体力をつけるサッカー練習は走り込みだけ?反復ダッシュと休息の組み方を読む

サッカーで終盤も走りたいとき、長く走る練習だけでよいのか。反復ダッシュと高強度インターバルを比較した研究から、持久力、速さの落ち方、練習後の回復を分けて読む。若い男子選手の試験を大人にそのまま当てはめず、距離や休息を選ぶ視点と、次の練習までの確かめ方を整理する。

攻撃に合わせたダッシュの直後、ボールを奪われて守備へ戻ろうとしても脚が出ない。「もっと走り込まないと」と考える場面だ。ただ、その困り方を長く走る力だけで説明してよいのだろうか。

体力をつけるサッカー練習には、きつい運動と休息を繰り返す方法も選択肢になる。研究では、高強度インターバルトレーニングは有酸素能力や競技に近い持久力の改善に、反復ダッシュは速さや反復走の成績の改善に役立つ結果がある。どちらかを万能とするより、伸ばしたい指標を決めることが先である。[6][17]

「回復力」にも、走った後にまた走れることと、練習から日を置いて速さが戻ることがある。前者の成績が伸びる練習でも、直後から次の練習まで疲労が残る場合がある。この時間の違いを分けると、追い込んだ量だけで練習を採点せずに済む。[12][20]

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「体力がない」を、長く走る力と繰り返す力に分ける

サッカーの練習効果を調べる研究では、酸素を使う能力、短距離のタイム、反復走の成績、方向転換などを別々に測っている。高強度インターバルとは、強い運動と休息を区切って繰り返す練習である。反復ダッシュは短い全力に近い走りを繰り返す方法で、研究では反復スプリント能力として評価される。持久力の検査が良くなることと、短距離の最高速度が上がることは、同じ結果を指していない。[6][17]

たとえば、試合の終盤に広い範囲を動き続けたいのか、守備から攻撃へ切り替わるたびに加速したいのか。どちらも日常語では「体力」だが、研究の成績表では欄が違う。無作為化比較試験を含むネットワークメタ分析でも、運動の種類による結果は検査ごとに異なった。ネットワークメタ分析とは、複数の練習法を研究間の比較も使って整理する解析である。[6]

既存記事「有酸素運動のサッカーは少人数ほどきつい?心拍数と走る距離の違いを研究で読む」には、少人数で行うゲームの負荷という問いを譲る。ここで考えるのは、走る距離や休息をどう選び、何をもって伸びたと判断するかである。キックや体幹の練習の話にも広げず、走りを繰り返す場面に絞る。

立川駅へ向かう階段で脚が重い日も、練習の記憶は「きつかった」にまとまりやすい。記録するなら、その感想の横に困った場面を添えるとよい。「ずっと動くのがつらい」と「短い走りの後で戻れない」を書き分けるためである。自分の感想を検査の代わりにせず、指導者と目標を相談する言葉として使いたい。

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高強度インターバルは有力だが、全項目の首位ではない

サッカー選手を対象にした系統的レビューとネットワークメタ分析は、52研究、計1,320人を含んだ。有酸素能力の指標である最大酸素摂取量では、高強度インターバルの効果量は標準化平均差0.53、95%信頼区間0.15〜0.91だった。標準化平均差は、違う尺度の結果を共通の物差しにそろえた値であり、酸素摂取量がその割合だけ増えたという意味ではない。対象はサッカー選手であり、18〜39歳の女性の日常的な運動に同じ効果量をそのまま当てはめることはできない。[6]

同じ解析では、走行と回復を繰り返すヨーヨー間欠性回復テストのレベル1でも、高強度インターバルは改善の確率が最も高い位置にあり、標準化平均差は0.78、95%信頼区間0.33〜1.22だった。反復スプリント能力では−0.94、95%信頼区間−1.86〜−0.03と、改善を示す推定だったが、効果の幅は広い。順位だけを見るより、推定の不確かさも一緒に読む必要がある。[6]

一方、この解析で短い10m走に有意な効果を示した練習法はなかった。高強度インターバルと少人数ゲームを組み合わせた群では、20m走の成績が低下する結果もあった。練習名を足し合わせても、成績は足し算にならない。いろいろ行うことと、狙った能力が伸びることは分けて考えたい。[6]

この結果は、長く走る練習をすべてやめる理由にもならない。同じ解析では、低強度の連続運動が別の距離のスプリントや跳躍で高い順位を示している。指標を選ばず「これだけが正解」と読むと、論文の中にある違いを消してしまう。走り込みを続けるかどうかより、今の練習で何を変えたいかを先に問うほうが、研究の使い方に合っている。[6]

研究の順位には、比較した練習や参加者の条件が折り込まれている。高強度インターバルが上位だったことを、どの人にも同じ走る長さと休み方が最良だと読み替えないほうがよい。この解析自体も、目的に合わせて多様な方法を個別に組み込む考え方を示している。大切なのは、順位表から練習名を選ぶだけで終えず、狙う検査につながる内容かを確かめることだ。[6]

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ダッシュの距離を変えると、伸びる成績も変わる

18歳未満の男子選手31人を無作為に分けた試験は、15mと30mの反復ダッシュを比較した。練習は週2回、6週間である。15m群と30m群のどちらも、短距離走や間欠的な持久力の検査に改善がみられた。ヨーヨーテストの介入前後の改善率は、それぞれ16.59%と18.79%だった。この改善率の大小と、群間差の統計的な検証は別である。18〜39歳の女性に同じ距離設定と改善率をそのまま当てはめることはできない。[20]

反復ダッシュの合計タイムと平均タイムは、15m群で4.71%、30m群で2.30%改善した。最速タイムにも改善があったが、反復による成績の落ち方を表す低下率が有意に改善したのは15m群で、その改善率は24.06%だった。最初の走りを速くすることと、繰り返しても落とさないことには、別の評価が必要になる。仮に最速だけを記録していたら、この試験で捉えた反復による変化の一部は見えなくなる。同じ検査の中でも、どの数字を残すかが練習の評価を左右する。[20]

低下率の改善を、走る速さそのものが同じ割合で上がったと受け取ってはいけない。最速タイム、合計タイム、低下率は、同じ反復走を異なる面から見た数値である。短い距離の群で反復の落ち方が変わったという結果は、「長く走らなければ持久力は変わらない」という見方を狭めるが、すべての能力で短い距離が優れる証明ではない。[20]

実際に30m群では、身のこなしを評価する検査で介入前後に4.42%の改善があった。著者らは反復スプリント能力を主眼にする場合と、身のこなしを狙う場合で距離を選び分ける考え方を示している。研究対象は若い男子選手であり、久しぶりに競技を再開する大人が同じ設定をそのまま行うための処方ではない。[20]

同じ時間を使っても、持久力と速さは同じ伸び方をしない

男子の若いサッカー選手46人を対象とした無作為化比較試験では、長めのインターバル、反復ダッシュ、走りの特性に応じてそれらを選ぶ方法、通常練習を続ける対照群を比較した。期間は6週間、追加の練習は週2回だった。練習群には対照群と比べた改善がみられたが、どの方法が有利かは測る能力で違った。18〜39歳の女性についても同じ優劣になるかは、この若い男子選手の試験だけでは判断できない。[17]

反復ダッシュは、跳躍、最大スプリント速度、反復走の平均成績などで、ほかの介入群より大きい改善を示した。一方、有酸素能力を高める面では、個別化した群と長めのインターバル群が反復ダッシュ群より有効だった。速さを残す練習と、酸素を使う能力を伸ばす練習を、同じ「きつい運動」で片付けない理由がここにある。[17]

方法を変えても、結果に差が出なかった比較もある。14〜15歳の男子選手29人を無作為に分けた別の試験では、跳躍を組み合わせた反復ダッシュと、跳躍を組み合わせた高強度インターバルを8週間比較した。各回20分で通常練習の一部を置き換え、両群で速さ、有酸素能力、反復走などが改善したが、群による反応の差を示す証拠はなかった。18〜39歳の女性に同じ反応をそのまま当てはめるには、年齢・性別・競技歴の違いを考える必要がある。[4]

この試験で比較したのは、いずれも跳躍を含む組み合わせである。先ほどの試験と結果が違うからといって、片方だけを採用して結論を急ぐ必要はない。対象とメニューが違えば、比較している問いも違う。「反復ダッシュが有利だった指標」と「差が示されなかった組み合わせ」を並べておくほうが、万能な練習名を探すより実情に近い。[4][17]

同じ時間を割く場合にも、何を通常練習から置き換えるかを考えたい。跳躍を組み合わせた試験は、競技練習に無制限に運動を足した研究ではなく、その一部を置き換えた比較である。試験の練習だけを取り出して普段の予定の末尾に足すと、比較していた条件から離れる。仕事と競技の間に運動を入れたい人なら、追加する枠だけでなく、すでに行っている内容も相談の材料になる。[4]

数字で読むサッカーの反復走

52研究・1,320人:複数の練習法を整理したネットワークメタ分析は、この規模で行われた。[6]

週2回・6週間:短距離と長距離の反復ダッシュを比較した若い男子選手の試験設定である。[20]

4.71%と2.30%:15m群と30m群で、反復走の合計タイムは介入前後にこれだけ改善した。[20]

29人・8週間:跳躍と反復走、跳躍とインターバルを比較し、反応の群間差が示されなかった試験である。[4]

最大48時間:鍛錬された男子選手のある維持練習後に、速さと反復走の低下が続いた時間である。[12]

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宮川涼 Founder

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