内ももと裏ももは同じ運動で鍛えられる?股関節を伸ばす仕事と筋肉量の違いを読む

内ももと裏ももを引き締めたいとき、脚を閉じる運動と後ろへ動かす運動は別物なのか。大内転筋とハムストリングスの共同作業を、うつ伏せ脚上げ、立ち上がり、レッグプレスの研究から読む。その場の筋活動と継続後の筋肉量を区別し、同じ種目で両方を鍛えるという言葉の範囲を確かめる。

うつ伏せで脚を後ろへ持ち上げると、裏ももだけでなく内ももにも力が入る。脚を閉じていないのに、なぜ内側も働くのだろう。内ももの大内転筋と裏もものハムストリングスは、股関節を伸ばす動作で一緒に活動する。健康な成人のうつ伏せ脚上げを調べた比較研究も、その共同作業を示している。[3]

したがって、同じ運動で両方が働くことはある。ただし「一緒に働く」と「同じだけ発達する」は同じ意味ではない。脚上げ中の筋活動を測る研究と、運動を続けた後の筋肉量を測る研究では、答えている問いが異なる。[3][19]

既存記事「ヒップアップのヒップリフトは膝でボールを挟む?内ももとお尻の分担を読む」では、ブリッジ中に挟む動作を扱っている。ここでは器具の挟み方から離れ、内ももと裏ももが共通して担う仕事と、運動の成果を何で確かめるかに焦点を置く。「引き締め」という希望を、まず動作中の働きと継続後の変化へ分けてみよう。

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内ももは、脚を閉じる仕事だけではない

大内転筋は内ももにある筋肉であり、ハムストリングスは裏ももの筋群である。この位置の違いだけで「内ももは横方向、裏ももは後ろ方向」と担当を固定すると、大内転筋が股関節を伸ばす際にも活動するという研究結果を見落とす。うつ伏せで脚を持ち上げる課題では、大内転筋を股関節の伸筋として評価する必要があると研究者は提案している。[3]

股関節を伸ばすとは、脚を体の後方へ動かす側の動作を指す。うつ伏せ脚上げの研究では、その動作を大内転筋、大臀筋、内側と外側のハムストリングスで比較した。大臀筋はお尻の筋肉である。検索窓では「内もも」「裏もも」「お尻」と別々でも、実験では同じ課題を担う候補として並んでいる。[3]

この見方は、うつ伏せの運動だけに限られない。短距離走の筋力トレーニングを論じたレビューでも、速い走行への重要な貢献を担う筋肉として、ハムストリングス、大内転筋、大臀筋が挙げられている。このレビューは短距離走の競技能力を扱っており、18〜39歳の女性の日常的な運動に、その練習方法や成果をそのまま当てはめることはできない。注目したいのは、内ももが脚を閉じる場面の外でも語られている点だ。[2]

つまり、筋肉の名前は住所のようなもので、仕事の一覧ではない。内側にあっても、後ろへ動かす仕事に参加する。内ももと裏ももを別々に意識することはできても、動作の仕組みまで別々と決める必要はない。実際の運動を見るときは、どこを感じたかに加えて、股関節が何をしていたかを見るほうが研究とつながりやすい。[2][3]

ただし、大内転筋の結果を「内ももの筋肉すべて」の結果へ広げないことも大切である。うつ伏せ脚上げの比較で測定されたのは大内転筋であり、長期のレッグプレス研究で増大が示された内ももの筋肉も大内転筋だった。内ももという広い言葉を使いつつ、論文を読むときには筋肉の名前へ戻る。その往復が、運動広告の大きな言葉に流されない足場になる。[3][19]

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うつ伏せ脚上げでは、脚の方向で分担が変わった

健康な参加者22人を対象にした比較研究では、通常のうつ伏せ股関節伸展、脚を内側へ寄せる動作を加えた伸展、外側へ開く動作を加えた伸展を比べた。筋電図という、筋肉の活動に伴う電気信号を記録する方法を用い、各筋の測定値を基準に対してそろえて検討している。同じ人が異なる条件を行う実験である。[3]

通常の伸展では、大内転筋、大臀筋、ハムストリングスの活動の大きさに統計的な有意差はなかった。これは「完全に同量の仕事をした」という証明ではない。少なくとも、この課題の比較では、大内転筋をほかの伸筋と無関係な筋肉として扱えないという結果である。[3]

脚を内側へ寄せる条件では、大内転筋とハムストリングスの活動が大臀筋より有意に大きかった。一方、脚を外側へ開く条件では、大臀筋の活動が大内転筋と内側・外側のハムストリングスより有意に大きかった。動作の方向を変えると、同じ股関節伸展でも筋肉同士の活動の並びが変わったのである。[3]

ここで読み間違えやすいのは、比較の相手だ。「内側へ寄せた条件で大内転筋が大臀筋より大きい」は、「内側へ寄せれば通常の脚上げより大内転筋が必ず強くなる」と同じ文ではない。報告されている筋肉間の比較を、条件間の効果へ勝手に置き換えないようにしたい。数字のない強弱の説明でも、何と何を比べたかは残しておく必要がある。[3]

また、対象は健康な人であり、研究者も結果を予備的なものとして位置づけている。痛みのある人の自己検査や、脚の形を変える確実な方法として読むには飛躍がある。この実験を日常へ持ち帰るなら、「脚を後ろへ動かす運動でも内ももが参加し、方向によって分担が変わりうる」という範囲が適切だ。[3]

立ち上がる動きでは、足の位置と負荷を分けて見る

床の上で内ももを意識できても、椅子から立つときには意識が薄れることがある。だが、立ち上がり運動を調べた研究では、大臀筋、ハムストリングス、大内転筋などの活動が測られている。身体を起こす課題も、内ももと裏ももの共同作業を考える場面になる。[11]

健康な9人を調べたこの研究は、装置を用いた立ち上がり運動で、足の位置や抵抗、体幹の傾きを変えた実験である。床に加わる力と映像から股関節にかかる負荷を計算し、筋活動も記録した。ここでの負荷とは、単に重りの重さではなく、股関節まわりを回転させようとする作用も含む。[11]

足を後方へ置く調整と、装置の抵抗を減らす調整では、股関節の負荷が低下した。足を前方へ置くと負荷は増えた。その一方で、足を後方へ置いたとき、股関節を伸ばす筋群の活動はわずかに増えていた。関節の負荷が低くなることと、筋肉の活動も必ず低くなることは、同義ではなかった。[11]

この結果は、「楽な姿勢なら筋肉は休む」「効いている感覚が強いほど関節の負荷も高い」という単純な対応から距離を取らせてくれる。運動の評価では、筋活動、関節にかかる力、動作のしやすさを、ひとつの物差しに詰め込まないほうがよい。研究でも、それぞれを別に測っている。[11]

ただし、装置の立ち上がり課題を、そのまま自宅のどんな椅子にも当てはめることはできない。足を後ろへ引けば誰でも安全になるという結論でもない。ふだんの動作を相談するときには、椅子の高さだけでなく、足をどこに置き、どこへ身体を動かしたかまで言葉にしておく。そうすれば「内ももに効くか」という質問を、具体的な動作の質問に変えられる。

ブリッジを選ぶ場合にも、この区別を使える。仰向けで身体を持ち上げるブリッジのレビューは、内転筋を同時に活動させる変法だけでなく、外転筋を同時に活動させる変法、上半身の支持を高くする変法、足を高くする変法も扱っている。内ももを加えることは、数ある条件変更のひとつである。挟む道具の有無だけで運動全体を説明しない視点が得られる。[1]

レビューで挙げられた評価対象には、大臀筋、ハムストリングス、背骨を支える筋肉や腹部の筋肉などが含まれる。股関節だけを動かすつもりでも、骨盤や腰部の安定に関わる筋肉を一緒に考える課題として整理されている。内ももと裏ももの両方を使いたいという希望も、身体のほかの部分を動員しないこととは別である。種目を選ぶ際に、働く場所を狭く限定しすぎなくてよい。[1]

ここで、レビューが多様な方法を紹介していることと、ある方法の優越性が確定したことも区別しておこう。この総説は実施条件と筋肉の関わりを整理したものである。今回の問いに使えるのは、同じブリッジという名前でも、関節の角度や支持の仕方をそろえずに比べると、別の動作を比べてしまうという視点だ。[1]

自宅で動画を見比べるなら、まず開始姿勢、脚を動かす方向、支持している場所を文章にしてみる。これは研究の運動条件を読み取るためのメモであり、特定の角度を自分へ強制する指示ではない。うつ伏せ脚上げの筋活動を、仰向けのブリッジへそのまま当てはめないためにも、姿勢の違いを残しておきたい。見た目が似た動作でも、研究の結果を借りる前に実施条件へ戻る習慣が役立つ。[1][3]

数字で読む内ももと裏ももの共同作業

22人:うつ伏せ股関節伸展で、大内転筋とほかの伸筋の活動を比較した健康な参加者数である。[3]

9人:足の位置や抵抗を変えた立ち上がり運動の実験対象となった。[11]

17人:膝伸展とレッグプレスを左右の脚で分けて続けた、運動未経験の成人が参加した。[19]

12週間:その筋肉量の変化を測ったトレーニングを続けた期間に当たる。[19]

6.2%:その試験でレッグプレス後に増えた大内転筋の体積であり、脚の周径の減少率ではない。[19]

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