ソイプロテインの製造方法は膜でどう変わる?糖を洗い出す工程と濃さの違いを読む

ソイプロテインは膜が細かければ濃くなるのか。大豆抽出液の糖やミネラルを分けるろ過、水を加えて洗う工程、膜の汚れによる時間の変化を食品加工研究から読む。たんぱく質の含有率と回収率、特定成分の純度を区別し、製造方法の説明と袋の成分表示を照らし合わせる視点を示す。

同じ大豆から作る粉なのに、なぜたんぱく質の割合が変わるのか。袋を裏返すと、たんぱく質と炭水化物の量が並び、製造方法の説明には「膜分離」とある。台所のざるを思い浮かべると、網目を細かくするほど余計なものを除けそうに見える。だが、大豆抽出液を扱った実験では、同じ膜を使っても前処理や洗い方によって残る成分と処理時間が変わった。[4]

答えの芯は、膜の細かさだけでは粉の濃さは決まらない、ということだ。糖やミネラルを分ける工程、水を加えて洗う工程まで見て初めて、たんぱく質含有率が上がる理由を追える。大豆を対象とする加工研究では、洗浄を伴うろ過で糖とミネラルの除去が進み、たんぱく質含有率の高い製品が得られている。[4]

既存記事「ソイプロテインのアイソレートは何が違う?濃縮と分離を成分と消化から読み分ける」に原料区分と消化の比較を譲り、ここでは工場の液体が膜を通る場面を追う。お腹の張りや苦さの理由も別の問いだ。袋の中身へ至るまでに、何を残し、何を取り出したのかを考える。

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膜は何を残し、何を通すのか

大豆を対象とした食品加工実験で、SkorepovaとMoresoliは電気を利用して抽出液を酸性側に調整する処理と、中空糸の限外ろ過を組み合わせた。限外ろ過とは、膜で液中の成分を分ける操作であり、この研究では膜を通る液と残る側の組成変化を調べている。使われた膜は100 kDaで、圧力を一定にして比較した。[4]

kDaは分子量を表す単位で、ここでは膜の分離条件を示す数値として登場する。同じように「膜で分けた」と書かれていても、大豆抽出液を扱う100 kDaの実験と、酵素で分解した大豆たんぱく質を50、10、3 kDaの膜で順に分ける実験では、出発点も取り出す成分も違う。数値を読む前に、膜へ入れた液の中身を確かめたい。[4][19]

糖の動きはどうだったのか。大豆抽出液の実験では、電気による酸性化をした液でも、しなかった液でも、糖の除去は糖が自由に膜を通過すると仮定した理論予測と一致した。少なくともこの条件では、糖を膜の手前にため込む説明より、膜を通って除かれる説明が実測に合っていた。[4]

ここで、ざるの比喩を少し直す必要がある。細かいざるにすべてを残す発想では、糖を外へ出しながらたんぱく質を濃くする工程を捉えにくい。研究の狙いは、液体に含まれるものを何でも回収することではない。最終製品に残したい成分と、ろ過で除きたい成分を分けることにある。[4]

「よく通す膜」と聞くと、肝心なたんぱく質まで逃がすように感じるかもしれない。だが、この研究では糖の除去と最終製品のたんぱく質含有率を別々に評価している。糖が通るという結果と、製品がたんぱく質に富むという結果は両立する。何が通ったかを省いて「通過しやすい」とだけ読むと、工程の目的を取り違える。[4]

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水を加えて洗うと、含有率が変わる

大豆抽出液の研究で重要なのが、ダイアフィルトレーションである。これは水を加えて洗うろ過工程として捉えると分かりやすい。同研究では、断続的なダイアフィルトレーションが糖とミネラルの除去を促し、たんぱく質含有率を高めた。膜そのものの変更だけが成分を変える手段ではなかった。[4]

読者として整理したいのは、「濃い」の意味だ。飲む直前のシェーカーに水を少なく注いで味を濃くする話と、製造中に糖などを除いて製品に占めるたんぱく質の割合を高める話は分けよう。後者で研究者が確認しているのは、除去した成分と最終的な製品組成の関係である。[4]

糖の量が減ることは、この工程で狙う変化だ。一方、同じ操作ではミネラルも除去された。したがって、たんぱく質含有率が上がったという結果を「すべての栄養成分が多く残った」と言い換えることはできない。濃縮の良し悪しを考える前に、どの成分に注目した数字なのかを決める必要がある。[4]

この研究は、処理した液の酸性度による違いも比べた。電気によってpH 6に調整した抽出液では、pH 9の未処理の抽出液より、カルシウム、マグネシウム、フィチン酸の除去が大きかった。pHは酸性・アルカリ性の程度を表す指標だ。同じ膜を使う実験でも、膜へ入る前の液の条件が結果に関わっていた。[4]

フィチン酸が減ったこと、カルシウムやマグネシウムが減ったこと、糖が除かれたことは、それぞれ別の測定結果として読む。ある成分が少ない製品を作る目的に合っていても、それだけで飲む人の食事全体を評価したことにはならない。ここで分かるのは、前処理と洗浄によって成分の分かれ方を変えられる、という加工上の結果だ。[4]

仕事帰りの売り場で製造方法を読むなら、「膜分離」という単語の横に、何を分けるための工程かを書き足すつもりで見るとよい。糖を除く話なのか、特定のたんぱく質を取り出す話なのか。それが違えば、同じ言葉から期待する製品像も変わる。大豆の加工研究には、糖の除去を調べたものと、たんぱく質の種類を分けたものの両方がある。[4][5]

成分の分かれ方と、製造の速さは別に測る

分離が進めば、工場の仕事もすべて順調になるのだろうか。先ほどの大豆抽出液では、電気による酸性化はカルシウムなどの除去を増やした一方、透過流束を下げた。透過流束は膜を通る液の流れの指標である。膜の汚れも大きくなり、ろ過時間が長くなった。[4]

ここには、家庭のフィルターとも重なる直感的な難しさがある。ただし、この実験の結果を家庭用品の性能へ移す必要はない。大豆の製造工程だけを見ても、目的成分の除去が進む一方で、液の処理には時間がかかった。それぞれを別の成績表で見る必要がある。[4]

断続的なダイアフィルトレーションを加えると糖やミネラルの除去は進んだが、酸性化した液の透過流束は改善しなかった。洗浄で製品組成を変えることと、液の流れにくさを解決することは、この条件では別問題だった。「洗えば成分も流れも全部よくなる」とは読めない。[4]

このため、製造方法を評価するなら、最終的な含有率、原料から取り出せた量、処理の時間を混ぜないほうがよい。大豆研究の別の比較では、弱いアルカリ条件と膜分離を組み合わせた方法のたんぱく質回収率は53%、アルカリ抽出と等電点沈殿の組み合わせは38%、塩抽出は27%だった。これは原料のたんぱく質をどれだけ回収したかの比較である。[7]

等電点沈殿は、pHの調整でたんぱく質を沈殿させて分ける工程として、この比較に登場する。回収率が高い結果は、同じ比較内で原料を回収する点の利点になる。一方、53%を完成した粉のたんぱく質含有率と読み替えると意味が変わる。研究が何を分母にした数字かは、見出しの「高たんぱく」より先に確認したい。[7]

膜分離という文字だけを見て、製造コストや店頭価格まで決めつけるのも早い。ここで比較できるのは、それぞれの実験条件における回収率や処理の挙動だ。酸性化で時間が延びた実験と、別の方法で回収率が高まった実験を足して、どの工程でも同じ利点が出ると考えないことが大切である。[4][7]

膜の周囲をどう流すかも、工程条件の一部である。大豆たんぱく質を種類別に分けたパイロットプラント研究では、簡略化した方法について膜ろ過の運転条件を検討し、入口圧力20〜25 psi、循環流量200〜250 L/minを適した条件として挙げている。膜の名前に加えて、圧力と循環の条件まで設計対象になっていた。[5]

この数値は、その設備と方法で得られた運転条件である。家庭で大豆を水に溶いてこす手順や、別の工場の条件として使う数字ではない。「ソイプロテインの作り方」を検索したときに知りたいのが市販原料の製造なら、膜へ流す前の処理と流している間の条件も、一連の工程として読むと研究の比較を追いやすい。[4][5]

数字で読むソイプロテインの膜分離

100 kDa:糖やミネラルの除去を調べた大豆抽出液の実験で使った膜の分離条件。[4]

pH 6とpH 9:電気による酸性化をした液と、しなかった液の比較条件。前者では一部成分の除去が増えたが、ろ過時間も長くなった。[4]

53%、38%、27%:膜分離を組み合わせた方法、アルカリ抽出と等電点沈殿、塩抽出のたんぱく質回収率。完成品の含有率ではない。[7]

91.6%と62.6%:ある大豆たんぱく質画分の乾物中たんぱく質含有率と、そのたんぱく質中の目的成分の純度。[5]

3 kDa未満:酵素分解後に分けた大豆由来画分で、脂質の酸化を抑える活性が最も高かった分子量の範囲。食品の実験系での結果である。[19]

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宮川涼 Founder

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