ダイエット中、正面では顔が変わった気がするのに横顔では分からない。その違いを脂肪量の変化と決める前に、顔の構造、画像を見る条件、比較相手による自己評価を研究から整理する。写真の印象と測定値を混ぜず、同じ向きの記録を比べるための考え方を示す。顔を細くすることを全員の目標にはしない。
美容室で仕上がりを撮ってもらった横顔と、自宅で撮った正面の写真。並べてみると、正面は変わったように思えるのに、横顔には手応えがない。ダイエットの効果を顔で確かめたいとき、どちらを信じればよいのか迷う場面である。
答えの芯は、顔の印象を脂肪量の測定値として扱わないことだ。顔の画像を加工する実験では、画像の向きや明暗の反転によって魅力などの評価が変わっている。しかし、この結果から正面と横顔のどちらが減量を正確に映すかは決められない。[15] 横顔が気に入らないことと、ダイエットの効果がないことは別の判断にしておきたい。
既存記事「顔のむくみは鏡の照明でも違って見える?影の位置と運動前後の比較を読む」には照明とむくみの比較を譲る。ここで考えるのは、正面の過去写真と今の横顔を比べるような、向きの違う記録の扱い方である。さらに、他人の写真を見たあとで自分の顔を評価する場面まで視野に入れる。顔への満足は、見せられた画像によって変化した実験もあるからだ。[3][5]

正面と横顔を、脂肪の測定器にしない
「すっきり見える」は日常の感想として自然な言葉だ。ただし、それが頬の脂肪の減少を意味するのか、顔全体への好印象なのかは区別したい。顔から社会的な性質を推測する実験では、年齢、魅力、近づきやすさ、知性、信頼性といった異なる評価が調べられている。脂肪を直接量った結果ではない。[15] 評価する項目が違えば、写真から答えたい問いも変わる。
正面写真で「輪郭が細く感じる」と書き、横顔写真で「鼻からあごへの線が好き」と書いたなら、見ている項目自体がそろっていない。そのままでは、どちらに効果が出たかという比較にならない。これは写真記録を整理する際の考え方であり、顔の部位ごとの減り方を説明する法則ではない。まず自分の言葉が、見た形、好み、体脂肪への推測のどれに当たるかを確かめるのである。
顔の特徴を計測する矯正歯科のレビューは、軟組織、つまり皮膚などの柔らかい組織と、その下にある硬組織の関係を扱っている。[19] 顔の外見を検討する枠組みは脂肪だけに限られない。ただし、これは減量中の成人を追った比較試験ではない。鼻やあごの形を見た感想を、そのまま食事や運動の効果に換算しないための背景として読むのが適切だ。
たとえば以前の横顔と今の正面を並べて、「あごの線が違うから脂肪が減った」と判断する場面を考えたい。記録には日付の違いと向きの違いが同時に入っている。どの違いを見ているのか整理できないまま、減量への採点だけを急ぐ必要はない。同じ向きの写真同士へ戻るという提案は、変わったという結論を先に置かずに済む記録上の工夫である。
初日の汗は、予約した人だけが持ち帰れる。
画像の向きを変える実験は何を示したか
Santosらの顔画像を用いた実験では、上下を逆さにする操作と、写真の明暗などを反転させる操作が使われた。上下の反転は、顔の年齢、性別、魅力、近づきやすさ、知性、信頼性の判断に影響し、顔の独特さの判断には影響しなかった。一方、写真の反転は、調べたすべての特性の判断に影響した。[15] 同じ顔に対する評価も、画像の提示方法によって動く。
研究は、顔の各特徴の配置に関する情報と、表面の性質に関する情報の双方が、顔から性質を推測する際に使われるという見方を支持している。色相と明るさを別に操作した実験では、写真の反転の影響は主として明るさの反転によるものだった。[15] 顔を見るとは、単に外周の幅だけを拾う作業ではないのである。
ここで実験の操作を取り違えないことが大切だ。上下を逆にした顔と、横を向いた顔は同じ条件ではない。この研究の結果を根拠に「横顔は正面より太って見える」とは書けないし、向きごとの見かけの差を体重へ換算することもできない。[15] 役立つのは、画像の条件が異なるのに、判断だけを同じ物差しで読まないという姿勢である。
スマートフォンの画面には、撮ったときの条件と、見るときの解釈が重なっている。過去の写真を開くたびに「成功」「失敗」の札を付けるより、正面同士なのか、同じ表情なのか、加工した画像が混じっていないかを確認するほうが、記録としての目的は明確になる。これは撮影法の効果を保証する手順ではなく、比較条件を自分で把握するための提案だ。

輪郭の評価と、顔への好意は違う
顔から受ける印象には、見る人が読み取った感情の意味も関わる。Todorovのレビューでは、信頼できそうかという評価を、接近や回避に関わる感情表現の理解が広がった働きとして説明している。笑顔や怒りの表情に似た顔の特徴から、相手の意図を推測するという考え方である。こうした判断は効率的であっても、必ずしも正確とは限らないと論じられている。[17]
これは体脂肪の推定精度を調べたレビューではない。「親しみやすそう」「元気そう」という友人の感想を、顔の脂肪が減った証拠にしないための読み物として役立つ。相手からの言葉は、その場の対人印象を伝えている場合がある。[17] うれしい感想は受け取ってよい。ただし、うれしさと測定の正確さを同じ欄に入れる必要はない。
人間と人間以外の霊長類、犬や猫などの表情を扱うレビューでは、外見に表れる顔の動きを個々の顔面筋の動きに基づいて測る仕組みが紹介されている。種をまたぐ表情の測定を扱うため、18〜39歳の女性の減量による輪郭の変化にそのまま当てはめる研究ではない。[4] 表情も観察の対象となる動きであり、脂肪量そのものではない。笑っている昔の正面写真と、口を閉じた今の横顔では、何を比較したいのかを先に決めたい。顔の運動を細かく測る研究があることと、写真の輪郭から脂肪を量れることは分けて考える。
夜の洗面台で「今日は顔が好きだ」と思うことまで、疑う必要はない。それは今日の満足として大切な経験である。一方、「だから脂肪が減った」と続けるには別の根拠がいる。研究に合わせて言葉を狭めるなら、好きになったこと、形が違って見えたこと、組織が変化したことを、それぞれの文に分けるとよい。[4][15][17]
比較相手が変わると、自己評価も動く
顔を評価するときには、画像の向きだけでなく、直前に何を見たかも考えたい。女子大学生220人を対象とした無作為割り付けの実験では、痩せた体型を理想として示す画像を見た群は、平均的な体型の画像を見た群より、身体と顔への不満が大きかった。[5] 顔の見え方を気にしている場面でも、比較する画像の内容と自己評価を切り離せない場合がある。
同じ実験では、画像に付く「いいね」の数を多くするか少なくするかも操作している。その数は身体への不満や外見比較には影響しなかったが、顔への不満には影響した。また、「いいね」を重視する程度は、外見比較や顔への不満と関連していた。[5] 操作で確かめた結果と、関連として観察した結果は別である。「いいねを気にする性格が不満を起こす」と決めつける読み方は避けたい。
この研究の対象は女子大学生であり、すべての年齢や日常の利用場面に同じ大きさの影響があるとまでは言えない。群の違いは報告されているが、自分の不満がどれだけ増えるかという個人用の換算表にはならない。[5] それでも、友人の投稿を見たあとに横顔が急に気になったなら、顔の変化だけを原因候補にしないという手掛かりにはなる。
別の無作為割り付けの実験では、18〜74歳の成人女性303人が、人間の発信者、仮想の発信者、建築物の画像を見る条件に分けられた。人間と仮想の発信者を見る条件では身体への不満が増加したが、顔への不満や美容外科への関心では対照群との有意な差がなかった。人間と仮想の発信者の条件間にも、調べた結果の有意な差はなかった。対象に中高年も含むため、18〜39歳の女性に絞っても同じ結果になるかは、この全体の比較だけでは判断できない。[2]
先の研究では顔への不満に差があり、こちらでは有意な差がない。[2][5] 「画像を見ると必ず顔が嫌いになる」と一括りにはできないのである。何を見せたか、誰が参加したか、身体全体と顔のどちらを評価したかを並べて読む必要がある。自分の横顔への感想も、研究結果の見出しに当てはめるより、その日に何を比較していたかを振り返る材料にしたい。
数字で読む顔の画像と自己評価
220人:女子大学生に、体型の異なる画像と「いいね」の多寡を組み合わせて示した実験の対象者数である。[5]
303人:人間または仮想の発信者などの画像を見る条件へ、無作為に割り付けた成人女性の人数である。[2]
18〜31歳:自分の顔を合成した動画と、有名人だけの動画を比較した実験に参加した若い女性の年齢範囲である。[3]
128人:その合成動画の実験の対象者数であり、顔の脂肪を測った人数という意味ではない。[3]
568人:身体への肯定を扱う動画を検討した、日本の若い女性を対象とする実験の参加者数である。[8]
初日の汗は、予約した人だけが持ち帰れる。
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