生理前の食欲は甘い物だけに向く?空腹と味への欲求が食い違う場面を研究で読む

生理前に夕食は食べたのに甘い物が欲しくなる。その感覚を、空腹感、特定の味への欲求、食品の価値の違いから読む。月経前不快気分障害のある女性と健康な女性を比べた研究や、甘い物の評価が変わらなかった実験を紹介し、周期と気分を分けて記録する視点、食欲を一律に抑えようとする前に確認したいことを示す。

夕食の皿を片づけたのに、焼き菓子の袋が気になる。おかずのお代わりは欲しくないが、甘い物なら食べたい。「お腹がすいた」と「甘い物が食べたい」は、日常ではどちらも食欲と呼ばれる。けれど、研究では同じ質問への答えではない。生理前の変化を読むにも、この区別が出発点になる。[4][17][19]

生理前に甘い物への欲求が強くなる女性はいる。ただし、月経前不快気分障害のある女性で見られた変化が、健康な対照群では認められなかった。甘い物と塩味の物の違い、欲しい気持ちと実際の食事量の違いを残して読む必要がある。[4][6]

既存記事「月経周期とダイエットの科学 食欲が増える日と体重が動く朝をどう読めばよいか」には、周期全体と体重の読み方を譲る。ここで考えるのは、夕食の量よりも甘い物が気になる日に、何が変わったと捉えればよいかである。食欲を抑える方法を探す前に、自分が抑えたいと感じているものの中身を見ていく。

既存記事「食欲を抑える瞑想は食べ物を観察する?空腹と甘い物への欲求を分けて研究で読む」は、瞑想という介入後の変化を扱っている。こちらは方法の効き目ではなく、周期の時期や月経前症状によって味への反応が異なるかに問いを絞る。

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空腹の強さと、特定の味が欲しい気持ちは分けて読む

食物への渇望を扱うレビューでは、それはしばしば「食べたいという強い欲求」と定義される。強い欲求があることと、胃が空いている感覚が強いことを、初めから同じ数値として扱ってはいない。食物への渇望に性差や月経周期がどう関わるかを調べる必要性が論じられている。[17]

この違いは、記録の質問を変えると分かりやすい。「今、食事を食べたいか」と「今、甘い物を食べたいか」を別々に考える。夕食のおかずなら十分だが、甘い物なら欲しいという答えもありうる。これは読者が自分の感覚を言葉にするための例であり、その答えだけで体内のホルモンや病名を判定するものではない。

研究側にも、評価の分け方がある。食品の写真を見てどれほど食べたいか答える課題、甘い物への欲求の質問票、食品に払ってもよい金額を答える課題、実際に食べたエネルギー量の測定は、それぞれ違う出口を見ている。どれかが動いたから残りも全部動いた、と置き換えると結果を読み違える。[4][6][19]

写真への欲求の評価が示すのは、その写真の食品を食べたい強さである。日常の間食量の増加率を示す数値とは区別する。実験の食事量の増加を読む際にも、食事全体を測ったのか、甘い物だけを測ったのかを確かめたい。食欲という大きな箱から、研究が実際に測ったものを取り出す作業が必要だ。[4][19]

「甘い物が欲しいなら、お腹がすいているはずだ」と決める前に、欲しい対象を確認したい。食事全体が欲しいのか、特定の味なのか、写真や店頭を見た瞬間に気持ちが変わるのか。問いを分けるのは食べることを採点するためではない。困っている場面を、本人にも説明しやすくするためである。

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甘い物への変化は、症状のある女性で強く現れた

月経前不快気分障害のある女性67人と健康な女性74人を比較した研究がある。月経前不快気分障害は、この研究では精神科面接などを経て評価された対象群であり、甘い物を欲しがる人を一括りにした名称ではない。研究者は卵胞期の早い時期と、月経前に当たる黄体期の遅い時期に食品への反応を比べた。症状のある患者群の結果を、18〜39歳の女性全体にそのまま当てはめることはできない。[4]

卵胞期と黄体期は月経周期の区分である。食欲研究の方法を論じたレビューは、周期の細かな区分には同じ人の中でも人と人の間でも大きなばらつきがあり、区分の特定が研究上の課題になると指摘する。「生理前」という日常語だけで、別の研究がまったく同じ時点を測ったと考えないことが大切だ。[14]

比較研究では、とても甘い食品の写真15枚と、塩味と脂肪が強い食品の写真15枚を提示した。参加者はそれぞれをどの程度食べたいか、0から10の尺度で評価した。さらに、甘い物への欲求、食品への感情反応、いら立ちや衝動性なども調べた。味の種類と気持ちを分けて測る設計である。[4]

月経前不快気分障害群では、黄体期の遅い時期に、甘い食品を食べたい気持ち、甘い物への欲求、甘い食品への感情反応が高まった。一方、健康な対照群では同じ上昇は認められなかった。塩味と脂肪が強い食品についても、両群間で周期に伴う有意な違いは認められなかった。[4]

ここで示されたのは、すべての味に同じ変化が起きたという結果ではない。甘い物への欲求が目立つ人を理解する材料にはなるが、「生理前なら誰でも甘い物を欲しがる」という一般則にはならない。自分には変化がないと感じる人を、例外として訂正する必要もないのである。[4]

いら立ちや衝動性の評価は、月経前の甘い食品を食べたい気持ちと関連していた。ただし、いら立ちが欲求を起こしたと因果を決めた研究ではない。気分と欲求が一緒に変わる可能性を考え、食べた物だけでなく、そのときの気持ちも観察する手がかりとして読むのが適切だ。[4]

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甘さだけか、甘さと脂肪の組み合わせか

別の比較研究では、月経前不快気分障害のある女性59人と対照群60人が評価を終えた。月経前不快気分障害のある患者群を含む比較であり、18〜39歳の女性全体への適用には症状の有無を考慮する必要がある。研究者は、月経周期をまたいだ食物への欲求に加え、甘さと脂肪の強い食品への欲求、感情反応、本人が意識して答える評価とは別の課題による態度、報酬への敏感さを調べている。[8]

この研究では、甘さと脂肪の強い食品は他の食品より強い欲求や肯定的な感情反応を引き起こした。黄体期は、食物全般および甘さと脂肪の強い食品への欲求の高さと関係していた。さらに月経前不快気分障害群では、こうした食品への欲求や感情反応、報酬への敏感さが高かった。[8]

先ほどの研究と併せると、甘い物という呼び名の中身にも注意が向く。一方はとても甘い食品と塩味・脂肪の強い食品を分け、他方は甘さと脂肪の強い食品への反応を見ている。同じ「甘い物の研究」という紹介でも、比較している食品の性質は同一ではない。[4][8]

たとえば、読者が記録する際も「甘い物」とだけ書くより、どんな食品を欲しかったのかを書いた方が場面を思い出しやすい。チョコレートだったのか、焼き菓子だったのか、食事の後にも欲しかったのか。食品名は体を評価する札ではなく、後から状況をたどるための目印として使う。

また、報酬への敏感さと食品への感情反応、感情反応と欲求の間には関連があった。だからといって、好きな食品があること自体を問題にする研究ではない。研究が扱ったのは、対象群と周期の条件の下で反応がどう異なるかである。楽しみを持つことと、生活に支障を来すほどの困りごとは分けて考えたい。[8]

食品に払いたい金額では、甘い味は変わらなかった

欲求の研究とは少し離れ、間食をどれほど価値あるものとして扱うかを調べた実験もある。参加者を募集し条件に沿って選んだ結果、女性のうち研究上の健康体重群31人と肥満群25人が解析対象となった。体格で群分けした実験であり、18〜39歳の女性全体に同じ評価の変化を当てはめることはできない。排卵前と黄体期の中頃に、30種類の間食食品へ払ってもよい金額を答える課題を行った。[6]

健康体重群では、塩味の間食への金銭評価は周期に伴って変化したが、甘い味への金銭評価は変化しなかった。肥満群では塩味の食品に対する周期の影響も認められなかった。体格区分は研究で比較した条件であり、読者にとって望ましい体の形の順位を意味しない。[6]

この結果は、甘い物への欲求が高まった研究を単純に打ち消すものではない。写真を見たときの欲求と、財布からいくら出すかという評価は同じ課題ではないうえ、参加者や調べた周期の時点も異なる。異なる質問なら、違う結果になる余地を残すべきだ。[4][6]

店頭で「おいしそう」と思うことと、値札を見てかごに入れることは、同じ動作ではない。研究でも、食品に払う金額による評価は、同じ女性たちの飲料への快さの評価とは異なる側面を捉えると論じられた。食品の価値を表す物差しが複数あることを示す結果である。[6]

したがって、「甘い物が欲しくなった」と「甘い物を多く買った」と「多く食べた」は、日記でも別の出来事として扱える。欲求があった日を、購入や摂取が増えた日として自動的に記録しない。棚の前で迷っただけの日まで食べ過ぎの日に変えると、本人の記憶も研究の読み方も厳しくなりすぎる。

数字で読む生理前の味への欲求

67人と74人:月経前不快気分障害群と健康な対照群を比較した研究の人数である。[4]

15枚ずつ:とても甘い食品と、塩味・脂肪の強い食品について提示した写真の数である。[4]

0〜10:食品をどれほど食べたいか答えた尺度であり、食事量の増加率ではない。[4]

31人と25人:間食の金銭評価を調べた研究の健康体重群と肥満群の人数である。[6]

30種類:金銭評価の対象となった間食食品の数であり、推奨される食品数ではない。[6]

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宮川涼 Founder

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