ハムストリングのテーピングで力は増す?サッカー前の実感と測る筋力の違い

サッカー前にハムストリングへテーピングをすると、支えられる感じを筋力の増加と考えてよいのか。弾性テープの試験で測った関節の動き、筋活動、痛みを読み分け、女子選手の筋トレ研究とも比較する。貼った直後の実感と実測する力を混同せず、練習前後の記録で確かめたい点を考える。

ベンチでスパイクのひもを結ぶ前に、太ももの裏へテープを貼る。「今日は脚を振れそうだ」と思ったとき、その実感をどこまで筋力の変化として受け取ってよいのだろう。脚の手応えと、機器で測る力は分けて評価したい。男子大学生を対象にした骨盤へのテーピング試験でも、動作の変化と筋活動の変化は分かれている。18〜39歳の女性のサッカー前の実感を説明するには、性別と動作の違いが残る。[7]

答えの芯は、何が変わったかを言い分けることにある。足裏への弾性テープを調べた無作為化比較試験では、足首を動かせる角度と足首で踏み込む力のいずれも、対照群との有意な差はなかった。一方、変形性膝関節症の患者を対象にした比較試験では、痛みや関節の動きに良い結果が出ている。足裏の試験はハムストリングへの直接貼付を調べておらず、膝関節症の試験は複数の筋肉への貼付である。18〜39歳の健康な女性にそのまま当てはめるには、対象も貼る場所も異なるため、どちらも「サッカー前に裏ももへ貼れば筋力が増す」という答えには置き換えられない。[4][5]

柔軟性への圧の影響は、既存記事「ハムストリングの柔軟性は圧をかけると変わる?カフの研究と普段の動きを読む」に譲る。ここでは、テープを使った研究の測定項目を確かめ、貼った直後の感想と、筋力や競技動作の成績をどう並べて読むかに絞る。

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「脚が動く」の中に、何を入れているか

テーピングの感想を聞くなら、「良かった」の続きが大事だ。膝を伸ばしやすいのか、痛みが少ないのか、膝を曲げて抵抗に負けず支えられるのか。それぞれ、研究で確かめる項目が違う。膝関節症の比較試験では痛み、生活動作に関する評価、関節の可動域が測られ、骨盤へのテープの試験では座って膝を伸ばす間の動作と筋活動が測られた。同じテープの話でも、合格を判定する物差しが違うのである。患者と男子大学生の評価なので、18〜39歳の健康な女性で同じ結果になるかは別に確かめる必要がある。[5][7]

可動域とは関節を動かせる範囲を指す。足裏のテープの試験では、足首をすね側へ曲げる角度が調べられた。一方、足首で踏み込む力も別に測られている。角度が変わることと、押す力が変わることを、研究の設計から分けている点に注目したい。「よく動いたから強くなった」と続けず、角度の結果は角度の結果として受け止める読み方である。[4]

筋活動も筋力そのものではない。慢性腰痛の成人を対象にした研究では、体幹の筋肉の電気的な活動を、表面筋電図という方法で測った。運動中に記録された活動の大きさを比べる評価であり、走る速さを測った評価ではない。テープを使ったという共通点だけで、体幹の筋活動の結果を太もも裏の筋力やキックの強さへ移してはいけない。18〜39歳の健康な女性への適用にも、慢性腰痛のある成人という対象の違いがある。[6]

サッカーをする人が知りたいことは、おそらくテープそのものの評価より、「次の練習で安心して動けるか」だろう。その問いを考えるにも、痛みの有無、力の測定、走る課題の成績を分けた方がよい。女子サッカー選手の筋トレ試験では、実際に筋力が増しても走る成績の有意な変化は出なかった。筋力の向上でさえ、そのまま速さの向上とは呼べないのである。[8]

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足裏のテープは、対照群と比べてどうだったか

健康な大学生24人を対象にした無作為化比較試験では、利き足の足裏へ弾性テープを貼る群と、介入を行わない群に12人ずつ分けた。介入前後の足首の角度と、足首で踏み込む筋力を比較したが、いずれにも群間の有意差は認められなかった。この対象と条件では、テープを貼る群が貼らない群より良くなったとは確認されなかった、という結果である。対象は健康な大学生であり、18〜39歳の女性全体で同じ結果になるかまではこの比較から決められない。[4]

ただし、これを「テープでは何も変わらない」と読み切るのも早い。同じ試験の追加の分析では、脚を伸ばして上げる角度が70°未満だった人について、テープ群の介入後の足首の角度が介入前より大きくなった。この結果が示しているのは、条件で分けた一部の人の、貼る前後の変化である。全体の群間比較で有意差がなかった結果と、並べて読む必要がある。[4]

「前より変わった」と「貼らない場合より変わった」は違う問いだ。前者の結果だけを抜き出すと、テープを使う選択が他の選択より優れていたように見えてしまう。この試験を紹介するときは、全体の比較を先に示し、そのあとに部分的な分析の結果を添える順序が適切だろう。都合の良い方だけが、研究の顔になるのを防げる。[4]

ここで貼っている場所は足裏で、測った力も足首の力である。ハムストリングへ貼ったときの膝を曲げる力と同じ条件ではない。裏もものテープを選ぶ読者にとっては、直接の効き目を約束する試験ではなく、「テープの研究でも、角度と筋力、全体と一部を分けて読む」という具体例になる。[4]

比較の相手を言葉にするだけでも、宣伝的な読み方から離れられる。「テープを貼る前の自分と比べたのか」「何もしなかった人たちと比べたのか」と問い直してみる。この試験では、全体の群間比較と、脚を上げる角度で分けた部分的な前後比較が併存している。結果の見出しに「改善」とだけあっても、その比較相手を確かめるまでは、どの程度選ぶ理由になるのか判断を保留したい。[4]

さらに、脚を伸ばして上げる角度で人を分けたことと、足首の角度が変わったことも、別の役割を持つ。前者は分析の対象を区切る条件で、後者は介入の結果として測った項目である。条件に使った数字を、そのまま自分の体の良し悪しを決める基準として使う必要はない。この研究の部分的な結果を読むための境目であって、読者全員に貼ることを勧める境目ではないからだ。[4]

骨盤の動きが変わっても、裏ももの活動は別だった

ハムストリングの短縮がある健康な男子大学生28人を対象にした試験では、座って両膝を伸ばす動作を使って比較した。対象者は、筋肉を収縮させる動作を組み合わせるPNFストレッチの群と、骨盤の前傾に関わるテーピングの群へ無作為に分けられた。単に脚が高く上がったかを見るのではなく、臀部にかかる圧の中心の移動と、腹筋および裏ももの筋活動を測っている。18〜39歳の女性への適用には、男性だけの試験という隔たりがある。[7]

両群とも、介入前に比べて臀部の圧の中心が移動する距離と腹直筋の活動が有意に減った。研究者は、ハムストリングの短縮に伴う骨盤の代償動作を減らす方法として、ストレッチだけでなく骨盤への介入も使える可能性を示している。ただし、裏ももの筋肉である半腱様筋の活動には有意な変化がなかった。姿勢や動きの調節に変化が出たことを、裏ももの活動増加と同じにしない点が重要だ。[7]

座って脚を伸ばす動作なら、家での体の確認にも似て見える。しかしこの研究で使ったのは骨盤へのテープであり、対象はハムストリングの短縮がある若い男性だ。18〜39歳の女性が太ももの裏に貼ったサッカー練習や、全力で走る場面へ結果を広げるには隔たりがある。動きの見た目が変わったという話と、筋力を上乗せしたという話は、ここでも分かれる。[7]

筋電図の研究も、この区別を補っている。慢性腰痛の成人21人が、吊り下げ器具を使う運動をテープあり・なしで行った研究では、テープによる体幹の筋活動の即時的な改善は認められなかった。運動の種類による活動の違いはあったが、貼ること自体の追加利益とは別だった。なお、この結果が扱うのは体幹である。裏ももの筋力に対する直接の反証として使うのではなく、測った部位を守って読む。18〜39歳の健康な女性へ移す際にも、腰痛の有無という条件をそろえる必要がある。[6]

器具を使った運動の研究では、参加者がハムストリングカールなどの異なる動きを行い、体幹の筋肉ごとに活動を比較していた。ハムストリングという名前が運動名に入っていても、主に確かめているのは体幹の活動である。検索で研究を見つけたときほど、題名の単語だけで判断せず、どの筋肉の何を測ったかへ戻りたい。[6]

このように、貼る場所、対象者の状態、動作、測る項目を順に確かめると、研究を自分の場面に重ねてよい範囲が見えてくる。座位での骨盤の調節を調べた結果を、グラウンドでの全力走にそのまま当てはめない。その線を引いても、動作を調べる研究の価値は減らない。何が確かめられたかを狭く正確に受け取る方が、次に知りたい疑問も具体的になる。[7]

数字で読むテープと測定の距離

24人:足裏への弾性テープを調べた無作為化比較試験の健康な大学生の人数。ハムストリングへの直接貼付試験ではない。足首の角度と筋力の群間差は有意ではなかった。[4]

28人:骨盤へのテープとストレッチを比較した、ハムストリングの短縮がある男子大学生。半腱様筋の活動に有意な変化はなかった。[7]

30人:膝関節症のテーピング研究の患者数。痛みや関節の動きの評価であり、健康なサッカー選手の最大筋力試験ではない。[5]

35人:女子サッカー選手の筋トレ試験の人数。4週間後に筋力は増したが、走る成績の有意な変化はなかった。[8]

24〜72時間:スポーツの筋力評価に関するメタ分析で、フィールド上の活動後に筋力低下が持続した時間帯。貼る前後を比べる際にも、活動からの経過を無視しないための数字だ。[16]

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宮川涼 Founder

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