有酸素運動で体脂肪を蓄え直す量は変わる?同じ出力と相対強度の比較を読む

有酸素運動で体脂肪が分解されても、放出された脂肪酸が全て燃えるわけではない。再び脂肪として蓄える再エステル化とは何か。閉経後女性の運動試験や持久系競技者の比較から、分解量・酸化量・血液から消えた量の違いを読み、研究の割合を自分の体脂肪減少率に置き換えない見方を考える。

運動で分解された脂肪は、その後どこへ行くのだろう。「今日は脂肪を分解できた」という言葉には続きがある。分解されてできた脂肪酸には、燃料として使われる行き先も、再び脂肪の形に組み直される行き先もある。体の中の脂肪は、出口だけの一方通行ではない。[1][3]

答えは、分解の先には燃料利用と蓄え直しの両方がある、である。閉経後女性を対象とした持久運動の試験では、運動中に血液から取り除かれた遊離脂肪酸のうち、再び蓄える過程が占める割合は50〜70%だった。ただし、これは体脂肪全体の半分以上が戻るという意味ではなく、測定した脂肪酸の流れの内訳である。閉経後女性の結果を18〜39歳の女性の割合としてそのまま当てはめることはできない。[2]

近い話題の既存記事「脂肪燃焼の栄養はどう届く?脂肪酸を運ぶ血液の濃度と筋肉の入口を読み解く」には、運ばれる過程の問いを譲る。既存記事「ダイエットの運動後に脂肪酸の組み直しが増えるのはなぜ?回復中の割合と量を読む」には回復期の変化を譲り、こちらは継続後の出力と相対強度の比較を中心に据える。ここで追うのは、分解の先で使われる脂肪酸と、蓄え直される脂肪酸の分かれ道だ。強度の最適値を探すより先に、「燃えた」と呼ぶ対象をそろえておきたい。

ヨガとからだの記事のイメージ写真 立川駅徒歩1分年中無休の溶岩ホットヨガスタジオ

分解は出発点、酸化は燃料として使う過程だ

体内に蓄えられる中性脂肪は、トリグリセリドとも呼ばれる。脂肪分解はその中性脂肪を分解する過程で、脂肪酸を利用できる形にする。一方、脂肪酸の酸化は、脂肪酸を燃料として使う過程である。持久運動時の脂質代謝を扱うレビューは、脂肪酸の動員と酸化を分けて論じている。「脂肪を出す」と「脂肪を使う」は別の働きなのだ。[1][3]

遊離脂肪酸とは、中性脂肪に組み込まれた状態から離れた脂肪酸のことである。その脂肪酸を再び脂肪の形に組み込む過程が、再エステル化だ。少し長い名前だが、この記事では「蓄え直す」と置き換えて読めばよい。分解と蓄え直しがつながった循環は、体全体だけでなく、さまざまな臓器の細胞内でも起こると総説は説明する。[1]

台所の食材を調理台へ出しただけでは、食事を終えたことにはならない。脂肪酸も、分解された時点で全て使い切られたことにはならない。ただし体内では、使う流れと戻す流れが並行して進む。脂肪分解の数字だけを見て運動の成果を判定すると、その並行する流れを落としてしまう。[1][3]

運動中の酸化量には、働く筋肉が必要とするエネルギー、筋肉のミトコンドリアへ届く脂肪酸、ほかの燃料の酸化が関わる。ミトコンドリアは、ここでは燃料利用を担う細胞内の場として捉えればよい。分解の勢いだけで酸化量が決まるという説明では、こうした利用側の条件を表せない。[3]

この区別は、体脂肪を減らしたい人だけのものではない。歩くための燃料がどのように用意されるかを知る話でもある。レビューでは、体内の中性脂肪は持久運動の重要な燃料源と位置づけられている。脂肪を単に取り除く対象と考えるより、出し入れされる燃料として見るほうが、研究の言葉に近い。[3]

初日の汗は、予約した人だけが持ち帰れる。

体験レッスンを予約体験専用 03-6665-0898LINE

血液から消えた量と、燃えた量を分ける

脂肪酸の研究には、血液へ現れる速さと、血液から消える速さが登場する。閉経後女性の運動試験では、脂肪分解、血中への出現、血中からの消失、再エステル化、酸化をそれぞれ調べている。似た響きの測定値を並べたのではなく、流れの違う地点を見ているのである。[2]

血液から取り除かれた脂肪酸にも、酸化以外の行き先がある。この試験では、運動中の遊離脂肪酸の消失量の多くを再エステル化が占めた。「血液からなくなったから、燃えたはずだ」と読み替えると、実際には蓄え直された分まで燃焼に数えてしまう。[2]

さらに、蓄え直しの全てが、血液へ出てから起こるわけでもない。健康な人を調べた実験では、細胞内から外へ出ずに再エステル化される流れと、細胞の外へ出てからさまざまな臓器で再エステル化される流れを区別している。「戻る」という言葉から、同じ脂肪細胞へそのまま帰る姿だけを想像しないほうがよい。[18]

このため、血中の脂肪酸に関する数字を読んだときは、濃度なのか、時間当たりの出現量なのか、消失量なのかを確かめたい。試験が酸化を別に測っているなら、消失量を代用する必要はない。血液の中にある量と、そこを通過する流れと、燃料として使う量は、それぞれ別の問いに答える。[2][18]

また、筋肉で使われる脂肪の全てが血液由来だけではない。持久運動のレビューは、筋肉内に蓄えられた中性脂肪の利用にも目を向けている。血液由来の脂肪酸の測定値だけを見て、全身の脂質利用を言い尽くしたつもりになると、筋肉内の燃料という層を見落とす。[3]

日常ではこの流れを直接見ることはできない。だからこそ、運動中の感覚から「今日は放出量が多い」「蓄え直しが少ない」と細かく採点する必要もない。研究の測定項目を知る意義は、自分に新しい採点表を増やすことより、単純すぎる脂肪燃焼の説明を見分けられることにある。

閉経後女性の試験では、何が50〜70%だったのか

2010年の試験では、座りがちな生活を送る健康な閉経後女性10人が、監督下の自転車による持久運動を12週間行った。平均年齢は55歳で、運動は週5日、各日1時間、最高酸素摂取量の65%に相当する強度だった。対象と運動条件がかなり絞られており、18〜39歳の女性に同じ変化が起こるかは、この試験だけでは判断できない。[2]

測定には、目印を付けたパルミチン酸という脂肪酸と、グリセロールを連続的に投与する方法を使った。安静時と自転車運動中を調べ、トレーニング前後の脂肪酸の行方を推定している。体脂肪計の数字を引き算して循環量を求めた研究ではない。[2]

運動中の再エステル化は、血液から取り除かれた遊離脂肪酸の50〜70%を占めた。この割合の分母は、体内にある中性脂肪の総量でも、脂肪細胞で分解された量全体でもない。血液からの消失量である。数字を紹介するときに分母を省くと、「運動で減った体脂肪がその割合で元に戻る」という別の話になってしまう。[2]

研究期間中の体重は維持されていた。それでも、同じ出力で運動した条件では、トレーニング後に血中への脂肪酸の出現、血中からの消失、血液由来脂肪酸の酸化が増加した。脂肪酸の扱い方の変化と、体重が減ることは、この試験では同じ出来事ではなかったのである。[2]

ここから若い女性の日々の散歩へ、その割合をそのまま移すことはできない。年齢、閉経の有無、運動歴、運動条件が違うからだ。採用したいのは「私も同じ割合だけ戻る」という予測ではなく、酸化が起こる最中にも蓄え直しが並行するという構造である。[1][2]

この試験を読む際には、体重が維持されたという条件を、単なる付け足しにしないことも必要だ。開始時の平均体重は68.2 kgであり、研究中はその体重を維持したうえで代謝の変化を調べている。体重減少を競わせた試験として読むより、持久運動によって脂肪酸を扱う能力がどう変わるかを確かめたものとして読むほうが適切である。[2]

運動能力の指標である最高酸素摂取量は、トレーニング後に平均16.3%増加した。したがって、前と同じ出力に合わせた測定と、新しい能力の65%に合わせた測定では、そろえている条件が違う。「同じ強さで測った」という短い紹介では、この区別は伝わらない。後半で扱う蓄え直しの違いは、この測定設計と切り離せない。[2]

ここで示した16.3%は集団の平均変化であり、脂肪の燃焼量が同じ割合で増えたという数字ではない。運動能力、血液由来脂肪酸の酸化、再エステル化は、それぞれ別の測定項目だ。数値が並ぶと一緒に上がる印象を持ちやすいが、研究はその対応を一つずつ調べている。[2]

さらに、研究では安静を90分、自転車運動を60分測定した。普段の生活全体を連続して観察した数字ではなく、設定した条件の中で流れを調べた数字である。この範囲を残せば、運動中の割合からその日の体脂肪の収支を計算しようとせずに済む。研究の時間枠は、結果を小さく見せるためではなく、何を明らかにしたかを正確に受け取るために読む。[2]

数字で読む脂肪酸の行き先

10人:健康だが座りがちな閉経後女性を調べた持久運動試験の対象人数。[2]

12週間:同試験のトレーニング期間。期間中の体重は維持された。[2]

50〜70%:同試験の運動中、遊離脂肪酸の血中からの消失量に占めた再エステル化の割合。[2]

9人と10人:安静時の脂質代謝を比較した持久系自転車競技者と未訓練の健康な対照群の人数。[17]

約4倍:その群間比較で、競技者に認められた中性脂肪と脂肪酸の循環速度。脂肪減少量の倍率ではない。[17]

初日の汗は、予約した人だけが持ち帰れる。

体験レッスンを予約体験専用 03-6665-0898LINE

💬 ご質問がある場合はこちらからどうぞ

オンザショアのチャットで質問する(24時間受付)

レッスン内容・料金・体験のご予約など、気になることをお気軽にお尋ねください。

author avatar
宮川涼 Founder

1

2

関連記事

ご体験予約