寝る前に不安になる日は眠りも自己採点?睡眠努力と主観・実測のずれを読む

寝る前に不安になる夜、早く眠ろうと頑張るほど時計が気になることがある。眠る努力と就寝前の覚醒、実際の睡眠と眠れなかった実感の違いを、質問紙調査や追跡研究、認知行動療法の試験から読む。不安を本人の責任にせず、夜の自己採点を増やさない工夫と医師に伝える観察点を考える。

眠ろうとするほど、眠れたかを確かめたくなるのはなぜだろう。布団に入るまでは眠かった。ところが明日の仕事を思い出し、「今すぐ眠らなければ」と考えた途端に時計を確かめる。まだ眠れていない。次に確かめても、やはり眠れていない。寝室だけ、終業しない採点係がいる。

寝る前に不安になる理由を、眠る努力だけで説明することはできない。ただし、睡眠を何とか達成しようとする努力の強さは、不眠のつらさや時計を確認する行動と関連している。研究が示すのは、頑張りが足りないという話ではなく、眠りを管理しようとする姿勢自体を観察する意味である。[4][14]

既存記事「寝る前のやることは紙に書き出す?翌日の予定と済んだことの記録で寝つきを読む」には予定の整理を譲る。ここで扱うのは、予定を整理した後にも残る「眠れたかどうかを確かめ続ける夜」だ。眠る努力、頭や体の覚醒、眠れなかった実感は、分けて読む必要がある。[14][15]

時計を確認する行動の実験は既存記事「夜の運動後に時計を見ると眠りにくい?時刻の確認と寝つきへの不安を研究で読む」に譲る。この記事では、時計の有無を比較する問いから離れ、睡眠努力が主観的なつらさや治療での変化とどう結びつくかを中心に読む。[2][14]

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眠る準備と、眠りを達成しようとする努力は違う

睡眠努力とは、睡眠を得ようとする努力を質問紙で捉えた概念である。運動を頑張った量や、寝具を整えた丁寧さそのものではない。不眠患者とよく眠る人を比較した研究では、睡眠努力、睡眠に関する信念、就寝前の覚醒を別々の指標として測っている。それぞれが関連する睡眠の指標は異なっていた。18〜39歳の女性だけを対象にした比較ではなく、その年代の女性にも同じ関連があるかは別に確かめる必要がある。[14]

この区別を暮らしの言葉に置き換えるなら、明日の服を用意することと、「用意したのだから、もう眠れるはずだ」と結果を要求することの違いになる。これは生活場面の例であって、服の準備が不眠を起こすという研究結果ではない。観察したいのは準備の品数より、準備の後に始まる睡眠の自己採点である。[4][14]

就寝前覚醒とは、眠る前に頭や体が活動している状態を指す。頭の中で考えが続く認知的な側面と、身体的な側面を区別して扱う研究がある。考えが浮かぶこと、眠りを強く求めること、体が落ち着かないことをひとまとめに「不安」と呼ぶと、何がつらいのか伝えにくくなる。[14]

不眠患者43人を治療群と待機群に分けた試験の二次解析では、治療前の完璧主義の得点や、間違いを心配する傾向、自分の行動への疑いが、強い睡眠努力や就寝前覚醒と関連していた。これは「几帳面なら眠れない」と性格で判定する結果ではない。対象は不眠患者であり、18〜39歳の女性一般にそのまま当てはめるには対象が異なる。日常の丁寧さと睡眠に対する要求を分けて考える材料になる。[1]

興味深いのは、この研究で認知行動療法を受けた人の完璧主義の総得点が治療後に増え、効果量が0.49だった点だ。効果量は変化の大きさを表す指標である。この試験では、治療後も完璧主義の得点は低下せず、むしろ増えていた。「大ざっぱな人にならなければ眠れない」という目標を作る必要はない。[1]

立川駅から帰る電車で仕事の抜けを確認することと、布団の中で眠りの抜けを確認することは、本人には似た作業に感じられるかもしれない。ただ、睡眠の研究で測っているのは後者に近い努力である。仕事を片づける能力まで否定せず、夜の確認がどこへ向いているかを見たい。[4][14]

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時計を確認する行動は、眠る努力と並んでいる

不眠を訴える一般住民548人を対象としたオンライン調査では、時刻を監視する行動を測る質問紙の得点が、睡眠努力の得点と相関していた。相関係数は0.60で、不眠重症度との相関は0.59だった。得点が高い人ほどもう片方も高い傾向だが、因果関係の証明ではない。18〜39歳の女性に限った調査ではなく、この相関の強さをそのまま当てはめることはできない。[4]

寝つくまでの時間との相関は0.23だった。同じ調査でも、時刻の確認と睡眠努力の結びつきの強さは、寝つく時間との結びつきと同じではない。時計を見る回数だけから、実際にどれだけ眠れていないかを決めるのは飛躍である。時間への注意と、睡眠そのものの長さは分けて扱う必要がある。[4]

たとえば、目覚ましを設定するための確認と、「今なら残り何時間眠れる」と計算するための確認は、生活上の目的が違う。研究結果を暮らしに当てはめて考えるなら、時計を持つことの是非より、確認するたびに何を判定しているかが観察点になる。時刻を知る行為すべてを禁止する根拠ではない。[4]

調査では、睡眠に対する適応的な考え方、睡眠努力、不眠重症度の関係を、時刻監視が媒介するという統計モデルも検討された。ただし、同じ時点で集めた回答から関係を整理した分析である。「努力が時計の確認を生み、それが不眠を作る」という時間順序まで確定したものとして読むべきではない。[4]

ここからの実用的な提案は小さい。時計の向きを変えるなら、それは眠れることの保証ではなく、確認行動を増やさないための試みと位置づける。「時計を見なかったのに眠れない」と新しい採点項目にすると、試みの目的がまた睡眠の達成へ戻ってしまう。時計を隠すこと単独の治療効果を、この調査から数値で約束することはできない。[4]

眠れなかった実感と、実測の睡眠は重なりきらない

不眠患者47人とよく眠る対照者52人に、睡眠ポリグラフ検査を2夜行った研究がある。この検査は睡眠を生理的な記録から評価する方法だ。年齢、性別、抑うつ症状、群の違いを調整した分析では、主観的な不眠重症度は睡眠努力と正の関連を示した。対象は不眠患者と対照者で、18〜39歳の女性にも同じ関連があるかは、この比較だけでは判断できない。[14]

一方、検査で測った総睡眠時間は、身体的な就寝前覚醒や睡眠に関する不適切な信念と負の関連を示した。努力が強いほどすべての睡眠指標が悪い、という単純な配置ではなかった。何が「眠れない実感」と結びつき、何が測定上の睡眠時間と結びつくかは、異なっていたのである。[14]

別の前向き研究では、不眠症状のある42人を7日間調べ、体の動きから睡眠を推定する活動量計と、毎日の睡眠の実感を比べた。平均年齢は36.2歳、女性が81%だった。読者に近い年代の女性を含むが、不眠症状のある男女の結果なので、18〜39歳の女性全体へそのまま広げるには慎重さが必要だ。同じ人でも、実感と測定のずれは日によって大きく変わっていた。[15]

その研究では、就寝前の認知的な活動が高いことと、起床時の気分が低いことが、それぞれ独立して総睡眠時間を短く見積もることを予測した。また、睡眠努力の高さは、寝つくまでの時間を長く見積もることを予測した。「気分が落ちた朝には必ず誤る」という意味ではなく、日々のずれに関連する要因を分析した結果である。[15]

この結果を「本当は眠れているのだから気にしなくてよい」と受け取るのは違う。実感と測定がずれること自体が研究対象であり、つらさを取り消す理由にはならない。朝の記録では「寝つけなかったと思う」と「朝から気分が重い」を別の欄に置く、という整理に使える。どちらかを偽物にする必要はない。短く眠った感覚と気分の重さを、別々の困りごととして扱ってよい。[14][15]

測定法の違いも押さえたい。睡眠ポリグラフ検査を使った研究と、活動量計を使った日々の研究では、睡眠を捉える方法も場所も異なる。両者を合わせても、家庭の活動量計がそのまま検査室の記録になるわけではない。共通して見えるのは、本人の報告と測定値を別々に確かめる研究設計の意味である。[14][15]

前向き研究で「予測した」と書く場合にも注意がいる。毎日のデータで、ある変数と後の評価の関係を分析できることと、その変数だけを変えれば結果も変わることは別だ。睡眠努力を小さくする工夫を考える余地はあるが、その根拠は介入試験の結果とも照らしたい。日誌の関連から、自分に効く方法が確定したとは考えない。[2][15]

また、寝つきと総睡眠時間は異なる評価である。眠りに入るまでを長く見積もることと、一晩全体を短く見積もることを同じ現象として扱わない。活動量計を使った研究では、それぞれに関連した心理的な変数も違った。「全部だめだった」という朝の一言をほどくと、医師に確かめてもらいたい部分も具体的になる。[15]

数字で読む眠る努力と睡眠の評価

548人:時刻監視と睡眠努力などを調べたオンライン調査の対象数。[4] 相関0.60:時刻監視の得点と睡眠努力の得点の関連。原因の強さではない。[4] 47人と52人:不眠患者と対照者を比較し、主観と睡眠検査の関係を調べた人数。[14] 7日間:不眠症状のある42人で、睡眠の実感と活動量計による推定を追った期間。[15] 46人:交代勤務に伴う不眠がある看護師を対象とした治療の予備的な無作為化試験の規模。[2]

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宮川涼 Founder

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