心肺機能は成長期に自然と伸びる?練習の成果と体が育つ変化を分けて読む

成長期に心肺機能の数値が上がっても、すべてを練習の成果とは判断できない。酸素を使う総量と体格に応じた値の違い、若い競技者の比較試験、長期追跡の結果から、成長と運動の関係を読む。前年より伸びた時も横ばいの時も、記録を子供への評価に変える前に確認したい視点を示す。

去年の体力測定より記録が伸びた。部活動の成果だろうか。それとも、制服の袖が短くなったことと同じ、成長の一部だろうか。親子で結果の紙を眺める時、その違いは気になる。

成長期には、運動中に使える酸素の総量が体の発育とともに増える。ただし、その上昇を練習の成果と評価するには、体格の変化も確かめる必要がある。若い競技者を対象にした比較試験でも、酸素摂取量の変化が除脂肪量の変化と並行する結果が報告されている。[1][7]

一方で「育てば伸びるから運動はいらない」とも結論できない。長期追跡では、活動的な若者ほど有酸素性体力の伸びが大きい関連も観察されている。[16] ここで扱うのは、成長と練習が同時に進む時の成果の読み方である。数値の割り算そのものは既存記事「心肺機能と年齢の比較は体格調整で変わる?体重と除脂肪量で読む数値の落とし穴」に譲る。

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同じ年齢でも、成熟の時計はそろわない

心肺機能の研究でよく使われる指標に、ピーク酸素摂取量がある。運動の負荷を上げていき、本人が運動を続けられなくなるまでの試験で得られた、最も高い酸素摂取量を指す。子供や若者の有酸素性体力を評価する指標だが、結果を読む時には発育も一緒に考える必要がある。[3][7] 子供・青年の評価を扱う知見であり、18〜39歳の女性自身の体力変化を説明するには、成長期と成人期を分けて考える必要がある。

成長は、体の外寸が大きくなることだけではない。若い男子競技者を扱ったレビューでは、有酸素性体力に関わる変化として、心臓が拍動ごとに送り出す血液量、酸素の運搬に関わるヘモグロビン濃度、筋量の増加が挙げられている。早く成熟する男子は、同じ暦年齢でも身長や体重、筋量が大きい傾向にある。[5] 男子競技者の成熟に関する説明であり、18〜39歳の女性の運動効果を直接示す結果ではない。

したがって、誕生日で分けた学年の中にも発育の違いがある。レビューでは、こうした個人差は男子の競技参加が盛んな12〜15歳で特に目立つとされる。[5] 同じ学年の子より記録が低いことと、その子自身が伸びていないことは別の問いだ。名簿は年齢順に並べられても、成熟の時計まではそろわない。

この点は、練習への評価にも関わる。早く発育した子の好成績を、すべて熱心さや指導法の手柄にすると、後から発育する子に不公平な評価を与えかねない。若い男子競技者のレビューは、成熟の段階に左右される選抜や、将来の体格と合わない早期の競技専門化にも注意を促している。[5]

ただし、男子の競技者の説明をそのまま女子の成長曲線に写すこともできない。子供・青年の有酸素性体力に関するレビューでは、ピーク酸素摂取量は成長や成熟に伴って増える一方、男女で発達の様相が異なることが示されている。[7] 家族の中の比較であっても、兄の伸び方を妹の予定表にする必要はない。

成長曲線を読むなら、集団の平均的な形と、目の前の子供の経過を分けておきたい。集団でよく見られる変化は、本人がその時期に同じ変化を経験する保証ではない。成熟の速さが違うという前提を置くだけで、結果の紙に付ける言葉は変わる。[5][7]

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酸素の総量が増えても、体格に応じた値は横ばいになりうる

酸素を使う力には、体全体で使った量という見方がある。他方、その量を体重や除脂肪量に関連づけて表す見方もある。除脂肪量とは体重から脂肪を除いた部分の量である。子供・若者のピーク酸素摂取量を扱ったレビューは、総量、体重や除脂肪量との関係、体格を統計的に調整する方法を区別して論じている。[3]

総量が上がったなら、それは検査で使えた酸素の総量が増えたという結果だ。その意味を消す必要はない。ただし、体も大きくなっている時には、同じ結果を「体格の増加を超える適応」と言い換える前に検討が要る。測定の単位が答えている問いを越えないことが大切である。[1][3]

若い競技者の試験では、この違いが実際に表れた。高強度の練習を含む群でも、除脂肪量に対する最大酸素摂取量には有意な変化がなかった。総量と体格に応じた値は、異なる変化を示しうる。[1] 「増えた」と「横ばい」は、評価する関係を区別すれば両立する。

また、体重で割れば体格差の問題がすべて片づくわけでもない。若者の酸素摂取量と体格を検討した研究では、体重による単純な割り算が仮定する統計的な関係は、同程度の年齢の集団でも満たされなかった。集団の人数や構成も、体重と酸素摂取量の関係に影響した。[13] 若者の横断データを分析した結果であり、18〜39歳の女性に同じ調整式が適するかは、この分析だけでは判断できない。

そこで研究では、体格に合わせて値を調整するアロメトリック・スケーリングが使われる。体重などと酸素摂取量の関係を、単純な比例と決めずに扱う方法である。レビューでは、体重に用いる指数はおよそ0.30から1.0を超える範囲まで異なっていた。年齢、性別、身体訓練、標本の大きさなどが、その違いに関わると考察されている。[3]

ここから家庭向けの万能計算式を作るのは早計だ。比較したいのが同じ子供の経過なのか、発育段階の異なる子供同士なのかでも問いは異なる。測定を受けた場所で「この値は総量か、体重に対する値か」「前年も同じ表し方か」と確認する方が、数字の小数点を追うより先になる。[3][13]

高強度の練習を足した試験は、成長の分をどう扱ったか

成長期の練習効果を知りたい時、練習の前後だけを見ると難しさが残る。その間に発育も進むためだ。そこで参考になるのが、12歳の若い競技者を対象に、8週間の練習を比較した無作為化比較試験である。競技者を異なる練習群へ無作為に割り付け、さらに活動の少ない同年代の比較群を置いていた。[1] 12歳の競技者への追加練習を調べた試験なので、18〜39歳の女性が運動を始めた時の反応へそのまま当てはめることはできない。

対象はクロスカントリースキーの競技者35人で、高強度の運動を加える群と、低強度の筋力・協調性の練習をする群に分けられた。協調性は、動作の中で体の各部を合わせて使う働きである。これとは別に、活動の少ない同年代29人が、成長と成熟の比較対象となった。[1]

研究者は身体の大きさと最大酸素摂取量を練習期間の前後で調べ、活動計、練習記録、質問票で活動や練習の状況も追った。単に「よく運動しているはず」と見なした比較ではない。週当たりの練習回数は、高強度群が平均4.6回、筋力・協調性群が4.1回、比較群が1.8回だった。[1]

それでも、除脂肪量に対する最大酸素摂取量は、どの群にも有意な変化がなかった。最大酸素摂取量の変化は、各群とも除脂肪量の変化と並行していた。著者らは、この若い競技者の8週間という条件では、高強度練習が最大酸素摂取量に加える効果に疑問を投げかけている。[1]

この結果から読めるのは、練習回数が多いことや高強度を含むことだけでは、成長に伴う量の増加を超える変化を示す根拠には不足する、という点である。競技者を含む短期間の比較であり、子供の運動全般を無意味とする結果ではない。[1] 題名の「高強度」という文字だけで、家庭の運動計画を厳しくする理由にはならない。

さらに、最大酸素摂取量の評価と、競技の技術や日常での動きやすさの評価は分けておきたい。若いチーム競技者のレビューも、有酸素性体力だけでなく技術の発達を踏まえて運動の形を考えている。[2] 酸素の指標が横ばいだったことを、練習で得たすべてが横ばいだったという判定に広げない読み方が必要だ。

この試験の比較群には、読み取る際に押さえたい役割がある。練習した子供だけを見ていれば、成長で変わった分も練習後の増加として数えてしまう。活動の少ない同年代を置くことで、練習の種類の違いに加え、発育と重なる変化を検討しているのである。[1] 前後の写真だけで原因は写せないのと同じで、前後の数値だけでも原因は決められない。

また、無作為に割り付けられたのは競技者の練習群であり、競技者と活動の少ない子供の暮らし全体を無作為に分けたわけではない。[1] 「無作為化比較試験」という研究の型を重く見ると同時に、どの比較にその仕組みが使われたかも押さえたい。競技を始める効果と、既に競技をしている子に練習を追加する効果は、違う問いになる。

この区別を保つと、記録が伸びた子にも伸びなかった子にも、次に確かめることが見えてくる。練習内容と測定した指標が対応しているか、身体の量の変化を含めて読んでいるかである。研究が使った比較の筋道は、子供を研究対象の平均値に合わせるためではなく、結果への早合点を減らすために役立つ。[1][3]

数字で読む成長期の比較

12歳:高強度練習の追加を検討した若い競技者の年齢である。[1]

8週間:練習の比較期間であり、成長期全体を見渡した期間ではない。[1]

35人と29人:それぞれ無作為に練習群へ割り付けられた競技者と、活動の少ない比較対象の人数である。[1]

週4.6回と4.1回:高強度群と筋力・協調性群の平均練習回数であり、家庭への推奨回数ではない。[1]

617人:青年期から成人期にかけた活動と健康の長期追跡研究で、募集された人数である。[16]

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宮川涼 Founder

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