で実施している。ホルモン避妊法を使わない参加者に加え、銅付加子宮内避妊具やホルモン避妊法の利用者も含まれる。ひとまとめに「女性の平均」と読む前に、対象の構成を見ておきたい。[6]

用いられたのは、60秒の運動と60秒の休憩を10回行う構成、および20秒の運動と10秒の休憩を20回行う構成である。前者では低ホルモン期の組織酸素飽和度の低下が大きく、後者では高ホルモン期の低下が大きいという結果だった。周期だけに注目して「この時期はいつでも下がる」と決めると、運動条件との関係が抜け落ちる。[6]

60秒ずつの構成で報告された飽和度の変化は、低ホルモン期が−8.30±3.30%、高ホルモン期が−6.77±4.55%だった。これはその研究条件での平均とばらつきであり、自分の表示を合格か不合格かに分ける基準ではない。[6]

同じ女性でも、運動と休憩の組み合わせまで含めて読む必要がある、というのが実用的な受け止め方になる。周期を記録するなら、メニューの構成も隣に書く。周期だけを原因欄に置いてしまうより、後から何を比べたのか分かりやすい。[6]

数字で読む筋酸素の測定研究

78研究:筋トレ時のNIRSを扱ったスコーピングレビューの採用数。男性と単関節運動の研究が多かった。[2]

18人:血流制限を組み合わせたHIIT試験の男性持久系競技者数。一般の運動初心者とは対象が異なる。[13]

3.6%:同試験の血流制限群で増えた、全力自転車テストの総仕事量。筋肥大の増加率ではない。[13]

−8.8%:同群のテスト中の脱酸素化指標の変化。成績の改善と指標の拡大は同義ではなかった。[13]

18研究・11機器:慢性疾患のある成人の臨床研究をまとめた系統的レビューの規模。測定条件の統一が課題となった。[20]

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宮川涼 Founder

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