食欲を引き立てる色は誰にも同じに見える?色覚の違いと料理への期待を読む

食欲を引き立てる色を選んだつもりでも、相手の見分け方は自分と違うことがある。色覚の違いを扱う症例報告、食品表示の選択実験、調味料の受容研究から、色の識別と好ましさ、食べる量の違いを整理する。料理名や原材料など、色以外の手掛かりを添えて食卓で共有する考え方を読む。

夕食の皿を並べて「この緑がきれいでしょう」と言ったら、相手は少し考えてからうなずいた。同じ料理を見ている。それでも、色を手掛かりに何を見分けているかには違いがある。色覚検査で特定の色の見分けにくさが確認された画家が、日常では色名をかなり正確に答えながら、食品の色には困難を感じていた症例がある。[1]

食欲を引き立てる色を、誰にでも通じる色見本として決めるのは早い。色を識別できること、料理を好ましく感じること、実際に食べることは別の問いである。色覚の症例報告、食品を選ぶ実験、調味料を使い続けた家庭の研究は、それぞれ違う段階を見ている。[1][2][5]

既存記事「食欲をそそる色は鮮やかならよい?色相と彩度で変わる料理への期待を読む」には、色そのものの組み合わせの話を譲る。ここで考えるのは、食卓を囲む相手と見え方が違うかもしれないとき、何を共有すれば料理を選びやすいかだ。赤か青かを決める前に、誰に何を伝える色なのかを確かめたい。

既存記事「食欲をそそる色は食べ慣れた料理で違う?色への期待と経験を研究で読み解く」が扱う食経験による期待とも、今回の問いは異なる。食べ慣れを尋ねる前提にある、色の合図をどう見分け、共有するかを中心に考える。

ヨガとからだの記事のイメージ写真 立川駅徒歩1分年中無休の溶岩ホットヨガスタジオ

色の名前の正解と、見え方の一致を分ける

色覚とは色を見分ける働きのことである。症例報告の対象は男性の職業画家であり、18〜39歳の女性に同じ見分け方や対処が当てはまるかは、この症例だけでは判断できない。その画家には、検査で遺伝性の第二色覚異常の一型である第二色盲が認められた。本人はとくに緑での困難を語っていた。一方、単独で示した色見本や、周囲の色との対比を伴う色見本の認識と命名では、間違いは少なかった。[1]

ここが食卓でも見落としやすい。色名が合ったことをもって、自分と同じ手掛かりを使っていると決めることはできない。この画家の場合、検査で確認された特徴と、実際の色名の回答は単純には一致しなかった。症例が示すのは、検査上の色の見分けと、生活の中で色を扱う行動を分けて見る必要性である。[1]

画家は仕事で間違いを避けるため、絵の具のチューブに書かれた色名を確認し、チューブを決まった順序に並べていた。使う色を基本的な色に絞り、緑を避ける工夫もしていた。描画の技術には、見分けやすい青や、明暗の対比を用いていた。色だけに頼らず、文字、配置、明暗を組み合わせていたのである。[1]

ただし、これは職業画家の症例報告だ。色覚に違いのある人すべてが緑を避ける、青を好む、同じ料理を苦手にする、と広げることはできない。本人が食品の色にも困難を挙げた事実と、特定の料理への食欲の強さは区別しておく必要がある。画家の工夫は参考になるが、献立の好き嫌いの一覧にはならない。[1]

たとえば家族にソースの違いを伝えるとき、「緑のほう」だけで通じるかを尋ねてみる。料理名や容器の位置も添える提案なら、この症例で用いられた文字と配置の工夫を、生活上の発想として取り入れられる。目的は食欲の増加ではなく、情報の共有にある。色を当ててもらう場面を減らすための提案だ。[1]

初日の汗は、予約した人だけが持ち帰れる。

体験レッスンを予約体験専用 03-6665-0898LINE

色が伝える意味と、料理への好ましさを分ける

同じ色でも、それが何の情報として使われているかは違う。料理の表面の色と、包装に付けた分類の色を、同じ「食欲の色」と呼ぶと話がずれる。全粒穀物の表示を調べたオーストラリアの成人の実験は、食品そのものを着色した研究ではなく、オンラインでの購入場面に情報と色分けを加えた研究である。[2]

この無作為化選択実験では、成人2013人を、色分けした全粒穀物表示のある群と、表示のない群に分けた。全粒穀物の含有量が異なる食品候補を示し、どれを買うか、どれが健康的だと思うかを尋ねた。購入したい食品の選択と、健康的だという順位付けが評価対象だった。対象は成人全体であり、18〜39歳の女性に同じ大きさの変化が当てはまるかは、この全体の結果からは判断できない。[2]

全粒穀物が最も多い候補を選ぶ割合は、表示群で対照群の1.33〜1.77倍だった。食品の区分によって結果は異なり、前者の95%信頼区間は1.19〜1.48、後者は1.58〜1.99である。信頼区間は、推定値の不確かさを表す幅だ。表示を加えた条件で選択が変わったことは支持されるが、赤や緑という色だけの働きとは分けて読むべき結果である。[2]

表示には全粒穀物の情報も含まれている。情報と色分けを一緒に加えた結果から、「この色なら空腹になる」「色覚が違っても同じように選べる」とは決められない。また、選ぶと回答したことを、実際に食べた量の増加に置き換えることもできない。食品を選ぶ画面で有用だった表示と、食卓で食べたいと感じる料理は、評価する行動が違う。[2]

日常では、色の横に「全粒穀物を含む」「原材料はこれ」といった情報があるかを見るとよい。色の意味を言葉で確かめるためだ。家族のために選ぶなら、自分が見やすい表示だから相手にも見やすい、と先回りしない。この実験を万人に共通の配色の証明にせず、情報の伝え方を考える材料として読むのが適切である。[1][2]

健康的だという順位付けにも差があった。正しく順位を付ける割合の比は、表示群で対照群の1.37〜2.00倍で、両端の95%信頼区間はそれぞれ1.24〜1.50と1.81〜2.22だった。選びたい候補の変化に加えて、情報の理解に関わる評価も変わっている。食品の区分をまたいで、差の大きさは異なった。[2]

買うものを選ぶ課題と、健康的な順に並べる課題を分けた点も参考になる。食卓に置き換えて考えるなら、「何が入っていると分かったか」と「食べたいと思ったか」を別々に聞ける。表示実験の結果を再現するためではなく、説明が伝わったことと好みが合ったことを混同しないためだ。料理の説明を理解しても、選ぶかどうかは本人に残る問いである。[2]

食べ慣れた料理では、色の変化が別の意味を持つ

色が変わった料理に戸惑うとき、そこには見慣れた料理への期待も関わりうる。ガーナ北部の家庭で、栄養素を加えた固形調味料への認識と受容を追った研究では、食品の色の変化が受け入れの障壁として語られた。同時に、感覚的な魅力や文化への適合、健康によいという認識は受け入れる理由だった。[5]

研究は、栄養素を強化した調味料と対照の調味料を家庭に配った二重遮蔽の無作為化試験に組み込まれた、縦断的な混合研究である。縦断とは時間を追って調べることで、混合研究とは質問票による数値と、話し合いなどの言葉の情報を併せて扱う研究を指す。家庭内の主な対象者以外の構成員を調べた点にも特徴がある。[5]

参加登録は15歳以上の1047人で、平均年齢は40歳、女性は59%だった。男女と幅広い年齢を含む集団なので、18〜39歳の女性に同じ得点の変化が当てはまるかは分けて考える必要がある。家庭での使用期間は9か月。認識の得点は3.4から4.1へ上がり、調整後の推定差は0.69、95%信用区間は0.57〜0.81だった。信用区間は、この研究で用いた統計モデルに基づいて推定の幅を表したものだ。[5]

一方、受容の得点は4.59から4.58で、調整後の差は−0.02、95%信用区間は−0.07〜0.03だった。受容は高い水準を保ったが、時間とともにさらに上がる傾向はなかった。栄養素強化群と対照群の差も認められなかった。認識の改善と、受容の変化の乏しさを一緒に読む必要がある。[5]

色が障壁になったという話と、全体の受容が高かったという結果は矛盾しない。困る点があっても使い続けられる場合があり、好意的な理由があっても気になる点は残りうる。この研究では、集団討議で色への懸念を捉え、質問票では受容の水準を追っている。調べた角度が異なるのである。[5]

夕食のスープを見て「いつもと違う」と言われたら、「栄養を考えたのだから食べて」で話を終えない。何の材料を変えたか、どんな味を想定しているかを共有する余地がある。ただし、ガーナの家庭での調味料研究を、そのまま日本の家庭料理の反応に置き換えることはできない。参考になるのは、作る側の意図だけで受け入れ方を決めないという視点である。[5]

調味料研究の面接は、使用の初期と後期で行われ、途中には集団討議もあった。初期の面接は731人、後期は796人である。登録した全員に同じ時点で回答がそろったという単純な比較ではなく、研究では個人や家庭の要因を考慮する統計モデルが用いられた。得点の変化を見るときは、調べ方も含めて読む必要がある。[5]

集団討議では、色だけでなく、健康への期待や文化との合い方なども話題になった。この点からも、受容得点を色の好みの得点として紹介するのは適切ではない。家庭に取り入れられるかという大きな問いの中に、色への反応が含まれていたのである。色の話を聞く際も、見分けにくいのか、いつもの料理と違って気になるのかを、本人の言葉で確かめたい。[5]

数字で読む色と食品の研究

2013人:全粒穀物の色分け表示を調べた、オーストラリア成人の選択実験の参加者数である。[2]

1.33〜1.77倍:表示群で、全粒穀物が最も多い候補を選ぶ割合を対照群と比べた値。食品区分によって異なる。[2]

1047人:ガーナの調味料研究で登録された家庭構成員の人数。色覚による分類の人数ではない。[5]

3.4から4.1:調味料への認識得点の変化で、食事量や空腹感を表す数字ではない。[5]

4.59から4.58:調味料への受容得点。認識が改善しても受容はほぼ変わらなかった。[5]

初日の汗は、予約した人だけが持ち帰れる。

体験レッスンを予約体験専用 03-6665-0898LINE

💬 ご質問がある場合はこちらからどうぞ

オンザショアのチャットで質問する(24時間受付)

レッスン内容・料金・体験のご予約など、気になることをお気軽にお尋ねください。

author avatar
宮川涼 Founder

1

2

関連記事

ご体験予約