運動のやる気が出ない日は楽しみを近くに?先の健康とその場の報酬を読み分ける

運動した方がよいと分かっていても、仕事帰りには動けない。将来の健康とその場で得られる報酬は、行動への働き方が違う。自転車運動の実験や歩数の研究から、楽しみを近くに置く発想と限界を読む。動いた時間の増加を長期の習慣と混同せず、自分に合う続け方を考える記事である。

運動着を出したまま、ソファに座る。朝は体を動かすつもりだったのに、帰宅して着替える段階で予定が止まっている。「将来の健康のために」という理由は消えていない。ただ、その理由を抱えたまま、今日は帰りたい。

こんな場面を考える手掛かりが、遠い報酬より近い報酬を重く見る「将来報酬の価値低下」である。健康という先の利点を伝える条件より、寄付や他者への発信というその場の報酬を結び付けた条件で、自転車を長くこいだ実験がある。先の健康を大切にすることと、今日動く理由を近くに置くことは両立し得る。[1][2]

ただし、寄付が動機になること、運動そのものを楽しく感じること、長く通い続けることは同じではない。ここでは「いま得られるものがあると、その場の行動は変わるか」を中心に読む。既存記事「運動習慣のごほうびは後日でも役立つ?受け取る時期と歩数の変化を読み分ける」が扱う支払いの時期から、報酬の中身へ問いを移す。

ヨガとからだの記事のイメージ写真 立川駅徒歩1分年中無休の溶岩ホットヨガスタジオ

将来の健康が大切でも、今日の選択は別に起こる

将来報酬の価値低下とは、大きくても先に得られる報酬より、小さくても早く得られる報酬を選びやすい傾向を指す。食事や身体活動への介入を論じた論考は、長期の取り組みが続きにくい背景として、この時間の隔たりを取り上げている。運動の知識がないから動かない、という説明だけでは捉えにくい部分である。[1]

これは本人に「先を考えられない人」という札を貼るための言葉ではない。論考が提案しているのは、生活行動を支える対象として将来報酬の価値低下に注目することだ。研究上の傾向を知ることと、ある日の自分の選択の原因を断定することには距離がある。帰宅を選んだという出来事だけから、心理的な特性までは決められない。[1]

たとえば、今日の予定表にある「運動」は、着替え、移動、体を動かす時間まで含む。一方、「健康になる」は、その場で受け取る品物のようには見えない。ここで考えたいのは、遠い目標をさらに立派な言葉にすることより、今日の行動に何を結び付けるかである。これは将来報酬の価値低下という視点を生活に置き直した考え方であり、生活の手順としての効果は、別に検証する必要がある。[1]

また、近い報酬といっても、お金以外も含む。実験では、自分の運動が寄付につながることや、自分の行動を他者に示せることが報酬として扱われた。「役に立った」「人に見てもらえる」も、その行動を選ぶ理由になり得るという問いである。甘い物を買うか買わないかだけが、ごほうびの設計ではない。[2]

楽しみを近くに置く、という言い方は、この広い意味で用いたい。必ず笑顔になれる運動を探すことでも、気分が上がるまで始められないと決めることでもない。健康への期待とは別に、その場で自分が価値を感じるものがあるかを見る。その際も、自分にとっての価値と、他人に勧められた価値を分けて考える余地がある。[1][2]

初日の汗は、予約した人だけが持ち帰れる。

体験レッスンを予約体験専用 03-6665-0898LINE

自転車の実験では「誰かの役に立つ」も報酬だった

参加者108人を無作為に4条件へ割り付けた実験では、固定式の自転車を中程度の強さで、自分がやめたいと思うまでこいでもらった。比較の基準は、本人だけに関わる将来の健康上の報酬を置いた条件である。他には、運動が金銭の寄付につながる条件、運動結果を交流サイトに投稿する条件、その両方を合わせた条件が設けられた。[2]

結果は、即時の報酬を置いた3条件のいずれも、健康上の報酬を置いた条件より長くこいだというものだった。寄付と公開を組み合わせた条件は、それぞれの報酬だけの条件より運動時間が長かった。解析では、普段の身体活動や利他的な性格、他人によく見られたい動機なども考慮されている。[2]

ここで測ったのは、その場でどれだけ努力を続けたかである。長くこいだという結果は、運動中の楽しさが高かったことや、次の機会にも参加したことと同義ではない。この実験を読むときの中心は「運動は健康によい」という説明に別の価値を加えたら、その回の行動がどう違ったかにある。[2]

また、寄付と公開を組み合わせた結果を、そのまま「人に見せるほどよい」と言い換えるのは急ぎすぎる。実験の公開は、向社会的な報酬、つまり他者のためになる報酬と組み合わせて評価されている。他人と体型を比べる投稿や、休んだ日を責め合う仕組みまで支持する結果ではない。試験で用いた報酬の形を保って解釈する必要がある。[2]

日常に置くなら、運動した自分を立派に見せる文章を考える前に、「今日の行動が何につながると、自分には意味があるか」と問う方が、この実験の違いを捉えやすい。誰かへの貢献がうれしい人もいれば、公開には価値を感じない人もいるだろう。ここは自分に合う候補を考える場面である。[2]

歩数が増えた研究も、長く続く保証とは分ける

その場の報酬が歩く量とどう関わるかを見るには、歩数を仮想通貨に換える仕組みの利用者を調べた観察研究が参考になる。対象はこの仕組みに登録した利用者5,892人で、登録前の3か月を基準に、登録後6か月の歩数の変化を調べた。登録後の平均歩数は19%増えていた。日常の歩行が、交換できる価値と結び付いた仕組みでの結果である。[3]

ただし、この数字は「この仕組みを使えば誰でも19%多く歩く」という約束ではない。利用者の登録前後を比べた研究であり、報酬の有無だけを無作為に分けた実験とは異なる。季節による違いも報告されている。報酬だけが増加の原因だったと決めず、利用中に観察された変化として読むのが適切だ。[3]

同じ研究では、活動が少ない人や、体格指数で過体重に分類された人に、大きな活動増加との関連が見られた。これは、体重を減らすことを全員の目標にすべきだという話ではない。普段あまり動かない人にも、この仕組みの利用と活動増加が結び付いていた点が、やる気の問いに関係する。対象の特徴と目標の押し付けを混ぜないでおきたい。[3]

一方、身体活動が少なく過体重に分類された18〜60歳の成人96人を対象に、報酬条件を無作為に分けた試験もある。小さく即時で目標達成に応じた報酬を得る群と、大きく遅れて参加への報酬を得る群を比較した。全体では介入開始前より平均で1日2,258歩増え、歩数の増加は即時報酬の群で大きかった。対象には中高年も含まれるため、18〜39歳の女性に同じ増加をそのまま当てはめることはできない。[5]

ここは丁寧に読む必要がある。比較条件は支払う時期だけでなく、金額の大きさや何に対して報酬を出すかも異なっている。したがって、結果を「早く渡したことだけの効果」とは切り分けられない。また、4か月の介入期間中には、全体として1日当たり9歩ずつ低下する傾向があった。開始時に増えたことと、その増加が保たれることは別の評価である。[5]

報酬の研究を選ぶ際は、自分が知りたい行動の単位にも目を向けたい。自転車の実験は、その場でやめるまでの時間を比較した。利用者の観察研究は、暮らしの中の歩数を登録前後で比較した。前者で長くこいだことから日常の歩数増加を予測したり、後者の平均増加率を今日の運動時間に当てはめたりはできない。同じ「動いた」という言葉の下に、違う測り方が置かれている。[2][3]

歩数の試験における全体の増加も、即時報酬と遅れた報酬の差そのものではない。両群を含んだ開始前からの変化と、群の間でどちらが大きく変わったかは、別の数字である。大きな増加だけを見て即時報酬の効果と呼ぶと、比較の意味が変わってしまう。「全体では増えた」「即時の群で増加が大きかった」と、主語を残して読むことが大切だ。[5]

また、仮想通貨の仕組みを利用中に歩数が増えた結果は、歩く感覚自体が好きになったという結論でもない。交換できる価値を楽しみに歩くことも、行動としては歩行である。本人が何を好んだかと、記録された活動量を分ければ、楽しさという言葉に研究の結果を詰め込みすぎずに済む。[3]

数字で読むその場の報酬

108人:自転車運動を、健康・寄付・公開・その組み合わせで比較した実験の参加者数である。[2]

5,892人:歩行を交換可能な価値に結び付けた仕組みの利用者を追った観察研究の対象者数である。[3]

19%:登録前と比べた、登録後6か月の平均歩数の増加であり、個人に保証された増加率ではない。[3]

2,258歩/日:報酬条件を比べた無作為化試験での、全体の開始前から介入期への平均増加である。[5]

137人:運動する高齢者としない高齢者の将来報酬の価値低下を比較した横断調査の対象者数である。[7]

初日の汗は、予約した人だけが持ち帰れる。

体験レッスンを予約体験専用 03-6665-0898LINE

💬 ご質問がある場合はこちらからどうぞ

オンザショアのチャットで質問する(24時間受付)

レッスン内容・料金・体験のご予約など、気になることをお気軽にお尋ねください。

author avatar
宮川涼 Founder

1

2

関連記事

ご体験予約