女性の筋トレと尿漏れは重さで決まる?腹圧と挙げ方、骨盤底の変化を読み分ける

女性の筋トレ中の尿漏れは、持ち上げる重さだけで説明できるのか。高強度運動の腹圧、呼吸を変えたスクワット、競技女性の調査と運動直後の骨盤底の測定を照合する。圧の高さと症状、筋力と臓器の支えを区別し、重量を増やす前に確かめたい条件と、研究結果を自分の練習に当てはめる際の注意点を読む。

スクワットを挙げ切った直後、記録より先に下着の濡れが気になった。挙げ切れたことはうれしい。それでも、次も同じ重さでよいのか迷う。筋肉には余裕があるつもりなのに、尿漏れがあると練習の判断は急に難しくなる。

女性の筋トレと尿漏れの関係を、重さだけで説明するのは難しい。高強度の筋トレでは腹圧が種目や体の位置、外から加わる負荷によって異なる一方、競技女性の調査では、最大挙上重量と尿漏れの有無が結びつかなかった結果もある。圧が高いこと、尿が漏れること、骨盤底の働きが低下することは、分けて確認したい現象である。[6][3][9]

身近な尿漏れとの付き合い方は、既存記事「くしゃみの前に脚を交差させる人へ|ちょい漏れ(腹圧性尿失禁)と骨盤底、ヨガ・ピラティス・キックの部屋での付き合い方」に譲る。ここで読むのは、バーベルの数字と体内の圧、そして測定された骨盤底の変化の関係である。

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腹圧が高い種目は、重量だけで順位が決まるか

腹圧は腹部の内側の圧である。息をこらえて力むバルサルバ法とともに、筋トレや日常の動作で重要な役割を担う。高強度の筋トレを扱った系統的レビューは、選定された16研究をまとめ、腹圧だけでなく胸の内側の圧である胸腔内圧も比較している。高強度の筋トレを行う人を扱った研究群であり、18〜39歳の女性が日常の練習で経験する圧として、そのまま当てはめることはできない。[6]

腹圧が最も高かったのはスクワットで、200 mmHgを超えていた。続いてデッドリフト、スライドロー、レッグプレスが161〜176 mmHg、ベンチプレスは79±44 mmHgだった。ここでのmmHgは圧の単位であり、持ち上げた物の重さの単位ではない。レビューでは、高強度運動中の腹圧と胸腔内圧は、体の位置と外的負荷の両方に左右されると整理された。[6]

この順番を、そのまま「女性が避けるべき種目の順番」に変えることはできない。レビューが比べているのは体内の圧であり、その数値自体は尿漏れの発生率ではない。また、異なる研究をまとめた種目別の値を、同じ人が同じ条件で全種目を試した結果として読むこともできない。圧の比較からは種目による違いを考えられるが、個人の症状の順位までは決まらない。[6]

たとえば、ベンチプレスの重量とスクワットの重量を見比べ、重い方が必ず骨盤底への負担も大きいと考えると、姿勢という条件が抜ける。逆に、軽いダンベルを使うときも、呼吸や動作は確認する条件に入る。体内の反応を読むためには、重さの横に種目を書く必要がある。プレートの印字は便利だが、体の中まで表示する機能はない。[6][1]

レビューの著者らは、未経験者が高い腹圧や胸腔内圧を伴う重いスクワットやデッドリフトなどを行う前に、段階的に高負荷へ適応する必要があると述べている。これは「この圧を超えたら骨盤底が壊れる」という境界ではない。初心者の入口と、すでに重い物を挙げる練習を重ねた人の条件を同じにしないための指摘である。[6]

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同じスクワットでも、呼吸の条件で反応が違う

重さ以外の条件を直接変えた研究もある。健康な若い女性17人を対象にしたランダム化クロスオーバー試験では、立ち上がる局面で息を止める条件と、呼吸を制御する条件でスクワットを行った。クロスオーバーとは、同じ参加者が別の条件も経験して比較する研究の組み方である。[1]

運動強度は自重、10回反復できる最大重量の25%、50%だった。ここで使われた基準は「10回反復できる最大重量」であり、競技の最大挙上のように「1回だけ挙げられる最大重量」ではない。割合の数字だけを拾って、自分の最大重量から負荷を決めると、研究とは別の条件になる。[1]

息を止めた条件では、制御した呼吸に比べ、収縮期血圧が16〜23%、主観的なきつさが14〜19%高かった。心拍数は2〜5%、心拍出量は3〜8%高く、酸素摂取量と毎分の換気量は低かった。重さを増やさなくても、呼吸の条件を変えると循環や換気の反応は変わったのである。[1]

ただし、この試験で比較された数値は、尿漏れが何回減ったかという結果ではない。「息を吐けば尿漏れを防げる」「息を止めたら骨盤底を傷める」といった結論へ移すのは飛躍になる。挙げ方を考える際に呼吸も確認したい理由と、特定の呼吸法で症状が解決するという主張は、別々に扱う必要がある。[1]

著者らは、健康な若い女性では反応が重大な範囲には至らず、短く制御された息止めは筋トレで使える方法になりうると評価した。息止めを一律に危険とする読み方も、この結果とは合わない。一方、その評価の対象は健康な若い女性である。持病や症状がある人の判断まで、そのまま代行する試験ではない。[1]

練習の相談では、「重くしたら漏れた」だけでなく、力を入れるときに息をどうしていたかも言葉にしたい。呼吸を変えると循環反応が異なった実験を踏まえた確認であり、尿漏れの原因を呼吸だけに決めるためではない。呼吸そのものの練習は隣の記事の題材であるムーラバンダの話とも区別し、ここでは重さと同時に変わる条件として置いておく。[1]

競技女性の尿漏れと、最大重量の関係を読む

女性のパワーリフティングと重量挙げを対象にした系統的レビューは、5研究、計1,809人をまとめている。尿漏れの割合は、パワーリフティングで41.0〜48.8%、重量挙げで36.6〜54.1%だった。重い物を挙げる女性にとって、尿漏れは無視できない話題である。対象は競技女性であり、18〜39歳の女性でも、これから筋トレを始める人の発生率には置き換えられない。[8]

同レビューでは、年齢、出産経験、体格指数との関連が挙げられた。高負荷、反復回数、競技会も尿漏れと関連しており、尿漏れに結びつく種目としてデッドリフト、スクワットが多く報告された。ここで見えているのは競技や練習の場面との関連であり、重量を増やせば必ず症状が生じるという因果の式ではない。[8]

一方、フランスで定期的に重量挙げをする15〜49歳の女性84人を調べた横断研究では、51人、60.7%が意図しない尿漏れを報告したものの、尿漏れの有無によってクリーン&ジャークとスナッチの最大挙上重量に差はなかった。トレーニング特性や出産歴などにも有意な関連がなく、ベルト使用や挙上時の呼吸の局面についても差が認められなかった。対象は定期的に重量挙げをする女性なので、18〜39歳という年齢が重なる読者でも、運動経験が違えばそのまま当てはめられない。[3]

レビューと横断研究では、集めた人、種目、質問、比較する条件が違う。横断研究は、ある時点での特徴と症状を調べる方法であり、筋トレを始める前から順に追って原因を特定する試験とは異なる。「最大重量には差がなかった」という結果は、「重さが誰にも影響しない」という証明ではない。[3][8]

競技会のような場面と普段の練習を区別する意味も、ここにある。レビューでは競技会との関連が示されたが、個人の最大重量だけで症状を説明できなかった調査もあった。記録更新の日の出来事を、軽い準備運動の日と一緒にしてしまうと、自分が何を相談したいのか曖昧になる。競技者の数字は、不安をあおる札ではなく、練習条件を具体的に尋ねる手がかりである。[8][3]

調査の割合を読むときには、分母にも目を向けたい。フランスの研究の分母は、定期的に重量挙げをする女性である。そこから分かるのは、その集団でどれだけ尿漏れが報告されたかであり、重量挙げをしない女性と比べて何倍起きやすいかではない。割合が高いことを受け止める作業と、運動の影響の大きさを計算する作業は同じではない。[3]

また、有意な関連が見つからなかった項目を、練習で確認する価値がない項目として片づける必要もない。ベルトや呼吸の局面に差がなかったという結果は、その調査で集めた条件での比較である。症状のある本人がどんな条件だったかを伝えることと、ある条件が集団全体の原因だと主張することは区別できる。自分の練習を丁寧に説明するために、原因を先に断定する必要はない。[3]

数字で読む重さ・圧・骨盤底

16研究:高強度運動中の腹圧と胸腔内圧を整理したレビューの採択数。[6]

200 mmHg超:同レビューでスクワット中に記録された高い腹圧。個人の安全基準ではない。[6]

16〜23%:健康な若い女性の試験で、息止め条件の収縮期血圧が高かった幅。[1]

1,809人:女性の重量挙げとパワーリフティングの系統的レビューの参加者総数。[8]

60.7%:フランスの重量挙げ女性の横断研究で尿漏れを報告した割合。[3]

47人:重い挙上と座位安静の後で骨盤底機能を比べた実験の対象者数。[9]

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宮川涼 Founder

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