植物性プロテインは脱脂ピーナッツでも補える?粉の濃さと消化の違いを研究で読む

脱脂ピーナッツの粉は、普通のピーナッツを砕いた粉と同じなのか。たんぱく質の濃縮、アミノ酸の組み合わせ、加工による消化性の違いを研究から読む。低カロリー・低糖質という言葉だけで選ばず、食品表示と食事の中での使い方を考える。溶けやすさや香ばしさ、アレルギーの注意も分けて整理する。

朝食に混ぜる粉の袋を裏返すと、「ピーナッツ粉」の横に「脱脂」の文字がある。香ばしい粉なら朝食にも混ぜられそうだが、油を抜いたものが、たんぱく質を補う食品になるのだろうか。答えは、候補にはなる。ただし、原料が同じでも、砕いた粉、脱脂した粉、そこからたんぱく質を集めた素材は区別して考えたい。[1][13]

ピーナッツを人の食品に使う方法をまとめたレビューでは、粉や分離たんぱく質などの利用が論じられ、特定の必須アミノ酸には不足がある一方、真の消化率は動物性たんぱく質に匹敵すると整理されている。「植物性だから消化できない」も、「消化できるからこれだけで十分」も、この説明とは違う。[1]

既存記事「女性のミルクプロテインは脂肪の粒でも変わる?乳化の細かさと消化を研究で読む」には、乳の脂肪の粒と消化の話を譲る。ここで確かめるのは、ピーナッツから油やほかの成分を分けたとき、粉の成分とたんぱく質の扱われ方をどう読み分けるかである。

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脱脂した粉と、たんぱく質を集めた粉は違う

「脱脂」は油を分ける加工を指す。一方、たんぱく質濃縮物を作る研究では、脱脂した固形物からさらにたんぱく質を抽出し、液中から回収している。油を抜く工程と、たんぱく質を選んで集める工程がある。脱脂ピーナッツ粉という名前だけで、濃縮物の成分値まで引き受けることはできない。[9][13]

この区別を具体的に示すのが、ピーナッツの圧搾かすを使った食品加工の実験である。エタノールまたはヘキサンで脱脂した固形物からたんぱく質を抽出し、酸性度を利用する方法と、アルコールを使う方法で沈殿させて回収した。原料名は共通でも、途中の分け方が異なる素材を比べている。[13]

できた濃縮物のたんぱく質含有量は、乾燥重量あたりで730±30〜790±10 g/kgだった。これは水分を除いた条件での成分である。店頭の食品を、そのまま食べる状態で量った表示とは土台が違う。高い数値に目を奪われる前に、何を分母にしているのかを読む必要がある。[13]

同じ実験で、たんぱく質の抽出収率は、エタノール脱脂の固形物で89±3%、ヘキサン脱脂の固形物で95±1%だった。収率は、製造時にたんぱく質をどれだけ取り出せたかを示す指標である。食べた人が吸収する割合ではない。袋を買う側には似た百分率に見えても、工場の回収成績と体の消化成績は別の欄に置きたい。[13]

普通のピーナッツを砕いた粉と比較したい場合も、この研究の濃縮物を市販品全体の代表にはしない。まず手元の食品が、粉砕した食品なのか、脱脂粉なのか、たんぱく質をさらに集めた素材なのかを原材料表示で確認する。そのうえで栄養成分表示を読む、という順番が筋道になる。研究に登場した素材名を、そのまま台所の袋の中身に貼り付けないためである。[9][13]

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たんぱく質の量と、アミノ酸の組み合わせを分ける

たんぱく質は、アミノ酸がつながってできた成分である。ピーナッツにたんぱく質が含まれることと、そのアミノ酸の組み合わせだけで食事全体の役割を果たせることは同じではない。人の食品への利用を扱うレビューは、消化率を評価しつつ、特定の必須アミノ酸の不足にも触れている。長所と制約が同居する素材として読むのが適切だ。[1]

ここでいう必須アミノ酸は、食事からの供給が必要なアミノ酸である。どれかの量が相対的に少なければ、たんぱく質の総量が多いという説明だけでは評価しきれない。レビューがピーナッツを穀類ベースの食品に加える使い方を取り上げているのも、単独の粉の順位より、組み合わせによる食品の栄養価を見ているからである。[1]

実際に、小麦粉の一部を部分脱脂ピーナッツ粉に置き換えたパスタの研究がある。この研究は、ピーナッツのリシン含有量が小麦より高いことを、補い合う素材として使う理由に挙げている。リシンもアミノ酸の一種だ。食事を考える場面では、「植物性か動物性か」という大きな区分の内側にも、素材同士の違いがある。[8]

ただし、特定の成分を補えることと、どんな混ぜ方でも栄養の問題が解決することは違う。別の加工実験では、食品用に加工した圧搾かす由来の粉は、実験室で作った脱脂ピーナッツ粉よりメチオニン含有量が低かった。メチオニンもアミノ酸の一種であり、同じピーナッツ由来という括りでは隠れてしまう差である。[9]

朝のパンに粉を混ぜる場面なら、問いは「これで食事が完成するか」ではなく、「いつもの食事のどの部分を補うか」になる。パスタの研究が検討したのも、小麦を全部取り去る使い方ではなく、一部を置き換えた食品だった。粉の袋だけを眺めるより、皿の上の組み合わせを見る方が、こうした研究の発想には近い。[1][8]

成分が似ていても、消化性がそろうとは限らない

脱脂ピーナッツ粉を読むうえで、見逃せない実験がある。搾油で生じた市販のピーナッツ圧搾かすを、残った油や色素、苦味、繊維質を取り除く工程にかけ、食品用の粉にした研究だ。加工後の粉の成分組成は、実験室で作った脱脂ピーナッツ粉と同程度だった。[9]

ところが、その加工粉は、比較した脱脂粉より試験管内でのたんぱく質消化性が低かった。大きな成分区分が似ていても、消化に関する結果まで同じにはならなかったのである。「油が少ない」「たんぱく質を含む」といった説明だけでは、加工された素材の性質を全部は表せないことを示す例だ。[9]

試験管内での消化性とは、食品に消化の条件を与えて、たんぱく質が分解される様子を調べる評価である。人が食べて血液にアミノ酸が現れる過程や、運動後の筋肉の変化を直接測った試験とは区別する。対象は加工した食品素材であり、18〜39歳の女性の消化や筋肉の変化にそのまま当てはめることはできない。[9]

先ほどのレビューにあった、ピーナッツたんぱく質の真の消化率は動物性たんぱく質に匹敵するという整理と、加工粉で消化性が低かった結果は、単純な勝ち負けでは片付かない。前者はピーナッツを食品用たんぱく質源として見渡した評価で、後者は作り方の異なる素材を比べた実験だ。評価する範囲が違う。[1][9]

だから「ピーナッツは消化がよい」という素材全体の説明を、あらゆる加工粉に無条件で広げない。同時に、加工粉の比較で低かった結果を使って、ピーナッツ全般は利用できないと決めるのも飛躍になる。原料、製造方法、測った指標がそろった比較なのかを確認すると、研究同士の距離が見えやすくなる。[1][9]

クッキーに使った結果も、消化性の結果と切り分けて読むと役立つ。加工した圧搾かす由来の粉は、小麦粉に10%混ぜることで、受け入れられるクッキーになり、たんぱく質やミネラルの含有量も改善した。素材としての利用価値があったことと、比較した脱脂粉より消化性が低かったことは、同じ研究の中で両立している。[9]

食品研究で「利用できる」と書かれたとき、何を満たして利用できたのかを読むのが大切だ。この場合は、加工粉を使った食品の成分と受け入れられやすさを見ている。人が長期間食べ続けたときの体調や体力まで、同じ言葉で包まない。食品を作れるという成果にも意味はあるが、その成果が答える問いには輪郭がある。[9]

また、成分が似ていたという比較でも、個々のアミノ酸や消化性には差が残った。研究で差があったメチオニンと消化性を残したまま読むことで、表の大きな数字だけでは拾えない特徴が見えてくる。家庭で選ぶ際にも、たんぱく質量を確認したら判断を終えるのではなく、どう使う食品なのかまで戻って考えたい。[9]

数字で読む脱脂ピーナッツの研究

730±30〜790±10 g/kg:加工条件の異なるたんぱく質濃縮物の含有量。乾燥重量あたりの値である。[13]

89±3%と95±1%:脱脂に使った溶媒が異なる固形物からのたんぱく質抽出収率。体の吸収率ではない。[13]

10%:加工した圧搾かす由来の粉を小麦粉に混ぜ、受け入れられるクッキーを作れた配合割合である。[9]

30%、40%、50%:パスタ実験で、小麦粉をピーナッツ粉に置き換えた割合。食品配合の実験比率であり、日常の摂取目標値ではない。[8]

35〜45%:同じパスタの消費者評価を解析した際の最適なピーナッツ粉配合範囲。乾燥条件も合わせた結果だ。[8]

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