腹筋の筋トレはベッドでもできる?寝ながら行う動きと沈む寝具の支えを読む

腹筋の筋トレを寝ながら始めたいとき、ベッドと床を同じ条件としてよいのか。寝具の支えを確かめる視点と、自宅で行う腹筋運動の研究を整理する。筋力、筋肉の厚さ、産後のお腹の隙間は別の指標であり、回数だけでは効果を比べられない。寝たままの手軽さを、続け方と記録の工夫につなげる。

掛け布団を足元へ寄せ、寝る前に腹筋運動をしようとする。肩を浮かせる前から背中は寝具に沈んでいる。床へマットを広げる手間は省きたい。ただ、背中が沈む場所で上体を起こす動きと、床で行う動きを、同じ腹筋運動として数えてよいのだろうか。

答えの芯は、自宅の腹筋運動に筋力を高めた試験はあるが、その成果を寝具の優秀さに置き換えないことである。産後の女性を対象とした在宅プログラムでは、腹筋の強さと厚さが増した一方、お腹の中央の隙間は改善も悪化もしなかった。18〜39歳の女性でも、産後で腹直筋離開のある人の結果を、産後ではない人へそのまま当てはめることはできない。家でできること、何が変わること、どの面で行うことかは、別々に考える必要がある。[8]

ここでは「ベッドなら効かない」「沈むほど効く」という判定を急がず、寝る場所を運動の場所にするときの確認点を考える。寝具と首の支えは既存記事「姿勢改善の枕は置いた高さで選べる?沈み込みと敷寝具で変わる首の支えを読む」に譲り、今回は腹筋運動の比較条件に絞る。

既存記事「股関節を柔らかくする寝ながらの練習はベッドでも同じ?沈む面と記録の読み方」が扱う柔軟性の記録はそちらに譲り、ここでは腹筋の筋力と厚さ、腹直筋間の距離という成果の違いを確かめる。

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ベッドを選ぶ前に、何を比べたいかを決める

「寝ながら腹筋」には、仰向けから上体を丸める運動も、頭を持ち上げる運動も含まれる。研究で使われるカールアップは、上体を丸めて起こす腹筋運動を指す。産後女性の在宅試験では、頭を上げる運動、カールアップ、ひねりを加えたカールアップを組み合わせていた。したがって、得られた結果は組み合わせたプログラムの結果である。[8]

寝具を選ぶ場面でも、まず自分が何をしようとしているかを言葉にしたい。上体を起こすのか、その姿勢を保つのか。起こしやすさを知りたいのか、継続後の筋力を知りたいのか。「腹筋に効く」という短い言葉の中に、違う問いを詰め込まないためである。研究でも筋力と筋肉の厚さ、お腹の中央の距離は別々に測られている。[8]

たとえば、昨日は寝具の上で軽く頭を上げ、今日は床で上体を大きく起こしたとする。今日のほうが大変だったとしても、変えたのは面だけではない。動作そのものも違う。これは研究が示した寝具の差ではなく、日常で比較をする際の整理である。面の違いを考えたいなら、動作を言葉でそろえるところから始める。

床とベッドのどちらに軍配を上げるかより、同じ名前で違う動きを数えていないかが先になる。枕を残したか、掛け布団をどけたか、背中のどこを置いたかも、記録する項目にできる。これらは効果を保証する条件ではない。あとで自分の記録を読んだときに、何をした日だったかを思い出すための条件だ。

「寝たまま」は場所を思い浮かべやすい言葉だが、運動量の説明にはならない。在宅試験も、家にいることだけを介入にしたのではなく、内容と実施期間を決めている。寝具に横になる手軽さと、運動の中身を分けて考えると、研究の数字を自分の生活へ持ち帰る道筋が見えてくる。[8]

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自宅の腹筋運動で増えたのは、力と厚さだった

比較の軸になるのは、産後6〜12か月で腹直筋離開のある女性70人を対象にしたランダム化比較試験である。腹直筋離開とは、お腹の前面に並ぶ左右の腹直筋の間が開いた状態をいう。試験では、在宅の腹筋プログラムを行う群と、介入しない群を比べた。18〜39歳の女性への適用も、産後の時期と腹直筋離開の有無が一致するかを分けて考える必要がある。[8][14]

運動群は週5日、12週間、決められたプログラムを行った。その結果、腹直筋の厚さの群間差は0.7mm、95%信頼区間は0.1〜1.3mmだった。筋力の群間差は、測定角度10度で9Nm、95%信頼区間は3〜16Nmだった。Nmは回す力を表す単位で、見た目のお腹の寸法ではない。[8]

信頼区間は、効果の推定にどれほど幅があるかを読む手掛かりになる。この試験の筋力の数字は、全員が一律に同じだけ強くなったという意味ではない。参加者を群として比較した結果である。筋肉の厚さと力の増加が確認されたことは、自宅で取り組む腹筋運動を考える材料になるが、個人の達成保証にはならない。[8]

一方、おへその上2cmで安静時に測った腹直筋間の距離は、群間差1mm、95%信頼区間は−1〜4mmだった。研究者は、プログラムがお腹の隙間を改善も悪化もさせなかったと結論している。筋肉が強くなることと、隙間が狭まることは同じ出来事ではなかった。[8]

ここで寝具の話へ戻る。在宅で筋力が変わったからといって、自分のベッドでも同じ量だけ増えると読むことはできない。対象者、運動の組み合わせ、続けた期間まで含めて試験の結果である。ベッドに座って記事を読んだだけでは、まだプログラムは始まっていない。家という住所と、運動という行動は別である。[8]

この試験では、骨盤底の問題や腰、骨盤周辺、お腹の痛みの重症度も変わらなかった。力が増えたという結果を、そのまま痛みの改善や体のあらゆる問題の解決へ広げるのは避けたい。何を目的に腹筋運動をするのかによって、確かめるべき変化が違うのである。[8]

沈む感覚を、そのまま負荷の点数にしない

寝具の上で体を動かすときは、動かしやすいか、位置を決めやすいかなど、自分が感じたことを確認項目にできる。ただし「ふわふわする」「やりにくい」「腹部が疲れる」といった感想は、その場の体験の記録である。研究で測る筋力や筋肉の厚さの代わりとして扱わない。実際、在宅試験では異なる指標に異なる結果が出ている。[8]

同じ理由で、沈む面を選べば鍛える量が増す、硬い面なら必ず力が入りやすい、と決めてしまわないほうがよい。今回の判断に使えるのは、腹筋運動を続けた際の測定結果であり、寝具の硬さに点数をつけた効果ではない。寝心地の好みを、筋力を伸ばす順位表へ変換する根拠にはしない。[8]

日常でできるのは、場所を替えた際に何が変わったと感じたかを、評価の名前ごとに分けることだ。「起こし始めの位置が決めにくかった」「動きの終わりが分かりにくかった」など、動作の説明として残す。これは筋肉への負荷を測定したことにはならないが、次に動作を相談する際の言葉になる。

筋肉の活動と動き方を扱った別のランダム化試験では、腰の反りが強く腰痛のある参加者40人に、手足を使うスプリンター型の腹筋運動とクランチを比較している。スプリンター型では内外の腹斜筋の活動が高かった。腹斜筋は、お腹の脇にある筋肉である。18〜39歳の女性一般へそのまま当てはめるには、腰痛や腰の反りという対象者の条件が異なる。この結果は運動の形の比較であり、寝具の柔らかさの比較へ移せない。[17]

また、その研究は運動前後の腰の角度と運動中の筋活動を調べたものだ。その場の測定値と、継続後にどれだけ筋肉が強くなるかは分けて読む必要がある。やりにくさを感じた日の感想に「効果が高かった」と追記する前に、どの時間幅の変化を話しているかを確認したい。[17][8]

夜のスマホのメモなら、「効いた」とだけ残すより、場所と動作を書いたほうが次につながる。寝具の感想は寝具の感想として、運動の記録は運動の記録として扱う。自分の体を細かく採点するためではなく、条件が違う日どうしを無理に競わせないためだ。

相談する場面を思い浮かべると、確認点を整理しやすい。「ベッドだと腹筋に効かない気がする」と言う代わりに、どこまで起こしているか、背中をどこに置いているか、床では何が違うと感じるかを伝える。体験を細かい言葉にすれば、強さの問題なのか、動作を決める問題なのかを話し合う入口になる。

研究の結果を使うときにも、同じように言葉を細かくする。「腹筋が改善した」だけでは、厚さなのか、力なのか、間の距離なのかが分からない。在宅試験がそれらを別々に測っていたことは、自分の感想を整理する際にも役立つ。寝具の上で動けた実感は大切にしつつ、まだ測っていない筋力の変化まで書き足さない。[8]

床に移れば条件をすべて統一できるわけでもない。昨日と今日で動作の範囲や内容が違えば、比較したい問いは残る。ベッドか床かという選択だけに答えを求めず、自分が繰り返す動きを決めることも、同じメモの中で扱いたい。

数字で読む自宅の腹筋運動

70人:腹直筋離開のある産後女性を対象にした在宅プログラムの試験規模である。[8]

12週間・週5日:頭上げやカールアップを含むプログラムの実施期間と頻度であり、全員向けの推奨量ではない。[8]

0.7mm:腹直筋の厚さの群間差。95%信頼区間は0.1〜1.3mmだった。[8]

9Nm:測定角度10度での筋力の群間差。95%信頼区間は3〜16Nmだった。[8]

−0.43cm:産後の腹筋運動を通常のケアと比較したメタ分析での、腹直筋間の距離の平均差である。[10]

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宮川涼 Founder

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