朝のソーセージは焼くと脂が減る?肉汁と残った重さで違う栄養の読み方

朝のソーセージを焼いたあと、フライパンに残る汁を全部脂だと思っていないだろうか。加熱で減る重さと脂肪の流出は別の指標である。鶏肉や豚肉のソーセージを使った食品実験から、水分と油を保つ構造、配合で変わる加熱損失、表示と調理後の重さを比べる際の注意点を読む。

皿に移したソーセージより、フライパンに残った汁の方が気になる朝がある。「これだけ脂が落ちた」と少し安心する。だが、その汁の見た目だけでは、食べる脂の量を計算できない。ソーセージの食品実験では、加熱で失う重さと、押し出される液体や脂を別々に調べている。[11]

答えの芯は、焼いて軽くなった分を全部脂と数えないことだ。水分を保つ構造が変わるだけでも、加熱時に減る重さは変わる。さらに、豚の背脂を別の油を含む材料に置き換えた実験でも、加熱損失は小さくなった。汁が少ない製品ほど脂が多い、あるいは汁が多いほど脂が減った、とは決められない。[10][20]

既存の「ダイエットの鮭は焼くと脂が減る?流れ出る脂と残る脂肪酸を分けて研究で読む」には魚の脂肪酸の話を譲る。また「糖質制限のウインナーは焼き方も選ぶ?加熱で変わるソーセージの成分を読む」と異なり、ここでは焼き方の優劣より、配合された食品の肉汁と重さをどう読むかに絞る。朝食を採点するためではなく、フライパンを栄養計算機にしないための話である。

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焼いて減った重さは、脂だけの数字ではない

研究でいう加熱損失は、加熱に伴って食品から失われる重さを扱う指標である。これを脂肪の損失と同じ意味で読むと、結果を取り違える。鶏肉ソーセージを使った実験では、加熱損失のほかに、押し出される液体の総量と脂の量が評価された。研究者自身が別の項目として測っている点が、読み方の出発点になる。[11]

この実験の対象は、淡い色で軟らかく、液が出やすい性状を模した鶏肉ソーセージだった。ゼラチン、アルギニン、リシンを加えた条件で、加熱損失や硬さ、肉の生地の性質を比較している。材料を変えて製品の性質を確かめた食品実験である。18〜39歳の女性が食べた場合の脂質摂取量や健康への影響に、そのまま当てはめることはできない。[11]

無添加の比較条件で加熱損失は17.8%だった。それがゼラチン単独では12.2%、アルギニン単独では9.5%、リシン単独では8.3%になった。同時に、押し出される液体や脂の減少、油滴が小さく均一になる変化も報告された。減った重さ、出やすい液体、油の分散のしかたは関連するが、同じ測定値ではない。[11]

したがって、17.8%という値を「脂が17.8%落ちた」と訳してはいけない。また、8.3%の条件を家庭で再現できる脱脂率として使うのも誤りだ。特定の性状の鶏肉と特定の配合を比較した数字だからである。朝のソーセージに当てはめるなら、研究の数字を借りて引き算するより、「失った重さの内訳を区別する」という視点を借りる方がよい。[11]

フライパンに残った汁を見て分かるのは、そこに液体が残ったということまでだ。研究のように脂と液体を分けて測っていない朝の台所では、汁の広さや光り方を脂肪量の代わりにしない。目で見える変化と、成分として測る変化の間には、まだ距離がある。[11]

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ソーセージの中では、水と油を保つ構造が働く

乳化ソーセージとは、油が細かな粒として分散した状態を利用するソーセージである。鶏肉ソーセージの実験では、材料の添加により油滴が小さく均一になり、粘りや弾性的な性質も変わった。単に肉と脂を並べた食品ではなく、分散した油とたんぱく質の構造を持つ食品として見ると、配合によって汁の出方が違う理由が理解しやすい。[11]

豚肉の発酵ソーセージでは、サケの白子由来のたんぱく質を酵素で分解した材料を加える実験もある。分解物は、使う酵素によって性質が異なる。試した材料はいずれも熟成時の水分損失と加熱損失を減らしたが、食感は一様ではなかった。水を残すことと、形や噛み応えを保つことを、別々に見る必要があったのである。[2]

ある酵素で作った分解物の条件では、加熱後の硬さは比較対象の80.6%、噛み応えは69.3%に保たれた。他の酵素による条件では、水分を多く保っていても、さらに軟らかくなった。水分が多く残ったら必ず硬くなる、汁が出たら必ず軟らかくなる、という単純な対応ではなかった。[2]

この結果は、家庭で特殊な材料を足す提案ではない。同じ「ソーセージ」という名前でも、原料の組み合わせやたんぱく質の状態が違えば、加熱後の見え方が変わるという証拠である。研究では水の分布やたんぱく質と脂の構造も合わせて評価されており、食感だけで水分や脂の残り方を代弁させていない。[2]

朝食の皿で、ぱりっとしたものと軟らかいものを比べたとする。その違いを好みとして記録することはできる。しかし「硬いから脂が抜けた」「軟らかいから脂が残った」と栄養の判定に進むと、材料の構造が変えた食感を見落とす。食べた感じは大切だが、成分表の代役まで任せる必要はない。[2][11]

脂の種類と分散を変えると、汁の出方も変わる

豚の背脂を大豆油の予備乳化物に置き換えた食品実験は、この問いに別の角度を与える。予備乳化物とは、あらかじめ油を細かく分散させた材料である。研究では筋肉由来のたんぱく質で安定させたものに加え、アラビアガムなどを組み合わせ、背脂の一部または全部を置き換えて西洋風の乳化ソーセージを作った。[10]

背脂だけを使った比較条件よりも、置き換えた条件では加熱損失が小さく、硬さや弾力も改善した。アラビアガムを使うと、加熱後に製品として残る割合もさらに高まった。油を含む材料の種類と分散のさせ方を変えることで、外へ出る量が変化したのである。「脂を変えると必ず汁が増える」という方向にはならなかった。[10]

ここで注意したいのは、「背脂の置換」と「脂質全体の削減」を区別することだ。この研究は背脂を大豆油を含む材料に置き換えている。動物の脂を使う量が変わったという結果から、製品全体の脂が同じ割合で消えたと読むことはできない。材料の置換率は、そのまま食べる脂質の減少率ではない。[10]

別の食品実験でも、ピーナッツや大豆のたんぱく質を使った乳化ゲルで豚の背脂を置き換えると、加熱損失が減った。乳化ゲルとは、分散した油を含む、固まり状の材料である。置き換える材料の種類や処理によって、まとまりや弾力、内部の細かな構造の変化は異なった。同じ置換という操作でも、製品の反応は同じにならない。[19]

比較するなら、まず何を変えた実験かを確かめる。焼く前は同じ食品で焼き方だけを変えたのか、そもそも材料から作り直したのか。ここで挙げた研究の中心は後者だ。市販品を長く焼けば研究の配合変更と同じになる、と読み替えないことが、朝食に持ち帰る際の条件になる。[10][19]

乳化ゲルの比較では、背脂の20%を置き換えた際、ピーナッツたんぱく質を使った条件の方が、大豆たんぱく質を使った条件より加熱損失の低下が大きかった。一方、同じ置換率でのまとまりや復元性は、大豆たんぱく質の条件が高かった。汁の少なさで先に立つ材料が、食感の別の項目でも高い評価を得る結果にはならなかった。[19]

また、同じピーナッツ由来の材料でも、超音波による処理を加えた条件では、内部の構造がより密になり、復元性が高まった。原料名だけを読めば似た製品でも、材料の加工まで含めると別の比較になる。「何の脂か」という問いだけでなく、「どう分散させ、どう支えるか」という問いが必要になる実験だ。[19]

大豆油の予備乳化物の実験で、背脂の半分を置き換えた条件が食感と好みのバランスで良好だったことも、単に置換量を増やせばよいという結論とは異なる。加熱後に多く残ること、噛んだときに弾力があること、食べた人が好むことは、別々に評価されている。朝の皿でも、汁を減らすことだけを調理の目的にしなくてよい。[10]

数字で読むソーセージの加熱損失

17.8%:特定の性状を模した鶏肉ソーセージの比較条件の加熱損失。脂だけの流出率ではない。[11]

12.2%:同じ実験でゼラチンを単独添加した条件の加熱損失。[11]

8.3%:同じ実験でリシンを単独添加した条件の加熱損失。家庭用の脱脂率ではない。[11]

50%:背脂を大豆油の予備乳化物に置き換えた実験で、食感と総合的な好みのバランスが良好だった置換率。脂質全体の減少率ではない。[10]

14.59%:凍結保存を扱う豚肉ソーセージの実験で、特定のペプチドを加えた条件の加熱損失。水分保持も合わせて評価された。[20]

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宮川涼 Founder

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