筋トレと有酸素運動の干渉効果は力で違う?持てる重さと跳ぶ力の伸びを読む

筋トレの重量は増えたのに、跳ぶ動きは同じように伸びない。筋トレと有酸素運動の干渉効果を、最大筋力と素早く力を出す能力に分けて読む。健康な成人のメタ分析と訓練経験者の試験を比べ、伸びが小さいことと力が落ちることの違い、運動を併用するときに記録したい項目を考える。

スクワットの記録は更新した。ところが、趣味のスポーツで跳ぶときの軽さは、あまり変わらない。筋トレのあとに走っているせいなのか。記録帳の重量だけを見ると、うまくいっているようにも、いないようにも見える。

筋トレと有酸素運動を併用する干渉効果は、何の力を測るかで答えが違う。性別や年齢を限定しない健康な成人のメタ分析では、筋トレ単独と比べて最大筋力と筋肥大の伸びに有意な差はなかった一方、爆発的筋力、つまり素早く力を出す能力の伸びは小さかった。18〜39歳の女性だけの結果ではなく、この世代の女性にも同じ差が出るかは個別に確かめる必要がある。[7]

ただし、併用すると跳ぶ力が失われる、という意味ではない。比較相手より伸びが小さいことと、始める前より悪くなることを分けたい。実際、併用によって跳躍が改善した試験もある。ここで考えるのは運動を捨てるかどうかではなく、持てる重さと速く動く力を同じ成績表にしない方法である。[3][14]

既存記事「【連載】その常識、研究では? 第6回|有酸素運動は筋肉を減らすのか——干渉効果の実際」には、筋肉量低下の噂と干渉効果の研究史を譲る。ここでは練習の途中と終了時に重量と跳躍の成績が分かれる場面を中心に、記録の読み違いを考える。

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持ち上げる重さと、力を立ち上げる速さは別の成績だ

最大筋力の研究では、スクワットで持ち上げられる最大重量や、動かない対象に対して発揮する最大の力などを測る。一方、爆発的筋力の評価には、力が増えていく速さや跳躍の成績が使われる。併用トレーニングを調べた試験でも、最大重量、ジャンプの高さ、力の立ち上がりを別々に測っている。ひとつの測定で残りも分かったことにはならない。[3][4]

たとえば重い荷物を持てるようになることと、スポーツで素早く踏み切れるようになることは、本人の目標としても別である。研究に当てはめるなら、前者に近い問いには最大筋力の測定、後者に近い問いには跳躍や力の立ち上がりの測定を探す必要がある。これは日常動作の改善を保証する話ではなく、何を知りたいかに合う成績を選ぶという読み方だ。[3][4]

ここでいう干渉効果は、筋トレと持久的な運動を組み合わせた際に、筋トレ単独で得られる適応が小さくなる現象を指す。筋肉が消える、運動が帳消しになる、という意味で使うと研究との距離が広がる。筋肥大、最大筋力、爆発的筋力を分けて検討したメタ分析は、その区別が必要な理由をよく示している。[7]

既存記事「有酸素運動と筋トレは同じ日に続ける?別日に分けた筋力と持久力の伸びを読む」には日程の組み方を譲る。この記事では、予定をどう分けるかより先に、重量と跳躍で結果が食い違うときの受け止め方を扱う。骨の変化や食後の糖の反応、運動後の脈の戻りも、それぞれ別の問いとして残しておきたい。

「筋力がついた」という言葉は便利だが、便利すぎる。重量だけが上がった場合も、跳ぶ高さだけが上がった場合も、同じ言葉で報告できてしまうからだ。研究の結果を自分の練習に持ち帰るときは、何が測られ、どの成績が変わったのかを一緒に持ち帰る。数字の大きさだけ拾うと、目標の取り違えに気づきにくい。[3][4]

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大きな研究の集計では、素早い力に差が出た

中心となるのは、健康な成人の研究をまとめた系統的レビューとメタ分析である。対象は性別や年齢を限定せず、監督下で少なくとも4週間続けた併用トレーニングと、同じ筋トレ内容で有酸素運動を加えない条件を比較した。合計43研究が含まれている。18〜39歳の女性に限った比較ではないため、集計値をそのままこの世代の女性の予測値にはできない。筋トレ自体を変えずに、有酸素運動を加えた場合を調べた点が大切だ。[7]

最大筋力の標準化平均差は−0.06、95%信頼区間は−0.20〜0.09だった。標準化平均差とは、異なる尺度の研究を共通の物差しにそろえて比べる値である。この比較では、併用群の最大筋力の伸びが明確に劣るという結果ではなかった。筋肥大も−0.01、95%信頼区間−0.16〜0.18で、有意な差は認められなかった。[7]

爆発的筋力では様子が違った。標準化平均差は−0.28、95%信頼区間−0.48〜−0.08で、筋トレ単独に比べて伸びが小さい方向だった。同じ「筋肉に関わる成果」でも、最大の力や筋肉の大きさと、素早い力を一括りにできない。最大筋力に差がないという結果を、すべての運動能力に差がないと読み広げることはできない。[7]

この−0.28は、ジャンプが一定の高さだけ低くなるという数字ではない。標準化した研究間の差なので、そのまま自分の跳躍のセンチメートルにも、重量の減少率にも換算できない。また比較しているのは変化の差であり、併用群の成績が必ず低下したという意味でもない。負の符号だけを見て、有酸素運動を悪者にするのは早い。[7]

同じセッションで行う条件では、爆発的筋力の伸びの小ささがより目立ち、少なくとも3時間離した条件では有意な差が認められなかった。ただし、この集計から全員にとって境界となる休憩時間を決めることはできない。「離せば必ず同じだけ伸びる」ではなく、素早い力を主目標にするときに、まとめて行う設計を見直す材料になる。[7]

走る運動と自転車など、検討されたほかの条件による有意な影響は認められなかった。この研究は「走るから干渉するが、自転車なら大丈夫」という区別を支持していない。目標となる能力に差があることと、有酸素運動の種類だけで解決することは別の主張である。[7]

訓練経験のある人では、伸びる時期にもずれがある

平均の結果だけでは見えにくいのが、練習段階による変化である。訓練経験のある男性30人を無作為に分けた試験では、筋トレのみ、持久的運動のみ、併用という条件で、週3回、11週間の練習を行った。併用群では筋トレのあとに、中程度から高めの強度領域に当たる30分のランニングを行っている。対象は訓練経験のある男性であり、18〜39歳の女性にも同じ時期に差が出るかは、この試験では確定できない。[3]

筋トレは、最初の5週間が最大筋力を狙う段階、続く期間が爆発的筋力を狙う段階だった。スクワットの最大重量は、前半には筋トレ単独群と併用群で同様に増えたが、後半に増加したのは筋トレ単独群だけだった。跳躍の高さは単独群では両方の段階で増え、併用群では後半だけで増えた。[3]

つまり、併用群でも跳躍は改善している。しかし改善が現れる時期と、その広がりは単独群と同じではなかった。途中の時点だけで成否を決めれば、「ジャンプには効かない」と早合点する可能性があり、終わりの跳躍だけ見れば、最大重量の伸び方の違いを見落とす。重量と跳躍を別々の時間軸で読む意味がある。[3]

別の無作為化試験では、訓練経験のある男性30人の足首を伸ばす筋群を、11週間にわたり調べた。最大の等尺性筋力、つまり関節を動かさずに出す最大の力は、筋トレ単独群と併用群で同様に増えた。一方、力の立ち上がりの速さや神経筋の指標には、練習段階による違いが認められた。18〜39歳の女性への当てはめには、性別と訓練経験の違いを考慮する必要がある。[4]

併用群では前半に力の立ち上がりなどの改善が見られず、後半にはその一部が改善した。最大の力が増えたことだけでは、速く力を出す側の変化を説明しきれない例である。ただし足首の検査とスクワットの最大重量は異なる測定であり、男性の訓練経験者の結果を、そのまま運動を始めた女性の予測値にすることもできない。[3][4]

最大筋力の結果が似ていても、測る課題を変えると差が見える点は、成績の解釈に関わる。スクワットの試験では、負荷と動作速度の関係も評価され、筋トレ単独群と併用群で変化の時期が異なった。最大重量と跳躍の間にも、動かす負荷に応じた速度という観点がある。「強くなった」を細かく分けることは、研究の言葉遊びではない。[3]

ただし、どの検査が最も優れているかを決める話ではない。最大の力を知りたければ最大筋力、踏み切りの成果を知りたければ跳躍、その力がどのくらい速く増すかを知りたければ力の立ち上がりを読む。それぞれ問いが異なる。ひとつの指標が変わらなくても、別の指標の改善まで取り消す理由にはならない。[3][4]

また、この男性を対象にした試験から、運動を始めたばかりの人の伸び方の順番を決めることはできない。ここから持ち帰れるのは、最大の力と素早い力を同時に追うと、練習段階によって違う変化が見えるという点である。最初に重量が増えたから以後もすべて順調、あるいは途中で跳躍が伸びないから全体が失敗、と一度の判定で閉じないようにしたい。[3][4]

数字で読む、最大の力と素早い力の差

43研究:健康な成人の併用と筋トレ単独を比べたメタ分析の研究数である。[7]

−0.06:最大筋力の標準化平均差。95%信頼区間−0.20〜0.09で有意差はない。[7]

−0.28:爆発的筋力の標準化平均差。95%信頼区間−0.48〜−0.08で伸びが小さい方向だった。[7]

11週間:訓練経験のある男性の試験では、最大重量と跳躍が伸びる段階を分けて評価した。[3]

9〜16%:高齢男性の併用試験で認められた、各群の跳躍高の改善範囲である。[14]

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宮川涼 Founder

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