寝る前のスマホ画面設定は暗さだけでよい?ちらつきの実験と目の疲れを読み分ける

寝る前のスマホを暗くしても、目の楽さや眠りまで同じように判断できるわけではない。ちらつく光を使う実験と、目の疲れを調べる検査の違いを整理し、画面の光学特性、見る時間、姿勢を比べた研究から、設定だけに頼らず夜の使い方を振り返る視点と、研究を生活へ移す際の注意点を考える。

布団に入って画面の明るさを下げた。それでも文字を追うのがつらくなり、設定画面をもう一度開く。枕元で迷うのは、「暗くしたか」と「楽に見られるか」が、同じ質問に見えてしまうときである。スマートフォンの読書試験では、光の偏光の違いによって、読後の目の症状や検査値に異なる変化が出ている。明るさのつまみだけで画面の見え方を代表させるのは早い。[1]

ただし、ちらつきが気になったからといって、それを寝つきの悪さの原因と決めることもできない。断続する光で目のピントの反応を調べた実験は、眠るまでの時間を調べる実験とは別である。そこで観察された変化を、夜の画面を暗くすれば眠れるという保証へ移し替えないことが、答えの出発点になる。[20]

既存記事「睡眠不足が気になる夜のスマホは暗くすればよい?画面の色と頭の刺激を分けて読む」には、色と内容の刺激という問いを譲る。ここで扱うのは、ちらつきの実験が何を変えて何を測ったか、そして目の疲れの数字を画面設定の答えにしてよいかという、見え方の側の問いである。

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暗さのつまみから、光の性質を全部は読めない

スマートフォンを使った無作為化比較試験では、参加者120人を4群に分け、円偏光と直線偏光の端末を、明るい環境と暗い環境で比較した。偏光とは光の振動の向きに関わる性質を指し、この試験では異なる偏光方式の画面で読書した前後を調べている。比較したのは端末の光学方式であり、日常の設定変更とは条件が異なる。18〜39歳の女性の夜の使い方へ移す際にも、この比較条件を保って読む必要がある。[1]

直線偏光の群では、目の乾きや画面作業に伴う症状を問う複数の質問票の得点が読書後に有意に増えた。一方、円偏光の群ではそれらに変化が認められなかった。涙の状態などを調べる検査でも、円偏光の画面では直線偏光より影響が小さい傾向が示された。画面の光学特性が目の不快感を考える材料になるという結果である。[1]

ここで「円偏光なら誰でも疲れない」と短くしてしまうと、結果の一部が落ちる。別の不快感の尺度である視覚的アナログ尺度は、4群すべてで読書後に有意に上がっていた。何を尋ねる尺度かによって、変化の出方はそろわなかったのである。円偏光の群の質問票に変化がなかったことと、不快感のすべてが消えたことは同義ではない。[1]

この研究から持ち帰れるのは、暗い場所で使う場合も、画面の条件を単純な明暗だけに縮めないという視点だ。円偏光と直線偏光の比較を、手元の端末の設定項目にそのまま対応させることはできない。ある方式を比較した読書試験の結果と、今夜使う端末で明るさを動かす行為は、別々に考える必要がある。[1]

たとえば、文字が読みづらいと感じた夜に、まず設定の名前を探すのか、それとも今日はどこから見続けていたかを振り返るのか。後者も検討の対象になる。地下鉄で動画を見た試験では、見る時間の違いによって、主観的な疲れだけでなく視覚の検査値にも差が出ている。画面の性質と使用時間は、どちらかだけで済む話ではない。[3]

読書試験の結果を読むときは、比較の相手も残しておきたい。直線偏光より影響が小さいという結論は、円偏光の端末と、何も読まない夜とが同じだという結論ではない。また、明るい環境と暗い環境の両方を含むからといって、部屋を暗くする行為そのものが目を楽にしたと決められるわけでもない。研究が設けた比較を、そのまま文章の中に保つことが必要だ。[1]

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ちらつく光を当てる実験と、ちらつきで測る検査は違う

論文の中の「ちらつき」には、異なる役割がある。断続する照明を実際に見せて目の反応を調べる場合と、画面を見る作業の前後に、ちらつきを見分ける検査を行う場合だ。前者は光の条件を操作し、後者は視覚の状態を調べる指標として使う。この区別を抜くと、検査の数字を画面の性能と取り違える。[20][4]

後者でよく使われるのが、ちらつきが連続した光に見える境目の周波数を調べる、臨界ちらつき融合周波数である。英字ではCFFと表され、スマホのゲームや動画の研究では、作業前後の低下量が視覚疲労の指標として扱われている。この検査値は、操作したスマホ画面のちらつき周波数そのものではない。[4][5]

若い成人30人がスマホでゲームをした研究では、歩行中のCFF低下量は2.8 Hz、立ち止まった条件では1.6 Hzだった。Hzは周波数の単位である。この差は作業後に測った視覚の指標の差であり、歩くと画面が2.8 Hzで点滅するという意味ではない。数字の単位が同じでも、測っている対象まで同じにはならない。[4]

一方、断続する光そのものを変えた実験では、一定の光と、300、100、50、25 Hzの光で照らした文字を比べている。被験者は2人で、片目の調節、つまり対象にピントを合わせる反応を測定した。特定の条件では、ちらつきが融合する境目より上の50 Hzでも、下の25 Hzでも、調節反応の増加が観察された。この2人の結果を18〜39歳の女性全体の反応として一般化することはできない。[20]

増加の意味は被験者によって異なった。一方ではピントの反応がより正確になり、もう一方では正確さが下がった。さらに一部の条件で、ピントの揺らぎの幅が増えた。反応が大きいことを、そのまま目に良いとも悪いとも置き換えられないことが、この小さな実験から読み取れる。[20]

見えないちらつきでも、ピントの反応は変化した

断続光の実験で興味深いのは、ちらつきが融合する境目の上でも反応が観察された点だ。肉眼で点滅を認識できるかどうかだけを、目の反応の有無の判定に使うのは十分ではない。ただし、これは限られた照明条件で2人の調節を調べた結果であり、あらゆる画面に広く当てはまる危険の証明でもない。[20]

同じ実験では、対象までの光学的な距離も変えている。調節反応の増加は、各被験者の暗い状態でのピントの位置に最も近い距離を除き、調べた距離で認められた。時間方向の光の変化だけを切り出しても、目がどの距離にピントを合わせているかという条件が残る。画面の仕様だけを見て人の反応を一律に予想する難しさがある。[20]

ここから、暗くするほどちらつきが増える、特定の明るさなら安全、といった端末設定の答えは導けない。研究で変えたのは文字を照らす光の断続条件であり、今使っているスマホの明るさ設定の一覧ではないからだ。読者の知りたい設定値と、実験が比較した条件との距離を、そのまま残して読む必要がある。[20]

寝る前に画面が気になると、端末選びや細かな設定を正解探しにしてしまいやすい。だが、目に見える点滅の有無、ピントの反応、不快感、寝つきは、同じ結果の呼び名ではない。ピントを測った実験を引用して睡眠への効果まで断定するより、まずその研究が扱う反応を目の範囲で受け止める方が正確である。[20]

断続光の周波数を知ることと、自分の不快感の理由を知ることも別である。この実験はレーザーを用いた測定器で調節を調べており、文字を読む本人の印象だけで反応を判断したものではない。目で見た感じを手がかりにする日常と、特定の条件をそろえた測定とでは、得られる情報が異なる。自宅で点滅して見えるかを試しただけで、研究と同じ確認を済ませたことにはならない。[20]

さらに、調節反応が正確になる方向と不正確になる方向の両方があったことは、平均的な説明を急がない理由になる。対象が少ないから何も考えられないのではなく、まず観察された個人差を保ったまま考えるのである。「反応が変わった」という段階と、「日常の不快感が減った」という段階を分ければ、光の実験を過小評価せず、端末への過大な期待も避けられる。[20]

設定を比べる前に、変えた光の条件と測った目の反応を別々に読む。この順序が、ちらつきという同じ言葉に引っ張られないための手がかりになる。[20][4]

数字で読む画面と目の疲れ

120人:偏光方式と明暗環境を組み合わせた読書試験の参加者数である。[1]

2人:断続する光とピントの反応を比べた実験の被験者数である。[20]

2.8 Hzと1.6 Hz:スマホゲーム後のCFF低下量。歩行中と立位の比較で、画面の点滅数ではない。[4]

15分と30分:地下鉄での動画視聴試験で比較した時間。長い条件で視覚疲労などが大きかった。[3]

8.94と4.60:別の地下鉄研究で女性が答えた視覚疲労尺度の得点。立位と座位の値である。[5]

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宮川涼 Founder

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