ダイエットの野菜嫌いは香りでも変わる?甘い香りと食べる量を分けて研究で読む

ダイエット中でも野菜の香りが苦手な人へ。香草や香辛料で好みが変わっても、食べる量まで増えるとは限らない。学校での比較研究と子どもの学習、家庭の食環境の研究から、甘い香りに期待できる範囲を考える。大人の食卓で試す際の見方と、買う・好きになる・食べるの違いを整理する。

温野菜の皿を前に、箸が止まる。食べたい気持ちはあっても、湯気と一緒に立つ青い香りが苦手だ。そこで「甘い香りを添えれば食べやすくなるのか」という疑問が出てくる。野菜を買う決心と、目の前の料理を口に運ぶ気持ちは、同じ瞬間にはそろわない。

答えの芯は、香りを含む味付けの工夫は好みを変える可能性があるが、好きになることと食べる量が増えることは別、である。農村地域の中高生を対象とした研究では、香草や香辛料を加えた野菜は好まれた一方、食堂では油と塩による基本の味付けの野菜の方が多く食べられた。対象は農村地域の中高生であり、18〜39歳の女性に同じ結果が当てはまるかは別に確かめる必要がある。[7]

甘い香りだけで大人の野菜嫌いを解消できる、と約束するところまでは進めない。まず見るべきなのは、何の香りを、どの料理に、どんな場面で使ったかである。香草・香辛料の研究が確かめた範囲をたどり、自分の夕飯で試す工夫と、効果として言い切れることを分けて考えたい。[7]

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香りを足す工夫は、甘さの実験と同じではない

「香りで野菜を食べやすくする」という言葉には、違う操作が混ざりやすい。料理に香草を混ぜること、香辛料を含む味付けに変えること、甘いと感じる香りだけを添えることは、同じ条件ではない。中高生の研究が比較したのは、油と塩による基本の味付けと、そこへ専用の香草・香辛料の配合を加えた野菜であった。[7]

この研究では、基本の野菜と香草・香辛料入りの野菜で、油と塩の量は同程度にそろえられていた。比較の途中で油も塩も大きく変わっていれば、好みの差を何に結び付けるかが曖昧になる。その点をそろえたうえで、追加した味付けを含む料理全体の評価を調べた設計である。[7]

使われた配合の例にはディル、カルダモン、クミンがある。ただし、ここから「甘い香りのものほど有効」「どの野菜にも同じ香りが合う」と順位を付けることはできない。研究の単位は、それぞれの野菜に合わせて作られた料理である。家にある香辛料を振っただけで同じ結果になる、という処方には置き換えない。[7]

葉野菜を焼成食品へ加えた研究をまとめたレビューでは、栄養面の変化と官能面の評価が一緒に検討されている。官能面とは、人が食べたときに感じる性質や、その受け入れやすさのことである。栄養成分を豊かにする配合を考えても、食べる側の評価には別の課題が残る。成分を増やす設計と、食べたい料理を作る設計を、同じ作業だと考えない方がよい。[4]

同レビューでは、乾燥や発酵によって望ましくない感覚的な影響を和らげる方法も挙げられている。ただし、これは焼成食品の配合や加工を検討する文脈である。家の野菜を乾かしたり発酵させたりすれば必ず食べやすくなる、という指示ではない。取り入れる野菜と加工の組み合わせまで見て初めて、その食品の受け入れやすさを考えられる。[4]

食卓で応用するときも、「香りを足したから成功した」と急がず、料理としてどう感じたかを確かめる方が筋がよい。香りはよかったが食感は苦手だった、という感想も判断材料になる。葉野菜をパンなどの焼成食品に加える系統的レビューでも、受け入れやすさの障害として苦味だけでなく食感が挙げられている。[4]

青い香りが苦手な人に、苦味対策だけを押し付けても話がすれ違う。逆に、香りの工夫で口に運べても、噛んだときの感触の評価は別に残る。葉野菜を取り入れた食品の受け入れやすさは、植物の種類や加工方法でも違っていた。野菜嫌いをひとつの性格として片付けず、食べにくい要素を分ける視点が役立つ。[4]

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好みの点数と食堂での摂取量が逆を向いた

香草・香辛料の研究は、料理を評価する場面から、実際に選んで食べる場面へ進む構成だった。最初の段階では、8種類の野菜の料理を開発し、14〜18歳の生徒96〜110人が、好みの程度と、どちらを選ぶかを評価した。好みの程度には100mmの線上で答える尺度が使われた。[7]

この評価では、生徒は概して香草・香辛料入りの野菜を好み、そちらを選好した。選好とは、比較したもののうち、どちらをより好むかという意味である。目の前の料理を比べるときには、新しい味付けに利点があった。後の摂取量の結果と併せて、評価と行動を分けて読む必要がある。[7]

次の段階では、食堂で出す8種類の野菜に配合した香草・香辛料を加え、基本の味付けの野菜と摂取量を比べた。ところが、野菜を選んだ割合は8〜15%と低く、全体の摂取量は基本の味付けの方が多かった。「おいしいと評価された料理なら、食堂でも多く食べられる」という予想に、そのまま沿う結果ではなかった。[7]

ここで「香草は逆効果だった」と一括りにするのも早い。比較して好みを答える場面と、食堂で料理を選んで食べる場面では、測っている行動が違う。研究から確実に持ち帰れるのは、好みの改善が選択や摂取量の改善へ一貫してつながるわけではなかった、という点である。[7]

家庭で考えるなら、味見を頼まれたときの「おいしい」と、仕事帰りに自分で用意して食べる夕飯を区別すると分かりやすい。味見の返事を、そのまま来週の食事の実績に数えない。これは研究の結果を生活へ置き換えるための見方であり、食べなかった理由を本人の努力不足と決める材料ではない。[7]

また、この研究の対象は農村地域の中高生である。立川で暮らす大人の食事に、評価の数字をそのまま当てはめることはできない。料理に香りを添える発想の参考にしつつ、確認する対象は自分が食べやすかったか、また選びたいか、実際に食べたかと分ける。年齢や場面の違いを飛び越えて、効く香りを断定しない。[7]

慣れる学習は、食べる前の接点にもある

同じ中高生の研究では、さらに2つの料理を5回繰り返して経験させた。ディルの配合に繰り返し触れると、その配合で味付けした野菜を今後試してみたいという意向が高まった。ここでも得られた結果は、将来試そうとする気持ちの変化である。[7]

「5回で野菜嫌いが治る」と読むと、対象も結果も変えてしまう。特定の料理に接した生徒の意向が変わることと、あらゆる野菜への苦手意識がなくなることは、距離のある問いだ。数字を家庭の締め切りにするより、知らない味に出会った直後の評価だけで結論を固定しない、という読み方が適切である。[7]

食べる前の接点を扱った研究として、絵本が幼児の野菜摂取、好み、味見への意欲に与える影響を調べた系統的レビューがある。系統的レビューとは、条件に合う研究を手順に沿って探し、結果をまとめる研究である。対象年齢は18か月〜6歳で、含まれた研究は16件、平均の対象者数は85人だった。18〜39歳の女性にこの結果をそのまま当てはめることはできない。[2]

介入の期間は3日〜12週間である。野菜の摂取量が増えた研究は10件、好みが改善した研究は7件、味見への意欲が増した研究は3件あった。これらは異なる結果を数えたものであり、合計して成功率を作る数字ではない。好きか、試すか、どれだけ食べるかを別々に調べる必要性が、ここにも表れている。[2]

絵本のレビューの数字を読むときは、期間にも目を向けたい。短い取り組みも、より長い取り組みも含まれているので、研究数だけで家庭での進め方を決めることはできない。研究者は、より大きな対象者数と、その後の追跡評価を今後の課題として挙げている。取り組みの間に変化があったことと、時間がたっても変化が続くことを、別々に確かめようとしているのである。[2]

たとえば親子で絵本の野菜に関心を向けた後、食卓で同じ野菜を見つけても、その日の摂取量だけで活動全体を採点する必要はない。絵本の研究が好みや味見への意欲も調べているように、どの段階を見ているかを意識する。ただし、関心を示したから食べるはずだと先回りせず、本人の反応を観察するための視点として使いたい。[2]

このレビューの対象は幼児であり、18〜39歳の女性が料理の写真を見る場合に同じ効果があるかは、別の検証を要する。それでも、食べられない相手にすぐ完食を求める以外にも、野菜との接点を作る方法が研究されていることは分かる。子どもの食卓を考える場合には、とくに摂取量だけでなく、興味や味見への意欲も観察の対象になる。[2]

繰り返し味わうことそのものは、既存記事「ダイエットの食事レシピは苦い野菜を避ける?繰り返す味と好みの変化を読む」に譲る。ここでは、香りを含む料理の工夫が、好み、次に試す意向、実際の食事のどこまで届いたかを追う。食べた量だけを見ても、味見の感想だけを見ても、途中の変化を読み違える。[7][2]

数字で読む野菜の好みと行動

14〜18歳:香草・香辛料入りの野菜の好みを評価した生徒の年齢である。[7]

8〜15%:食堂で野菜を選んだ割合。好みの評価とは別の数字である。[7]

5回:特定の料理への反復経験。すべての野菜への必要回数ではない。[7]

16件:絵本による幼児の野菜摂取や好みなどを調べたレビューの研究数である。[2]

131世帯:家庭にある食品を調べた無作為化比較試験の世帯数である。[12]

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