植物性プロテインでお腹が張る時は酵素で違う?豆の糖と発酵ガスを研究で読む

植物性プロテインを飲んだ後の張りは、たんぱく質だけで考えないことが大切だ。大豆粉を使った人の比較試験と、豆の糖を酵素や発酵で減らした食品実験を読み、ガスの量と張りの感覚を分ける。甘くない製品の選び方や、えんどう豆由来の粉にも同じ結果を当てはめてよいかを考える。

朝食のカップを片付けた後、植物性プロテインの袋をもう一度裏返す。飲んだ後の張りが気になり、「お腹に優しい」「甘くない」という言葉を探している。大きく書かれたたんぱく質量より、その隣の原材料が気になる朝である。

豆に含まれる消化されにくい糖は、ガスの発生に関わる。健康な人を対象にした大豆粉の比較試験では、その糖が少ない大豆でガスの産生が少なかった。おならの回数は通常の大豆で米の食事より有意に多く、低オリゴ糖の大豆では米の食事と同程度だった。一方、ほかのお腹の症状の強さには有意な差がなかった。[2]

糖を分解する酵素には食品加工での根拠がある。しかし、食品中の糖を減らすこと、飲んだ人のガスを減らすこと、本人の張りを楽にすることは、それぞれ確かめる必要がある別の結果である。酵素という言葉だけで選ぶ前に、そのつながりをほどいてみたい。[2][13]

既存記事「女性の植物性プロテインはえんどう豆でもよい?乳由来と筋トレの成果を比べる」は、補給と筋トレの成果を扱っている。原料を選ぶ時のその問いは既存記事に譲り、ここでは飲んだ後のガスと豆の糖を追う。

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豆のたんぱく質と、豆に残る糖を分ける

大豆製品でガスが増える仕組みとして、人の比較試験が挙げているのはラフィノースとスタキオースである。どちらも豆類に含まれる、消化されにくいオリゴ糖だ。オリゴ糖とは少数の糖がつながったもので、ここでは大腸の細菌による発酵の材料となる糖を指している。[2]

その糖を扱う酵素が、アルファガラクトシダーゼである。名前は長いが、話の中心は「何を分解するか」だ。動物実験の背景として、大豆のアルファガラクトオリゴ糖は哺乳類の小腸では消化されず、大腸へ届いてガスを作る細菌に利用される仕組みが説明されている。たんぱく質の量を見ているだけでは、この糖の話を取りこぼす。[7]

プロテインという呼び名で買うと、袋の中身をすべてたんぱく質だと考えがちである。だが、人の試験で比較されたのは、大豆粉に含まれる消化されにくい糖の違いだった。研究から考えるべき軸は、植物性か動物性かという大きな分類だけでなく、どんな食品を、どのような組成で摂ったかである。[2]

「女性のプロテインは酵素で固めると違う?架橋した構造と消化の進み方を研究で読む」で扱う、たんぱく質の構造と消化の問いは既存記事に譲る。ここでは豆の糖が発酵の材料になる過程と、その糖を減らした時に何が変わったかに絞る。

甘さも、別の軸として扱いたい。ラフィノースやスタキオースを比較した試験の結果を、味の甘さによる順位表へ置き換えることはできない。「甘くない」は好みに合うかを探す言葉として使い、ガスについては原料や加工の情報を別に確かめる。お腹の相談を、舌だけに任せないためである。[2]

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人の試験では、おならと張りの結果がそろわなかった

最も日常に近い手掛かりは、健康な参加者が通常の大豆粉と、もともと消化されにくいオリゴ糖の少ない大豆から作った粉を摂った試験である。二重盲検・無作為化クロスオーバー試験で、条件の順序を無作為にし、同じ参加者が別の条件も経験して比較する設計だった。健康な参加者での結果であり、18〜39歳の女性にそのまま当てはめるには、その年代の女性での検証が必要である。[2]

調べたのは呼気中の水素、おならの回数、お腹の症状である。呼気水素は、吸収されなかった糖質を調べる指標として用いられた。息を測ることと、本人が感じる張りを尋ねることを並行した点が、この問いでは大切だ。体内の発酵を反映する指標と、生活で困る感覚の両方を見ることになる。[2]

大豆粉34 gの条件では、摂取後8時間の呼気水素濃度の合計値が、通常の大豆で60.4±9.4 ppm、低オリゴ糖の大豆で34.3±8.1 ppmだった。低オリゴ糖の条件で有意に低い。大豆粉80 gの条件では、それぞれ157.9±19.4 ppmと50.8±6.8 ppmで、差はさらに大きかった。[2]

ここでの34 gや80 gは大豆粉の重さであり、たんぱく質そのものの量ではない。自宅の計量スプーンで量ったプロテインと、数字だけをそろえて同じ条件だと考えると比較を誤る。材料が大豆粉なのか、別の加工を受けた粉なのかを含めて読む必要がある。[2]

おならの回数は、大豆粉80 gの通常の大豆で12時間当たり7.5±1.9回、対照の米の食事で3.2±0.8回となり、有意な差があった。低オリゴ糖の大豆では3.9±0.7回で、米の食事と同程度だった。通常の大豆では米の食事より回数が有意に多く、低オリゴ糖の大豆は米の食事と同程度だった。[2]

それでも、ほかのお腹の症状の強さには有意差がなかった。この結果は添え物ではない。相談したいことが「張ってつらい」なら、呼気水素だけが下がったことを、そのまま症状の解決として受け取らないための中心的な情報である。ガスと張りは関係する話題でも、研究で同じ結果になるとは限らなかった。[2]

比較の相手にも注目したい。通常の大豆粉と低オリゴ糖の大豆粉を比べる場面と、大豆粉の食事を対照の米の食事と比べる場面では、答えている問いが違う。前者は大豆の組成の違い、後者は別の食事を摂った場合との違いを見る。おならの回数が米と同程度だったという結果を、どんな食事や飲料とも同程度と広げないようにしたい。[2]

呼気水素の数字も、おならの総量をそのまま表す値ではない。試験で用いたのは、決められた観察時間内の呼気中濃度を合計した指標である。台所で同じ値を再現する目標にはせず、条件を変えると発酵に関わる指標がどう動いたかを知る数字として読む。[2]

この試験からは、低オリゴ糖の大豆粉は通常の大豆粉よりガスの産生が少ない、と読むことができる。一方で、張りを感じた個人に低オリゴ糖の粉を勧めれば必ず楽になる、という結論にはしない。試験で差が出た指標と出なかった指標を、同じ重さで持ち帰る読み方である。[2]

酵素が糖を減らす結果は、食品の中で確かめられている

食品加工の実験では、ピント豆の粉にアルファガラクトシダーゼを含む粗酵素を作用させ、ラフィノース系オリゴ糖を減らす方法が調べられた。比較相手には浸水、加熱調理、高温高圧の処理が含まれる。対象は人のお腹ではなく、処理を受ける豆と粉である。[13]

室温で16時間浸した豆ではオリゴ糖の減少が10%、90分の加熱調理では52%、30分の高温高圧処理では58%だった。一方、実験で調製した粗酵素を60 U/mLの条件で豆粉に2時間作用させると、ラフィノース系オリゴ糖は完全に加水分解された。加水分解とは、水が関わる反応で結合を切ることだ。[13]

この結果は、酵素で原因候補の糖そのものを減らせるという、仕組みの裏付けになる。ただし、処理した豆粉を飲んだ人の張りがどれだけ変わったかという数字ではない。酵素を食品に働かせる製造工程の成果を、酵素サプリの服用による体感の数字として読むことはできない。[13]

また、「完全に」という言葉には実験条件が付いている。酵素の種類や濃さ、作用させた時間、対象にした豆粉まで含めた結果である。家庭で粉を水に溶かしてしばらく置く操作と同一視しない。研究を買い物へ持ち込む時は、目立つ成功率より、その成功が生まれた条件を先に見る。[13]

加工で減らす方法は酵素の添加だけではない。ルピンと大豆の種子や粉を分析した研究では、発芽と発酵によってオリゴ糖の量が減った。大豆粉では、発酵前の総オリゴ糖180 mg/gが、発酵後には約124 mg/gへ減少した。これは大豆粉の成分を測った食品実験の値である。[6]

同じ研究のルピンでは、制御しない条件での発芽後に総オリゴ糖が98%減って6 mg/gとなり、制御した発芽では44%減って86 mg/gとなった。加工の名前が共通でも、条件によって残る量は違った。「発芽」「発酵」という表示だけで、すべて同じ組成になると考えない理由がここにある。[6]

さらに、成分が減ったという結果と、すべて取り除かれたという結果も区別したい。発酵大豆粉の約124 mg/gという値は、加工後にも測定対象の糖が残ることを示す。袋に加工法が書いてあれば、それを手掛かりにはできるが、本人の症状まで先回りして保証する表示として読む必要はない。[6]

数字で読む豆の糖とガス

大豆粉34 g:呼気水素の合計値は通常の大豆60.4 ppm、低オリゴ糖の大豆34.3 ppm。健康な人の比較試験である。[2]

大豆粉80 g:おならは通常の大豆で12時間当たり7.5回と、米の食事の3.2回より有意に多かった。低オリゴ糖の大豆は3.9回で、米と同程度だった。[2]

豆粉への酵素処理2時間:実験条件下でラフィノース系オリゴ糖が完全に分解された。人の症状改善率ではない。[13]

発酵前後の大豆粉:総オリゴ糖は180 mg/gから約124 mg/gへ減った。食品成分の分析値である。[6]

植物性食品35品:発酵性の短鎖糖質を調べた食品分析で、20品が低い群に分類された。植物性食品をひとまとめにはできない。[11]

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